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poly-hetero

男性 - 京都府
ラーメン屋には週に3〜4度のペースで行っています。
突然ではありますが、私poly-heteroはこの度諸事情によりこのRDBでの書き込み活動を一切停止することにいたしました。

これまで一度でも私と携わって下さった皆様。
大変お世話になりました。
そして何より、ありがとうございました。
厚く御礼申し上げると共に、皆様のますますのご多幸とご発展を心よりお祈り申し上げます。

それでは、さようなら
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「麻油(マー油)・鶏白湯つけ麺」@吟醸らーめん 久保田 本店の写真この近くで所用。それが思いのほか早く終わったため、予定外の訪問ができた。









○ 入店


開店数分前、7~8名の行列の最後尾に並ぶ。
皆同じものが目当てかと思いきや、レギュラーメニューを頼んでおられる人たちもいた。

私が注文したものは、「麻油(マー油)・鶏白湯つけ麺」の大300g。
この店で5月15日から6月末まで催される「鶏白湯つけ麺祭り」の第3弾の限定つけ麺である。
もっとも、私は「どうせ、いずれは鶏白湯を杯数限定のレギュラーメニューに昇格させるんでしょ?」
と怪しんでもいるけれど。


○ 麻油(マー油)・鶏白湯つけ麺


・麺

前回と前々回の限定鶏白湯では、真空ミキサー使用の多加水麺が用いられていたが、
今回は小麦の香りを重視したという平打ち麺に変更されている。
いずれも麺屋棣鄂(テイガク)製だ。

当然ながら前回ほどの瑞々しさは感じられないが、それでも十分な、というかむしろ適度に
ウェットな仕上がりとなっている。
茹でムラのない均質性や小麦の風味も見事なもので、相変わらずの丁寧かつ繊細な仕事振りだ。
良い麺が良い仕上がりで供されていることの嬉しさを噛み締められる。
そして個人的には、前回の麺よりもこちらの方が好みだと感じられた。

・つけ汁

公式ブログを記す社長曰く、「採るというより絞り出す工程」を経るという鶏白湯。
鶏(と、多分少しの豚も)がもたらす甘いコクが濃縮されたような味わい、そしていかにもキメが細かそうな
サラサラと滑らかな質感が特徴的である。
また魚介を隠し味的に利かすことによってつけ汁全体のテイストが少しふくよかにされていること、
及び醤油ダレでテイスト全体をビシッと引き締めてられていることもまた、その特徴として挙げられるべきであろう。

・麻油(マー油)

自家製で、タマネギ油が用いられたもの。
一般的にマー油は、その存在感が強過ぎてスープの味わいを損ねてしまうこともあるが、この店のものは違う。
タマネギ油がつけ汁とニンニクの媒介項となり、さらにニンニクの風味が強まり過ぎるのを
回避しているからだ。

タマネギ油がつけ汁と同様の「甘いコク」を有しているおかげで、2つはあたかも同じ一つのものであるかのように
融和し合っている。
甘いコクもさらに強まっている。
そしてその増幅された甘いコクこそが、ニンニクを「ガーリック」とでも表記したくなるような
香ばしいコクだけを味わえる程度で抑えている。

結果として、「鶏白湯にマー油があしらわれた」というよりも、「鶏白湯にガーリックの風味が加味された」と
描写する方が自然だと思える味わいになっている。
だから、以前に食した(マー油が用いられていない)「濃厚 鶏白湯つけ麺」のつけ汁よりももう一層分の
旨い味わいがある分だけ、単調さが回避されているともいえる。
麺に続いてつけ汁もまた、今回の方が好みであると感じられた。

・麺をつけ汁に通して食す

上記の「麺」「つけ汁」「マー油」そのままの味わいであり、何か相乗効果によって特別に麺が美味くなるとは
感じ難かった。
しかしテイストの響き方が実に美味い。
鶏白湯とマー油が織り成すコクの「アンサンブル」の途中で、噛めば噛むほど芳醇さを増す小麦感という
「ソロ・パート」が挿入されるイメージである。
また、卓上に置かれた「長文屋」の七味や六味(七味から一味唐辛子を抜いたもの)を麺の上に少しかけて、
変化を楽しむのも良い。

麺の風味が増したこととマー油が加わったこと。
この2つが、既存の別のメリットと引き換えにすることなく、その旨味だけを加算された味わいに
なっていると感じられた。
流石。お見事です。

・具

短冊切りチャーシューに味玉、ネギ等。

短冊チャーシューは麺に絡めやすいように切られているのだろう。
しかしこの手のタイプのもので私が好きな食し方は、麺を噛んでいる途中でチャーシューを
口中に放り込み、その味わいの変化を楽しむというもの。
あまり濃い味付けではなく、しかも薄い。しかし肉の旨味が豊かなこのチャーシューだからこそ、
可能な味わい方だともいえる。

・スープ割

出汁で割られ、レンジで暖められ、さらに何かを足されて供される。
味わい自体は割る前とほぼ同じなのでは変化を楽しめないが、つけ汁自体が美味かったので「良し」。


○ 退店


「麻油(マー油)・鶏白湯つけ麺」。
「鶏白湯 ガーリック風味」とでも呼びたくなるような鶏とマー油の旨味の中で、徐々に立ち上ってくる麺の風味高さを
十全に味わわせる素晴らしいつけ麺である。
これが供されるのは6月末まで。

しかし、繰り返すが、私は「どうせ、いずれは鶏白湯を杯数限定のレギュラーメニューに昇格させるんでしょ?」との
疑問を払拭できずにいる。
公式ブログで幾度となくつけ麺をこの店一番の売りにしたい旨が述べられていること、
そしてこの限定つけ麺が供されるのが2度目であることが主たる根拠であるが、もちろん何の確証もない。
したがって、まだこのつけ麺を未食であり興味を持っておられる方々は、一応今月中に食しておいた方が
良いのかもしれない。

 

2009年6月18日投稿(2009年6月18日更新) | 得票数 [0票] | コメント (0) | このお店へのレビュー: 6件

「塩ラーメン+とろけるチャーシュー丼(小)」@ラーメン虎一番の写真平日夜に初訪問。









○ アクセス


「ラーメン虎一番」。この店は、数あるラーメン屋の中でも最もハードルの高い店の一つだろう。
何せ

・「ご主人の愛想が無い/悪い」
・「常連さんがいると彼らと賑わってしまい、なかなか注文したものを作ってくれない」
・「(丁寧に作るためか)注文したものが出てくるのが遅い」
・「(混雑時は)ご主人にオーダーしても、返事をしてくれない」
・「(混雑時は)注文したものと異なるものを作ってしまうこともある」
・「(混雑時は)料理の質がいつもより明らかに落ちる」

と、こういった声が、決して少なくないからだ。
通常ならば、とりわけ常連さんでさえ認める6つ目の声により、「論外」としても良さそうな店である。
しかしその一方で、この店の麺類を絶賛する声もまた確かに存在する。
これは気になる。

というわけで、到着予定時間は22時過ぎ、もし店内が混雑していようものなら間違いなく終電(阪急)に
乗り遅れるというハードな条件下にもかかわらず、のこのことこの店にやってきたわけだ。


○ 入店


早歩きで店の前に到着すると、中には二人の先客しかいないことがガラス越しに確認できた。
しかも既に注文したものを食している。
ほっ。
終電には間に合いそうだ。

入店すると、ご主人が静かに「いらっしゃい」とポツリ。
ほっ。
「不調」時はこの挨拶さえされないそうだから、きっと今は「好調」なのだろう。

オーダーしたのは、「塩ラーメン」と「とろけるチャーシュー丼(小)」。
塩ラーメンは雑誌で見て旨そうだったこと、そしてとろけるチャーシュー丼は
「塩ラーメンとチャーシュー丼は相性が良い」
という私にとっての黄金律に従ったという理由で。

少しの間だけ厨房の様子を見ていたが(なんせ目の前だし)、ご主人はゆとりを持って私と
連れの男のラーメンを作っておられる。
あらためて、今日は良いものが出てきそうだという期待が高まってくる。


○ 塩ラーメン


・スープ

一口啜った時点で「はいっ、美味い!」と舌鼓。
綺麗スッキリと一つにまとめ上げられたテイストの中、いくつもの食材の旨味が燦然と輝いている。
鶏、節、煮干し類、ホタテ、塩ダレ。
こりゃあ美味いとばかりに、そのまま夢中で3口、4口と啜ってしまった。

煮干し中心の魚の味わいは「イワシやサバだけじゃないよな」と感じさせる味わいであったが、
後にサンマの燻製も用いられていると知る(ただし、この季節でも用いられているかどうかは不明)。
また、アゴ出汁も用いられていそうな香ばしさを感じたが、実際はどうなのだろう。
節もまた全体と足並みを揃えるように、決して突出することもエグみを出すこともなく、じわりと旨味を利かせている。
ホタテも地味に、しかし確かに旨味が利かされている。
鶏は、ガラにおそらく鶏油も用いてそのテイストと香りを補強していると思しき味わい(違ったらごめんなさい)。
これもまた突出することなく、しかし魚介感だけを主役にさせない程度に旨味が響いている。
岩塩が用いられている塩ダレもまた、適正な塩加減と旨味を感じさせる。
…予想以上にたくさんの旨味が綺麗に煮出されているではないか。

また、無化調であることも大きく寄与しているだろうが、食材個々の旨味が十全に引き出されている一方で、
後味に少し残る旨味までが美味い。
この後味としての旨味がまだ次の一啜りを呼び、その一啜りがその次の…と、なかなか止まれない。

・麺

細麺と平打ち麺(中太)から選択でき、私は後者を。
食前はさほど期待していなかったのだが、その期待値を優に上回る出来の良さを誇っていた。
麺そのものもさることながら、良いコンディション(茹で上げ)であったこと、そして持ち上げるスープが
綺麗なテイストと香りであったことで、より良い麺として「演出」されていたのだろう。

メニュー表には「モチモチっと平打ち麺」と書かれているが、私が頂いたものは「しっとりモチモチ」といった感。
表面が心持ちしんなりと「潤い」を含む程度に茹でられていた。
そのためか、中太縮れ麺ではあるが、啜る際に強く振動することはない。
もちろん軽く振動するものの、それと同時に口中でゴワゴワしないし、むしろ舌触りが良いぐらいだ。
噛み応えもしかり。
麺内側に相応の粉密度を有していそうなモチモチ感があるといえばそうなのだが、外側が「潤っている」分だけ、
通常の「モチモチ」よりも少し柔らかくもある。
そして中盤以降もこの噛み応えが保たれているという、「耐久力」も特筆すべきだろう。

テイストもなかなかのもの。
玉子のクセや灌水臭さはほとんど無く、上述したスープのテイストを口中に如何なく運び入れる。
そう。勘の良い人はもうわかっているだろうが、「潤い」とはスープのことである。
では「無味無臭」でスープに完全奉仕するだけなのかといえばそうではない。
噛み進めると微かに漂う小麦感が、実に渋い働き振りを見せるのである。
初めに麺の食感と麺に運ばれたスープのテイストを楽しませ、徐々に、しかしあくまで微かに
広がっていく小麦の風味。
この2段階の味わいが美味いのである。

もしかすると「どうってことない。凡庸な麺だった」と思われた方もおられるかもしれない。
しかし私としては「その『凡庸さ』の裏には、『非凡さ』が蔵されていたかもよ」と思わなくもない。
まあこの店の場合は「出来」と「不出来」の振幅においてもまた非凡さがあるようなので、
何ともいえないが。

・具

レアチャーシューに煮玉子半個、ネギ、小松菜。
レアチャーシューは肩ロース。我々に供される前に、ご主人によって白身部分が丁寧に取り除かれる。
また、訪問後に知ったことだが、厚切りと薄切りが選択できるそうだ。
厚さに関して何も注文しなかった私には薄切りが供されたが、噛む度に静かな旨味が口中に
浸透していくこの感じ。好きです。
でもこの手のチャーシューだと必ず「薄い!」とされる方もいるだろうから、それは好み次第だろう。
まあ好みというか、また別の要素によるものかもしれないけど。


○ とろけるチャーシュー丼(小)


こちらは塩ラーメンと異なり、一口食した時点で「嫌いじゃないけど、敢えてお金を払ってまでは…」
との個人的感想を抱く。
そのチャーシューは、バラ肉が何か赤い調味料でソテーされたと思しきものであったが、
そのテイストが私にはチープに感じられてしまったのだ。
まあセットメニューではなく別途注文したサイドメニューなので、良いと思えばプラス採点するが、
そうでなければ採点には含めないけど。

しかし何より、小サイズであるはずなのに、ボリュームが凄い。
他のラーメン屋ならば、「並」か「大」として供される程の量であった。
流石に全部は食べ切れそうもない故、私と身長はほぼ同じだが食欲と体重は私の約1.5倍の連れに、
残り5分の2を食して頂いたほどだ。(ちなみに、彼はこのチャーシュー丼をいたく気に入っていた)。
でも若くて食欲旺盛な男子諸君には、この上なく嬉しいボリュームであろう。


○ 退店


帰り際、お金を払い終えた私と連れに「…ありがとう(ボソッ)」とご主人。
うんうん。それでも良いよ。やはりこの日の麺類は良かったのだと再認識できるから。

さて、「塩ラーメン」。
数々の旨味が泳がされていてしかも後味も良いスープ、絶妙の塩梅を誇る中太縮れ麺、
噛む度に旨味が滲み出るレアチャーシュー等が本当に美味い一品であった。
またこの塩ラーメン以外にも、「塩菜ラーメン」(塩ラーメンに梅とシソを加えたもの)や「つけ麺」、
「地鶏・鳥塩ラーメン」、「6×4ラーメン」(魚介が6で鶏が4という割合らしい)等、
気になる麺類が盛りだくさんなのは悩ましい。

しかし誰かにお勧めするとなると、やはり腰が引けてしまう。
何せこの店の麺類は、前述したように好不調の波が激しいようだからだ。
そして私が頂いたものは、幸運にもご主人の好調時(店が混雑していないから、ゆとりを持って調理できる状態)の
塩ラーメンだったはずだ。
したがって愛想の良し悪しや有無は問わず、しかも注文したものが間違えられたり麺類の質の低いときに
当たってしまっても、「仕方ない。また来よう」と思えるだけのこころの余裕がありそうな人たちにのみ、
こそっとお勧めしたい(ハードル高過ぎ!!)。
そして私としては、開店直後か夜の9時半以降の、比較的混んでいないであろう時間に再訪するつもりだ。
ご主人が心許す常連さんがいなければいいが…。

2009年6月16日投稿(2009年6月16日更新) | 得票数 [1票] | コメント (3) | このお店へのレビュー: 1件

「よもぎざるらーめん(よもぎ炒飯セット)」@8番らーめん 本店の写真小松市に所用があり、その道中に偶然発見したので訪問。あとで公式HPを見たのだが、なかなかたくさんの支店をお持ちのようで。
しかし私は「ネタ」として、この夏季限定メニューを注文。

麺はよもぎの風味がちゃんと味わえる。
灌水というかそれも含めた水の質が良くないことを伺わせるものの、タレ(そばつゆに似たもの)に3分の1程度通して食すと、タレの甘みがそれらをある程度マスキングしてくれる。
ほんのり甘い醤油感が利いた中で、よもぎの風味はますます良い清涼感として味わえるようになる。
お店の関係者の方々、申し訳ございません。「ネタ」ではありませんでした。普通に美味しく頂きました。ご馳走様です。

2009年6月13日投稿 | 得票数 [1票] | コメント (2) | このお店へのレビュー: 1件

「塩ざるそば(夏季限定)」@麺道 しゅはりの写真まず始めに申し上げておこう。今回99点と採点したわけだが、「いわゆるラーメン好き」の方々、つまり動物系出汁、一定以上の味・濃度、あるいはジャンキーな諸々の要素を「必須」のものとして、ラーメンやつけ麺に求める人たちにはあまりお勧めできない。今回頂いた「塩ざるそば」は初めからそういった要素が捨象されているからである。
しかし良い意味で食にこだわり(とらわれ)を持たない素朴な感性の人、若い頃ほど濃い及びジャンクな味付けを好めない人、あるいは素材の旨味を愉しむ嗜好を有す人全般には強くプッシュできる。そんな一杯であった。


○ 入店


久方振りに神戸に所用。しかも昼ご飯時にも晩ご飯時にも結構な時間が取れるという好条件に恵まれた昼下がり、
やってきたは「麺道しゅはり」である。
この日は夜にラーメン虎一番へと初訪問を果たして「塩ラーメン」を食すつもりだったので、
その前にしゅはりの「潮らあめん」を久し振りに食して虎一番のものと比較考量したかったのだ。
もちろん、ただ単に食したかったのもあるけど。

しかし入店し、形式的にメニュー表に目を通したまさにそのとき、見慣れない5文字を目にする。
「夏季限定の…『塩ざるそば』??つけ麺じゃなくて『ざるそば』??」
そんなものが供されていることを知らなかったのである。
突如として、食べ比べ計画の雲行きが怪しくなる。
潮らあめんか塩ざるそば、どちらにしようか。
たっぷり30秒は悩んだはずだ。
そんなとき、ご主人が常連客らしき男性客の質問に「(塩ざるそばは)今日からです」と答えているのを耳にする。
ここで、計画は完全に頓挫した。
だってね、そんなシチュエーションじゃ、どうしても「今日から?偶然だな。なんかラッキーかも」
って思ってしまうわけですわ…。


○ 塩ざるそば


・麺

京都の製麺所麺屋棣鄂製の全粒粉麺。
卓上に置かれた「守破離新聞」には、棣鄂との試行錯誤によりレベルアップが云々といった旨の説明が
なされている。
食感としては、ツルツルとザラザラの中間領域にあるような啜り心地、もっちりとした噛み応え、
そして瑞々しい粉っぽさ(「瑞々しい」と感じさせるかどうかで、私の「粉っぽさ」の評価は変わる)等が良い。

しかし何よりも、全粒粉の穀物感の風味高さ、これに尽きるだろう。
それは今まで食した全粒粉麺の中でも、頭一つ抜けたものであった。
たとえば、同じ棣鄂製ならば、タンポポでかつて用いられていたつけ麺用の全粒粉麺よりも風味高い。
また、私の中ではアンタッチャブルであった麺や 高倉二条系列の自家製全粒粉麺よりも、風味の響かせ方が
良いとさえ感じた。

この店のご主人のことだ。嗜好・志向するもの、及び棣鄂への要求水準は相当に高いのだろう。
棣鄂もまたそれに刺激され、応えようとしているのだろう。
そんなハイレベルな競演を想像させるような、秀逸な麺だ。

・かえし

そう。つけ汁やつけダレではなく、「かえし」なのである。
七種の乾物からとった魚介系出汁に丸大醤油、味醂、日本酒が用いられているそうな。

・具

麺上に刻み海苔、別皿に味玉半個と白髪ネギ、スダチ。
チャーシューは無い(実際、この塩ざるそばには要らないと思う)。

・麺を様々な食べ方で食す

この塩ざるそばには予めいくつかの食し方が用意されていることが、守破離新聞に記されている。
詳細は覚えていないが、麺だけを食す、(つけ過ぎないように注意して)かえしにつけて食す、
ぬちマース(沖縄産の自然塩)を麺にかけて食す、スダチをかけて食す等だったと思う。
全て試したが、ここでは2つの食し方にだけ触れよう。

① かえしに通して麺を食す。

私は蕎麦の食し方に倣って3分の1程度しか通さなかったが、それでもやはりかえしの影響で、
噛み始めは蕎麦っぽい印象だ。
しかしこのすぐ後、「これは蕎麦だ」と断ずるのは性急で安直に過ぎることを感じさせられることとなる。
噛み進むにつれて前述した全粒粉の至極の風味高さが充満していき、ついには口中から鼻腔内を
吹き抜けるのがわかる。
当然ながら、そこに蕎麦の風味(蕎麦粉による)は感じられない。
「小麦の全粒粉」なのである。

この蕎麦に似た、しかし蕎麦ならざる味わい。
似て非なる味わい。
旨いね~。

② 麺にぬちマースをかけて食す

今回私が最も気に入った(というか、魅入られた)食し方。
小瓶に入れられたぬちマースをちょっとだけかけて麺を食す食べ方である。

食べ手個々人の「塩分耐性」にもよるだろうが、私には僅かなぬちマースで十分だった。
カドのないまろやかな塩分を少し利かせるだけで、ただでさえ美味しいこの全粒粉麺の風味が、
最大限に高められるのである。
また、敢えて説明されるまでもなく「絶対に身体に良い」と感じさせられることによって、身体だけではなく
こころにまで染み入る滋味も旨い(これは、全メニューに共通するしゅはり最大の強みなのかもしれない)。

味覚・嗅覚を超え、身体とこころの全体で感受させる美味しさ。
それはもうとてつもなく、脳内で分泌されるエンドルフィンが身体全体にまで「氾濫」するような
多幸感さえ抱かされる。
何だろう、これは。
この、最もシンプルにして最も贅沢な味わいは。

しかもこの食し方は、ここで終わらない。
ぬチマースに加え、スダチをかけて清涼感を加味する。
あるいはぬちマースに加えて刻み海苔を絡め、わずかにその旨味を加味する。
このどちらの食し方においてもただの味変ではなく、各々に固有の深く優しい味わいがたまらない。

2玉があっという間に無くなってしまった…。

・出汁割

もちろん蕎麦湯ではなく、出汁で割る。
潮らあめんと同じ出汁が用いられているかどうかまではわからない(厨房を見忘れた)。

湯桶のようなものに入れられて供されるその出汁を少しずつ入れていく。
初めの内は、やはりかえしが少し薄くなったと感じられる程度であった。
飲めることは飲めるが、敢えて「締め」として飲まなくても良いのだろうか。
そんな風に思わされたのも束の間、半分ほど飲んだところで思い切って出汁を全て投入すると、
かえしが出汁によって「底上げ」され、しかもしゅはりに特有の多様な味わいを蔵すスープとなった。
もししゅはりが醤油ラーメンを始めればこんなテイストになるのではないかと思わせるような、
極上のテイストである。
まあかえしと出汁を組み合わせるのだから十二分に考え得ることなのだが、それにしても
最後にこれを味わわせるとは何とも心憎い。


○ 守・破・離 ~逸脱か超越か、あるいはまた別の何かか


冒頭で申し上げたように、この塩ざるそばは「いわゆるラーメン好き」の方々(動物系出汁、一定以上の味の濃さ、
あるいはジャンキーな諸々の要素を「必須」のものとして、ラーメンやつけ麺に求める人たち)には
お勧めし難い。
きっと「全然物足りない」「蕎麦だ」等とされるだろう。
「必須」だとまではいわないにしても、それらを「最も好む」という方々にもしかり。
美味いのはわからなくもないけどやはりどこか物足りない、という感想を抱いてしまわれるのではないか。
こういった人たちにとって塩ざるそばは、「逸脱」に近いのかもしれない。

しかし「通」だとか麺フェチ、もしくはどこかの店の麺に対して一度でも
「(つけ汁に通さずに)この麺だけを最後まで食べてみたい」
というフェティシズムを抱かれたことのある方々のへウケは、概ね良好であることも予想される
(ちなみに私は麺フェチの「もどき」だ…)。
それだけの麺の風味高さ、そして良質の素材と素材のシンプルな組み合わせの妙がある。
こういった人たちにとってこの塩ざるそばは、「超越」なのかもしれない。

では限定的な客層だけが対象に定められた敷居の高い麺料理なのかといえば、それも違うような気がしている。
むしろその反対で、敷居が低いというか門戸が広い。
素材の旨味及びある素材とまた別の素材のシンプルな組み合わせの妙に、決して「素朴」の一語では
言い尽くせない満足感を抱いた経験があったり常々そういったものを食していたりする人たち。
あるいは多様な食経験を持っていたり肩肘張ることなく気楽に様々な料理を好んだりする人たち。
こういった方々にも愛される麺料理なのだと想像しているからだ。
いや、もしかするとこういった人たちが一番この塩ざるそば、そして「しゅはり」を十全に
味わえているのかもしれない。
そして敢えていうまでもなく、「ラーメン好き」の中にもこういった方々はおられる。
上で述べた「いわゆるラーメン好き」とはまた別の「ラーメン好き」が。

結局のところ、「ウマいもの」ではなく「美味しいもの」を、それも心穏やかに堪能したいという方に、
最もお勧めできるということなのかもしれない。


○ 退店


夏季限定の「塩ざるそば」は「しゅはり、ここに極まれリ」と謳いたくなるような至高の一杯である。
未食の方には、全粒粉麺とかえしの「競演」もさることながら、ぬちマース(及び、それ+スダチor刻み海苔)との
最もシンプルにして最も贅沢な組み合わせを堪能して頂きたい。
ただし「ウマいもの」だとか「ラーメン」「つけ麺」ではなく、「美味しくてこころにも身体にも良いもの」を
食すという、ある種の気楽さに似た心持ちをお忘れなく。

2009年6月10日投稿 | 得票数 [2票] | コメント (3) | このお店へのレビュー: 3件

「ラーメン(まったり)」@肉そば屋 にっこうの写真滋賀は草津方面で所用があり、その折にちょっと足を伸ばして彦根へ。訪れたは、ラーメンにっこうact2」である。その際に訳あって、人生初の同じ店同じ時間帯に連食を試みることに。この日頂いた2食目が、「ラーメン(まったり)」という、デフォルトのラーメンである。







○ 滞店 


「つけ麺醤油」の「中 225g」を食した後、続いてラーメン(まったり)を注文。
スープ割を頼まなかったためか、満腹感もなく、案外普通のコンディションである。
ラーメンは5分程で到着。


○ ラーメン(まったり)


・スープ

豚骨というか豚のテイストを中心に鶏を付随させられたもの(多分)。少し乳化させられている。
そこに割合しっかりとしたテイストの醤油ダレが「コーティング」され、香味野菜や魚介のテイストも
少し感じられる(魚介は出汁ではなくタレに用いられているのだろうか)。
イメージとしては、京都千丸 麺屋しゃかりきのデフォルトのラーメンのスープから酸味を引き、魚介のテイストを
軽減して飲みやすくした感じ。
多少強めだが、決して出過ぎることのない動物感が美味い。

ところでこの類の動物系メインのスープは、人によっては中盤以降に飽きてしまう。
私もその一人だ。
しかしこの店には卓上にペッパー(ブラックとホワイトが混ぜられたもの)があり、それを
スープにかけ、文字通りスパイスを利かせて変化をつけることが可能。
これは有難い。

・麺

低加水の太縮れ麺。
随分とカタめに茹で上げられており、それは「ゴワゴワとした麺をガシガシと噛み込む」
というフレーズが良く似合う程。
いつもこのように供されるのであれば、賛否両論分かれるだろうが、インパクトが高くて面白い。

・具

チャーシュー、ネギ、メンマ、海苔、チンゲン菜(小松菜だったかも)等。


○ (今度こそ)退店


ラーメンにっこうact2はまだオープンしてひと月も経たない店なので、この「ラーメン(まったり)」も
今後試行錯誤が繰り返されるのかもしれない。
しかしそのスープは、「天才」と呼ばれる若き店主が営むラーメン にっこう 本店の2号店のデフォルト、
あるいはスタンダードとして相応しいテイストであったように感じられた。
未食の方々にも、気軽にお勧めしたい一杯といったところであろうか。

2009年6月5日投稿 | 得票数 [1票] | コメント (4) | このお店へのレビュー: 2件
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