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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.435点
最終レビュー日 2019年7月19日
568 460 14 1,850
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「醤油らーめん ¥770+味玉 ¥110」@らーめんDINING れんげの写真平日 曇天 12:40 先客6名 後客なし

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟番外編 拡大版

トータル三泊四日となった群馬遠征も、いよいよ最後のラーメンとなる時間帯が迫ってきた。それは昨晩キャンセルとなった都内での会食が今晩にスライドされて、急遽ラーメン旅を終えなければならなくなってしまったのだ。何よりも残念なのは本来ならば太田で延泊をして、人生初の太田ナイトを楽しもうと目論んでいたのが実行できずに終わってしまう事だ。後ろ髪を引かれる思いで太田駅近くでラストラーメンの候補店を調べてみる。

伊勢崎で朝ラーを食べて、午前中には二杯目を太田の人気店でいただいた。そこからとりあえずバスで太田駅まで戻ってきて美術館に併設されたカフェで満腹の胃袋の調子を整える事にした。帰りの電車の時間を14:32発の東武線りょうもう26号に乗車しなければ都内での予定に間に合わないので、前食から1時間しか経っていないが作戦を強行しなければならなかった。

そこで駅前北口から再びシティライナーおおた 市内循環バスにて15分ほど揺られて、最寄りの浜町三区バス停に着いた。最寄りと言ってもそこから少し歩かなくてはならないが、大手そばチェーン店や中華料理店を含めると麺料理を扱う店が非常に多い麺ストリートである事に驚いた。そんな大通り沿いを歩いて向かうと、真っ赤な看板が目に入った。

店先には坦々麺の幟旗が置かれているが、先程の店もそうだったが太田では坦々麺が人気なのだろうかと思った。玄関にはえんじ色の半のれんと同色の日除けのれんが掛けられてあり、数台の駐車場も完備されている。看板には「洋食屋さんの本格らーめん」と書かれてあり、お店情報からも知っての通り洋食出身のシェフが手がけるラーメンのようだ。昼どきのピークタイムの訪問となったが、店頭に行列がなかったので幸いにもすんなりと入店できた。

しかし店内に入ると目の前のテーブル席には食べ終えた器が置いてあり、バッシング待ちのようなので入口左手に設置された券売機にて食券を購入してから様子を伺う。すると運良くカウンターには片付けが終わった空席があり、すぐに着席となった。購入したマイスタンダードの醤油系に味玉を追加した食券を女性のホールスタッフさんに手渡してから店内観察をはじめる。

テーブル席とカウンターだけの店内かと思ったが、後ろを振り返ると小上がり席も多く設けてあった。イメージしていた洋風とは違った印象の店内で、夜の部は宴会にも対応できそうな客席の造りである。そんな広めの店内を、ご夫婦らしきお二人で切り盛りされている。ご主人の趣味なのだろうかバイクに関するグッズや写真などが飾られている。カウンターの棚上に置かれた観葉植物の隙間から調理工程を覗き見しながら待っていると、着席して4分で我が杯が到着した。

その姿はメラミンの受け皿に置かれた白磁の高台丼の中で、穏やかに見えるが不思議な要素も見受けられる興味深い表情で登場した。さすがは洋食出身シェフならではの盛り付けのレイアウトの美しさや、ひと味違った薬味の使い方が特徴的だ。そんな得体は知れないが不思議と異質に思えない姿に引き込まれるようにレンゲを手にしていた。

まずは黄朽葉色のスープをひとくち。液面には大理石のようなマーブル模様の香味油が浮遊するスープにレンゲを落とすと、必然なのか不思議なのか分からないが〝和〟でも〝中〟でもない〝洋〟の香りが押し寄せてきた。それは明らかにスパイシーな香りで、初動としてはかなり刺激的な風味が伝わってきた。レンゲの中に注がれたスープを口に含むと昆布が主体のような前置きのあるスープだが、実際には鶏主体の旨みが先導するスープに感じた。その旨みの他には、見た目こそ香辛料の粒は見えないが胡椒系由来の香りが大きく幅を利かせている。それはスープを炊く段階でミル挽きされたペッパーでなくホールペッパーが使われていると思われる。そんな個性的な鶏昆布出汁に合わせるカエシも、キリッと輪郭のハッキリした醤油ダレを加えているので全体的にパンチのあるスープ構成となっている。

そんな独特なスープに合わせる麺は中細ストレートの外注麺を採用されていて、麺上げまではジャスト120秒と中細麺としては長めに茹でられていた。それだけに見た目は非常に穏やかで、切刃の後も丸みを帯びて見える。スープの中で丁寧に折りたたまれた麺を箸で持ち上げてみると、黄色い色素の強い麺があらわれた。箸先の重みからは多くも低くもない加水の程度が伝わってきて、香味油をまとった麺肌がキラキラと輝いている。ストレートの形状からもスープの飛散を気にする事なく一気にすすり込むと、スープに感じたスパイス香がより強くなって感じられた。しかし間髪入れずに麺の甘い香りも追いかけてくる。適度に溶け出した麺肌のグルテンが口当たりを良くしているが、提供時がベストと思われる麺の茹で加減だ。120秒の茹で時間にもダレる事なく、しっかりとした舌触りを保っていた。噛めば更に麺の甘みが引き出されて、スープから感じるスパイスの刺激を麺の甘みが和らげてくれる。もしかしたらスープのスパイスが利いているからこそ感じられる麺の甘みとも思えてきた。そんなお互いを引き立てる組み合わせの妙に食べ飽きる事なく箸は動き続けた。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚型が大判の厚切りで入っている。箸が触れただけでも柔らかさが伝わってくる程に、じっくりと仕上げられているのが分かるチャーシューを頬張ってみる。脂身は勿論のこと赤身の繊維質までも解けていくような食感が素晴らしいが、柔らかすぎる訳ではなく歯応えもしっかりと味わえる。また盛り付け直前に炙りの工程を挟んでいて、香ばしさを加えると言うよりは、脂身の融点まで温度を引き上げる作業に思えた。その結果として脂身は口溶けよく、赤身は食べ応えよく仕上がっていた。味付けは強くはないが豚肉本来の品質が良いと思われ、臭みなどの不快な要素が一切なく豚肉の旨みだけが詰まっている。

中太タイプのメンマには非常に甘い味付けが施されている。スパイシーなスープに合わせてなのだろうか、果実を思わせるような胡麻油の甘みがメンマの芯部にまで浸み込んでいる。かなりの柔らか仕立てなので噛む必要がないくらいの食感だが、メンマがほどけた瞬間に胡麻油の甘い香りが舌の上で花開く。先程の麺と同じくスープとの振り幅の大きさが独創的でクセになる人も多いのかもしれないが、初めて食べる私はギャップの大きさに戸惑ってしまったのが本音だ。

追加した味玉は程よく味も乗っていて好みの熟成度合いも出ていたが、提供温度の冷たさばかりは気になってしまった。冷蔵庫から取り出してすぐに盛り付けるのではなく、せめて常温にまで戻してあればゲル化した黄身の甘みや漬けダレの旨みも感じやすくなるように思えて残念だった。

薬味の白ネギは丁寧に水にさらされていたので、余計な辛味や苦味を与えてこずに軽やかな舌触りと香りをアクセントに加えていた。青みの小松菜は茎の部分だけを集めて添えてあり軽い苦味とシャキッとした食感を与えているが、どこにも使われていない葉先の行方が気になってしまった。

またラーメンに関して保守派な私にとっては挑戦状ともとれる青みが、見た目にも個性を発揮しながらセンターに添えてあった。その青みとはイタリアンパセリの事で、同じセリ科の三つ葉ではなく洋食材を使われていた。ラーメンの中に洋風のテイストを必要としない私だったが、このイタパセを口にしてみて思いが少し変わった。一般的なパセリよりも香りが穏やかなので大きく個性を主張する訳ではなく、逆に口の中をサッパリさせてくれる役目を果たしてくれた。考えてみれば日本料理の中でも秋田名物 きりたんぽの具材にはセリが欠かせないように、鶏と昆布主体のスープにセリ科のイタパセが合わないわけがないのだ。それを思った時には見た目のインパクトだけを狙った薬味ではない事を初めて理解できた。

中盤からもスパイシーなスープが醸し出す不思議な感覚に慣れないままに食べ進んできたが、結果としては完食完飲していた。食べ終えたあとも何とも言えない違和感を残しながら席を立ったが、これが洋食シェフの作り出すラーメンの狙いなのだろうと考え直した。ならば次回は洋食シェフによる担々麺にも挑戦してみたいと、新たな好奇心が湧いてきた。

これにて高崎から始まった群馬の一部だけめぐりのラーメン旅も終わりを迎えた。しかしどうしても心残りなのは高崎ナイト 伊勢崎ナイトに続いての、太田ナイトを満喫する事なく太田を後にしなければならない事だ。三泊四日くらいではまだまだ出会っていないラーメンも多くあるので、次回は必ずや太田の夜のネオン街に戻ってくる事を前提に計画を立てると心に深く刻んだ一杯でした。

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「塩らーめん ¥680+煮玉子 ¥100」@塩らーめん 千茶屋の写真平日 曇天 10:35 待ちなし 後待ち2名 後客6名

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟番外編 拡大版

ちょっとした高崎遠征のつもりだったが、気が付けば群馬滞在もすでに四日目を迎えている。

前食は群馬に来たならぜひ行ってみたいと思っていた朝ラーの人気店で、やや出遅れはしたが満足の一杯をいただいて伊勢崎を後にした。コミュニティバスの一日乗車券のおかげで新伊勢崎駅までは無料で30分程で戻って来られた。


そこで次なる目的地に決めたのがコチラで、高崎から伊勢崎を経由して太田まで足を伸ばそうとRDBのお店情報と移動ルートを調べてみた。運良く本日も営業日のようで、電車とバスを乗り継げば1時間もかからずにたどり着けそうだ。空模様が怪しくなってきた中で、徒歩移動が少なくて済む事も歩兵民にはありがたく初訪問へを目指した。

東武伊勢崎線に揺られて25分程で太田駅に着くと、そこららは運良く運行本数の少ないシティライナーおおた 市内循環バスに間に合い15分で最寄りの太田記念病院南バス停に着いた。そこは大きな総合病院のそばだけあって、処方箋薬局の密集地帯となっている。こんな薬局天国を見た事がないくらいの多さに驚いた。

そんな中に大きな駐車場に囲まれたコチラの看板を見つけると、定刻の25分前で先頭をキープした。店頭に置かれたイームズのエッフェルベースチェアに腰を下ろして待機をはじめる。定刻の5分前になると後列が増え始めたが、外待ち3名だけで1分前に早開けオープンを迎えた。

店内に入ると右手の券売機から品定めをするが、豊富なメニューに戸惑いそうにならながらも屋号にも掲げられ券売機のヘッドライナーを飾っている塩系に煮玉子を追加発券してカウンターに座った。カウンターから見渡す店内はテーブル席もありカウンターも多く設けてあるが、ご夫妻と思われるお二人で切り盛りするには広すぎるとも思ってしまう。しかし二人の見事な連携で調理は淀みなく進んでいる。ふと調理場の奥を見るとブルーシートで覆われた製麺機があるが、品川麺機のマイティ50だろうか。やはりこちらも自家製麺なのだろうか、どこにも謳われてはないが群馬の自家製麺率の高さを実感する。

開店待ちこそ少なかったがオープンすると同時に来客が続くが、ワンロット1杯か2杯までの少ロットで着実に注文をこなしていく店主さんの手さばきに見とれていると着席して3分の早さで我が杯が到着した。その姿は同じ白磁の受け皿に乗せられた反高台丼の中で、息を飲むような美しい景色を見せてくれる。それは黄金卿のような輝きを映し出し、まぶしいばかりに光を放っている。そんな景色に気が付けばレンゲを手にしていた。

まずは薄香色のスープをひとくち。液面にレンゲを落とし込まなくても立ち昇っているのは鶏ガラ由来の香りで、クセとまでは言わないまでも独特の個性を感じる香りである。中型の寸胴鍋の中ではスープが炊かれ続けていて、スープ用の濾し器が常に寸胴鍋の中に入れている。その濾し器で不純物がスープに入らないように工夫された独特の炊き方が印象に残る。丁寧に灰汁を取りながら炊かれているスープにレンゲを沈めると、見た目同様に粘度を全く感じない清湯スープが注がれた。そのレンゲを口元に近づけるごとに鶏出汁の個性をより強く感じてくる。本当にクセの一歩手前なので臭みではないが、かなり鶏を強く感じさせる仕上がりと思える。常にスープは火にかけられているので、午前中と午後のスープには若干の違いもあるのではないだろうか。そうなると現時点でのスープはあっさりタイプで、時間が経つにつれて濃いスープへと変化するように思われる。私にとっては、これ以上に鶏感が強くなると臭みに変わってしまうかもしれないので早い時間帯で良かったと思った。そんな鶏出汁に合わせる塩ダレは、白醤油も含まれているような熟成した深い旨みをもたらしている。強い出汁に負けないようにハッキリと輪郭を与えているが、決して塩っぱいような事はなく見事な塩梅を付けている。

続いて自家製麺かは定かではないが澄み切ったスープの中から麺を引き上げてみると、シャープな切刃のエッジが残ったストレート細麺が現れた。麺上げまでジャスト60秒の茹で時間だが、ご主人はタイマーのスタートボタンは押すけれどストップボタンは奥様が押していた。それはストップボタンを押す間のタイムロスをなくして、麺の茹で時間を正確に守っているという事なのだろう。そんな緻密な工程から生み出された麺を一気にすすり込んでみると、細麺ならではの鋭い口当たりで飛び込んでくる。固すぎない程度にハリを残した茹で加減がキレを与えると、口の中では程良いコシも感じられる。シルクタッチな歯触りかと思ったが、しっかりと奥歯の咀嚼に呼応した歯応えも与えてくれる良麺だ。さらには喉越しも滑らかなので、口元から喉の奥まで心地よく食べ進められた。結果としてオリジナリティのある麺質だったので自家製麺であると信じたい。

具材のチャーシューはラーメン店では使われている事が珍しいと思われる豚ロース肉が使われていた。いわゆる、とんかつ屋のロースカツに使われる部位である。また大判のまま仕込まれていて、脂身の部分も厚めに残してある。トンカツ屋でもそうだが豚肉の質が悪いと、脂身がしつこかったり臭みがあったりするので自信がないとこの切り方は出来ないと思った。実際に食べてみても赤身の旨みは勿論だが、脂身の甘みが抜群に引き出されていて豚肉本来の質の良さと調理の技術の高さが表れている。また厚切りとは言えないが、かなり厚みを持たせてスライスされているので食べ応えも十分にある。

追加した煮玉子は塩系のスープに合わせた仕込みなのかもしれないが、私にとっては寂しさが残る具材だった。それは煮玉子と呼ばれてはいるが、塩味の効いたゆでたまごだった。あえて醤油感を出さないように仕込まれているのだろうが、浸透圧によってゲル化した黄身の熟成感が好きな私には物足りなく思えた。しかし周囲の客のほとんどが煮玉子トッピングをされていたので人気商品なのだろう。

そんな極めて薄味の煮玉子に対してメンマは醤油で味付けされた極太タイプを使われていたが、最近よく口にする機会の多い安定感のある味付けと食感からは業務用無添加メンマではないかと思ってしまうくらいに良くあるタイプだった。

薬味は二種類のネギが切り方も変えて添えてあったが、青ネギの小口切りは切り口が乾いており切り置きしてからの時間経過と保存状態の悪さを感じる。パサついた切り口からは舌触りの悪さが出てしまい、香り自体もほとんど出ていなかった。一方の白ネギは大きめの角切りでスープに浮かんでいたが、白ネギ本来の甘みを味わうには火の通りが弱く辛さが目立っていた。しかし生ならではのシャキッとした食感は良いアクセントとなっていた。

気が付けばスープ以外は完食していたほどに順調に食べ進められたが、周囲の客人が食べていた限定メニューや担々麺の方が美味そうに見えてしまったのも本音だ。次回は煮玉子なしで限定メニューに挑戦するために、太田に前泊して再チャレンジを果たそうと誓った。その際は絶対に夜のネオン街での太田ナイトを楽しもうと心に刻んだ一杯でした。

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「チャーシュー麺 ¥700」@麺&cafe Coi.Coi.の写真平日 曇天 8:45 先客なし 後客1名

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟番外編 拡大版

今回の高崎遠征を始めた当初は一泊二日の予定で出発したはずだったが数々のアクシデントとトラブルや思いもよらぬラッキーが重なり、延泊を重ねて気が付けば本日は高崎ではなく伊勢崎のホテルで目が覚めた。つまりは三泊四日の長旅になってしまった。

昨夜は人生初の伊勢崎ナイトを楽しむ為に高崎を離れて乗り込んで来たので、利便性の良い伊勢崎駅周辺ではなく夜のネオン街近くのホテルを予約した。ホテルに着くと連日の高崎ナイトのせいで疲れがたまっていたようで、伊勢崎での夜ラーを断念してチェックインを済ませて一眠りに就いた。

一度も目が覚める事なく三時間ほど眠ると外の景色は夜のネオン街へと表情を変えていて、シャワーを浴びて身支度を整えると人生初の伊勢崎ナイトへと繰り出した。ホテルの目の前からすでに怪しい気配がプンプンと匂ってくる。全くと言っていい程に人通りのない道端には呼び込みのお兄さんが所々で待ち構えている。横を通りかかる度に淫らな世界への誘い文句を投げかけてくる。噂以上の怪しさには腰が引けるほどだったので、まずは腹ごしらえの為にホテルのフロントで聞いておいた居酒屋を目指して一目散に歩いて向かった。

とりあえずは乾いた喉の潤すために、最近は見かけなくなってきた大ジョッキの生ビールを飲み干すと太田の地酒 群馬泉の燗酒とアジのなめろうを追加して下準備を整える。酒もツマミも素晴らしい居酒屋だったが、カウンターでも喫煙できる愛煙家にはうれしくも私には残念な店だったので20分ほどで店を出た。

再びネオン街と言うほどは煌びやかではない通りへと戻ってくるとキャッチのお兄さんに声をかけられた。またもやハードな怪しい店への誘いだったので、軽めのG's BARはないのか聞いてみると案内所を紹介してくれた。案内所では優良そうな店を紹介されてOLスタイルのスーツ姿の女の子たちと日付が変わるまで盛り上がってしまった。

この伊勢崎を訪れた最大の目的は早朝から朝ラーが食べられると聞いていたコチラへの初訪問だったのだがホテルで目が覚めると、開店時間の午前7時現着を狙っていたのだが、とっくに過ぎて8時を回っていた。はしゃぎ過ぎた伊勢崎ナイトを反省しながら着替えを済ませてチェックアウトと共に調べておいたバスルートで店を目指す事にした。ホテルの目の前のバス停からコミュニティバスに乗ると200円で一日乗車券を受け取り5分ほど走ると最寄りの連取本町北バス停に着いた。これで帰りのバス代は要らない事を知り、得をしたと喜びながら店へと歩いて向かった。

3分ほど歩くと複数の飲食店が立ち並ぶ建物の中に白地に屋号の書かれたコチラの看板を見つけて近づいてみたが、暖簾や幟旗もない店先は営業しているのか分からずに不安がよぎる。恐る恐るさらに近寄ると、小さな黒板に営業中と書かれてあるのが読めたので安心して店頭まで歩み寄った。ラーメン屋らしからぬ外観ではあるが、カーテンで閉ざされたガラス越しの店内には製麺機が見られる。麺帯を巻き取っている作業が見られるので製麺の真っ最中のようだ。そんな光景に興奮しながら扉を開けて店内に入ってみる。

すると製麺室で作業中の女性店主さんらしき方から「カウンターへどうぞ」と声をかけられ、カウンターの一番奥の席に腰を下ろして卓上メニューから品定めを始める。すると突然に「こちらの席でお願いします」と入口近くの席へと強制移動を強いられる。カウンターへと言われたのでカウンター奥から詰めて座っただけなのに嫌そうな顔で対応されるのは良い気分ではないが、女性店主おひとりのワンオペなので店を守るためには強い気持ちがないとならないのだろうと自分に言い聞かせた。

早朝でも豊富なラインナップの中からメニューの下の方にあった醤油系の中のチャーシュー麺を告げると先払い方式でトレイに代金を入れるシステムだ。お釣りなどのお金をやりとりした後に手を洗わないのが気になったが、衛生面や接客を採点に反映させない方針なので心を鎮める為にセルフでお冷を汲んで店内観察をはじめる。

壮大なクラシックが流れる店内はオシャレと言うよりは研究室のような雰囲気があり、様々なジャンルのラーメンを生み出す設備が揃っている。そんな厨房機器の中でも特に珍しかったのがスープ炊き用のレンジが電磁式だった事で、スープ用としては初めて見たかもしれない。店主さんは調理と並行して、ロール状に巻かれた麺帯を包丁で裁断されている。その手際の良さは場数をこなしてないと達する事の出来ない領域へと昇華されていて、さらには同時にメンマの味付けもこなしながらのオペレーションは圧巻だった。そんな調理工程に見とれていると着席して7分ほどで我が杯が到着した。

その姿は川越めぐりで出会った超人気店である「頑者」と同じ白磁の高台丼に鳳凰の描かれた器の中で、とても700円とは思えない豪勢な景色を見せている。しかし価格設定も評価の対象としないので、さらに気持ちを落ち着かせてレンゲを手にとった。

まずは渋紙色のスープをひとくち。表層には豚背脂の脂片が散りばめられた霞みがかったスープにレンゲを沈めると、程よい香りが穏やかに漂ってきた。豚骨由来ではあるがクセのない香りに導かれるようにスープを口に含んでみると、動物系の香りに反して魚介系の風味が花開いた。特に煮干しの中でも上品でクセのない香味が口の中に広がった。その豚由来の動物系と煮干し主体の魚介系のバランスは、何一つとして尖った味覚のない個性を抑えた仕上がりとなっている。最大限に煮干しの旨みを引き出しながらもエグ味やクセを排除して、豚背脂を利かせながらも動物系の力強さを感じさせない優しいスープに一瞬で引き込まれてしまった。そんなバランス感覚に優れたスープに含まれるとカエシも非常に繊細で、過度な輪郭を与えるわけではないがスープの味がボヤけないようにメリハリを付けている。

待望の自家製麺は製麺室に設置されていた大和製作所の〝リッチメン〟で打たれたストレート細麺で、麺上げまで15秒と博多ラーメンのバリカタにも匹敵する早茹で麺だった。しかしながら高密度のグルテンを感じられる食感の良さは使用されている小麦粉の特徴なのだろうか。製麺室内には日清製粉 特ナンバー1の粉袋が置かれていたので内麦にも劣らない高級外麦で製麺されているようだ。特段に香りが高いわけではないが細麺とは思えない弾力感が食べ応えを強く与えて、喉越しはしなやかに胃袋へと収まっていく。さすがは店主さんが惚れ込んだ小麦粉だけに特徴を完璧に引き出されていると感じた。この麺の美味さが本日の最高到達点かと思われたが、この先には更に驚くべき具材が待っていた。

このあとに食べたチャーシューは、私の豚バラ焼豚の歴史を塗り替えるような素晴らしい仕上がりだった。一枚目のひとくち目を食べた時に、チャーシュー麺にして良かったと心から思える逸品だった。今回は偶然かもしれないが私に切り分けられた部位は、豚バラ肉の中でも脂身の極端に少ない部分が与えられていた。一枚あたりの九割を赤身が占め、残りの一割が脂身という赤身派の私にとっては奇跡のような部位なのだ。その豚バラチャーシューは豚肩ロースのような強い歯応えがありながらも、とろけるような豚バラ肉の脂身も必要最低限にサンドされているので甘みも程よく感じられる。盛り付け直前にはテフロン加工のフライパンで豚脂肪の融点まで、きちんと温め直されていたのが脂身の甘みを感じやすくなっていた理由だろう。そんなダイナミックな食べ応えと、繊細な旨みが同居した豚バラチャーシューが厚切りで5枚も入っているとは圧巻としか言いようがない。これで 700円とは、価格設定も評価の対象外ではあるが実際には驚きが隠せなかった。

メンマは板状のタイプを手仕込みされていて、やや滑りのある質感が特徴的だ。過度な味付けはされず、程よい発酵臭を残した安心感のあるメンマだ。味や香りは印象を残さなかったが、柔らかめでもシャキッとした食感を与えてくれ心地良いアクセントとなっていた。

薬味の玉ねぎはコンカッセほどに大きく刻まれていたが、あえて玉ねぎ本来の甘味や辛味をダイレクトに感じられるように水にさらしたりせず切りっぱなしで添えられてあった。この大きさなので不必要にスープに混じり込んだりしないのも私にとってはありがたかった。

そんなスープの邪魔をしない玉ねぎとは反対に、バラ海苔は終始スープや麺に絡んできて磯の個性を加えてこようとする。ただ香りの弱い海苔だったなのが幸いして、過剰すぎる味変ではなかったが助かった。それでも海苔は板海苔の方が必要な時だけ口に含めるので私の好みにはありがたく、今回のバラ海苔は残念ながら必要性を感じられなかった。

最終的には液面に浮かんだバラ海苔をレンゲの中に回収してから一気に食べて、浮遊物のなくなった純粋なスープだけを両手で丼を傾けて飲み干した。最後は海苔の香りに邪魔される事なくスープの自然な旨みを味わって丼を置いた。

色々とあったがラーメンだけに関すると高評価は必然的で、バラ海苔がなければ大台突破とも思えるような素晴らしいラーメンだった。こんな店が近所にあったら朝から通ってしまいそうで、健康上の観点からは遠くて良かったとも思ってしまった。

満足で店を出るとまだ午前9時を少し回ったばかりで今回の高崎めぐりの番外編の拡大版を更に足を伸ばしてみようかと、コミュニティバスの一日乗車券を握りしめてバス停まで歩いて戻った一杯でした。

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「塩そば 肉1枚 味玉 ¥870」@麺処 風人の写真平日 晴天 13:20 先客2名 後客なし

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟

午前中の高崎めぐりの番外編として急遽訪れた渋川市の超人気店での一食目を終えて、先ほど下車した最寄りのバス停までは戻ってきた。すると奇跡的にも、一時間に一本しか走っていないバスが三分後に到着予定と幸運に恵まれた。

運良く間に合った帰りのバスの車内で、今回予定が伸びた高崎めぐりのラストラーメンを見つける為にRDBを開いてみた。前回の初高崎で印象に残っている「中華蕎麦 あお木」への再訪を考えたが今夜は都内で会食の予定があり、どうしても14:01発の新幹線に乗らなければならず駅から離れた同店への再訪は諦めざるを得なかった。

そんな中で見つけたが高崎駅の隣り駅の高崎問屋町駅近くにあるコチラだった。お店情報によると昼の部のみの営業とハードルは高いが本日は営業日という事と、帰りの新幹線にも何とか間に合いそうなので高崎めぐりラストラーメンとしての初訪問を決めた。

そのままバスで高崎駅まで戻りJR上越線に乗り換えると、わずか3分で高崎問屋町駅に着いた。そこからは貝沢口を出て、うら寂しい感じのする通りを進んで行くとスチール製のオブジェのような看板が目に飛び込んできた。時間帯なのか場所柄なのか分からないが、人通りの少ない駅前と同様に店の周りにも人がいない。

店内に入ると先客もわずかだったので券売機にて本日の品定めをする。ボタンが多すぎて一瞬分かりづらそうなボタン設定と思ったが実は簡単で、自分が食べたい肉(チャーシュー)の枚数と味玉の有無とスープを合わせれば自然と押すボタンが決まってくるシステムだ。そこでマイスタンダードの醤油系の表題を発券してカウンターに腰を下ろした。

カウンター越しに店内を見渡すと様々な景色が広がっている。最初に目に入ったのはラーメン店では初めてお目にかかるキッズスペースで、カウンターの背後に設けてあるが利用頻度は少なそうだ。その奥には製麺室も見られ、室内には大和製作所の高級製麺機〝リッチメン〟が鎮座している。そんな店内を本日は三人体制でまわしている。調理場内に目をやるとスタッフさんたちが、昼ピーク過ぎのアイドルタイムを利用して仕込みの最中のようだ。女性スタッフは仕込みを終えた細メンマを丁寧に並びや向きを揃える作業をしていて、盛り付けた時の美しさのために一手間をかけていた。また若い男性スタッフは粉末カンスイを液体に溶く作業を、キッチンスケールを使ってグラム単位で軽量しながら仕込んでいる。液体が黄色く染まっていたのでクチナシ色素も配合されているようだ。あまり見かけることのない仕込みの裏側の細かさに、これから出会うラーメンに期待しながら待っていると着席して3分ほどで我が杯が到着した。

その姿は白磁の鳴門丼の中で実に美しい表情を浮かべている。シンプルではあるが作り手の思いが詰まっていると感じる景色だ。店内の製麺機や細やかな仕込みを見ているだけに、逸る気持ちを抑えられずにレンゲを手にした。

まずは萱草色のスープをひとくち。細やかな粒子の鶏油がエルドラドのように光り輝いているスープにレンゲを落とし込むと、ほとんどレンゲに係る抵抗を感じずにレンゲにスープがすくわれてきた。たったレンゲの中だけの少ないスープからも鶏出汁特有の香りが立ち昇ってくる。レンゲが口元に近づくごとにスープの香りも強くなり、口に含んだ瞬間に旨みが口に広がった。鶏ガラと野菜の旨みと塩ダレの白醤油のキレが相まって、清らかながらも味わい深いスープを作り上げている。そんなせっかくの土台があるのに大量の底上げ要員が加担しているのが非常に残念に思い、スープを惜しみながら麺へと移行する。

その分も期待を上乗せして麺を持ち上げてみると、麺上げまで25秒ほどと短い茹で時間のストレート細麺は自家製麺ならではの個性的な麺肌が見られる。全粒粉配合のフスマが麺肌に浮かび上がり、細麺ながらも切刃のエッジを残した鋭い麺質を感じる。箸先からは加水率の低さを思わせない重みも伝わってくるので、食べ応えが楽しみになってきた。多くの想像をかき立ててくれる麺を一気にすすってみると、凛としたハリのある口当たりが唇を通過すると連動して小麦の香りも引き連れてくる。そんな勢いよく滑り込んできた麺を噛んでみると、東京以西の中でも特に神奈川県の淡麗系に合わせた自家製麺のようなシルクタッチの食感ではない事が幸いした。あの奥歯の咀嚼から逃げようとする歯切れの悪さが苦手なので、この麺のようなダイレクトに咀嚼に応えてくれる麺質が好みなのだ。口当たりから歯応えも喉越しにも優れた自家製麺はとても好印象だった。

具材のチャーシューは豚モモ肉のロースト型でしっかりとした赤身が特徴的だが、随分と肉汁が抜け出してパサついた食感となっていた。切り置きならば仕方ないが切り立てチャーシューを味わってみたいと思ってしまった。

また追加した味玉も浸けダレの味乗りが悪く、ゆでたまごと変わりない仕上がりが好みと違っていた。たまたまの巡り合わせかもしれないが、追加しなくても良かったと思ってしまうような味玉で残念だった。

そんな具材の中でも大活躍を見せてくれたのはメンマだった。丁寧な仕込みを見たからではなく盛り付けにも気を使われている細メンマからは店の皆さんの〝メンマ愛〟があふれ出ていた。見た目も味付けも食感のどれを取っても文句なしの素晴らしいメンマだった。そんなメンマなのに薬味の三つ葉と白ネギの下に隠れてアピールしてこない所も心憎い。

そんなメンマを覆っていた薬味の白ネギも丁寧に水にさらしてあり不必要な辛味を抜いてあった。そんな小さな薬味に対するこだわりにも感心した。彩り役の三つ葉も適度な香りだけを演出すると脇役として全うしていた。

自家製麺の自然なおいしさとスープの不自然な旨味とのアンバランスに戸惑いながらも、麺だけは完食したがスープは飲まずにレンゲを置いた。これにて今回の高崎遠征も終わりを迎えるかと思いきや、今夜の会食がキャンセルとの連絡が来た。これは更に群馬を楽しむチャンスとなったので、知人から怪しすぎると耳にしていた伊勢崎の夜のネオン街を知るために人生初の伊勢崎駅への思いがふくらむ一杯となりました。

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「特製醤油そば (全部のせ) 手揉み麺 ¥1000」@麺処 いち林の写真平日 晴天 10:25 待ちなし 後待ち4名 後客10名以上

〝上州高崎 二泊三日ラーメンめぐり〟番外編

当初は一泊二日の高崎めぐりの予定だったが、突然の同伴出勤のお誘いを受けて延泊する事になった。予定では昨日の夜に三食目(二日間で六食目)を食べてから帰京しようと考えていたのだが、二食目を食べ終えたあとに前夜の高崎ナイトで知り合って連絡先を交換した女の子からの食事同伴を受けて考えていた三食目を断念していたのだ。

もともと連泊予定ではなかったので慌てて駅前のホテルをとって同伴のための食事先を検索すると、駅の近くに和食料理店を見つけ予約を済ませた。その先は大人の諸事情で割愛させていただくが、ご機嫌な高崎はナイト2を楽しんだ。

何時にホテルに戻ったか記憶は定かではないが、今朝の目覚めの良さからはそれほど遅くまでは呑んでいなかったと思われる。早朝8時にベッドから抜け出すと濃いめのコーヒーを飲みながら本日の店探しを始めた。

高崎市内にも行ってみたい未訪問店はあるのだが、少し足を伸ばした先にいずれは行かねばならぬ人気店がある事に気付いた。それはRDBのスパコンがオススメに挙げているコチラなのだ。

そこで本日は高崎めぐり番外編のスピンオフ企画として恒例の対決をすると決めた。

〝第33回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を連日開催する。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から、その店のイチオシではなく、自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去32戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」「らぁ麺 飛鶏」「中華そば 勝本」「◯心厨房」「家系総本山 吉村家」「自家製麺 くろ松」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は32戦14勝9敗8分7KO勝ち1KO負け1没収試合と、先日の高崎での対決では初のKO負けを喫してしまったのだ。

それでもまだ私の勝ちがリードしているのは私の偏った偏屈な趣向とスパコンのオススメ店に大きくズレが生じているからだろう。現時点でもスパコンのオススメには一度もレビューアップした事のない、つけ麺専門店が半数以上を占めており対戦相手選びに難航していた最中なのだ。そんな状況下で挙がってきた店なので多少遠くあっても初訪問を決意したのだ。

こちらを目指すには高崎駅前から出ている関越バスに乗れば一本の乗り換えなしで向かうルートがあったが運行本数が少なく、11時開店前の現着を目指すには 9:25発 渋川駅行きに乗車するしか手段がなかった。そこでホテルを午前9時にチェックアウトすると西口バスターミナルに向かって定刻通りにバスに乗った。

やはり車社会の群馬県でバスを利用するのはお年寄りばかりで、私でも断トツの最年少である。そんな人生の大先輩方と一緒に揺られながら一時間ほど北上すると、最寄りの総合グランド前バス停に着いた。バス停の名前の通り、目の前には野球のグランドがあった。梅雨の合間の日差しに輝く鮮やかな緑色の芝生を眺めながらナビを片手に大きな交差点を曲がり店を目指すと、大型靴店と大型眼鏡店が乱立する〝靴天国 眼鏡銀座〟が印象的な通りを5分ほど進むと木目に筆文字の看板が見えてきた。

定刻の30分以上も前なので行列も出来てないので目の前にある大型電気量販店に、どこかのホテルかサウナに忘れてきたモバイルバッテリーを買いに行った。大型店と言えども午前中の電気店には私しか客がおらず貸し切り状態だったので、マイケルジャクソンのような買い物を楽しめた。購入したのはバッテリーだけだがリッチな気分になって店先へと戻った。

再び先頭をキープして暑い日差しの中でオープンを待つ事にした。定刻に近づくにつれて店先の駐車場には車が押し寄せてきて開店待ちの列も増えてきた。すると定刻通りに開店となり、上州の空っ風対策であろう二重扉の中の券売機にて豊富なメニューに迷いながらもマイスタンダードの醤油で勝負を挑んだ。減点法で採点しているので具材が増えると相手には不利にはなるが、せっかくここまで高崎駅から790円のバス代を払って来たので全部のせの特製のボタンを押した。

店内に入りカウンターへと案内されると店主さんの正面に座り、卓上の麦茶で喉を潤しながら店内観察をはじめる。テーブル席も設けてあるが決して広いとは言えないちょうど良い客席の店内を、本日は三人体制で回している。茶系で統一された客席と過度な設備の見られないシンプルな厨房内は、不思議と落ち着いた雰囲気が流れている。安定したオペレーションを眺めながら待っていると、ワンロット一杯の丁寧な調理にて着席後4分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の高台丼の中で特製ならではの圧巻のボリュームを見せつけている。これで1000円とは驚きのビジュアルだが、コスパや価格設定は評価の対象にしないため心を落ち着かせてレンゲを手にした。

まずは赤みを帯びた弁柄色のスープをひとくち。たっぷりと液面を覆った鶏油の薄い部分にレンゲを射し込もうとするが、ふんだんな具材たちが邪魔をしてレンゲを沈める場所が見当たらないくらいだ。それでもレンゲの底を押し込んでスープをすくい上げると、分裂した粒子の鶏油が店内の照明をキラキラと乱反射している。その景色を見て美味しくないはずがないと確信して口に含むと、予想以上の香り高きスープが口の中はおろか身体中に鳴り響いた。その香味は上質な丸鶏由来と思われる鶏出汁の香りと、複雑でありながらも突き抜けた醤油の香りのカエシが織りなす素晴らしい香味だ。流行りのポルチーニやトリュフオイルに逃げないシンプルな構成だけに丁寧な仕込みが想像されて、何を足しても何を引いてもこの味わいに到達できないバランスの良いスープと出会ってしまった。少しばかり高めの塩気も麺や具材との相性を考えられての設定だと思い先へと進んだ。

開店前に店頭で並んでいるときに店内から麺を切るような音が聞こえていたのと、営業時間の短さから勝手に自家製麺かと思い込んでいたが、そんな表記はどこにもないので外注麺なのだろうか。麺は細麺と手揉み麺から選べるシステムだったので、絶賛マイブーム再燃中の手揉み麺を迷わずチョイスした。カウンター越しに調理の手元が見えないので想像力を働かせてみると、麺上げまでは230秒程度と思われる手揉み麺を箸で持ち上げてみる。その箸先には手揉みながらも割と規則的な波状の平打ち麺が現れた。掌底で強く押し込んだような潰れた麺肌ではなく、切刃のエッジも残っている平打ち麺だ。一本一本の重みが箸先からも伝わってくるので加水率は高いと思われる麺を、スープの拡散に臆する事なく一気にすすり上げる。どっしりとした口当たりと滑らかな舌触りと歯応えの強さが一瞬で喉の奥へと消えて行った。もし篠原涼子さんに楽曲を提供するならば 「♫ 図太さと滑らかさと力強さ」 というタイトルで歌って欲しくなるような大ヒット間違いなしの素晴らしさを麺質だ。先程まで懸念していたスープの強気な塩気も小麦の甘みと相まって新たな味わいを生んでくれる。今回のスープと麺との相性が抜群だったので細麺も味わってみたいと、この時点で再訪の願いが湧いていた。

具材のラインナップも特製ならではの豪華布陣で出迎えてくれる。チャーシューだけでも部位や調理法、切り方の違いを含めれば三種類ものチャーシュー陣が待ち構えている。初見の段階で好物のタイプの焼豚を見つけていたので食べる前から興奮が抑えきれずにいた。豚肩ロースを使った広東式叉焼、通称 赤耳焼豚は大判であるはずの肩ロースを肉質の持ち味を際立たせる為に、赤身だけの部分と脂身の多い部分と両方のバランスが良い部分の三つに区別されて切り分けされて仕込まれている。味付けに関しては蜜ダレの軽やかな甘みが、吊るし焼きならではの個性を引き立てる。それぞれの部位によって火の入れ加減を微妙に変えているのも心憎く、赤身はしっかりとした肉質を楽しめるように完全に熱を通し、脂身の多い部分はしっとりとレア感を残してある。もしかしたら店主さんの狙いではなく偶然だったとしても、一期一麺の精神に則って高評価は揺るがない絶品焼豚だった。さらにはこの焼豚の切り落とし部分も角切りにて入っている。端切れと言えども引き締まった赤身に浸みた濃いめの浸けダレが食欲を掻き立てる。小ぶりではあるが抜群の存在感を発揮していた。

一方の豚バラの煮豚型は食べ応えを重視した作りの前者に対して、柔らかな食感でコントラストを表現している。もちろん赤身と脂身のバランスの良い肉質で味付けも丁度良い。

肉部門の具材としては券売機にオススメとあった〝つくね〟も入っていた。鶏ひき肉で仕込まれたつくねは、フワッとした柔らかさを持ちながら鶏軟骨の食感と大葉の香りを活かした仕上がりとなっている。よくありがちなパサつきなどは微塵も感じさせずにしっとりとしているのは、鶏ムネ肉ばかりではなく鶏モモ肉も含まれているのだろうか。もしかすると、セセリ肉を挽いたものではないかと思うくらいに心地良い食感であった。

大好物の味玉には大変うるさいのだが、非の打ち所のない完璧な仕込みを見せてくれた。まずは中心部までの浸透がより早い小ぶりな卵を採用されている選球眼が素晴らしく、小玉の特性を十分に活かしている。下茹での半熟具合に始まり、均一に黄身を熟成させた漬けダレの浸透圧加減もベストだ。その熟成に伴うはずの塩分過多も感じられずに卵本来の旨みも残してある。提供温度も常温以上に温められているのも一仕事を感じられて好印象だ。ただ一つ個人的な欲を言えば、半カットではなく全卵のままで添えてあれば難くせをつけずに済んだかもしれない。半カットされていたので口にする前から美味いと分かる熟成度も見えていてので、食べた時の驚きは少なかった。しかしそれくらいしか言う事のない味玉だったのは事実である。

メンマにも手作りの愛が溢れていて大満足な仕上がりだった。見た目の醤油色ほどは味も濃くなく乾燥メンマ特有の発酵臭も感じられた。歯応えも固すぎず柔らかすぎない絶妙な食感で楽しませてくれた。

薬味の布陣も卒なく脇を固めている。青ネギの小口切りは大胆に切られてはいるが、切り口の潤いからも鮮度の良さが伝わってくる。開店直後の一番客なのに、前日分の残ったアニキ薬味ではない事に驚いてしまうくらいにアニキネギが一般化していると感じる。こちらの薬味のように、そうでない事が当たり前になって欲しいと望んでしまう。

また青みの小松菜にも愛を感じられる。手間を惜しんで切りっぱなしの水菜が青みとして台頭している現代で、ひと手間かけて店で茹でた青菜を使われている事もうれしい限りだ。その上に葉先と茎の部分をバランスよく巻いた仕事ぶりにも頭が下がる思いだ。丁寧に水気を切られて長さを揃えて切ってある姿には〝青み愛〟が溢れている。過去にはカイワレを添えてあった気もするが今回だけの幸運だったのかも。

もうこれ以上に褒める所がないと思われたが、丼の口縁にそそり立った海苔も品質の良さばかりでなく保存状態の良さが伝わってくる。そこには目利きの良さと食材へのこだわりを強く感じられる。パリッとした鮮度の良い黒々と密度の詰まった高級海苔を十字四切と大判なカットで三枚も添えてあり、そのまま食べると香り高く厚みのある歯応えを楽しめる。スープに浸して口にすれば消えて無くなるような口溶けの良さが楽しめる2WAYタイプの上質海苔だ。

無我夢中で勢いのままに完食すると少しだけ舌が疲れてきたのは、やはりスープの高めな塩分設定によるものだろう。飲み干せなくもなかったが、心地良いまで終わりを迎えたくてスープは残して箸とレンゲを置いた。

それでも高得点は間違いないラーメンとの出会いだった。これでスパコンのオススメに対する信頼も随分と大きくなった。結果として88点を付ける事になり、スパコンとの対決は私の完敗となった。通算対戦成績は33戦14勝10敗8分7KO勝ち1KO負け1没収試合となった。

今回の高崎めぐりの番外編を含めると、群馬県のラーメンのクオリティの高さを思い知ると共に、高崎ナイトのノリの良さを感じたので近々の再訪は免れないと思った一杯でした。

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このレビューは移転前のものです。

「味玉らぁめん (醤油) ¥880」@らぁめん家 有坂の写真平日 晴天 13:25 先客1名 後客なし

〝上州高崎 一泊二日ラーメンめぐり〟

午前中に高崎遠征での四食目を終えると、もはや乗りなれた感のある群馬バスにて高崎駅まで戻ってきた。それは本日の連食先に選んでおいたコチラへと向かう為のワンクッションを置こうと思い、駅ビルのカフェにて時間を過ごした。

前食から二時間も経過すると、少し胃袋に余裕が出来たのを確認すると高崎駅からも歩いて行けるコチラを目指した。駅から5分も歩けば目的の店があるはずなのだが、一向に見つけられず迷ってしまった。それもそのはず、外観からはラーメン屋とは全く見えない店構えなのだ。怪しげな黒い外壁に暖簾や提灯などは勿論なく、何屋かすらも分からなかった。実際に二度も前を通り過ぎたのに気が付かなかったほどだ。

ようやく小さな看板を見つけ恐る恐る店内へと入ってみると、外観がラーメン屋と思えない理由がようやく理解できた。薄暗い店内はBARそのものでウイスキーなどのボトルが並んでいて営業時間が深夜までと遅いのも納得できた。券売機は設置されてないので卓上メニューから品定めをするが、迷わずに済むシンプルな構成だったのでマイスタンダードの醤油に味玉入りをお願いして店内を物色する。

黒とシルバーを基調とした店内にはBARらしくない要素がいくつもあった。それは店内に高く積まれた煮干しの箱と、チラッと見える製麺機である。その山積みにされた煮干しの箱だが、産地別で言うと千葉 長崎 八戸 島根 広島 熊本 香川などの同県内産を含めると総勢11種類の煮干し箱が積まれている。前調べ段階で煮干し系なのは承知していたが、かなりの煮干しへのこだわりを感じた。さらには全貌は明らかに見えないが品川麺機のマイティ50らしき製麺機も店の奥には鎮座しているので、自家製麺を期待しながら待っていると着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の切立丼の中でシンプルでシャープな景色を見せている。店内の煮干し箱とは合致する表情だが、BARのような内装とのギャップに驚く。最近では私も少しはニボ耐性がついてきたのか、味の想像が出来るようになってきた事に驚きながらレンゲを手にした。

まずは煎茶色のスープをひとくち。煮干し系としては濃度を強く感じさせない液面にレンゲを落としてみると、レンゲを持つ指先に係る抵抗の低さが苦手意識を和らげてくれる。レンゲに湛えたスープからも過剰な煮干しのクセを感じずに口に運ぶことが出来た。スープを口に含んでみると先陣を切ってくるのは煮干し主体の魚介系の香味ではあるが、明らかな鰹節由来のキレのある旨みと香味も帯同してくる。勝手に単一系の煮干しスープだと思っていたので、いい意味で裏切られた事をありがたく思った。そんな淡麗とも思える煮干しスープはカエシの塩気も抑えてあり、出汁を味わえるように作られていると感じる。そんな穏やかながらも旨みが活きたスープに合わせた麺を楽しんでみる。

調理場が全く見えないので定かではないが、麺上げまで45秒と思われる中細ストレート麺が液面から浮かび上がっている。店内に設置された製麺機や日清製粉の〝麺遊記〟の粉袋からも自家製麺で間違いないと思われるが、麺遊記の小麦粉で打たれた麺ならばタンパク質の多さを想像しながら箸で持ち上げてみる。箸先には鋭利な切刃のエッジが見られる中細ストレート麺の軽やかでシャープな麺肌が現れた。他に類を見ないタイプの半透明な麺肌からはオリジナリティを感じずにはいられず、麺を一気にすすってみる。するとBGMのない無音の静寂した店内に、ズズッというすする音だけが鳴り響いた。見た目そのままに切刃の角が鋭く唇を通り過ぎると、低加水ならではの粘りの少ない口当たりで飛び込んできた。しかし麺肌に浮かんだ透明感のあるグルテンが口当たりをサポートしてくれ、煮干し系では類を見ない滑らかさも同時に感じた。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚型が薄くスライれて四枚盛り付けてある。電動スライサーで切られたのかと思うほどに厚みが均一な四枚なので、贅沢を言うならば薄切りではなく厚切りの一枚で食べてみたいと思うほどに味付けが良かった。

追加した味玉の熟成具合は限りなく好みに近かったのだが提供温度の冷たさが、せっかくの濃度の高い黄身の旨みを失わせているように思えて残念だった。

薬味の白ネギの小口切りも葉先の部分が多く占めているので強い香りを放っているが、スープの中でも個性を発揮していた。ただ切り口が乾いてしまって舌触りの悪さも目立っていた。

中盤からは煮干しの香味に脳が慣れてきたのかイメージが随分と薄れてきた。それに反して強く感じてきたのが鰹節の香りと旨みで、煮干しよりもキレのある味わいが飽きさせる事なく箸の動きを進めてくれた。気が付けば麺と具材は完食していが、スープ単体で飲むには全ての要素が強すぎたのでレンゲを置いた。

新たな煮干し系ラーメンとの出会いを楽しんだ後に、高崎めぐりの最終日のラストラーメンを探そうと思っていたところに、まさかのサプライズが起きたのだ。それは昨夜の飲み屋で知り合って連絡先を交換した女の子からの今夜の同伴出勤の誘いだったのだ。

もちろん間髪入れずに承諾の旨を返答し、今後のすべての予定を急遽変更せざるを得ない一杯となりました。

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「ワンタンメン (手打ち麺) ¥830 +味玉 ¥100」@手打ちラーメン 清仁軒の写真平日 晴天 11:10 先客6名 後客8名

〝上州高崎 一泊二日ラーメンめぐり〟

昨晩は予期せぬJ系に打ちのめされた後に起死回生を狙って高崎の夜のネオン街に繰り出すことにした。その前に焼鳥屋でガソリン補給をしながら夜の高崎情報を調べてみると、どうやら宿泊先のホテルからも歩いて行ける距離にネオン街が集中しているようなので、とりあえずは店も決めずに記された場所へと向かってみた。

ナビを片手に歩いて向かったが大通り沿いにはそれらしいネオンも看板も見つからず不安になっていると、突然に古びたアーケードの商店街が現れた。地方によくある感じの商店街は、ほとんどの店が夜はシャッターを下ろして閉店しているが、ところどころに怪しくネオンが光っており客引きのお兄さんがチラホラと立っている。そんなアーケード内で最初に声を掛けてくれた客引きの店に入ろうと決めて、商店街を歩いてみるが私に誰も声を掛けてくれない。よそ者感が出てしまっているのか、上客感がなく見えるのか話しかけてくれない。仕方なく商店街をUターンしようかと思った最後の客引きがようやく声を掛けてくれたので、システムも聞かずに即決で店に飛び込んだ。あとで話を聞けばオープン二日目との事で、ラーメン店だけでなくキャバクラも新店めぐりとなってしまった。お店の女の子たちから現地のラーメン情報を聞きたかったのだが、地元の女の子に当たらずに埼玉在住の女の子ばかりだったのは残念だった。そんな女の子の中に新桐生出身の子がいて「らーめん 芝浜」の話題で盛り上がれたのは唯一の救いだった。3セットほど楽しんだ後は大人しくホテルに戻りベッドに身を沈めた。

おかげで翌朝は快調に目覚めると、大浴場で朝風呂を浴びてから高崎二日目の店さがしを始める。しかし月曜定休のラーメン店が多く候補の店は限られてくる。そんな中に見つけたコチラを本日の一食目に決めると行動を開始した。運よくホテル前のバス停から5分程度で最寄りの本町二丁目バス停に着いた。そこから城下町らしい街並みを歩いて行くと3分で赤い屋根に白のれんの掛かった店先が見えてきた。

開店時間を10分過ぎての現着も行列がなく助かった。店内に覗くと空席もあったのですんなりと入店。入口左手に置かれた小型の券売機からマイスタンダードの醤油系にワンタンと味玉に惹かれて追加発券した。食券を女性スタッフさんに手渡してカウンターに座るとすぐに後続が増えて店内はテーブル席も含めて満席となり、中待ち席だけでなく外待ちも発生していた。タッチの差で一巡目に間に合ったが人気の高さは評判通りである。

そんな人気店の本日の客層は私クラスの中年層のオジさんばかりで全員オトコ祭りだ。そんな店内を二人体制で切り盛りしている。白と木目調のシンプルな内装が清潔感を生んで居心地良くラーメンを待つ事ができる。実直そうな店主さんと気配りのできる女性スタッフとのコンビを眺めていると着席して15分ほどかけて我が杯が到着した。

その姿はワンタンに味玉も入っているので通常の丼よりも大きなタコ唐草紋様の高台丼の中で盛りだくさんな景色を見せる。個人的に一番好きなラーメン鉢だけでテンションも上がってしまったが、正気を取り戻してラーメンに集中すべくレンゲを手にした。

まずはスープをひとくち。ドットの大きな油膜に守られたスープにレンゲを落とすと、清らかな透明感に反して野太い動物系出汁の香りが立ち昇ってきた。野太いと言っても獣臭いとではなく、どっしりとした分母の大きさを感じさせるスープの香りだ。いざスープを口にすると主には豚清湯と思われるが、浮かんだ油膜には鶏油の風味も感じられる。豚由来の持つ個性をクセとなる寸前で抑えてあり、旨みだけを引き出してある。その旨味の中には甘みの部分が多く存在しているが、野菜類からの自然な甘みとは違って感じるのはやはり昔ながらの旨味の補填だろう。シンプルな動物系清湯スープと思っただけに残念な甘みだった。そんな出汁に合わせるカエシの醤油ダレは見た目の醤油感よりも優しく、スープに輪郭を与える程度に抑えられていたのはありがたかった。

いよいよ待望の自家製手打ち麺へと進んでみる。当日の麺ディションによって変化するのだろうが、本日は店主さんの持つ菜箸の感覚だけで330秒ほどで麺上げされたのは平打ちぢれ麺。持ち上げた箸先の感覚からは男性的な強い質感はなく、女性的な柔らかな麺質を思い描いた。手揉みによって生まれた、ちぢれの周波も鋭さはなく〝コワモテ〟な表情を見せず和やかに見える。箸を持つ指先からは女性的に感じる自家製麺をたぐってみると、個人的には茹で過ぎにも思えるハリの弱さが口当たりとして伝わってきた。勿論これが店主さんの狙いだから仕方ないが、自身の好みからは随分と違った平打ち麺だった。他の具材を味わっている最中にも麺がダレそうな気がするくらいに柔らかく、すでに麺肌に溶け出したグルテンの癒着も始まっていた。出来るだけ麺を食べ急いでから具材へと移行した。

具材のチャーシューはワンタンメンにしたせいか随分と小ぶりな豚バラチャーシューが入っていた。それはいわゆる三枚肉の赤身の部分だけしか入ってなく脂身のない部分で、悪く言えば切り落としにすら思えてしまうほどの最も残念な具材だった。

それでもワンタンに関してはワンタンメンをオーダーしたので質、量ともに申し分なかった。やや大きめに包まれた肉餡は豚ひき肉の旨みを消さない程度に八角などの中華香辛料を加えてあり、必要以上の個性をアピールしてこない脇役的な名ワンタンであった。それでも肉々しい食感は特徴的で、ワンタン皮も自家製ならではの薄さで軽やかな喉越しを生んでいた。この肉餡の食べ応えとワンタン皮の喉越しの共演を楽しめただけでも来店した甲斐があると思える仕上がりだった。

追加した味玉は昔ながらではなく現代風の半熟味玉だったが、好みの熟成感はなく白身が薄っすらと色付いただけの〝色玉〟だったのも残念なだった。

ふんだんに盛られたメンマは形は不揃いであったが食感の違いを生んでくれ、様々な角度からアクセントとなってくれた。味付けも〝ぬめり〟のある最近では味わえない舌触りも個性的に思えた。

薬味の白ネギは粗々しい切り口が、このラーメンには合っているように思えた。白ネギからの強めな香りも、刺激的な辛味も全体のバランスとしては欠かせない存在なのかも。しかしながらナルトには必要性を感じずに食べる事なく箸を置いた。

やはり中盤からは舌が疲れを感じてしまい食べ切る事は出来なかった。昔ながらの名店の味を継承されている中で独自の進化も感じられるラーメンだった事は間違いなく、更なる進化を遂げた時のラーメンを期待してしまった一杯でした。

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「高崎ブラック ¥830」@らーめん 小烏丸の写真日曜日 晴天 19:40 先客8名 後客1名

〝上州高崎 一泊二日ラーメンめぐり〟

採点から見ても察してもらえると思うが、高崎に来て最初の悲劇が待っていた。まさに天国から地獄とはこの事で、前食で出会った素晴らしいラーメンに大満足して店を出た。すでに予約を済ませたホテルに午後3時ちょうどに早々とチェックインを済ませると、誰もいない大浴場で一番風呂を浴びた。それから風呂上がりの缶ビールを楽しむと、今朝の早起きのせいもあってかベッドに横たわってしまった。すると二時間ほどウトウトしてしまい目が覚めると夕方6時半を過ぎていた。せっかくの高崎遠征なので本日中にもう一軒くらいは巡ってみたいと思い、寝ぼけ眼でRDBを開いてみる。

群馬県の中でも高崎市に絞り込んで総合ランキングを見てみるが、日曜の夜営業をしている店はかなり少ない。そんな中で見つけたのがコチラだったのだが、苦手なJ系オンリー店という事は知らなかったのだ。それというのもレビューの中には中華そばがあったり、お店情報の備考欄にもJ系を示す文字がなかったのだ。

そんな事も知らずに初訪問を決めて着替えを済ませると、ホテルの目の前のバス停から本日3度目のバスに揺られて10分ほどで最寄りのバス停に着いた。そこからは日の沈んだ街並みを数分も歩くと飲食店が多く入った建物が見えてきた。

何ひとつとして疑いもなく店内に入ると、先客の男性陣が食べているラーメンの姿を見て震えあがったのだ。それはまさに苦手なJ系で〝J耐性〟がゼロの私には衝撃の光景だった。すぐに店を出ようとも思ったが、ほぼ満席のカウンターには半数近くの女性客もいてスープ以外は完食している方が多かった。その女性客のほとんどが黒いスープのラーメンを食べていたので、それならばJ系ではなく中華そば的なメニューがあるのではないか信じて券売機の前まで進んでみた。しかし基本らしいJ系らしいボタンしかなかったので、仕方なくスタッフさんに「黒いスープのはどれですか?」と尋ねると「限定メニューのボタンを押してください」との事だったので押してみると〝高崎ブラック〟なる限定メニューのボタンが現れた。藁にもすがる思いでJ系でない事に望みをかけてボタンを押してみた。

その後カウンターに座るが落ち着かないままに店内を物色してみると、たしかに女性客もいるが平均年齢は確実に私の半分以下である事は間違いない。内装はロールスクリーンで外の世界と遮断されたような孤立感のある独特の雰囲気が、中年おじさんの警戒心を強くあおる。そんな店内を本日は二人体制で回しており、突然に一人のスタッフに話しかけられた。

「11番のお客さん、どうしますか?」

最初は何のことだか理解できなかったが、これがJ系の呪文コールのキッカケだと分かるまでに時間はかからなかった。応用力を備え持っていなかったので「普通で」と安易に答えてしまった。

すると目の前にヤサイがどっさりと盛られた人生初ではないが、レビュー開始以後では二度目と思われるJ系ラーメンが到着した。その姿は白磁の高台丼の中で〝いかにも〟な景色を見せつけている。J系ファンの方には申し訳ないが食べる前からダメな予感しかしてこなかった。

まずはスープをひとくちと思ったが、液面すら見られないほどにヤサイが覆っているのでモヤシを押し込むようにしたレンゲを入れた。すると〝高崎ブラック〟の名の通りに暗黒のようなスープが現れレンゲの中に収まってきた。恐る恐るスープを口に含んでみたが、今まで感じた事のない強い旨味成分が襲ってきた。それは舌が取れそうなほどの衝撃だった。

それを感じた瞬間にスープを諦めるとレンゲを置いて、レビューの為だけに心を強く持ち箸を握って麺を持ち上げてみた。箸先に持ち上げられたのは麺上げまで240秒程の太ちぢれ麺で、スープの醤油色素を完全に吸い込んでしまい、とても食べられそうもない見た目をしている。無理をしてでも食べるべきだったが、スープの強い旨味とコショウの刺激がつきまとっていそうなので口にする事すら諦めてしまった。

具材のチャーシューは分厚い豚バラロールの煮豚型だったが、食べる事が出来ないくらいに舌が弱ってしまった。

すでにヤサイを食べる気力は残ってなかったが、見える範囲でもキャベツの芯がほぼ生の状態で入っていたりと食欲を削ぐ光景を見て箸を置いた。

全ては私自身の勉強不足と経験不足のせいで申し訳なく全てを残してしまったが、個人的な見解なので参考にはしないで欲しいと思う一杯でした。

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「(松) 特級中華そば ¥950」@自家製麺 くろ松の写真日曜日 晴天 13:55 中待ち9名 外待ち7名 後待ち12名

〝上州高崎 一泊二日ラーメンめぐり〟

先ほど午前中の「ラーメンキッチン いいづか」での高崎めぐり一食目を終えると、何とかギリギリで運行本数の少ない帰りのバスに間に合って高崎駅まで戻ってきた。

何を隠そう今回の高崎遠征では、もうひとつの目的があったのだ。それは以前から開催しているRDBのスパコンとの対決のためでもあったのだ。そこで今回の高崎めぐりの二軒目として選んだのがコチラなのだ。

そこで今回は〝第32回 RDBの超高性能スーパーコンピューターが算出したオススメ店は本当に私に合うのか!〟を連動して開催する。

このイベントは、RDB PC版のオススメに挙がる六店舗から対戦相手を選び、その店のイチオシではなく、自分の好きそうなメニューを食べて採点し超高性能スパコンとの勝敗を決めるものである。決してお店との勝負ではないのは理解していただきたい。

採点基準は90点以上付いたなら私のKO負け、80点以上ならば判定負け、70点台なら引き分けとし60点台なら判定勝ち、59点以下の点数ならば私のKO勝ちとする。

過去31戦の対戦相手は「風雲児 」「麵屋一燈 」「煮干しつけ麺宮元 」「竹末東京プレミアム 」「さんじ 」「麺処 晴」「燦燦斗」「神田 勝本」「中華そば屋 伊藤」「麺処 ほん田」「煮干中華ソバ イチカワ」「麺屋 和利道 warito」「らーめん 芝浜」「らーめん かねかつ」「狼煙〜NOROSHI〜」「ラーメン大至」「中華ソバ 伊吹」「麺処 朧月」「Bonito Noodle RAIK」「中華蕎麦 とみ田」「陽はまたのぼる」「神田とりそば なな蓮」「ソバダイニング クアトロ」「旬麺しろ八」「MENSHO」「麺小屋 てち」「らーめん 鉢ノ葦葉本店」「らぁ麺 飛鶏」「中華そば 勝本」「◯心厨房」「家系総本山 吉村家」と名だたる有名店や人気店が並ぶが、通算対戦成績は31戦14勝8敗8分7KO 1没収試合と現在は私の勝ちがリードしている。

現時点では地方遠征の影響で都内のラーメン店が一軒もオススメ店に挙がっていない。そこで関東近郊まで足を伸ばすために高崎遠征を計画したのが第一の理由なのだ。

正午ちょうどに戻ってきた高崎駅のカフェで時間の経過と消化具合を見計らったところで対決場所のコチラへと向かった。今度は西口から、まちなかぐるりん0都心循環線に乗車して最寄りのスズラン前バス停まで5分で着いた。そこからは高崎城跡を左手に見ながら公園内を歩いて行くと10分足らずで黒塀に白のれんの揺れる店先が見えてきた。店先には屋号の由来なのだろうか大きな黒松の盆栽が出迎えてくれた。休日の昼すぎなので想定していた行列は意外にも少なく思いながら最後尾に続いた。店頭のメニュー看板から本日のお題を決めて対決の時を待った。

徐々に前へと進み店内の様子が見えるポジションにまで来ると、店内待ちの多さに驚かされた。やはり人気店だけに中外を含めると総勢15名以上の行列があったようだ。ようやく外待ち20分を経て中待ちへと昇格すると、涼しげな風鈴の音色の下の中待ちベンチにて店内観察を開始する。

コンクリートの打ちっ放しと木目調のカウンターを融合させた、オシャレで清潔感のある内装が目を惹く。レジカウンターの上には神棚も祀られてあり、ラーメン店でよく見かける「あきらめねぇよ‼︎」と書かれた東北復興支援タオルも飾られている。そんな店内を本日は四人体制で回されているが、どうやら奥様は身重のようでお腹の感じからは臨月くらいに思われるがホールを主に仕切っておられる。中待ち途中に奥様にオーダーを聞かれたので、ハイエンドのメニューをお薦めの白醤油でお願いした。そんな体調でも見事に行列をさばいて誘導する姿を心配ながらに見ていると、計45分の並び時間でカウンターに昇格した。それもご主人の目の前の特別リングサイド席に案内された。

そこからの景色は圧巻で調理場の奥には品川麺機の製麺機が設置されており、実際に麺切りの最中であった。ロール状に巻かれた麺帯が切刃を通って切り出しされると、麺線となってまとめ上げられている。出来るだけ切り立ての麺を使われているという事なので、これは自家製麺への期待は高まるばかりだ。茹で麺機も大型の二連式を見ると修行先の目黒「かづ屋」の系譜を思わせる。勿論テボは使用せず平ザルで麺上げ作業を行われていた。さらには業務用真空包装機や低温調理器も揃っていた。充実した厨房設備やご主人の平ザルさばきに見とれていると、着席して5分も待たずに我が杯が到着した。

その姿は朱赤色の雷紋柄切立丼の中で、息を呑むような美しい景色で出迎えてくれた。これが美味しくないわけがないと、初対面で思えるほどの衝撃だった。いわゆる特製なので具材が多くて隠れてはいるが。実に美しく整えられた麺が一糸乱れぬ姿でスープの中で流れて見える。本日の二食目ではあったが、早く味わいたいと居ても立っても居られずにレンゲを手にした。

まずは金朱雀色のスープをひとくち。鶏油の粒子と言うよりは、大きなかたまりとなって液面に浮かんでいるのが特徴的だ。スープの色調よりも明らかに濃い油膜が液面の半分以上を覆い隠している。ある程度のオイリー感を想像しながらレンゲをスープに沈めてみると、蜘蛛の子を散らすように鶏油が分裂したのには驚いた。スープをすくったレンゲからは何とも言えない美味そうな香りが立ち昇ってくる。たまらずにスープを口に含んでみると、油膜の厚みからは想像できないくらいのサラリとした口当たりだがコクは十分に感じる。下地の淡い色合いのスープには鰹節と煮干しを主体とした魚介の風味が潜んでおり、鶏油のコクを重ねて深みと広がりを加えている。一切の雑味を感じないのはフレンチの〝コンソメ ド ヴォライユ〟の技法を用いて、一点の曇りもない透明感のあるスープを作り上げているのだろう。またカエシの白醤油がスープに汚れを付けずに味わいの輪郭だけを形成しているので、塩っぱくもなくボヤける事もなくベストの塩梅で寄り添っている。修行先とは違ったワンランク上の静寂さを誇る清湯スープには驚きと感動を与えてもらった。

大興奮のままに麺上げまで60秒ほどの自家製麺を箸で持ち上げてみる。全粒粉のフスマが淡く残った浅黒な麺肌と、切刃のエッジがシャープに浮き出た麺質が他ではお目にかかれないオリジナリティを感じさせてくれる。箸先からもラーメンでは感じたことのない手応えがあり、ロングパスタのようなハリとコシの強さが伝わってくる。やや透明感もある中細ストレート麺を躊躇なくすすり上げると、今まで感じたことのない鋭い口当たりが襲ってきた。しかしそのキレのあるすすり心地が素晴らしく、たまらず直ぐに二口目をすすっていた。想像以上にハリがありグルテンの弾力をダイレクトに感じられる歯応えと歯切れの良さも完璧ながら、喉越しまでも軽快とくれば申し分ない仕上がりの自家製麺だ。製麺室には複数の粉袋が見られたのでオリジナルの小麦粉の配合で打たれた麺なのだろう。このすすり心地の良さは他では味わえないと言うことは、麺の切り立てにも理由があるのかもしれないと思った。

具材のチャーシューは鶏肉と豚肉で仕込まれた二種類の低温調理タイプ。低温調理と言っても生っぽさばかりを主張するようなレアチャーシューとは別次元の仕上がりを見せる。先に淡白そうな鶏ムネ肉の方から食べてみると、かなりの肉厚にスライスされたゆえの噛み応えもある。目の前の鍋には低温調理器が 61℃に設定されていたので、真空処理された鶏ムネチャーシューの仕込み中だと思われる。基準温度よりも 1℃だけ高めなのがこだわりなのだろうか、しっかりと熱は通っていながらもしっとりとした舌触りも再現されている。もちろん下味のソミュール液の浸透もよく味もボヤけていない。

一方の豚肩ロースの低温調理チャーシューは、過去のレアチャーシューの中でも群を抜いた逸品だった。チャーシューも切り立てにこだわり、盛り付け直前に電動スライサーで切り分けられていた。その事が生み出す切り口の滑らかさは、まるでシルクのように繊細で潤いを帯びていた。こちらも味付けも抜群で赤身本来の旨みを残しながらハッキリとした味付けも施してあった。しかし驚いたのは切り口のみずみずしさで、こんなにジューシーな低温調理チャーシューを食べた事がないと言ってもよい仕上がりだった。広東式叉焼派の私が初めて唸ったレアチャーシューだ。

それだけで終わらずにメンマは今までで一番と言い切れる特別なメンマだった。極太タイプの完全乾燥メンマを一から下処理されて作られたメンマにも感動してしまった。柔らかいだけでなく、麻竹の繊維質を感じさせてくれる軽やかな舌触りは残してある。また発酵食品特有の発酵臭も取り除き過ぎないように残してある。そんな丁寧な下処理の上に、キリッとした味付けを加えて味わいも食感もキレよくアクセントになっている。これまた細メンマ派の私が唸るような極太メンマに高崎で出会ってしまった。

ここまではパーフェクトな展開だったが、自身の勝手な〝味玉論〟とは逆のタイプの味玉であった事は残念だった。それはスープに寄せた味付けなのだろうが、熟成度のない半熟たまごに少しだけ純米大吟醸酒の香りを付けただけの味玉は好みから外れていた。

特製扱いなのでワンタンも二個入っていたが、鶏ひき肉の餡に大葉をアクセントで和風らしく仕上げてあった。肉餡の大きな日式ワンタンで食べ応えはあるが、ワンタン皮が厚手であったりと喉越しを楽しむタイプのワンタンではなかった点も私には少し残念だった。特にワンタン皮を寄せた部分が重たくなり食感を悪くしていた。

青みも本来は散々とアンチカイワレ派を貫いてきたので茹で青菜を使われていない事は残念だったが、こちらのカイワレにはこだわりが見られたので単なる手抜き食材ではないと知った。それは盛り付け寸前に必要分だけを包丁で切り分けて使われていた点だ。これには切り口の鮮度の良さばかりでなく、ご主人の心意気を感じてしまった。出来るだけの切り立てにこだわった仕事ぶりには、アンチカイワレ派の私でも納得せざるを得ない青みであった。また薬味の青ネギを短冊状に切っているのは理由があるようで小口切りにすると終始スープに混ざってくるので不必要に感じる時もあるが、この切り方ならば必要な時にだけ口にすれば青ネギの香りを加えられるので邪魔にならずに脇役となってくれる。私はこの切り方には大賛成だ。

気が付けば、いわゆる〝秒〟での完食完飲となっていた。二食目であった事を全く感じさせない軽やかさのままに器の底が見えていた。味玉とワンタンだけは好みと違ったが余裕で大台を突破するラーメンであった。

これではスパコンのオススメに対しても圧倒的に完敗だと感じ、スパコン対決での初めての90点オーバーとなり私のKO負けたなってしまった。しかし今までも、この負けを望んで対戦してきただけにうれしさもひとしおである。

これにて通算対戦成績は32戦14勝9敗8分7KO勝ち1KO負け1没収試合となり、まだまだスパコンに勝ち越しているが初KO負けとなった。

無残なまでに大敗を喫したのに何故だか気分良く今夜の高崎での寝床さがしをすると、大好きなサウナと大浴場を完備したホテルを近くに見つけ予約した。夜の計画を立てる為に、まずはひとっ風呂浴びようとホテルへと歩いて向かう事になった一杯でした。

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「煮干しそば ¥780+味玉 ¥100」@らーめんキッチン いいづかの写真日曜日 晴天 10:40 待ちなし 後待ち4名 後客7名

〝上州高崎 一泊二日ラーメンめぐり〟

約4ヶ月前の高崎遠征で利用したタクシーのドライバーさんや信頼の置けるレビュアーさんからの耳寄り情報を元に、本日より高崎めぐりを開催する。

前回は言葉遊びの〝ノリ〟だけで訪れた高崎だったのだが「中華蕎麦 あお木」で出会ったラーメンに、小麦粉王国 群馬のレベルの高さを思い知らされたのだ。そこでいつかは高崎再訪への思いが強くなり、泊まりがけでのラーメンめぐりをする事になった。

昨晩からRDBを高崎市に絞り込んで店さがしをしていると、大好物の〝無化調〟の文字を謳ったコチラがヒットした。定休日や営業時間を確認するために、お店情報を見ると無休との事なので高崎一軒目に即決した。

11時開店前の現着を目指すために東京駅 9:04発 長野新幹線 あさま605号にて一路高崎へと向かった。朝イチから缶ビールを楽しみながらE7系の快適な車内で50分もすると高崎駅に着いた。そこからは東口バスターミナルから、市内循環バス ぐるりん 15系統 岩鼻線で旧中山道を揺られること30分ほどで最寄りの高崎量子応用研究所に着いた。最初にこのバス停の名前を見た時は、高崎量子さんの応用の仕方を研究する施設とばかり思っていたが明らかに違う規模の大きさの施設だった。

そんな何を研究しているのか分からない謎めいた施設前のバス停を降りると、関東平野の大きさを実感できる景色が目の前に広がっている。山から吹き下ろす強い風に逆らいながら歩いて行くと、交差点そばにある大きな第二駐車場の看板が目に入った。その信号を曲がると一軒家の店構えのコチラがあった。

定刻の20分前だったので並びもなく先頭にて待機をはじめる。店前の駐車場に置かれた自動販売機に書かれた「シールが出たら味玉か大盛り無料サービス」の文字に引かれて水分補給も兼ねて緑茶を買ってみたが当たりシールは出てこなかった。梅雨どきの晴天なので湿度が高く渇いた喉を潤しながら待っていると、開店5分前には一気に数台の車が現れて行列が増えた。すると定刻よりも3分早くオープンとなり一番手にて店内に入った。

店内には券売機もなく自由着席のようなので、カウンターの端席に座り卓上メニューから本日のお題を品定めする。第二駐車場の大看板にも〝濃厚煮干し〟の文字があったようにイチオシは煮干し系のようなので、得意ジャンルではないが味玉トッピングにて口頭注文を告げた。そこからは恒例の店内観察をはじめるが、予想もしてなかった女性ばかりの四人体制で回している。最初は三人かと思われたが、奥の製麺室にも麺打ち担当のスタッフさんがいたのを後から気付いた。店内に掲げられたウンチクにはスープには魚粉を大量に使用していると、ザラつきが苦手な私には死刑宣告ともとれる文言が書き記してあった。意気消沈しそうな気持ちを奮い立たせて待っていると、着席して5分もせずに我が杯が到着した。

その姿は最近都内でも物議を醸している口縁の反り返ったスタイリッシュな白磁の器の中で、煮干し系らしからぬオシャレな表情を浮かべている。盛り付けひとつにも女性らしさを感じられる優しさに、気持ちも少し落ち着きを取り戻してレンゲを手に取った。

まずは黒鳶色のスープをひとくち。表層どころか器の口縁にも煮干し特有の水泡が見られるスープにレンゲを沈めると、さほどの濃度や粘度を感じない。レンゲを介した手触りは、どちらかと言えば軽やかにすら感じる第一印象に少しホッとした。香りにも強烈な個性はないので比較的穏やかそうな印象のままにスープを口に含むと、懸念させたザラつきもない口当たりがうれしい。ウンチクにあった〝食べるスープ〟の感じはないが旨みの豊富さは伝わってきた。ややスープの温度の低さが気にはなるが、旨みや香りを感じやすい温度設定なのだろうか。もちろん煮干しを中心とした魚介出汁が旨みを牽引しているが、清らかな旨みを築いているのは丸鶏主体の動物系出汁に思える。魚介優勢では確かにあるが、丸鶏スープの支えがあってこその設計図のように感じた。そんなバランスの良いスープに合わせるカエシも少し高めの設定となっているが、その塩気の中に塩辛のような熟成した旨みを感じられ複雑な組み立てとなっている。

麺は自家製の熟成麺で形状は中太ストレート麺タイプ。持ち上げた箸先からは切刃のエッジが微かに見られ、透明感も持ち合わせたオリジナリティあふれる自家製麺だ。濃厚煮干しスープと言えば低加水の細麺を想像させるが、見事に裏切られた麺肌に期待が高まり一気にすすり上げてみる。麺上げまでジャスト70秒とは思えないほどの太さがありながらも、優しい口当たりとなっているのは熟成された証だろうか。早上げ過ぎに思われた茹で時間でも、しっかりとグルテンが溶け出し始めているので滑らかさが際立っている。スルッと滑り込んできたかと思うと口の中ではハリとコシを感じさせる弾力感が跳ねまわる。そんな躍動感のある麺を噛み切ろうとすれば、みっちりと詰まったグルテンが奥歯や歯茎を押し返そうとする力強い歯応えが待っていた。よくぞ煮干しスープにこの麺を合わせてくれたと感謝してしまうほどの組み合わせだ。素晴らしいのは口当たりと歯応えだけでなく、味わいも完璧だった。それは麺を噛んだ時にあふれ出す内麦ならではの香りと、なんと言っても甘みの強さに驚いた。これも熟成の為せる技なのかもしれないが、糖の甘みとスープの塩気が織りなすハーモニーには恐れ入った。持論の「餅は餅屋、麺は麺屋」を覆してくれるような自家製麺に出会ってしまった。

具材のチャーシューは豚バラの巻き型チャーシューでかなりの大判で仕込まれている。赤身と脂身のバランスの良い部位ではあるが、豚肉本来の旨みを活かす薄味なので味気なさを感じてしまった。また保存状態が悪かったのか、冷蔵庫内の臭いが移ってしまっていたのが非常に残念だった。もしかしたら切り置きされてから時間が経ったものかもしれないと思ってしまった。

追加の味玉は熟成度合いで言えば完璧にゲル化した黄身のネットリ感は味わえるが、それに伴った漬けダレの醤油感の強さも目立ってしまった。食べ手の勝手な言い分なのだが、完全熟成させてながらも卵本来の旨みも味わえる味玉を望んでしまった。

メンマは中太タイプで味付けも良く下処理の丁寧さも食感となって表れていた。コリッとした歯応えをキッカケとしてほどけるような舌触りは大変良かった。

薬味は煮干し系必須の玉ねぎアッシェと青みも兼ねた青ネギの二刀流使い。青ネギ自体は煮干しの風味の影に隠れて存在感は今ひとつだったが、玉ねぎの方は甘みと食感の両面でアピールしていた。敢えて不揃いに手切りされた玉ねぎの食感の違いがアクセントに変化をもたらし口内リセットの役目も果たしていた。

中盤からの麺の躍動感に咀嚼の楽しみが薄れることなく、あっという間に平らげていた。スープも半分以上は飲む事ができ、液面に浮かんだ玉ねぎを一片残らず拾い上げてレンゲを置いた。

さすがは小麦粉文化の歴史のある高崎だけに麺の美味さには感動してしまったが、具材のコンディションが評価を落としてしまった。しかし今回の高崎一食目としては幸先の良いスタートを切られたと思いながら店を後にした。それが運良く一時間に一本もない帰りのバスにギリギリ間に合う事ができたのも、3分早開けしてくれた店のおかげだと感謝した一杯でした。

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