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「塩そば肉マシ(850円)」@成城青果の写真ミーハーだけど 2020新規開業新店巡り 其の十三 ~最終回~


 この一杯、今年食べた中では・・・まあ、病気して入院もしたから大して喰っているわけではないが、とにかくボクがこのスコア、つまりは95点超を付けたのはもう一年も前のことであるから、最近食べた中では、相当旨い一杯だと感じた訳さ。

 この店の成り立ちや並び方、味の構成などは他の方が詳しく書いているので割愛。ただ、これを食べたのは9月上旬の平日の11時30分過ぎという早い時間帯で、台風10号の余波で時折大雨、かつ外気温30℃超という日だった。つまり、それほど混まないであろうはずの状況でありながら外待ち8人。しかしことのほか回転は速く、15分ほどで入店できたことは記しておこう。

 とにかく感心することはいろいろある。皆さんがご指摘おいでだが、接客面しかり麺線が美しいのもしかり。しかし何よりコストパフォーマンスがとても高いこと、これがこのスコアの基となったと書いておく。

 デフォルト650円である。肉マシ(これまた舌触りがとてもいいのだ。かつ、スープ温度が高いので別皿提供)にしても850円。全く以ってすばらしい。マイナス5点は、卓上の香辛料(山椒)の説明がなく入れ過ぎて失敗したこと、あまりにスープ温度が高すぎて火傷しかけたこと、である。見た目も美しく、満点でもいいくらいなのだよ。



 さて。今やすっかり国民食となったラーメン。たかだか110年程度の歴史しかないこの料理がなぜここまで人気となったのか。それはラーメンとは、もともと美味しく、安く、たらふく喰える食べ物だからだ。

 歴史を紐解けば、大正の頃の淺草・來々軒や五十番の支那そばは『頗(すこぶ)る美味しい、その上に安い』(*1)と評判を取る。太平洋戦争下、日本人の食生活は相当惨めになったが戦後すぐ、ラーメンは再び大衆の暮らしの中に根を張っていくのだが、その中で荻窪・丸長に触れておきたい。

 昭和22年、『終戦後、何もないところに食糧統制もあって、小麦粉も1~2年くらい配給制だったんですけど、当時は満足に食糧が入ってこない。その時に、生きるために何をしようかってことになって』(代々木上原大勝軒二代目店主・坂口光男氏のインタヴューより)丸長は生まれる。食糧を手に入れる事さえままならぬ中、再び始まった東京ラーメンの歩み。そして丸長から分かれた大勝軒の、坂口光男氏の父、坂口正安氏が山岸一雄氏を誘い、中野大勝軒が生まれる。山岸御大は、亡くなる少し前のインタヴューで『お客さんには安い値段で腹いっぱい食わせてあげたいという気持ちが強かったんだよな。特に地方から出てきてる若い人はみんな貧しかったからね』と自らの店の<こだわり>を話している。


 美味くて、安くて、腹一杯になる。大衆の、普段着の食べ物。これが長い間、多くのラーメン店々主の縛り、足かせになったのではないか。ラーメン一杯の「千円の壁」が立ちはだかってきたのだが、昭和が終わり、平成の世も終わりに近づくころから、その壁を乗り越えていく店が現れる。先日も書いたが、ボクが記憶する限りを書けば、1,000円以下のラーメン類を置かなかった店としては、2006年2月に六本木で開業した MIST 表参道ヒルズ店 が最初ではなかろうか? 醤油ラーメンが1,200円、塩が1,250円。ハーフサイズで1,000円未満というのもあったが、基本、1,000円以下では喰えない店だった。確か、3,000円のコースもあったが15,000円というおよそラーメン専門店とは信じ難いコース料理も提供していた。

 経営はそう、森住康二氏。氏が香港でオープンさせた『HONG KONG MIST』が『ミシュランガイド香港・マカオ2011』に掲載され、ラーメン店として世界初の『星』を獲得した、というニュースがあったことを覚えておいでの方も多いだろう。森住氏は1996年に『ちゃぶ屋』を創業したのち、順調に店舗を増やしていったが、2012年に運営会社が倒産し、一旦は表舞台から消えてしまった。その後は御殿場のらぁ麺MORIZUMI などをプロデュースしたと聞いている。


 そして昨年あたりから、所謂「プレミアム」系の店が相次いで開業している。フレンチだろうがすし屋だろうが鰻屋だろうが、大衆向けの店もあれば高級店もある。ラーメンという料理もそうあって然るべきで、ようやく大正期から続く呪縛から解き放れたような気がしている。しかし一方、この店のようにサラリーマンが無理なく喰えるプライスで極上の一杯を提供する店もある。かくのごとく、ラーメンという料理は多面性・多様性を見せる食べ物で、だからこ多くの人々がラーメンを好きと言うのであろう。つまりは客層が相当に広範囲にわたるということだ。



 2019年と2020年。あと10年か15年ほどしたら、この年はラーメン界にとって大きな転換の年となった、などと呼ばれるのかも知れない。


 *1 「三府及近郊名所名物案内下巻」から、淺草・來々軒の記述より。兒島新平・発行兼編纂、日本名所案内社。1918年8月刊。国立国会図書館デジタルコレクション。

投稿(更新) | コメント (15) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

塩ヲタのオーソリティーをここまで唸らせるとは!
やはり旨いですよね!
最近醤油食ったばかりなので、口のなかはまた塩をもとめています。
近いうちにまた行かせていこうかしら。
この価格帯がまた唸らせます。

どもです。
先週、千歳烏山に行ったのですが
夜営業してないのね😅
でも、必ず行きますよ👍
昨日のつけ麺は¥1600でした(笑)

突き抜けましたね😊
ここは開店して一週間目に行きました。
直ぐに人気になると思いましたけど、
これからが正念場でしょうね。

NORTH | 2020年10月7日 19:30

こんばんは🌙😃❗

いきなり突き抜けましたね❗気になっていた
店舗ですが、優先順位を早めたいと思います。

あひる会長 | 2020年10月7日 20:50

芦花公園駅の新星ですね。

実は20年以上前に
この界隈に住んでたことあるので
久々行ってみようかな?

それはそうと、呑み行きたいですね

YMK | 2020年10月7日 21:04

こんばんはぁ~♪
成城青果のコメントに御意!
その後のラーメンの歴史観に御意!
支那そばやがラー博でやる来々軒に行ってみませんか。
14日からですよ。(*^-^*)

mocopapa(S852) | 2020年10月7日 21:32

ぶるさん
この値段から誠意が伝わります。
素晴らしい店ですよね。

まなけん | 2020年10月8日 00:57

おはようございます🌞
食材に頼らず、安価に提供する柴崎亭に近いタイプですよね😉
自分は湯切らない麺上げにドン引きしてしまいました…

銀あんどプー | 2020年10月8日 06:38

おはようございます😃

店主さん、ラーメン屋さんになるという昔からの
夢を叶えて、楽しそうに仕事されてました。 
ラーメンにも、居心地の良い空間にも、大満足でしたよ。

としくん | 2020年10月8日 08:33

芦花公園ねぇ~。。。。
行かないエリアなんだよねぇ~。

junjun | 2020年10月8日 08:40

こんにちは。1,000円超えのラーメンは個人的には厳しいです。安くて旨いが一番ですね。

いたのーじ | 2020年10月8日 17:22

こんにちは。

響きましたね!

一度訪問し行列で断念しています。
また、そのうちに。

1962年創業の町中華のレポを上げました。

おゆ | 2020年10月8日 17:50

こんばんは。
突き抜けましたね~
仙台でも千円越えのラーメン結構みかけます。

kamepi- | 2020年10月8日 22:14

またも、本領発揮の塩ですね。ハンネ戻す方針でしょうか? w

ラーメンの価格は、別に500円でも2,000円でも良いと思います。
それを受け容れてくれる土壌がある土地で、若しくは価格相応の信頼を得ている暖簾であれば、です。価格決定権は経営者にありますからね。
商売ですので、フラグシップ的な役割のお店が、率先して単価アップにチャレンジするのは良い事と思います。おっしゃる通り、今年は動きが多い年ですね。

Dr.KOTO | 2020年10月8日 23:36

こんにちは
抜群にハマりましたね^ ^
ラーメンの多様性。そう思います。
ネットが出てからラーメン界全体の味の向上と多様性がグッと進んだなと。いずれラーメンという括りだけでは収めきれなくなりそうな。そうなったら嬉しくもあり寂しくもあり。後者かな…

あらチャン(おにぎり兄) | 2022年8月5日 11:49