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2024年6月27日の大崎裕史の今日の一杯

神奈川県横浜市中区関内

すたぁ麺(1400円)

デニーズの商品に次いで、「飯田商店」(湯河原)店主・飯田将太さんが横浜DeNAベイスターズとの共同開発商品。(監修)
2024年6月27日から横浜スタジアム・5番ゲート近くの「濱星商店」(新設)で発売開始。その試食会に参加して実食してきました。

ベイスターズの飲食担当の女性が頑張って「飯田商店」の予約を一カ月半かけてネットで取り、食べに行った際に“手紙”を渡してきたんだそうな。そこには横浜スタジアムで飯田さん監修の商品を出して欲しいという“熱い想い”が綴られていたそう。その想いに打たれ、会って打合せ。約半年の開発期間を経て、ようやく完成し、発売開始。商品は一品、まぜそばの「すたぁ麺」(1400円)のみ。

この商品はスタジアムの売店(濱星商店)で発売されるので野球を始めとした“入場料(チケット)”を購入した人しか食べられない。営業時間も「スタジアムが使われる日」という不安定さ。一箇所のみなので食べたい人が殺到したら、1回表から並んだのに、食べられるのは9回裏なんてことがないといいのだけど。そういう意味では、この試食会に参加できたことは光栄だし、大変ありがたい。

野球を観ながら食べる麺料理、と言われたらやっぱり汁なしの「まぜそば」が無難。私でも同じ発想をしたと思う。でもそこからが飯田さんは違った。なんと冷凍麺の太麺を採用。私だったら茹で時間も短く、早く提供できる細麺を選択していたかもしれない。おそらく行列になるのでじゃんじゃん茹でて、じゃんじゃん盛り付けて提供できる商品。その適切な解答がこの「すたぁ麺」と言えよう。大人から子供まで、野球を観ながら食べられる麺メニュー、その飯田さんなりの解答がこの「すたぁ麺」。実際に食べてみて、納得させられた。そして、打ちのめされた。見事においしい。

正直、食べるまではそんなに期待はしていなかった。いろんな制約条件がある中で、どこまでのものができるのだろうか?私が依頼されたらどんなものを作るだろうか?そんなことを考えながらいただいたが、屈服した。さすがとしか言いようが無い。「ここをこうしたら?」というのがまったく浮かばなかった。

まず、国産小麦を使用したもっちりした太麺がおいしい。この麺があったからこそ、と言っていたような。後で聞いたら株式会社キンレイの冷凍麺なんだとか。そしてタレ。鶏ガラの塩味だが貝の旨みを加え、ほんのりニンニクも効かせている。これがうまい具合に太麺に味を補填している。

具は、厚木ハムのベーコン、九条ネギ、有明海産のバラ海苔、カットレモン。どれも必要、どれも効果的。ベーコンは麺との食べ合わせで、厚み10mmに指定しているらしい。しかも直前に炙っているのでベーコンの薫香が香ばしい。提供直前にはペッパーミルで挽いたブラックペッパーを振りかけ、こちらも香りを立たせている。

リリースを読んだとき、スタジアムで提供するためには1400円という価格になってしまうのかと思っていたが、そうではなかった。この商品には1400円の付加価値があった。試食会でこんなに満足したことも久しぶりだし、こんなに打ちのめされたのも何年ぶりやら。

飯田さんが監修した商品をお店よりも手軽に食べられます!と言いたいところだが、こちらは試合観戦という新たなハードル。しかもチケットも頑張って取らねばならない。でも、そんな苦労をしても食べる価値のある逸品。そんな出来映えでした。まいりました。

お店データ

濱星商店

濱星商店

神奈川県横浜市中区横浜公園(関内)

このお店の他の一杯

    大崎裕史
    大崎裕史

    (株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。