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「東京らーめん(塩)600円+中盛100円」@麺処 まさごの写真7/8/17
◆老舗の代変わり(町田の店シリーズ)1973創業
◆端麗型東京煮干しラーメンという挑戦
今や煮干しを語れないとラーメン通とは言えない時代になってしまった。
表面的にはエグミ、苦味、粉っぽさなどの単語が入れば十分語れるという事になるのだが。


もちろん随分古くから煮干しを使ったラーメンはあった。
朝の味噌汁の出汁に数本の煮干しを入れる時代からである。
鰹節より安価だったから。
ラーメンブームの時代では東京の有名煮干し店、背油煮干し、青森・・などがマニアに知られる程度で探すのは意外に大変であった。
それがここまで煮干しが伸びるとは思わなかった。
東京の煮干しは昔はそれほど大量の煮干しを使っていなかったのだ。
今でもあまりに鰯らしいのは苦手で、幼少のころの日常食、メザシが好きでなかったからだが。
きっと今濃厚煮干しと騒いでいる人達は、メザシ世代ではないのだと思う。
実際メザシより鰹節の方が美味かった。

そう言う私は出汁の旨味としての鰯は大好きだった。
昔から煮干し出汁の旨味を強調した店は積極的に紹介してきたつもりだ。
当時ご主人が神奈川で一番煮干しを使っているのは自分だと豪語していたた。
https://ramendb.supleks.jp/s/13585/review?u=19597
その他多くあるが、2009年から町田の店も紹介している。
尾道ラーメンであるが、小さい煮干しのイリコを全く癖なく多く使っていた。
https://ramendb.supleks.jp/s/1733/review?u=19597


そんな中、町田では煮干しが多いものはあまり受けていないという事実がある。
圓の前進の町田の勇次でさえ鶏・鰹系が主流で、煮干しは限定的だった。
その煮干しも緩和に使っていた。
十分旨味があったが。
https://ramendb.supleks.jp/review/133412.html

当時から今の圓のご主人とは二人で、煮干しより、鶏・鰹のラーメンが好きだと話していた。

その圓の町田支店もご主人がテコ入れしたが、結局閉店した。
今順調なのはいぶし銀位かな。
一方、町田の繁華街の横に立て看板を出している真砂は端麗煮干しの極細麺の東京らーめんと煮干し豚骨の太麺の横浜らーめんを謳っていた。
その後横浜から煮干しを外した。
店名もまさごとひらがなにした。
豚骨醤油に煮干しは、町田では明らかに受けなかったからである。


まさごへの訪問は昨年の11月が最後であるが、その時ご主人が最後に『町田では煮干しは受け入れてくれない』と言い出した。
そこですぐに煮干しの使用量を世間と逆行させ、半減するとの趣旨だった。

★★そのアクションに対して、私は極めて好意的であった。

本当に圓さえ撤退したのだから。
これには数学的根拠もあり、純粋に科学的判断と考えた。
もう一つの根拠は、旨味量が多すぎると実に旨くないからである。
そしてご主人も私も薄味が口に合ったからだ。

ちなみに町田で育った私の息子もラーメン好きだ。
豚骨醤油は食べるが豚骨魚介は敬遠している。

そういうバックグラウンドがあり、今回久しぶりにお邪魔した。

ご主人に会うなり、
『煮干しを半分に減らしましたか?』と、聞いてみた。
ご主人は、
『三分の一にまで減らしました』とのことだった。

もちろん相当な試作を繰り返したようだ。
これにはかなり期待できる。
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◆簡単な解説(かなり重要な情報、覚えておいてほしい)
最初から種明かしすると、人間の感受性、感覚は刺激と感覚が一次関数ではないという事実からくる。

これは指数関数なのである(フェヒナーの法則):E=ClogR
Eは感覚量、Rは刺激強度、Cは定数。
つまり、刺激例えば旨味成分を倍にしても、感覚量は倍にはならず、例えば30%増位にしかならないのである。

濃厚煮干しを作ろうとして10倍の煮干しを使っても、効果は例えばやっと倍程度という徒労を演出する理由である。
そんなに鰯が好きなら、スープではなく、メザシでも食った方がましだ。
激辛ものの辛さレベルも全く同じで、ある程度以上唐辛子を入れても金の無駄である。

もう一つの問題点は、一つの旨味成分だけ増やすと、バランスが崩れ、他の旨味成分をマスキングしてしまうことがあることだ。

さらに旨味量には美味いと感じさせる適量がある。
実は妙味端麗なのである。

最大の問題点は、人間の感受性はその感覚量のピークがあり(一般的には最初。本当は食べる食前が感覚のピーク)、また指数関数的に感覚量が減衰曲線を描くのである。

最初だけメチャ美味くて、後は期待とは逆に旨味感覚量が減ってしまうのだ。
旨味感覚は脳では積分的にも働くので、最後に美味いと感じるような刺激量が最大の積分値を持つこともあるというのが、私の見解である。

最初に声を上げるほど美味くて、最後まで大声で『美味い』というのは、脳がそう思いたいと思っているだけで、ただの希望である。

そういうバックグラウンドがあり、このアクションに期待したのである。
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東京らーめん(塩)600円+中盛100円:
http://photozou.jp/photo/photo_only/286324/257334242?size=1024#content

http://photozou.jp/photo/photo_only/286324/257334246?size=1024#content


極めてアッサリした眺め。
具材なしでネギだけ乗せるかけラーメンでもいい位だ。

最近全盛の『どうだ凄いだろうラーメン』の逆を行く姿。
★偏屈・反骨精神の塊のKMの為にあるようなラーメン。

スープ

期待のスープを一口。

なるほど、良いじゃないか。
ご主人に人気のほどを聞いてみると、この方が好まれているとのこと。

さすがに町田の一般人は舌が肥えていると確信した。
40年以上の、長年のラーメン激戦区を通り抜けてきたのだから。

丸鶏のスープはコラーゲン感もあり、十分な鶏の旨味がでている。
塩分濃度も旨味を相乗効果で活かす程度に工夫されている。
あくまでも塩味が無い訳ではない。
三分の一に減らした煮干しの旨味。
十分機能している。
まったく寂しくない。
そして、おそらく塩だれに漬け込まれたホタテの貝柱の貝出汁が以前より強調されている。
立派な塩ラーメンにまとまっている。
昆布感も以前より強く感じる。

煮干しの減量は結局感覚的トータル的な旨味は減っていなかった。それよりほかの旨味成分の存在を強調してくれたようだ。
要は旨味はバランスなのだ。

この事に貢献しているのは表面のトッピング油の量のコントロールである。
鶏油・ラード系の脂の量は少な目。
これにより、水溶性の旨味成分・塩分の効果が強調される。
69の逆。
脂無が一番成分の味が強調される。
このあたりは味のセンスであろう。



今日のはあまり丁寧に整列していない。
しかしそんなことはどうでも良い。
少な目のスープからは相変わらずその極細麺が顔を出している。
極細中加水・準強力粉的縮れ麺。

http://photozou.jp/photo/photo_only/286324/257334251?size=950#content

しなやかで、のびやかな腰を有する。
少な目に掬い上げた時に期待が膨らむ。
これは極細麺にしかない麺の楽しみである。

http://photozou.jp/photo/photo_only/286324/257334255?size=850#content


麺の旨味は十分感じられる端麗さ。
それがこの塩ラーメンの良さであろう。

https://www.youtube.com/watch?v=Fx32qKNt5xs
https://www.youtube.com/watch?v=CbQUeM7T--k

煮干しラーメンというより、端麗東京ラーメンというのがふさわしいのかもしれない。
何でも煮干し・煮干しが美味い訳ではない、と断言できる。



食後ご主人と長い時間お話ができた。

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ご主人のパートナーはラーメンオタクとのこと。
先日も大阪までラーメンを食べに行ったというのだから驚く。
大阪ではあの69が赤坂からさらに移転した店を見てきたそうだ。
どうやら大阪では大変な人気のようだ。
https://ramendb.supleks.jp/s/76773.html

大阪ではまだ東京で流行りになった丸鶏ラーメンは知られていなかったようだ。
大阪でもこれからは東京化が進むのかもしれない。


さて、東京では最初に大きな役割を果たした69。
その味はそこいら中でコピーされた。

しかし69は今主流になりつつある丸鶏適温抽出醤油ラーメンの、東京での走り。
ひょっとしたら元祖かもしれない。
ポイントは高分子類の適温抽出技術である。
一般には低温抽出と呼ばれるが、60度前後という温度は熱分析的には、炭化水素高分子類の相転移温度である。
このあたりの温度で吸熱ピークがあり、その温度を境に性質が変わるのである。
このことは大昔からレオロジーの世界の常識であるが、料理界は遅れていて、最近になってやっと注目され始めたわけである。
もちろん企業では以前か知られた技術である。

69は最初からすばらしいと思っていたが、実は他の地域でもこの丸鶏抽出ラーメンは独自に産声を上げ始めていた。
例として挙げたいのは札幌郊外の鶏花である。
おそらく2006年ころの創業で、すでに閉店している。
そこには創業直後に訪問している。
メニューがいくつかあったが、かけラーメン450円が素晴らしかった。
69のように鶏油が多くないのが良かった。
今でも思い出に残るラーメンである。

開店直後にわざわざ東京から来たと言ったら、相当驚いていたのを思い出す。
ご主人から東京の有名店とどちらが美味いかと聞かれた。
もちろんこのかけラーメンの方が美味いと答えた。
嘘ではない。
ラーメンかくあるべしと思った。

思い出に残るラーメンである。

投稿 | コメント (6) | このお店へのレビュー: 13件

コメント

KMさん、こんにちは。

町田で煮干し系は受けないという説は面白いですね。
このくらいの規模の街だと、何でも受け入れられそうですが、
意外にも煮干し系は苦戦しているんでしょうかね。

>何でも煮干し・煮干しが美味い訳ではない、と断言できる。
自分もセメント系煮干しは苦手なんですよね。
まあ、あの系統は味よりもインパクト重視なのかもしれませんが。

ぬこ@横浜 | 2018年8月16日 09:14

こんにちは!
スープはシンプルでありながら
奥が深く・・飽きがこない感じですね!

eddie | 2018年8月16日 09:49

改めて過去レポ拝見しましたが
このラーメン以外も魅力な品々ですね!

YMK | 2018年8月17日 08:12

◆ぬこ@横浜さん
コメントありがとうございます。

今回は煮干しブームについて書いてみました。
煮干しに限らず、程よい旨味量が一番美味いと思っています。
薄味の中の美味さを探すのも楽しいものです。

KM | 2018年8月21日 10:45

◆eddie さん
コメントありがとうございます。

そうですね。
毎日食べても味が重く感じないというのがいいと思います。
問題になり難いですが、後味が大事なのです。

KM | 2018年8月21日 10:47

◆YMKさん
コメントありがとうございます。

このご主人は変わっていて、他所の店のものはほとんど食べないそうです。
自分が美味いと思うものを作っているそうです。

KM | 2018年8月21日 10:49