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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.435点
最終レビュー日 2019年7月19日
568 460 14 1,850
レビュー 店舗 スキ いいね
このレビューは移転前のものです。

「味玉らぁめん (醤油) ¥880」@らぁめん家 有坂の写真平日 晴天 13:25 先客1名 後客なし

〝上州高崎 一泊二日ラーメンめぐり〟

午前中に高崎遠征での四食目を終えると、もはや乗りなれた感のある群馬バスにて高崎駅まで戻ってきた。それは本日の連食先に選んでおいたコチラへと向かう為のワンクッションを置こうと思い、駅ビルのカフェにて時間を過ごした。

前食から二時間も経過すると、少し胃袋に余裕が出来たのを確認すると高崎駅からも歩いて行けるコチラを目指した。駅から5分も歩けば目的の店があるはずなのだが、一向に見つけられず迷ってしまった。それもそのはず、外観からはラーメン屋とは全く見えない店構えなのだ。怪しげな黒い外壁に暖簾や提灯などは勿論なく、何屋かすらも分からなかった。実際に二度も前を通り過ぎたのに気が付かなかったほどだ。

ようやく小さな看板を見つけ恐る恐る店内へと入ってみると、外観がラーメン屋と思えない理由がようやく理解できた。薄暗い店内はBARそのものでウイスキーなどのボトルが並んでいて営業時間が深夜までと遅いのも納得できた。券売機は設置されてないので卓上メニューから品定めをするが、迷わずに済むシンプルな構成だったのでマイスタンダードの醤油に味玉入りをお願いして店内を物色する。

黒とシルバーを基調とした店内にはBARらしくない要素がいくつもあった。それは店内に高く積まれた煮干しの箱と、チラッと見える製麺機である。その山積みにされた煮干しの箱だが、産地別で言うと千葉 長崎 八戸 島根 広島 熊本 香川などの同県内産を含めると総勢11種類の煮干し箱が積まれている。前調べ段階で煮干し系なのは承知していたが、かなりの煮干しへのこだわりを感じた。さらには全貌は明らかに見えないが品川麺機のマイティ50らしき製麺機も店の奥には鎮座しているので、自家製麺を期待しながら待っていると着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の切立丼の中でシンプルでシャープな景色を見せている。店内の煮干し箱とは合致する表情だが、BARのような内装とのギャップに驚く。最近では私も少しはニボ耐性がついてきたのか、味の想像が出来るようになってきた事に驚きながらレンゲを手にした。

まずは煎茶色のスープをひとくち。煮干し系としては濃度を強く感じさせない液面にレンゲを落としてみると、レンゲを持つ指先に係る抵抗の低さが苦手意識を和らげてくれる。レンゲに湛えたスープからも過剰な煮干しのクセを感じずに口に運ぶことが出来た。スープを口に含んでみると先陣を切ってくるのは煮干し主体の魚介系の香味ではあるが、明らかな鰹節由来のキレのある旨みと香味も帯同してくる。勝手に単一系の煮干しスープだと思っていたので、いい意味で裏切られた事をありがたく思った。そんな淡麗とも思える煮干しスープはカエシの塩気も抑えてあり、出汁を味わえるように作られていると感じる。そんな穏やかながらも旨みが活きたスープに合わせた麺を楽しんでみる。

調理場が全く見えないので定かではないが、麺上げまで45秒と思われる中細ストレート麺が液面から浮かび上がっている。店内に設置された製麺機や日清製粉の〝麺遊記〟の粉袋からも自家製麺で間違いないと思われるが、麺遊記の小麦粉で打たれた麺ならばタンパク質の多さを想像しながら箸で持ち上げてみる。箸先には鋭利な切刃のエッジが見られる中細ストレート麺の軽やかでシャープな麺肌が現れた。他に類を見ないタイプの半透明な麺肌からはオリジナリティを感じずにはいられず、麺を一気にすすってみる。するとBGMのない無音の静寂した店内に、ズズッというすする音だけが鳴り響いた。見た目そのままに切刃の角が鋭く唇を通り過ぎると、低加水ならではの粘りの少ない口当たりで飛び込んできた。しかし麺肌に浮かんだ透明感のあるグルテンが口当たりをサポートしてくれ、煮干し系では類を見ない滑らかさも同時に感じた。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚型が薄くスライれて四枚盛り付けてある。電動スライサーで切られたのかと思うほどに厚みが均一な四枚なので、贅沢を言うならば薄切りではなく厚切りの一枚で食べてみたいと思うほどに味付けが良かった。

追加した味玉の熟成具合は限りなく好みに近かったのだが提供温度の冷たさが、せっかくの濃度の高い黄身の旨みを失わせているように思えて残念だった。

薬味の白ネギの小口切りも葉先の部分が多く占めているので強い香りを放っているが、スープの中でも個性を発揮していた。ただ切り口が乾いてしまって舌触りの悪さも目立っていた。

中盤からは煮干しの香味に脳が慣れてきたのかイメージが随分と薄れてきた。それに反して強く感じてきたのが鰹節の香りと旨みで、煮干しよりもキレのある味わいが飽きさせる事なく箸の動きを進めてくれた。気が付けば麺と具材は完食していが、スープ単体で飲むには全ての要素が強すぎたのでレンゲを置いた。

新たな煮干し系ラーメンとの出会いを楽しんだ後に、高崎めぐりの最終日のラストラーメンを探そうと思っていたところに、まさかのサプライズが起きたのだ。それは昨夜の飲み屋で知り合って連絡先を交換した女の子からの今夜の同伴出勤の誘いだったのだ。

もちろん間髪入れずに承諾の旨を返答し、今後のすべての予定を急遽変更せざるを得ない一杯となりました。

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「煮干しそば ¥780+味玉 ¥100」@らーめんキッチン いいづかの写真日曜日 晴天 10:40 待ちなし 後待ち4名 後客7名

〝上州高崎 一泊二日ラーメンめぐり〟

約4ヶ月前の高崎遠征で利用したタクシーのドライバーさんや信頼の置けるレビュアーさんからの耳寄り情報を元に、本日より高崎めぐりを開催する。

前回は言葉遊びの〝ノリ〟だけで訪れた高崎だったのだが「中華蕎麦 あお木」で出会ったラーメンに、小麦粉王国 群馬のレベルの高さを思い知らされたのだ。そこでいつかは高崎再訪への思いが強くなり、泊まりがけでのラーメンめぐりをする事になった。

昨晩からRDBを高崎市に絞り込んで店さがしをしていると、大好物の〝無化調〟の文字を謳ったコチラがヒットした。定休日や営業時間を確認するために、お店情報を見ると無休との事なので高崎一軒目に即決した。

11時開店前の現着を目指すために東京駅 9:04発 長野新幹線 あさま605号にて一路高崎へと向かった。朝イチから缶ビールを楽しみながらE7系の快適な車内で50分もすると高崎駅に着いた。そこからは東口バスターミナルから、市内循環バス ぐるりん 15系統 岩鼻線で旧中山道を揺られること30分ほどで最寄りの高崎量子応用研究所に着いた。最初にこのバス停の名前を見た時は、高崎量子さんの応用の仕方を研究する施設とばかり思っていたが明らかに違う規模の大きさの施設だった。

そんな何を研究しているのか分からない謎めいた施設前のバス停を降りると、関東平野の大きさを実感できる景色が目の前に広がっている。山から吹き下ろす強い風に逆らいながら歩いて行くと、交差点そばにある大きな第二駐車場の看板が目に入った。その信号を曲がると一軒家の店構えのコチラがあった。

定刻の20分前だったので並びもなく先頭にて待機をはじめる。店前の駐車場に置かれた自動販売機に書かれた「シールが出たら味玉か大盛り無料サービス」の文字に引かれて水分補給も兼ねて緑茶を買ってみたが当たりシールは出てこなかった。梅雨どきの晴天なので湿度が高く渇いた喉を潤しながら待っていると、開店5分前には一気に数台の車が現れて行列が増えた。すると定刻よりも3分早くオープンとなり一番手にて店内に入った。

店内には券売機もなく自由着席のようなので、カウンターの端席に座り卓上メニューから本日のお題を品定めする。第二駐車場の大看板にも〝濃厚煮干し〟の文字があったようにイチオシは煮干し系のようなので、得意ジャンルではないが味玉トッピングにて口頭注文を告げた。そこからは恒例の店内観察をはじめるが、予想もしてなかった女性ばかりの四人体制で回している。最初は三人かと思われたが、奥の製麺室にも麺打ち担当のスタッフさんがいたのを後から気付いた。店内に掲げられたウンチクにはスープには魚粉を大量に使用していると、ザラつきが苦手な私には死刑宣告ともとれる文言が書き記してあった。意気消沈しそうな気持ちを奮い立たせて待っていると、着席して5分もせずに我が杯が到着した。

その姿は最近都内でも物議を醸している口縁の反り返ったスタイリッシュな白磁の器の中で、煮干し系らしからぬオシャレな表情を浮かべている。盛り付けひとつにも女性らしさを感じられる優しさに、気持ちも少し落ち着きを取り戻してレンゲを手に取った。

まずは黒鳶色のスープをひとくち。表層どころか器の口縁にも煮干し特有の水泡が見られるスープにレンゲを沈めると、さほどの濃度や粘度を感じない。レンゲを介した手触りは、どちらかと言えば軽やかにすら感じる第一印象に少しホッとした。香りにも強烈な個性はないので比較的穏やかそうな印象のままにスープを口に含むと、懸念させたザラつきもない口当たりがうれしい。ウンチクにあった〝食べるスープ〟の感じはないが旨みの豊富さは伝わってきた。ややスープの温度の低さが気にはなるが、旨みや香りを感じやすい温度設定なのだろうか。もちろん煮干しを中心とした魚介出汁が旨みを牽引しているが、清らかな旨みを築いているのは丸鶏主体の動物系出汁に思える。魚介優勢では確かにあるが、丸鶏スープの支えがあってこその設計図のように感じた。そんなバランスの良いスープに合わせるカエシも少し高めの設定となっているが、その塩気の中に塩辛のような熟成した旨みを感じられ複雑な組み立てとなっている。

麺は自家製の熟成麺で形状は中太ストレート麺タイプ。持ち上げた箸先からは切刃のエッジが微かに見られ、透明感も持ち合わせたオリジナリティあふれる自家製麺だ。濃厚煮干しスープと言えば低加水の細麺を想像させるが、見事に裏切られた麺肌に期待が高まり一気にすすり上げてみる。麺上げまでジャスト70秒とは思えないほどの太さがありながらも、優しい口当たりとなっているのは熟成された証だろうか。早上げ過ぎに思われた茹で時間でも、しっかりとグルテンが溶け出し始めているので滑らかさが際立っている。スルッと滑り込んできたかと思うと口の中ではハリとコシを感じさせる弾力感が跳ねまわる。そんな躍動感のある麺を噛み切ろうとすれば、みっちりと詰まったグルテンが奥歯や歯茎を押し返そうとする力強い歯応えが待っていた。よくぞ煮干しスープにこの麺を合わせてくれたと感謝してしまうほどの組み合わせだ。素晴らしいのは口当たりと歯応えだけでなく、味わいも完璧だった。それは麺を噛んだ時にあふれ出す内麦ならではの香りと、なんと言っても甘みの強さに驚いた。これも熟成の為せる技なのかもしれないが、糖の甘みとスープの塩気が織りなすハーモニーには恐れ入った。持論の「餅は餅屋、麺は麺屋」を覆してくれるような自家製麺に出会ってしまった。

具材のチャーシューは豚バラの巻き型チャーシューでかなりの大判で仕込まれている。赤身と脂身のバランスの良い部位ではあるが、豚肉本来の旨みを活かす薄味なので味気なさを感じてしまった。また保存状態が悪かったのか、冷蔵庫内の臭いが移ってしまっていたのが非常に残念だった。もしかしたら切り置きされてから時間が経ったものかもしれないと思ってしまった。

追加の味玉は熟成度合いで言えば完璧にゲル化した黄身のネットリ感は味わえるが、それに伴った漬けダレの醤油感の強さも目立ってしまった。食べ手の勝手な言い分なのだが、完全熟成させてながらも卵本来の旨みも味わえる味玉を望んでしまった。

メンマは中太タイプで味付けも良く下処理の丁寧さも食感となって表れていた。コリッとした歯応えをキッカケとしてほどけるような舌触りは大変良かった。

薬味は煮干し系必須の玉ねぎアッシェと青みも兼ねた青ネギの二刀流使い。青ネギ自体は煮干しの風味の影に隠れて存在感は今ひとつだったが、玉ねぎの方は甘みと食感の両面でアピールしていた。敢えて不揃いに手切りされた玉ねぎの食感の違いがアクセントに変化をもたらし口内リセットの役目も果たしていた。

中盤からの麺の躍動感に咀嚼の楽しみが薄れることなく、あっという間に平らげていた。スープも半分以上は飲む事ができ、液面に浮かんだ玉ねぎを一片残らず拾い上げてレンゲを置いた。

さすがは小麦粉文化の歴史のある高崎だけに麺の美味さには感動してしまったが、具材のコンディションが評価を落としてしまった。しかし今回の高崎一食目としては幸先の良いスタートを切られたと思いながら店を後にした。それが運良く一時間に一本もない帰りのバスにギリギリ間に合う事ができたのも、3分早開けしてくれた店のおかげだと感謝した一杯でした。

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「ラーメン 小 (麺1玉) ¥700+煮玉子 ¥100」@煮干しだし醤油ラーメン 桂の写真平日 曇天 13:30 中待ち2名 外待ち8名 後客8名

〝ニューオープン パトロール〟

本日は新店めぐりの連食のために北関東まで足を伸ばした。情報量の乏しかった茨城県土浦での一食目を無事に終えると、次なる目的地のコチラへの移動を開始した。

一軒目の店まで向かった路線と同じバスに乗車して、先ほど降りたつくば駅とは反対方向の土浦駅へと向かった。バスで15分も走ると土浦駅にたどり着き、そこからは常磐線の各停にて我孫子駅を目指した。さらに人生初の坂東バス 8系統上り 東我孫子車庫行きにて5分で最寄りの我孫子高校バス停にようやく着いた。すると目の前にはお祝いの花と行列が並んだこちらの店が見えた。

昼のピークは外して来たつもりが店先には多くの人が並んでおり、最後尾につけて外待ち開始となった。大きな日除けテントの中には以前にあったと思われるヤマザキパンの看板も残っており、下から覗き込むと面白い光景が見られる。外観の雰囲気としては新築ではないがキレイに改装されていて新店舗ならではの清潔感と明るさに満ちている。目の前には高校があるので店内にも行列にも高校生が多く見られる。あとは地元の方たちと思われる高めの年齢層の客が占めている。タイミングが悪かったのか、並びに動きがなくガラス扉越しに見える店内の様子も半数以上が配膳待ちとなっている。最後尾につけてから25分程で中待ちベンチに案内されると、入口右手の券売機にてお題を決める。つけそばもメニューにあるがラーメンのスープは一種類だけで勝負されているので選ぶのは麺の量とトッピングだけとシンプルなラインナップだ。連食でなくとも選んだであろうラーメンの小盛りを選び、追加で〝煮玉〟とだけ書かれたボタンを押した。二枚の食券を手にして中待ちベンチに戻り二次待機となる。

そこからカウンター昇格までの10分間で店内を見渡してみる。白い壁と木目調のカウンターやテーブルが設けられた真新しい店内を本日は店主さんを含めた二人体制で切り盛りしている。店内にトイレが見当たらないので外部に設計されたレイアウトなのだろうか。厨房内に目をやると回転率が良くない理由がひとつ分かった。調理工程の全てを店主さんが担っているのだが、ラーメンだけでも大変なのにチャーハンまでも中華鍋であおっているのだ。とても手際良く出来上がってくるチャーハンも美味そうではあり、食べ盛りの高校生たちの胃袋を満たすには必要だとは思うが大変そうに見えた。それでも笑顔を絶やさず調理と接客もこなす店主さんには敬意を感じながら待っていると、半チャンラーメン的な大盛りを食べ終えて満足そうに退店していった男子高校生たちと入れ替わりにカウンターに昇格となった。

券売機の横のウォーターサーバーでお冷を入れてからカウンターに腰を下ろした。すると直ぐに調理が始まると、着席して4分で我が杯が到着した。その姿はステンレス盆の上に置かれた屋号入りの白磁高台丼の中で、小盛りでも十分なボリュームを見せている。盛り付けのレイアウトやチャーハンとの組み合わせを見て、松戸で行ったラーメン店を思い出した。派手さの一切ない素朴な表情に昔っぽさを感じてしまうが、その懐かしさが裏目にでるのではないかと心配しつつレンゲを手にした。

まずは赤銅色のスープをひとくち。たっぷりとラード油が液面を覆い尽くしたスープにレンゲを落とすと、かなりの熱量を感じる湯気が立ち昇った。その湯気の中にはハッキリとした煮干し香が含まれているのが分かり、焦がし油のような香りも伴っているので煮干し油だろうか。本能的に高温スープだと危険を察知しながら口に含むと、予想以上の熱さが唇を襲った。その後で煮干し由来の軽い苦味と、初期値でも白コショウの刺激が口の中に広がった。ベースには豚骨清湯スープと魚介スープがタッグを組んで清らかな旨みで土台を築き、煮干しラードでコクをプラスしている感じだ。しかし懸念された昔ながらの旨味成分も、白コショウの刺激の影に隠れて潜んでいた。余計な旨味を残念に思いながらスープを諦めた。

続いて麺を持ち上げてみようと箸で迎えに行くと、巧みに平ザルで麺上げされた中細麺がスープの中で〝ダマ〟になって固まっている。麺肌に溶け出したグルテンが麺を癒着させてしまい箸を突き刺せば、ひとかたまりで持ち上げられる程にまとまっていた。盛り付けで麺に高さを出すためのテクニックかとも思えたが、それをスープの中で泳がせてほどく作業をしなければならなかった。程よく麺がほぐれたとこで箸先の麺を見ると、少しだけ波打った形状の透明感がある麺質だ。そんな麺上げまで120秒の麺を一気にすすり込むと、溶け出したグルテンとラードの潤滑油効果で滑らかに高速で滑り込んできた。またも唇には熱さを感じるが、緩やかなウェーブが与えてくれる口当たりが心地よい。高密度に思われる麺を噛んでみると、かなりの柔らかさでハリやコシは弱く好みとは違っていた。周囲には硬めの茹で加減でオーダーしている客もいたので、そちらの方が私にも合っていたのかもしれない。麺の量も1玉から3玉まで設定されていたが、3玉だと食べ切るまでに麺がダレてしまいそうな茹で加減に思えた。

具材のチャーシューは豚肩ロースの煮豚型で仕込まれており、天に盛り付けたスタイルも松戸の老舗ラーメン店を思い起こさせる。今回は豚肩ロースを半分にカットした赤身中心の方が切り与えられていたので、赤身本来の歯応えと旨みを楽しめた。

メンマは不揃いな大きさで〝ぬめり〟のあるタイプの板メンマを採用されていて、その独特な食感が麺に寄り添っている。また大きさや太さの違いがアクセントの変化を生んでくれてもいた。味付けも、このタイプのラーメンにはよくある仕上がりなので修行先から受け継がれたものなのだろう。

追加した味玉は予想に反して素晴らしかった。予想に反してと言うと失礼だが、盛り付けの直前まで冷蔵庫の中で冷やされていたので提供温度の冷たさを予想していたのだ。しかし半カットされた味玉はスープの高熱のおかげで瞬時に温められいて、口に含むと旨みを一番感じやすい温度にまで上がっていた。もちろん漬けダレの味や浸透が良いのが理由ではあるが、その適度な熟成度を感じさせてくれた温度もありがたい。これは追加して良かったと思わせてくれた味玉だった。

薬味は白ネギの小口切りが、まばらにスープに浮かんでいる。高熱スープで加熱されているので香りや食感を楽しむための薬味ではないが、時折アクセントとなって口の中に風味を与えてくれる脇役的な薬味だった。

序盤からの麺の柔らかさが気になり麺がダレる前に平らげたが、やはり私には柔らかすぎて食べ応えが乏しく残念ではあった。スープに潜んだ旨味も過剰なほどではなかったが飲む事は出来ずレンゲを置いた。

偏った趣向の私には合わなかったが、地元に根付く予感しか感じられない雰囲気に満ちていたのが印象的で席を立った。店を出る時に入口の扉の取っ手で指を挟んでしまい痛い思いをしながら帰りのバス停へと向かう一杯となりました。※ 皆さんも扉を閉める際にはお気をつけ下さいませ

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「煮干し中華そば ¥730+味玉 ¥100」@中華そば 蓮の華の写真平日 曇天 10:20 待ちなし 後待ち4名 後客6名

〝ニューオープン パトロール〟

九州遠征を終えて帰京して新店情報を見ていると、普段は行く事の少ないエリアにオープンした二店舗を見つけた。その二軒をまたぐ連食計画を立てるためにRDBとGoogleマップを駆使してみると、今回の移動ルートが浮かび上がってきた。

先に目指すは茨城県土浦にオープンされたばかりのコチラなのだが、現時点で情報が少ないのが不安ではあったが初訪問を決めた。11時開店前の現着を狙うために自宅を8時半に出て、半蔵門線から北千住でつくばエキスプレスに乗り換えた。1時間半近く電車に揺られて着いた駅は昨年の夏に「煮干中華ソバ イチカワ」を訪れて以来と思われる。本日も目指しているこちらへの移動手段は、つくば駅からはバスしかなく次発のバス発車を待つ。そこからは関鉄パープルバス 土浦駅西口行きにて20分で最寄りの土浦監督署ハローワーク入口バス停に着いた。その先を歩いて進むと多くの飲食店が立ち並ぶ街道沿いに白い大きな看板が目に入った。バス停からは2分ほどで店先まで来られた。その大きな看板の下にあるラーメンの写真を見て、初めて〝煮干し〟と〝背脂豚骨〟のラーメン店だと知った。どちらも得意ジャンルではないが、つけ麺専門やJ系でなかった事に安堵した。

定刻の20分前の現着となったので並びもなく先頭にて待機を始める。店先にはオープンを祝う花輪がたくさん届いており、街道沿いという事で胡蝶蘭などのお祝いよりも大きく目立つ花輪の方がアピールが強くて合っている。店頭に貼られた営業時間や注意書きの中に、昼の部と夜の部ではタイプの違うスープで営業されている旨が書かれてあった。それによると私の訪れている昼の部は煮干し系スープのようだ。夜の部の背脂豚骨系よりは耐性が増してきた煮干し系で良かったと胸をなでおろした。定刻の10分前になると店前の駐車場に車が入ってきて車内で開店を待つ客も増えてきた。そんな車が4台ほどになった時に定刻を迎えてオープンとなった。

一番手にて入店し店内左手の券売機で本日のお題を品定めするが、少ない情報量ゆえに予習不足で悩んでしまった。昼は煮干し系とは分かっていたが〝あっさり〟と〝こってり〟と更に選択を強いられる。自身の脆弱なニボ耐性をふまえた結果、あっさりのお題を発券して好物の味玉を追加した。ホールスタッフの誘導でカウンターに座り店内観察を開始する。

多くのテーブル席を設けた大箱な店内を本日は五人体制で回している。建物自体は新しくはないが、店内はキレイに改装されていて気持ちが良い。ただ客席からは厨房内が見えづらいので調理風景を眺められないのが残念だが、味覚以外の感覚を研ぎ澄まして調理作業を想像する。タイマーの音などのタイミングに耳を傾けていると、着席して13分かけた 1stロットにて我が杯が到着した。

その姿は黒塗りの角盆の上に置かれた白磁の反高台丼の中で思わぬところ美しい景色を見せている。そのお盆の上には次回来店時から利用可能の割引券も置かれていて、つけ麺かラーメンが一杯500円で食べられるとなっている。もうすでに隣の客は割引券を使っていたので集客効果は大きいと思われる。有効期限が七月末までとなっている割引券を使いたくなるようなラーメンである事を期待しながらレンゲを手にした。

まずは明るい雄黄色のスープをひとくち。表層には煮干し特有の水泡がとても少なく、魚粉などの粒子も見られない。さらには香味油の油膜も非常に薄く見るからに穏やかな液面だ。そんなスープにレンゲを射し込んでみると、軽やかな魚介出汁の香りが立ち昇った。もちろん先行してくるのは煮干しの香りだが、優しい香りだけが嗅覚を通じて脳に伝わった。不得手なジャンルの煮干し系への警戒心が弱まったところで、いざスープを口に含んでみる。レンゲを介して温度設定の低さを感じるのは残念だが、ダイレクトに旨みを感じられる。煮干しの持つ余計な苦味やエグ味を排除して、旨みを抽出するだけにポイントを絞られた煮干しの使い方がありがたい。スープの濃度や粘度をほとんど感じない、文字通りのあっさり煮干しスープだ。見た目同様に香味油もサッパリとして軽快な口当たりも飲みやすさを後押しする。カエシの塩分はハッキリとしているが、高めギリギリでとどまっている。

次に特徴的な麺を箸で持ち上げてみると、切刃のエッジが鋭く残った中細ストレート麺は麺上げまで100秒くらいだろうか。平打ち麺にも見える箸先からは、程良い加水率の重みが感じられる。そんな個性的な表情をした中細麺を一気にすすり込んでみると、滑らかな口当たりの中に切刃の角がくちびるをくすぐりながら滑り込んでくる。噛めばモッチリとしたグルテンも感じられて歯応えも素晴らしい。麺自体にも塩気が強く感じられるのでスープと絡み合いすぎると、塩分過多にもなりそうな麺質だ。しかし初動ではジャストの塩梅で食べ心地も良く〝煮干し=低加水細麺〟の公式を覆してくれる麺選びも新たな楽しみを与えてくれてありがたい。

具材のチャーシューは部位違いで二種類入っている。豚肩ロースの低温調理は、大判のまま盛り付けられているのではなく半カットされて添えてあった。それが大きく厚みにバラつきがあったのは狙いなのか偶然なのかは分からないが私には大変ラッキーな組み合わせだった。先に赤身中心の部分から食べてみると5ミリ近くに厚く切られてあり、赤身の持つ肉々しい歯応えを楽しめる。しかも下味のソミュール液のスパイスがしっかりと浸みているので噛み続けても味がボケるような事がなく素晴らしい。またスジの多い脂身中心の方は薄くスライスされてあるので、スジが口に残らずに舌触りの良さを主張している。意図してチャーシューの厚みを変えているならば、店主さんのこだわりには脱帽である。もう一つの部位の豚バラチャーシューは煮豚型でほどけるような歯触りに仕上げてある。こちらも煮汁の旨みを取り込みながら、豚バラ本来の旨みも残した仕上がりとなっていて高評価だった。

追加の味玉は下茹でが足りずに半熟よりも柔らかく黄身が形をとどめていせいで、噛んだ瞬間に黄身が流れ出してスープを汚してしまった。しかし味付けは好みに近かったので、あと半日熟成すれば黄身も完全にゲル化したのではと思ってしまった。

薬味は色彩豊かでバラエティに富んでいた。煮干し系にはマストアイテムである玉ねぎも、品種と切り方を変えた二種類が添えてあった。アッシュで添えてあるのは新玉ねぎで、軽やかな甘みを感じられる薬味となっていた。もちろん切り口の鮮度も良く舌触りも申し分なかった。もう一種類はアーリーレッドと思われる赤玉ねぎを彩り要員としても使われている。これまた切り口の潤いから見ても鮮度の良さは抜群なのが伝わってくる上に、玉ねぎ特有の刺激を表に出さない切り方に店主さんのこだわりが見られた。それは玉ねぎの繊維に沿って包丁を入れる事で辛味を抑えて歯触りの良さを引き出している。

青みはアンチカイワレ派なので色どり以外の必要性を感じなかった。さらに海苔もアンチバラ海苔派なのだが、こちらのバラ海苔には共感できた。オープン直後という事もあってか、黒々とした見た目からも鮮度の良さは明らかだった。安価なバラ海苔の劣化ほど残念なものはなく、スープに溶け出しては風味を悪くするパターンが多い中で素晴らしい磯の香りを加えてくれた。この鮮度をいつまでも保って欲しいと思った。

中盤からはスープの塩気が重なってくると多少の塩分過多を感じてしまい、スープは残してしまった。全体的に派手さはないがバランスも良いだけに、私にはカエシの分量が多すぎたようだ。あとは本日分の味玉の仕上がりも評価を下げてしまった要因だ。

高評価な部分もあっただけに消化不良な思いで店を後にしたが、再訪があるかもしれないと思い割引券をちゃんと財布にしまった一杯でした。

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「煮干蕎麦 ¥800+うずら味玉 ¥100」@横濱丿貫の写真平日 晴天 13:20 先待ち12名 後待ち15名

〝ニューオープン狙いうち〟season2

本日は久しぶりに横浜方面での新店めぐりをしている。午前中に高座渋谷で一食目を終えると、あらかじめ予定しておいたコチラへの初訪問へと向かった。

よく考えてみたら昨晩は関内のホテルに泊まっていたので、再び横浜へと戻って来るという無駄な移動をした気にはなったが横浜駅に着いた。まずは胃袋に連食スペースを空けるために駅の近くでカフェでも探そうと見慣れない商業施設に入った。ライブステージもある今時な飲食店の並ぶ施設の出口付近に只ならぬ行列を見つけると、偶然にも目指していた新しいラーメン店だった。ちょうど昼すぎだったので、ざっと数えても30名以上は並んでいた。

そのまま最後尾に続く事も考えたが、行列の後半部分は初夏の炎天下で日差しを遮るものが何もない。日傘でもなければ熱中症にでもなってしまいそうなので、ひとまずは近くのカフェにて行列と満腹が落ち着くのを待つ事にした。

一時間ほど経過すると胃袋にも空きが出来たので再び店先に戻った。先ほどよりも並びも少なく、最後尾でも施設内の通路なので日陰で待てる。並びの最中に予習をすると、現時点では店名は無く通称で「煮干蕎麦」と名付けられているらしい。店頭の看板にも「煮干」とだけ書かれているのは、そのせいだろうか。

最後尾につけて30分ほどで入店となった。券売機はなくカウンターに座り卓上メニューから品定めをする。シンプルなメニュー構成の中から基本のお題にうずら味玉を追加した。スタッフさんに告げると店内観察を開始する。

酒好きの私の目に飛び込んできたのは調理場内のリーチイン冷蔵庫の中に並べられた日本酒の顔ぶれだ。さすがは神奈川を愛する〝ノ貫グループ〟という事で、神奈川を代表する若手杜氏が醸し出す「昇龍蓬莱」オンリーのラインナップが勢ぞろいしている。この圧巻の景色に夜の晩酌を思い描いてみる。

そんな酒好きオヤジの心をくすぐる店内を、とても薄暗い照明が独特の雰囲気を醸している。古い建具などを再利用した内装が高級感と落ち着きを与えてくれるが、今回に限っては騒がしい客人たちの中に挟まれてしまったようだ。導線の構造上の為に真ん中で二つに分けられたカウンター席だが、同カウンターに座っている先客たちがアルバイトスタッフの大学生と友達のようで、バイト中にもかかわらず喋り続けている。何も私語をするなとは言わないが、せめて仕事を全うしてから談笑して欲しいものだ。私がセルフで水を汲みたくてもウォーターピッチャーは遠くにしかなく手が届かない。等間隔で置かれているはずのピッチャーが友人たちの前に集中していても気が付かずに話している。仕方なしに席を立って水を入れると、ようやく目の前の定位置にピッチャーが戻ってきた。それに気が付いてくれたのは大学生のアルバイトとは別のスタッフだった。さらには別のカウンター席には、今回も調理中のご主人に自分の食べているジビエ蕎麦に関する質問を繰り返す男性客に遭遇してしまった。さすがにご主人さんは分かっており適度に答えるだけで調理自体には影響はないだろうが、他人に提供する商品の上で質問に答えさせる客の無神経さを疑ってしまった。

そんな不遇なタイミングでの入店だったが、提供されるラーメンには罪はないので心を鎮めてその時を待った。すると着席して8分で我が杯が到着した。その姿は白磁の切立丼の中で、仮の店名どおりの景色を見せてくれる。昨年よりも自身のニボ耐性が上がってきた事を確認する為にレンゲを手にした。

まずはスープをひとくち。目の前に置かれた時の液面の揺れからは濃度の強さを感じなかった。射し込んだレンゲに係る抵抗も軽やかでイメージよりも淡麗な装いだ。いざ口に含むと最低限の煮干しの苦味やエグ味を表現している文化部系の煮干しスープだ。本物のニボシストからすれば物足りなさもあるのではないかと思ってしまう程にサッパリとしている。しかしそんなスッピン美人に厚化粧とでも言うべきの旨味の底上げが加えてあり残念。カエシも旨味に負けないように調節してあるので、かなり高めの塩分設定に思える。見た目は穏やかな優等生タイプに思えたが、内面には強い主張を持ったスープだった。

スープを諦めて麺に取りかかる。麺上げまで30秒の早茹でタイプのストレート細麺は、丁寧に揃えられた麺のラインが美しい。そんな見事な麺線を崩すように箸で持ち上げてみると、軽やかな質量ながらも強いハリとコシが箸先から伝わってくる。そんな細麺を一気にすすり上げると、想像通りの硬めの口当たりと一緒に飛び込んできた不快な臭いがあった。それは〝カンスイ臭〟で固茹での細麺にありがちなアンモニア臭だった。普通に食べれば感じない程度だが、すする事で増長してしまったようだ。ここで麺をすするのをやめて、大人しく口に運ぶ食べ方に変更した。麺自体には小麦の甘さが際立った低加水ならではのポソポソとした食感が特徴で、煮干し系スープにはおなじみのコンビだ。意外性には欠けるが名コンビの安定感はさすがだと感じる組み合わせで申し分ない。

具材のチャーシューは豚肩ロースの低温調理が折りたたまれて二枚入っている。電動スライサーで薄くスライスされているが、下味のソミュール液のスパイスがしっかりと利いているので旨みが十分にある。もちろん肉質の良さもさる事ながら、出来るだけ切り立てに拘った仕事ぶりにも頭が下がる。その真面目な仕事がチャーシューの切り口の鮮度に表れている。

追加した、うずら味玉は薄味ではあるが弾けるような食感が楽しめる。また塩気と旨味の強いスープを和らげる役割を果たしてくれた。酒蔵の杜氏さんが利き酒の時に味覚をリセットする為にゆで卵を食べるのが納得できた。

薬味は定番の玉ねぎアッシェだが、この薬味も鮮度が良くみずみずしい甘みがあった。これは玉ねぎの品質だけではなく手切りならではの仕事の表れでもあり、フードプロセッサーによる機械切りの玉ねぎとは別物の薬味である。手切りならではの不揃いな大きさも食感の違いを生んでアクセントとなっていた。

最終的にはスープは残したが麺は平らげていた。一番最後に入店した私が先客の誰よりも早く退店する事になったのは、いずれの客人も「和え玉」を追加注文しているので滞在時間が長くなっているようだ。その間はご主人も作業がなくなり時間が空いているので、この時間帯に聞きたい事があれば取材すれば良いと思うのだが話しかけておらず不思議に思った一杯でした。

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「中華そば ¥750+チャーシューちょい増し ¥150」@中華そば 麦萬の写真祝日 晴天 17:50 先待ち1名 後待ち1名 後客2名

少し前の訪問なので話は前後しているが、先ほどの東久留米でのラーメンが非常に残念で悲しい思いのままに駅前まで戻ってきた。大きな虚無感に包まれながら帰路につこうと思ったが、どうにも釈然といかない。そんな時にふと思った。

「ラーメンで傷付いた気持ちならば、ラーメンで癒せば良いではないか」

そんな風に考えた瞬間に思い出したラーメン店が同沿線にあるこちらだった。

私の中では昨年に出会ったラーメンの中でもトップランクに値する店なのだが、思い返せば半年近くも足が遠のいているのだ。当初から人気店ではあったが、某ラーメン誌の部門賞を獲得してからは更に人気に拍車がかかり行列必至の人気店となっていた。しかし現在は西武池袋線の駅にいる事もあり、安定した安らぎを求めて夜の部での再訪を決めた。

18時開店とは知っているが、東久留米での用もないので早めに最寄りの富士見台駅に向かった。駅のそばの本屋で探していた本を購入して開店までの三時間をベンチで読書して過ごしていると、あっという間に定刻の10分前になっていた。小説も佳境に差し掛かっていたが、慌てて店へと向かって歩いた。令和の祝福ムードに湧くふじみ銀座を行くと、すでに一人の並びが出来ており続いて番手を取った。

G.W.休暇も予想してきたが、店内からは煮干しの香りが漂ってくるし行列もあるならば定休日ではないと安心して開店を待った。定刻になると、ご主人がオープン当時よりは少し味わいの出てきた白地に中華そばの暖簾を掛けてオープンとなった。その時に見えた店主さんの膝のサポーターが、ラーメン作りの全てが重労働である事を物語っているように感じて体調が心配になった。

二番手で入店すると、券売機でビールと中華そばを発券してカウンターに腰を下ろす。前回は品切れだった「チャーシューちょい増し」があるか店主さんに尋ねると、快く返事をしてくれたので追加をした。思えば約半年ぶりとなる店内は、相変わらず中年ゴゴロをくすぐってくれる雰囲気だ。注文した瓶ビールが届いてグラスにビールを注ごうとした時に店内に流れるBGMが、マッチの「ケジメなさい」に変わった時には有線放送の悪意を感じてしまった。ケジメようとは思っていても、ここに来ると歯止めが効かなくなるのである。そんな居心地感 MAX の店内を四度目の来店で初めて、ご主人以外の方が手伝われていた。去年はお母様がお手伝されていたのは知ってはいたが、お会いした事はなく初めてのツーオぺ体制だ。もちろん調理工程の全ては店主さんが担うのでラーメンには影響する事はないがビールを運んでくれる女性スタッフには初々しさがあり、昭和の家族経営の居酒屋を思い起こさせ味わい深い。

令和を迎えたにも関わらず昭和テイスト満載の心地よい雰囲気の中で待っていると、着席して5分で我が杯が到着した。その姿はラーメン鉢としては珍しい青磁の切立丼の中で派手さはないが、作り手であるご主人の実直な姿を映し出しているように見える。全ての仕事に拘りが無くては作り出せないラーメンに見とれながらレンゲを手にした。

まずは透明感のあるスープをひとくち。射し込んだレンゲに揺られて立ち昇った香りには、半年ぶりのせいもあるかとは思ったが以前よりも煮干感を主張している。それは焼干しのような香ばしい風味が主導する事で生まれていると感じた。味として確かめたいと思いスープを飲んでみるとベースの煮干出汁ではなく、表層の香味油から強く感じた香りだった。それは煮干オイルと思われる香ばしさが要因に思える。わずか四度目の来店ではあるが、煮干感をより強く押し出した設定に変えられたのだろうか。元々ニボ耐性が弱いので、軽い苦味を感じる出汁に戸惑ったが許容範囲内ではある。しかしながらそんな私にでも安らぎを与えてくれるスープは煮干し界の優等生のようだ。その上にカエシも非常に温厚で尖った塩気など微塵も感じない性格の良さも出でいる。これだけ心に響くスープには、なかなか出会う事はない。

口の中だけでなく全身に沁み渡ったスープの余韻のままに麺を食べてみる。麺上げまで100秒の自家製平打ちぢれ麺を箸で持ち上げてみると、茹でる直前に軽く手揉みされて命を吹き込まれたかのような細やかな波状が特徴的。透き通ったスープにも負けないような透明感のある麺肌も印象的だ。箸先から伝わる重みからは加水率の高さも想像できる。そんな麺をスープが飛び散ることなど御構い無しに一気に啜ってみると、唇には不規則な周波が刺激となってやって来る。しっかりとハリのある口当たりの後には、口の中を跳ねまわるような躍動感も楽しめる。さらには奥歯の圧力を跳ね返すような弾力のあるコシも魅力のひとつで、私の平打麺ブームの立役者でもある麺のクオリティと安定感には今回も感心させられてしまった。

具材は久しぶりとなるチャーシューちょい増しを手に入れた。たしか前回は某ラーメン誌の受賞直後後だったので、夜の部には売り切れとなっていたのだ。しかし本日は夜の部だけの営業という事もあり、追加できたチャーシューだ。今回は仕込みのロットの違いからだろうか、見た目の色調が異なるチャーシューが交互に盛り付けてあった。部位は豚ウデ肉に違い部分の肩ロースだろうか。調理法は伝統的な吊るし焼き製法で、赤く染まった耳が特徴の広東式叉焼だ。令和になって赤耳焼豚を食べられるラーメン店は数少なくなったが、昭和の時代を代表する焼豚と言えばこのタイプの焼豚だった気がする。そんな現代では希少な焼豚の味わいは、豚肉本来の赤身の肉質を活かしながら蜜ダレで甘みを加えて、吊るし焼きによる香ばしさも重ねてある。またその吊るし焼きの釜も、悪役プロレスラーの必須アイテムである一斗缶で手作りされている所にも味わいを感じる。購入すればウン十万円はする焼き釜にも、全く引けを取らない手作り釜だ。

何気なく添えてあるメンマにも手仕事感があふれている。業務用の既製品を使う店が多い中で、完全発酵の乾燥メンマを水で戻すところから手作りされている。その下処理の際に乾燥メンマの特徴でもある発酵臭を取り除き過ぎない加減が素晴らしい。また適度な歯応えを残しながらも繊維質を感じさせない点にも下処理の丁寧さが見られる。その仕事ぶりがメンマ独特の味わいや香り、食感となって表れている。陰ながらの一品にも強いこだわりを感じる。

薬味の白ネギや玉ねぎも当たり前だが繊細に手切りされている。これまた業務用の刻みネギが横行していたり、フードプロセッサーで玉ねぎを刻んでいたりするラーメン店に当たる事があったが論外である。薬味ひとつにも当然のように手仕事が光っている。それによって生まれた薬味の鮮度や舌触りの良さは別次元の仕上がりだ。

中盤からも麺と具材や薬味を組み合わせる事で様々な楽しみ方が出来て、気が付けば夢中で完食完飲していた。少食の私ですら、もっと食べていたいと思ってしまう程のラーメンだった。

先程の東久留米の店主さんのように明るく元気で人当たりが良くサービス精神も旺盛なわけではないが、基本的で適度な接客だが実直にラーメンに向き合っているこちらのご主人の生み出す安定感の方が私にはありがたく安心できる。今回は個人的に煮干し感が少しだけ強かったので前回の評価よりも下げてはいるが、大満足で店を後にした一杯でした。

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「肉SOBA ¥800」@天元突破の写真平日 曇天 13:30 先客なし 後客なし

〝ニューオープン狙いうち〟

本日の午前中の一食目を熊谷で食べ終えた帰路の電車内で連食先を探していると、見慣れない店名のコチラが挙がってきた。RDBのお店情報によると、オープンしたばかりの新店ホヤホヤのようで情報には乏しいが興味が湧いた。場所は知らない駅が最寄りだが、何度か乗ったことのある東武アーバンパークライン沿線なので乗り換えは簡単そうだ。そこで初訪問を決めて、ひとまずは大宮駅で小休止して食欲の回復を待つことにした。

大宮駅のカフェで1時間ほど時間を過ごすと胃袋にスペースが空いてきたのを機に、東武アーバンパークラインに乗り換えて店へと向かう。こちらも人生初の八木崎駅を降りると歩いて2分で踏切近くにある店先が見えた。一見ラーメン屋には見えない怪しげな暖簾をくぐり店の中へ。店内には最新鋭のタッチパネル式の小型券売機が設置されているが、画像掲載に対応していないので写真がないのが面白い。メニュー数も絞られて少ないので、今のところは最新式券売機としては役不足だ。

結局は分かりづらい券売機の前で悩んでしまったが、どうやら左端上部の大画面がオススメのようなのでタッチして発券完了。セルフで水を入れてカウンターに座り店内物色を開始する。コンクリートの打ちっぱなしとステンレスと黒を基調とした内装はアバンギャルドな雰囲気を醸す。中待ち席も十分に確保された店内を、本日は若い方がワンオペ体制で切り盛りされている。黒のカウンターのベタつきが歴代の店の名残を感じさせる。

昼時は過ぎたとはいえ、客は私は一人だけと寂しいばかりの中で待つこと着席して5分で我が杯が到着した。その姿は口縁の広がった真新しい高台丼の中で、意表を突いた思いがけない表情で出迎えてくれた。それはタイトルの〝肉SOBA〟からは予想していなかった煮干そばを思わせる姿だったのだ。単なるリサーチ不足を露呈したが、気持ちを切り替えて目の前のラーメンと対峙する事にした。

まずは明らかな煮干の銀皮が液面で鈍く光る鶯茶色のスープをひとくち。濃厚煮干系を想像しながらレンゲを差し込んでみると、思いのほかレンゲに係る抵抗が少ない。非常に少ないスープの液面だけは煮干しが層となっているが、単一系のスープではなさそうだ。ニボ耐性が弱い私は少しホッとしたところでスープを口に含んでみた。やはり先陣を切ってくるのは煮干しの香りと旨みではあるが、強烈な印象を残すほどではない。材料を潰して炊いたスープのような雑味やザラつきもほとんど感じさせない。タイトル通りに鶏主体としたスープが基礎を築いているので、煮干しが出しゃばり過ぎずに収まっている。カエシも強めではあるが出汁がしっかりしている分、高めに設定してあるのだろう。スープの味わいとしては塩気よりも酸味をより強く感じるのは、魚醤によるものだろうか。この酸味が劣化した煮干由来の酸味だと思うと恐ろしいが、魚醤由来であることを信じたい。

麺は自家製手もみ麺に見えたが、製麺所発注の中太ちぢれ中華麺。麺上げまでジャスト100秒で茹でられた麺質は、ハリとコシの強さがスープの中の姿だけで想像がつく。そんな強面そうな麺を箸で持ち上げてみると、予想の上をいく力強さが伝わってきた。波長こそは緩やかだが、この硬さの麺を啜るとスープの飛び散りで大惨事になりかねないので慎重に口へと運んでみる。まるで手もみ麺のように不規則なひねりが口の中を跳ねまわる。固茹で仕上げで強い歯応えが歯茎に圧をかける。そこからモッチリとした歯切れを感じると、小麦の甘さがほんのりと広がる。この甘みとスープの塩気と酸味が一体となりハーモニーを奏でている。この硬めの麺質が好みに当てはまり順調に食べ進めることが出来た。

具材のチャーシューは部位互いで二種類。豚肩ロースの低温調理が一枚で、控えめなロゼ色だが全体の中では一番目立つ具材だ。少し肉厚を持たせたカットなので食べ応えはあるが、スジ切りの悪さが余計に際立ってしまっていた。下味の薄さも肉を噛むたびに獣臭さとなって上がってくるので好みとは言い難いチャーシューだった。一方の豚バラの煮豚型は二枚入っていた。赤身と脂身のバランスが良く見た目は合格点なのだが、豚肉本来の旨みが乏しいのが気になった。元々旨みが少ない品種なのか、煮汁に抜け出してしまったのかは分からないが味気なさを感じてしまった。

薬味は青ネギの茎根の部分も含めて入っている。ある程度はスープで加熱されてはいるが、大胆な切り方なので粗々しさが口に残る。茎根の部分を使うのは良いが、あまりに切り方が大きいと口当たりを悪くしてしまいクセのある香りも個性的ではあるが全体の邪魔をしているように思えた。

終盤からも麺の旨さに引っ張られて完食していた。スープの量が少ないとは思ったが、麺を楽しむには十分な量だと思った。それはスープを飲み干さない私には適量だったが、スープを楽しみにしている人には足りないとも思えた。

麺や具材も決して多いとは言えない分量で、この価格設定は強気にも思えたが高級煮干しを大量に使っているのだとしたら原価などを考えると妥当にも思えた。食べ終えて席を立つまで後客もなく閑散としているのは、もしかしたら場所柄と価格設定が合っていないのではと余計な心配をしてしまう一杯でした。

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「中華そば(あっさり 薄味) ¥750」@煮干し中華そば 山形屋の写真平日 晴天 10:55 待ちなし 後客1名

〝ニューオープン狙いうち〟

昨晩からRDBの進展情報を漁っていると、今の私には大変興味深い店を見つけた。それは先日行った東北遠征で立ち寄った山形 酒田の文字が目に入った事である。

お店情報を頼りに調べてみると、今年の二月にオープンした新店らしい。屋号にもあるように、ご主人が酒田市出身のようだが関東のテイストも取り入れた山形ラーメンのようだ。まだ記憶に新しい酒田の風景を思い出しながら初訪問をする事にした。

翌朝は11時間店頃の現着を狙って9時半に自宅を出て、半蔵門線を西新井駅で東武スカイツリーラインに乗り換えると50分近くかけて最寄りの竹ノ塚駅に着いた。そこからは距離はあるが歩いて12分ほど進むと増田橋の五叉路の先に揺れる赤ちょうちんが見えてきた。開店5分前の現着で、行列はなく先頭にて待機する。

定刻より少しだけ早く、真っ赤な暖簾が掛けられてオープンとなった。店頭のメニューで決めておいたお題を発券しカウンターに腰を下ろす。食券を手渡す際に予習しておいた「あっさり」と「薄味」の軟弱なカスタマイズをお願いする。

酒田で感じたような鮮烈な煮干しの香りが満ちてない店内を見渡すと、かなり広めな店内をご夫妻と思われるお二人で切り盛りされている。厨房内に目をやると、充実の設備が揃っている。大型茹で麺機や電気保温機、中型の圧力鍋に中華レンジといった布陣が厨房内で幅を利かせている。着席するとすぐさま調理台の天板を利用して、麺の手もみ作業が行われていた。女性が担当されているので力強さというよりは、優しく息吹を吹き込まれているように見えた。

初夏の陽気を迎えて気温が高くなりはじめた季節でエアコンの効いた快適な室内で待っていると、着席して6分で我が杯が到着した。その姿はシンプルな白磁の切立丼の中で、素朴で人懐っこい表情を浮かべている。軟弱カスタマイズのせいで酒田ラーメンの特徴を奪ってしまったかとも思える姿だが、個人的には親しみやすく優しい表情がホッとさせてくれる。また提供された時に「醤油が薄ければ言ってください」との対応力の高さにも安心感が生まれた。

まずは半濁した鳥の子色のスープをひとくち。煮干し由来の細胞が少しだけ表層に浮かんだスープにレンゲを挿してすくってみると、品の良い煮干し香が穏やかに漂ってきた。その香りに刺激された脳の欲するままに口に含むと、香り同様の上品な煮干しの旨みが口の中に張り巡らされた。微かな苦味もなく旨みだけを抽出されたスープの要素をダイレクトに感じる事ができる。本来の酒田ラーメンの特徴でもある豚背脂などの動物系のコクを排除したカスタマイズゆえに煮干しの香味が先導する仕上がりとなっている。そこに鰹節の厚削りのようなコクとキレも見え隠れしている。さらには薄味にしたので物足りないくらいの醤油ダレとも思ったが、出汁の風味が強いのでそのまま食べ進める事にした。

このスープに合わせる麺は平打ち中太ちぢれ麺で、波長の短い〝ひねり〟が効いている。麺上げまでは120秒弱と平打ち麺では短めの茹で時間が示すように、麺幅や厚みがないのが特徴だ。持ち上げた箸先からは加水率の高さは感じるが、麺自体が細身のなので重量感はなく軽やかにすら思える。スープの飛び散りなど気にせずに、一気にすすり込んでみた。案の定カウンターにはスープが拡散してしまいシャツも汚してしまったが、唇を通過する〝ひねり〟が与えてくれる絶妙の感覚には変えられない。勢いよく滑り込んできた麺は口の中を暴れまわるかと思いきや、静かにおとなしく咀嚼に応えてくれる。これが女性ならではの手もみが生み出す優しさなのだろうか、私のカスタマイズしたスープとの相性は抜群に思えた。そんな女性的にも感じる麺を噛みつぶすと、奥歯を跳ね返そうとするしっかりと密度の高いグルテンが歯応えとなって現れる。並盛りでも多いと感じる麺量だが、麺を噛む動作が楽しく箸のスピードを加速させる。

具材のチャーシューも秀逸だった。ホロホロと崩れるような煮豚型なのだが、豚バラではなく豚肩ロースを使われていた。よって脂身の甘みは少ないが、赤身の旨さと肉質の繊維を存分に味わう事ができて私の好みに合っていた。とても温かい状態で盛り付けてあるのでスープの温度を下げる事のない気づかいもうれしい。またかなりの厚切りなので、肉を頬張る本能までも満たされる。煮汁に旨みが逃げ出さないギリギリの味付けも素晴らしかった。これならばチャーシュー麺にしても良かったと思えるような逸品だった。

細メンマも大量に添えてあった。大好物の金絲メンマかと思ったが食感はメンマとタケノコの中間のような歯応え。メンマ独特の発酵臭はしないので香りの面ではアクセントにはならなかったが、軽やかな食感の上ではアクセント役を務めてくれた。

薬味は粗々しく切られた白ネギだが、緑の葉先の部分が多く入っていた。店側の狙いなのか下ブレなのかは分からないが、やはり白ネギは根に近い白い部分の方が香りもあり歯ざわりも良いので少し残念に思ってしまった。

海苔も残念ながら質が良いとは思えない。保存状態のせいか、何か他の香りが移っていて磯の香り以外の風味が強かった。それが味わいにも響いてしまい持ち味を発揮していなかった。

中盤からは旨味の底上げも感じてきたが、麺に影響を及ぼすほどではなかったので食べ進める事ができ、麺と具材は完食したがスープは残してしまった。本日は個人的な軟弱カスタマイズにしたが、これならば本来の基本の味付けにも挑戦してみたいと思った。むしろチャーシューや玉ねぎをトッピングしたいと思うほどに印象が良かった。

隣客が中盤で背脂を追加しているのをみた時に、それも次回は必ず試してみようと思い再訪を願った一杯でした。

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「あっさり(中) ¥550+完熟煮玉子 ¥100」@中華そば ひらこ屋の写真土曜日 晴天 14:00 先客13名 後客8名

〝諸国麺遊記 東北編〟

先ほどの岩手県 総合ランキング第1位の盛岡市の「らぁめん サンド」を後にして岩手県北バスにて盛岡駅まで戻ってきた。

次なるターゲットはRDB総合ランキング青森県第1位に君臨するコチラに昨晩から決めておいた。お店情報で定休日や営業時間をくまなくチェックして乗換ナビにて移動ルートも確認しておいたので、万全を期して盛岡駅に立っているはずだった。しかし先ほどのバスが10分遅れて着いたせいで予定しておいた新幹線には間に合わなかった。しぶしぶ次発までホームの待合室で待とうと思ったら、発車したはずの新幹線も強風の影響で遅延しており、計画通りの東北 北海道新幹線 12:37発 はやぶさ15号 新函館北斗行きに無事に乗ることが出来た。

東海道新幹線の車窓とは違った雄大な景色の中を50分ほど走ると、新青森駅に予定より10分近く遅れて着いた。予定では少ない乗換時間で奥羽本線に乗り継ぐはずだったが、それは困難と思われたが車内アナウンスで奥羽本線が乗換の待ち合わせをしてくれているとの知らせがあった。なんと優しい路線なのだろう。もしその電車を逃したら駅で一時間待ちしなければならなかったのでうれしい知らせだ。無事にたった一駅だが優しい奥羽本線に揺られて最寄り駅の津軽新城に着いた。

小さな青い駅舎を出ると青森県第1位がこんなところにあるのかと疑ってしまうような狭い急坂を息を切らして上がっていく。都内では桜が散ったというのに津軽では住宅の日陰にまだ根雪が残っている。そんな寒さを予想してダウンジャケットを着てきたが、登り坂のせいで汗だくになるほどだった。そんな坂道を10分ほど歩くと突然に大通り沿いにあるコチラの看板が目に入った。

多くの駐車場を完備した立派な佇まいが出迎えてくれた。外待ちも中待ちもないが店内は満席のようでレジ横の中待ち椅子にて待機する。券売機はないので店内の至る所に書かれたメニューから本日のお題を決める。屋号に〝平子〟と掲げているので、もちろん煮干し専門店のようだ。メニューも分かりやすく「あっさり」や「こいくち」「せあぶら」と表記されている。まだまだニボ耐性の弱い私は「あっさり」にして麺量は並みであろう中盛りで味玉だけは追加した。

待つこと5分もせずにカウンターが空いて案内される。やはりコチラも岩手県第1位の先ほどの店と同じくSARAHの数々の受賞歴を誇る盾が飾られてある。残念ながら受賞対象は「あっさり」ではなく「こいくち」だった。目の前には商品化されたカップ麺も置かれているので全国的な有名店なのだろう。本日の客層は小上がり席には家族連れやカップルと老若男女に人気のようだ。そんな店内を四人体制で回している。皆さんの食べてるラーメンの器も様々なので、色んな種類のラーメンが求められているのだろう。

着席して10分ほどかかったが、待ちに待った岩手 No.1の我が杯が到着した。その姿はステンレス製の受け皿の上に屋号の入った小さい切立丼の中で溢れんばかりの盛り付けで迫ってくる。お相撲さんがチビTを着たらこんな感じではなかろうか。圧倒的な雰囲気ではあるが、繊細な盛り付けも感じる不思議な姿に惹きつけられた。

期待値が上がったところで、まずは赤朽葉色のスープをひとくち。見た目の透明感からも穏やかな印象を受ける。津軽海峡の荒波よりも瀬戸内海のさざ波の方が似合いそうな液面にレンゲを沈めると、サラリとしたニボ清湯スープだ。口に含むと苦みやエグ味を極限に削ぎ落とした文化部系の煮干し香が口の中に広がる。ほんの少しの香ばしさを感じるのは、焼き干しを使っているからだろうか。その香味がある事で単調なスープにならないように仕掛けてある。またカエシの醤油ダレも抑えてあり、雪国特有の塩気の強さがない事に驚いてしまった。私には程よい塩梅だったが、周囲の方は卓上の醤油ダレで好みの塩分に調整している姿をよく目にした。

麺は自家製らしく他では見かけないタイプの中太麺。丸々と肥えた麺肌からも、柔らかそうな茹で上がりが伝わってくる。箸で持ち上げると少しだけ縮れた麺質と色白美肌が現れた。一本あたりの重量はかなり重たく加水率の高さを想像する。口に運ぶと想像通りの柔らかさと、しっかりと重量感が印象的だ。歯応えや歯切れが少ないのはカンスイが少ないからなのだろうか、ひやむぎに似た食感が珍しい。麺の太さは好みなのだが、噛みごたえの寂しさが私には合わなかった。自家製麺なので当日のコンディションや茹で加減もあるとは思うが少し残念な麺だった。

具材は豚ロースの低温調理と豚ウデ肉の煮豚型が一枚ずつ。豚ロースは薄切りだが肉々しさは感じられたが、旨みは感じられなかった。一方の豚ウデ肉のチャーシューは豚肩ロースに近い部位なのか、赤身の繊維を残しながらも柔らかく仕上げてあった。赤身の旨みも残っていて、チャーシューの軍配は後者に上がった。

追加の味玉は「完熟煮玉子」を名乗ることだけあって、過去で一番の熟成具合を見せる。いびつな形に潰れているが、完熟に偽りなしで黄身は完全にゲル化していた。黄身本来の色素は漬けダレに侵されてキャラメリゼされたように褐色になっている。しかし塩分は強すぎないのが不思議である。たしかにこのラーメンの中では一番塩気が強いかもしれないが、全体に穏やかなので目立っているだけにも思える。提供温度の冷たさだけが気になったが、追加して良かったと思える味玉だった。

写真からも分かるように丁寧に帯状に束ねられた板メンマも、見た目の色調からは想像できないような優しい味付けだ。醤油色はしているが、味は煮干し出汁で炊かれたような魚介の旨みが噛むたびにほとばしる。ぬめりのある独特の食感も相まって素晴らしいアクセントになっている。

薬味はシンプルに白ネギの小口切りのみ。やや粗々しい切り口からは野性味のあるネギの香りが穏やかなスープに刺激を加える。そんな辛味もスープの熱変化によって終盤には甘みに変わり、最後の一滴までスープをサポートしてくれた。

中盛りだったが、一本あたりの麺がボリュームがあるので食べ終えた時には満腹を超えていた。麺が好みと違っただけで最後まで美味しく食べ終えることが出来た。ここのスープの塩分量ならば「こいくち」でも食べられそうな気がしながら席を立った。

ここまでは昨晩から計画を立てていたが、これから先は何も決めていない。ひとまずは先ほどの最寄り駅の津軽新城に歩いて戻り、新たな作戦を立てなければと思った一杯でした。

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「煮干し中華ソバ(中)¥680+味玉 ¥100」@中華そば なかた屋 浜松町店の写真平日 晴天 13:30 先客6名 後客7名

〝花のお江戸で錦を飾ろうツアー vol.2〟

先週から開催していた地方の雄を巡る今回の企画も、自身の情報収集能力のなさを露呈してしまい継続を断念してしまった。そんな中に新たな東京進出組の情報を得て、本日は連食にて巡っているのだ。

その二軒目になるのがコチラだ。RDBのお店情報を見てみるとコチラも先月にオープンしたばかりのようで発祥は青森県弘前市のようだ。昨今の津軽煮干し系ラーメンの台頭を思わせる東京初出店を確かめるべく前食の淡路町から移動を開始する。

淡路町交差点そばのカフェで胃袋調整と下調べを行っていると、メニューには〝セアブラ〟の文字が踊っている。前食も大量の背脂を摂取したので気後れはするものの、二時間が経過した頃に丸ノ内線で東京駅を経由して浜松町駅に降り立った。南口の金杉橋方面を出ると屋台船の船宿が立ち並ぶ川沿いを進むこと10分足らずで店先が見えた。

先ほどの「王龍ラーメン」と違って派手さのないシンプルな外観だ。入店すると空席もあるので券売機の前で品定めする。RDBのお店情報のメニュー欄には記載されてなかった〝セアブラ〟の文字の入っていないお題を見つけたので連食という事もあり迷わずに発券した。味玉だけは前食で食べられなかったので追加した。

カウンターに座り店内を見渡すが、本日の客層は芝という場所柄だろうかドレスコードでもあるのではないかと思えるほどに皆さんネクタイ姿だ。ラフな休日のお父さんみたいな服装は恥ずかしながら私ひとりだけだった。そんな縦長のカウンターだけの店内を二人体制で回している。ご主人の生麺を丁寧にほぐす仕事ぶりに感心していると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は朱赤色の切立丼の中で堂々たる表情を見せている。味玉をトッピングしても780円とは思えない豪華さに目を奪われる。駅からも遠く裏通りと言えども港区なので採算が合うのか心配ではあるが、近隣のサラリーマンにはありがたい値段だ。しかし価格設定は採点に考慮しないとしているので改めてラーメンに向かい合う。

まずは器の色と混同して色彩は良く分からないが、透明感だけはある澄んだスープをひとくち。液面には油膜も少なく、煮干しを強く炊くとできる煮干し特有の水泡も浮かんでいないのでサッパリとしていそうな気配が漂っている。スープに差し込むレンゲにも抵抗がなくサラリとしている。口元寸前までレンゲが近づいても穏やかな煮干香がするだけで特徴的なクセは感じさせない。いざ口に含むと旨みを中心に引き出された煮干しスープには苦味やエグ味はほとんどない。後味の中に微かな苦味は存在するが非常に優しい出汁となっている。魚臭みや苦味がないのはアジ煮干しを使用しているからだろう。そんな煮干し出汁に合わせるカエシは雪国ならではの塩気の強さが立っている。スープだけを飲むには塩分過多なので麺との相性を楽しむ事にした。

麺上げまで100秒ほどの麺は想定していた低加水麺ではなく、中加水程度の中細ストレート麺が合わせてあった。このタイプのスープに合わせる麺としては少し太めにも思われるが、ポソッとした麺よりはモッチリと食べ応えのある麺の方が好みでうれしい。スープとの相性だが、麺の甘みとスープの塩気が織りなすハーモニーは素晴らしい。この麺の旨さを引き出すためのスープの塩分ならば仕方ないのかもと思った。

具材のチャーシューはデフォルトでも三枚の豚肩ロース焼豚が入っている。ローストタイプで赤身本来の旨みを楽しむ仕上げなのだが、旨みが逃げ出して肉質も少しパサついていたのが残念。自身の得意技である薬味のネギと合わせるネギチャーシューをもってしても物寂しさを感じてしまうくらいに味の抜けたチャーシューだった。

追加の味玉は半カットで提供されたが見た目の半熟加減は好印象だが、冷たい提供温度が気になった。先日の川越行脚で出会った川越市駅近くの味玉の温度と味付けの良さが自身の〝味玉論〟のハードルを上げてしまったせいもあるが、味玉と名乗るには味の浸透が上辺だけで黄身には変化を及ぼしていない。やはり色付き玉子と言った感じだ。

極太メンマの食感は繊維質がほどけていく様が舌触りも良くするが、味付けはコチラも業務用既製品のようで手作り感は出ていない。

薬味は粗々しい切り口の白ネギが添えてあり、辛味を前面に押し出して煮干しスープに変化を与えている。強い辛味と食感が麺やチャーシューにアクセントを付けてくれ、これぞ津軽系を思わせる薬味だと感じた。

十字12切の海苔も保存状態が悪いのか香りもなく口溶けも良くなかった。

中盤からも麺はスープを寄せ付けないのが功を奏して強気な塩分に害させる事なく食べ進められた。今回の出会いではスープの塩気に負けてしまい飲み干すことは出来なかったが、麺と具材は完食できた。

本日はさぬきと津軽といった土地柄や風土色の違うラーメンを、わずか15分程の電車移動で食べられる東京進出組のありがたさを感じたと共に、偶然ではあったがどちらも豚背脂をウリにしたメニュー構成に〝セアブラ〟の勢力図の拡大を思い知った一杯でした。

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