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2023年11月2日の大崎裕史の今日の一杯

北海道旭川市旭川

ラーメン

私にとって「1997年」というのは、ラーメン的に非常に楽しい年であった。まず、初めて旭川に行った年である。8月、札幌に宿を取り、初日に札幌で8軒食べた。何回目かの札幌だったので、札幌の有名店や人気店はすでに実食済みだったので、新しめのお店や、まだ行ってなかった話題店などが中心。面白いのはそのうちの半分、4軒が旭川ラーメンだったのである。札幌に「旭川ラーメン」が押し寄せてきていた時期だったのだ。そして翌日、朝8時半に旭川行きの特急に乗った。札幌〜旭川間は特急でも1時間半かかる距離(約140km)だった。代表的なお店を5軒回ってきた。「青葉」「梅光軒」「蜂屋」「山頭火」「つるや」である。旭川に一泊すれば、もっとたくさん回れたと思うが、その頃はまだ札幌の未食店開拓を優先していて、札幌にとんぼ返り。札幌でラーメン仲間と合流し、宴会。その後ラーメンを3杯食べるのだから、我ながらあっぱれ(笑)。
一方、首都圏でも旭川ラーメンブームが起きていた。「山頭火」「好」「旭龍」「こもり」「青葉」「ぺーぱん」などで、どこも人気店。ご当地ラーメンブームの先陣を切ったと言っても良い。3〜4軒あれば「トレンド」とか「ブーム」と呼べると言われていたのに突然6軒も登場したのだから驚いた。「いったい何が起きたんだろう?」「仕掛け人でもいたのか?」というくらいの旭川ラーメンブームだった。そしてそのブームから2年経った1999年、満を持して「旭川ラーメン」の大御所「蜂屋」がラー博のレギュラー店として出店。この時、私の正直な気持ちは「あのクセのあるスープの店を?」と不思議な気持ちだった。クセが強すぎて、多くの人に受け入れられるのだろうか?と心配だった。しかし、私自身、2回目となる「蜂屋」をラー博で食べてビックリ。まさに2年前に食べた“あの味”だったのだが、苦手だと思えたあの味が見事にはまり、クセになったのだ。”クセはあるけどクセになる”という言葉が「蜂屋」の宣伝コピーで使われていたが、まさにその通りだった。“あの味”とは、「蜂屋」最大の特徴である焦がしラードである。良質なラードと豚の脂身、鰹節などの節類を加えて焦がしたもの。そしてそのベースとなるスープがまたスゴい。当時、豚骨スープと魚介スープを別取りして合わせる「Wスープ」というのが都内で話題になっていたが、その手間のかかるWスープを半世紀近く前からやっていたのが「蜂屋」である。おいしいスープを提供するために昔から手間と時間をかけていたのだ。それと旭川ラーメンと言えば、低加水の縮れ麺。低加水の麺と言えば博多ラーメンが有名だが、旭川ラーメンも低加水でしかも縮れているところが大きな特徴。スープを良く吸って一体感が生まれる。
「蜂屋」はラー博のレギュラー店として約10年間営業していたが、2009年に卒業。
今回、「あの銘店をもう一度」企画の第24弾として14年ぶりにラー博に復活である。またクセのある“あの味”に出逢える。クセになった“あの味”に会えるのだ。出店期間は2023年10月31日(火)~11月20日(月)。クセがあるからこそ忘れられない。写真は10/31にラー博で食べた「ラーメン」(1000円)。懐かしいクセになる味だった。

お店データ

ラーメン 蜂屋 5条創業店

ラーメン 蜂屋 5条創業店

北海道旭川市5条通7丁目右6(旭川)

このお店の他の一杯

    大崎裕史
    大崎裕史

    (株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。