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2015年9月9日の大崎裕史の今日の一杯

東京都港区白金高輪

タンメン

20年ほど前、南麻布は「陸の孤島」などと呼ばれていた。まだ南北線や三田線が開通する前の話である。その地に穴場的なラーメン店があった。チャーシューがおいしい「盛運亭」とタンメンやチャーハン(夜だけメニュー)、餃子が人気の「大宝」である。しかも「大宝」は昼2時間、夜2時間くらいしか営業せず、土日祝休みの上に臨時休業も多いし、時間どおりに開かないことも少なくなかった。だから「幻の店」なんて言われたこともあった。私はこの2軒をセットにして何度か食べに行っている。好きなセット(連食)の組合せだ。そして今日の一杯は「大宝」のタンメン850円。
外観は普通の中華料理店。いや、中に入ってもそれ以上ではない。外も中も普通の中華料理店。人気のタンメンを注文。すると手早く中華鍋に油を張り、ニンニクを包丁で刻む。そして潰す。それを中華鍋に入れ、たっぷりの野菜を炒める。一方、奥さんらしき人が麺を軽く揉みほぐし、茹で上げる。そのタイミングは絶妙だ。麵が茹で上がる頃にちょうど野菜も炒めあがる。野菜が多かったので二人前を同時に作っているのかと思ったら、その大量の野菜は私のと思われる丼にのせられていった。「二郎」のような盛りだ。タンメンはちょっと塩辛いがインパクトがあり、ガツンとやられる。この感覚がこの店に来る理由でもある。やさしいタンメンも嫌いじゃないが、ここは「男のタンメン」という気がする。労働者向けとも言える。もやし、キャベツ、豚バラ、ニラ。麺よりも多い、これらの具が十分炒められ、味付けられ、おいしくトッピングされている。極上のタンメンである。
最後にネット情報から。創業は昭和32年。私よりも2年古い。今の店主は2代目で創業者の息子さん。以前はなんとマキシムドパリにいたらしい。いや〜驚きだ。

お店データ

中華料理 大宝

中華料理 大宝

東京都港区南麻布2-7-23(白金高輪)

このお店の他の一杯

    大崎裕史
    大崎裕史

    (株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。