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2015年12月25日の大崎裕史の今日の一杯

東京都渋谷区笹塚

ワンタンメン

もう創業70年近くになる老舗。もちろん店主は代替わりしている。営業時間が不透明で昼から開いていることは少ない。早くて1時半くらい。遅いときは3時頃になることも。
外観もそして店内も昭和そのもの。ところがここで出てくるラーメンは、、、という展開にはならない。ラーメンも外観に合ってる昭和風。本日はワンタンメン570円を注文。
縮れ麺の食感は独特。シンプルな醤油スープは懐かしさ満載。
湯切りが甘いとか、ワンタンが全部くっついているとか、チャーシューが小さいとか、そういう細かいこと(細かくないけど)は、ここだと気にならない。まぁ、いいじゃないの、と世の中の喧噪すら忘れさせてくれる。
麺はどこ製で、スープのダシは、とか具には何が入ってとか、店主の修業先はとか、食べる前に神経をギラギラさせながらラーメンと向き合うこともあれば、こういう何気にフラッと入ってスッと食べて「お勘定!」とお代を手渡しできて、「ごちそうさま〜」と言って出て行く、そんな風情はなかなか他の店では味わえなくなった。
20年くらい経って、その時の20代のラーメン好きは「豚骨魚介って懐かしいねぇ〜。子供の頃によく父さんに連れていってもらったね。最近はああいう懐かしい味が減ったね」という会話でもしているのだろうか。
いやいや、今食べて「懐かしい」と思えるラーメンは20年後30年後でも「老舗」として残って欲しい。
そんなことを思いながら、スープも飲み干して丼の底の「日本一」を眺めて自分にハッパをかけてお店を後にするのであった。

お店データ

福寿

福寿

東京都渋谷区笹塚3-19-1(笹塚)

このお店の他の一杯

大崎裕史
大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。