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のらのら

男性 - 東京都

はじめまして。レビュー開始から一年が経ち、二年目の目標を全国制覇にしました。一杯のラーメンに出会うまでの経緯も書き記しているので、前置き等が長くなりがちですがお許しください。しかし採点に関しては立地 接客 衛生面 価格設定などは考慮せずに、ラーメン一杯に対しての評価にしています。自分の好みだけで評価しているので不快な文面もあると思いますが、何卒宜しくお願いします。

平均点 73.435点
最終レビュー日 2019年7月19日
568 460 14 1,850
レビュー 店舗 スキ いいね

「4番 天神そば 玉子入り ¥850」@天神そばの写真平日 晴天 10:40 先客11名 後客4名

令和改元記念 特別企画

〝諸国麺遊記 中四国編〟の番外編

昨夜は成り行きまかせで始めたラーメン旅も中国地方の五県に留まらず、おとなり四国にまで足を伸ばして四県を無事に制覇する事ができた。レビュー二年目の最大の目標として全国制覇を目指すと決めてから幸先の良いスタートを切った二泊三日の旅だった。そんなラーメン旅が三泊四日になろうとは昨夜の高松駅では思ってもみなかった。

それは高松駅で帰りの新幹線に乗るために、ひとまず岡山駅に向かう必要があったのだ。そこで高松駅 20:43発 マリンライナー 64号 岡山行きに乗車して、真っ暗な瀬戸大橋を渡り 21:36に岡山駅に着いた。しかしすでに東京行きの新幹線は終了していたのだ。感覚的には名古屋辺りで遊んでいる感覚だったのたが、ここは神戸よりも遠い岡山なので考えてみれば当然ではある。仕方なく東京へと近づくために大阪まで向かおう思ったが未知の世界である岡山の夜のネオン街が気になってしまい、もう一泊の岡山追加滞在を決めた。

慌ててホテルを探すと、日曜日という事で空室がかなりあり駅直結のホテルをとった。さっそくチェックインすると、旅の汗と羞恥心を洗い流して夜の帳へと消えていった。

夜のお店を三軒ばかり回っていると、女の子たちから岡山の老舗ラーメン店の話を聞いた。偶然にもRDBの総合ランキングでも上位に位置しているので気になっていた事もあり、明日の新幹線の前に行ってみようと決めていたのだ。

午前三時過ぎまで呑んでいた割には快調に目覚めた翌朝に 12:20発の新幹線に間に合うように、11時開店前の現着を目指して10時すぎにチェックアウトした。一昨日の岡山で早じまいに当たってしまった時と同じ、岡山軌道線という古めかしい名前の路面電車に乗って最寄りの城下駅に着いた。すると目の前に、いかにも老舗感の溢れる赤いテント看板のコチラがあった。信号を渡り店先に着くと開店20分前で行列は無かったが様子がおかしい。何故だが店内からは賑やかな声が漏れてくる。不思議に思っていると、そんな店内から客が出てきたのだ。開いた扉の中に見えたのは満席の店内で、スタッフさんの「いらっしゃいませ」の大きな声に引き込まれるように後に続いた。勢い任せで店内には入ったものの、結局は何時にオープンしたのか分からないままだった。

入口近くで、わずかの店内待ちを経るとすぐにカウンターへと案内された。壁に書かれたメニューから品定めをするが、地元の常連客が何やら番号で注文をしている。それを真似るように先客の注文を待ってから「4番で」と告げると、大盛りは1.5倍ですよと勧められたが並盛りにとどめた。

店内を見回すと老舗の風格が満ちたラーメン旅の最後を飾るにはもってこいのロケーションだ。そんな店の中でも私が座ったのは、大女将が麺上げをする目の前の特別リングサイドだったので調理工程の全てを眺められる絶好のポジションだ。そんな大女将の熟練の手さばきをカウンター越しに見ていると、計量レードルではなく謂わゆる普通の〝お玉〟で器の中にカエシを入れると寸胴鍋からダイレクトにスープを注ぐ。たったこれだけの工程でスープは完成した。なんとも潔いではないかと感心した。大盛りには一回り大きな丼が使われているが、カエシを計るお玉は一緒なので味付けは大女将の経験と舌先だけが頼りである。そんな年季の入った作業を見ていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は朱赤の雷紋柄の切立丼の中で、地方遠征に来ている事を感じさせてくれる表情で出迎えてくれた。また今回の岡山ラーメンも東京に迎合しない地方色を出していた。これは昨日までの四国では出会わなかった地元の特色を守っている信念の強さすら感じた。

まずは半濁した赤銅色のスープをひとくち。飲む前から目の前の寸胴鍋では大量の鶏ガラでスープが炊かれているので、嗅覚はすでに鶏出汁に洗脳されている。たっぷりと油膜が表層に張り詰めているが、後付けの鶏油ではなくスープ自体の油分である。そんな頑丈そうな分厚い鶏油にレンゲを押し込むと、大きく液面が波打った。それを見てもかなりの油量だと察しがつく。朝イチからオイリーなスープは避けたいと思いながら口に含むと、ダイレクトに鶏の旨みが口に広がる。オイル感もすごいが旨味も強烈だ。そこに醤油ダレの強めのアタックが加わるので、早朝からかなりのインパクトだ。呑んだ後の〆に良さそうなラーメンを朝から大勢の客人が食べている光景を見た時に、岡山県人の胃袋の力強さを感じた。

未体験の強いスープに戸惑いながら麺をいただいてみる。タイマーなどに頼らずに大女将の感覚だけで60秒ほどで麺上げされたストレート細麺は、岡山では定番の太さらしいが、これも昨夜の女の子たちからの情報だ。持ち上げた箸先からは素直なハリを感じる麺肌が現れた。そんな麺を啜ってみると鶏油が麺肌をフルコーティングしてスープを全く寄せ付けない。スープの強すぎる塩気を感じないので幸いではあるが、油と麺だけを啜っている感覚は未知の経験で驚いた。出来るだけ底の方から麺を引き上げても、スープとの馴染みが良くない。このスープ自体に含まれる油量が基本かどうかも分からないが、常にスープを火にかけて炊いているので状態にブレがあるのは仕方ない事だろう。本日は早い時間帯に訪れているので比較的サッパリしたスープと思われるが油量は多く感じた。このまま午後までスープを炊き続けると、どんな油量になるのだろうかと心配になった。しかし時々、浮いた上澄み油を調整するような作業も見えたが定かではない。

具材のチャーシューは二種類の部位を使ったこだわりが見える。仕込み方はどちらも煮豚型ではあるが、豚バラと豚モモを交互に盛り付けてあった。これまた中国地方では良く出会った硬めの食感のチャーシューだ。歯応えは良いが旨みは煮汁に取られているような味気なさを感じてしまう。豚バラの方は脂身がある分、パサつきが抑えられていて食べやすかった。

追加した玉子だが、メニューの「4番」というのが玉子入りの事だ。〝玉子〟と明記させては持論の〝味玉論〟を展開するわけにはいかず、玉子としての評価をせざるを得ない。それはもう完璧な〝ゆでたまご〟で玉子としては文句の付けようがない仕上がりだった。半熟ではないが決して茹で過ぎていないベストの茹で加減。昔からラーメンに入っていたのは、この玉子だった事を思い出した。正直、普通の玉子なのだがスープの塩気を打ち消してくれる役割も務めてくれていた。

茹でモヤシには細いモヤシが使われていたが、歯応えのアクセントとなっていた。ナルト代わりのかまぼこは色みとしては活躍していたが、ナルト同様に食べることはなかった。

薬味の青ネギも岡山ラーメンを代表する薬味らしい。これも夜の街での情報なので信憑性は定かではない。

最終的には朝イチの体調もあったので全体的に残してしまったが、旅の気分は十分に楽しめるラーメンだった。東京でも新橋や赤坂で岡山ラーメンの看板を見たことはあるが未訪問なので、いつか訪ねて岡山ラーメンを懐かしんでみたい気持ちになった。

これで今回の中四国遠征も終わりとなった。各県のラーメンの記憶も残ったが、夜のネオン街を訪れた広島 高知 岡山での女の子の方言の違いが一番の思い出となった一杯でした。

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「中華そば ¥650」@中華そば 山冨士 本町店の写真平日 晴天 18:20 先客7名 後客3名

令和改元記念 特別企画

〝諸国麺遊記 中国編〟

今回も無鉄砲なラーメン旅を進めているが、無事に中国 山陰地方を攻略できた。現在は本日の二食目を終えた鳥取県米子駅の待合室にいる。勿論このあとの予定もチケットもない自由気ままな身なのだが、若干の焦りが出てきたので次の候補地を探してみる。大まかな目標としては中国 山陽地方の制覇なので、アクセスの良さそうなところを検索してみると岡山県に最も早く行くことができそうだ。そこで恒例のRDB総合ランキング岡山県第1位を調べてみると最有力候補店が挙がってきた。

お店情報によると岡山市内にあり移動は問題なさそうだが営業時間が19時までとなっているので、早じまいされたりすると微妙な時間帯なのだ。しかしここで躊躇しているような時間もないので、ひとまずは岡山行きのチケットを買おうと窓口へ走ったが、残念ながら先発の岡山行きの特急は20分ほど前に出発していた。次発までは40分もあるが移動手段がそれしかないので、やむを得ず次発の特急のチケットを購入した。

GWも終わり観光客も少ない平常を取り戻した米子駅の待合室で缶ビールを飲みながら寂しく時間を過ごした後に、米子駅 15:27発 岡山行き 特急やくも 22号に乗車して次なる目的地である店を目指した。山間部を走る特急列車は揺れがすごく寝る事もままならない。そんな車中で揺られながら二時間と少しで瀬戸内海に沈む夕日が美しい岡山駅に着いた。

そこからは路面電車の東山線でローカル気分を満喫しながら5分もすると、最寄りの県庁通り駅に着いた。営業しているのか不安な思いを抱いたまま店のある方へ向かうと店内には明かりがついているが扉に掛けられた看板には、まさかの〝準備中〟の文字が。ダメ元で扉を開けてみるも「本日は終わりなんです」と当たり前ながらも、今の私には死刑宣告にも聞こえる早じまいだった。

しかしここで、へこたれないのが自由人の強味なのだ。もともと予定がある訳ではないので鼻歌まじりで次の候補を検索する。総合ランキングがダメなら最近の人気店ランキングを見てみると第1位に輝くコチラがヒットした。場所も先ほど降りた岡山駅の近くとありがたい。結果として駅前に戻る事にはなったが、珍しいチンチン電車に乗れたと思えば気持ちも楽になった。

15分前に路面電車に乗った場所と同じところまで戻ってくると、駅前の賑やかな歓楽街の方へと歩いて行く。3分も歩かないうちに黄色いテントの看板に白い暖簾が掛けられた店先を見つけた。今度こそ営業中の案内を確認してから店の中へ。引き戸を開けて入ると平成を終えて令和たなったというのに、いまだに昭和ノスタルジーが店の中には漂っている。この雰囲気が嫌いでない私は、ここでトッピングメニューにあるゲソ天をつまみに瓶ビールでも呑んで本日の終焉の地にしようかと思うほどに和らいだ空間だ。また先客の親子連れの話す岡山弁の響きが、大好きな「千鳥」の漫才を聞いているようで心地よい。先ほどの車中のビールが効いてきたのか、この先の事などどうでもよくなってきた。

しかしここは我慢して少しでも山陽地方攻略を進めようと思い止まり、壁に書かれたラーメンのメニューに目をやった。構成は至ってシンプルで基本の中華そばの中に何を増やすかを決めるだけである。周囲はネギたっぷりのラーメンを食べているが、出来れば今日中にあと一杯食べておきたいと考えて基本のみのオーダーをした。

店員さんに注文を告げると直ぐに調理が始まった。本日は二人体制で回しているが店主さんであろう方は、麺上げから配膳までこなす二刀流の動きを見せていた。店内のレイアウトはテーブル席がメインで、カウンター席は壁沿いの柱の出っぱりを囲むような不思議な造りとなっている。そんな世間から追いやられたようなカウンターで待っていると、注文してから5分で我が杯が到着した。

その姿は高台丼の中で見覚えのある風景のように見えた。そう遠くない記憶をたどっていると、ある地方のラーメンを思い出した。それは春先に訪れた和歌山の人気老舗店「井出商店」のラーメンの姿だった。液面からは麺の様子を見ることが出来ない盛り付けのスタイルが私の中で見事に一致したのだ。繊細さや丁寧とは無縁の風貌も味わいのひとつと信じてレンゲを手にした。

まずは茶濁したスープをひとくち。なみなみと張られたスープには粒子の大きな香味油が浮かんでいる。出来るだけその油膜をさけてレンゲですくい口元に近づけると〝いかにも〟的な匂いも近づいてきた。口に入る前から動物性の力強い風味が漂ってくる。一歩間違えば獣臭くなりそうな匂いだが、これが岡山ラーメンらしさを表しているのだろう。見た目の醤油感の強い色調から塩気の強さを心配しながら口に含むと、豚骨ベースの旨みが中心だがコラーゲンは少なくサラリとした印象だ。表層の香味油を除けば出汁の旨みが前に出たスープだが、ラードか背脂であろう香味油を重ねるとコクが増す。飲み込んだあとには魚介出汁の風味も感じられるので豚骨魚介スープに分類されるのだろう。懸念された塩分も、やはり高めに設定されているので出汁の香りと旨味と塩気の全てが強い男らしいスープだ。

スープの中で泳いでいるような麺を持ち上げてみると中細ストレート麺が現れた。箸先の感覚だけで柔らかで滑らかそうな麺質だと分かる。すでにスープの色素が麺肌に染みて茶色く変色している麺を一気にすすり上げると、麺肌に溶け出したグルテンとラードが相まって口当たりの良さを加速させる。一見すると麺同士が癒着しそうなほどに麺肌のグルテンが粘りを見せているが、そうなっていないのはスープの量の多さも手伝ってのことだろうか。なので柔らかくはあるが啜り心地の良い仕上がりとなっている。若干のカンスイの匂いも〝らしさ〟を演出しているのようにも思えてきた。

具材のチャーシューは極薄豚バラ焼豚。赤身と脂身のバランスは良いが食べ応えとしては物足りなさもある。赤身の旨みも脂身の甘みも煮汁に持っていかれてしまっていた。しかしその恩恵をカエシが受けていると思うと仕方のない仕上がりでもある。

多めに盛られてある褐色の細メンマは、見た目の強面に反して優しい味付けが好印象。柔らかくもコリッとした歯応えが心地よく、全体の中で唯一の噛みごたえを与えてくれた。

薬味は青ネギの小口切りだが、こちらの看板メニューでもある「ねぎ中華」に大量の使われる青ネギだけあって切り口の鮮度も抜群だ。九条ねぎのような繊細で上品なネギではないが、粗々しい田舎ねぎの強い香りや辛味が逆に存在感をアピールしている。このネギならばと「ねぎ中華」にも興味が湧いた。

最終的には旨味の強さに押されてしまい平らげることは出来なかったが、周囲を見ると若い女性までもがサイドメニューのおにぎりを頬張っていた。昔から麺類にご飯を合わせる習慣がない私だが、たしかにご飯で口の中をリセットしたくなるスープだと思った。中国地方といっても関西よりの食文化なのを知り、ひとつ勉強になったところで店を出た。

そろそろ本日の寝床を確保しなければならないが、宿決めをする前に決めておかないといけない重要な事案があるのだ。それは夜のネオン街を楽しむ楽天地をどこにするかというものだ。このまま岡山の夜を楽しむのか、はたして別の土地に新たな出会いを求めて向かうのか、もはや今回の中国遠征のメインイベントへと昇格するほど重要案件だ。

しかし現在時刻は午後7時前と夜の繁華街にネオンが灯るには少し早いようなので明日の移動のことも考えて、お隣の中国地方最大の都市である広島市に向かってみようと今夜の休息地を決めた一杯でした。

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