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2017年1月21日の大崎裕史の今日の一杯

東京都北区赤羽

醤油らーめん

「山雄」という文字を見るとラーメンの神様「山岸一雄」さんを思い出す。しかし、今回の「山雄」は「山田雄太」さんである。
北浦和の「えんや」を亡き父から受け継ぎ、22歳という若さで店主に。2009年立川ラーメンスクエアのイベント「ラーメントライアウト」で優勝し、2010年4月出店。2011年卒業し、王子に「えんや」を出店。ずっと父から譲り受けた「塩ラーメン」にこだわり続け、講談社の通称「TRY本」の塩部門にもランクイン。しかしながら2017年1月7日「えんや」を無期限休業。10年続けてきた上での決断だ。

その時の彼のFBコメントによると「業界の先輩、友達、家族、生産者、何よりお客様に支えられてきた。」「親父のラーメンはいったん封印し、いつかまた時が来たら復活させたい」「そしてこれからは自分のラーメンを作りたい」と。そんな思いが店名に表れている。

場所は赤羽駅前。と言っても繁華街の側ではなく、やや寂しげな所。しかしながら、その外観も店内も高級感溢れるもの。銀座の鮨店をイメージして作られたようだ。むしろ寂しいところ故に隠れ家的な存在。軽く「ラーメンでも食って帰ろっかな〜」という気持ちで入るような店ではない。なんせ、基本メニューの「醤油らぁ麺」が1000円である。

しかし、しかしである。いまや基本メニューが千円の店は初めてではない。「くろき」(秋葉原:塩そば・味噌そば共に1000円)「すずらん」(恵比寿:中華麺1150円)などがある。いよいよ時代が移り変わってきたのだ。高品質ラーメンは千円超えの時代なのである。そしてこの「山雄亭」、紛れもない高品質ラーメンである。暖簾をくぐると店内までに料亭などによく使われる通路と待ち席がある。もうこの時点で「ん?おぬし、タダモノではないな」という空気感が漂う。カウンターにはお盆の上にレンゲと割り箸が最初からセッティング。高そうな器でラーメンが提供される。

スープの軸に鹿児島産さつま地鶏を使用した綺麗な半透明の醤油スープ。じんわり味わう割烹の汁もののようである。
トッピングは2種類のチャーシューとたけのこ、焼きネギ、青ネギ。麺は自家製細ストレート。

千円超えの反対派なども出てきそうだが「B級でもA級」なラーメンがあってもいい。そんなきっかけになる一杯と言えよう。早く塩も食べに行きたい。

お店データ

赤羽 山雄亭

赤羽 山雄亭

東京都北区赤羽西1-4-15-1F(赤羽)

このお店の他の一杯

    大崎裕史
    大崎裕史

    (株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。