コメント
こちら未読でした!あれ?いつものお水ネタがなく健全なレビューですね!
〝パトロール〟ってなんですのん?
こちらのお店知らなかったですが、具材のこだわりが半端ないですね。文面読んでいて言ってみたいと感じます。
黒いツヤは何かと思ったら、アスパラの豚巻きだったのですか!
皆さん塩そばをレビューしてるのも凄いと思います。
「白磁の鳴門丼」って言うのですか?麺丼も大盛りや特製を頼むと、密集率が高くてスープが少なくなったりガッカリすることがありますよね。お好きな「タコ唐草紋様の高台丼」などを使うと、ビジュアル的に旨そうに見えなかったり、さらに味玉・叉焼だけ別皿提供すれば、温度が低いという厄介者も出てきますよねw 自分は幅広の「赤巻金花紋美濃焼」が好きなのですが、器選びは難しいです。
気になる文面ですが、「コハク酸やアリシン」「コハク酸ナトリウム」などが入るとわかるのですか?
これらは添加物なのでしょうね。
やはり「ソミュール嬢」ならOKいただけるはずです!
虚無 Becky! | 2019年8月10日 17:24器って大切ですよね。私も赤巻の絵柄は好みです。華やかな器なので、つけ麺の艶やかな太麺だけを盛ると映えますよね。逆に特製みたいに派手な具材だとケンカしちゃったりと難しいですよね。
あとコハク酸とアリシンは天然でも強過ぎると味が大きく変わりますしね。例えば、普通の味噌汁とアサリの味噌汁とカニの味噌汁では全然旨みが違いますよね。コチラのスープは天然由来でしたが強すぎなくて助かったって事です。強すぎる天然由来のコハク酸には喉を灼くような旨みを感じてしまうので。
のらのら | 2019年8月10日 23:32
のらのら
飛一(ぴゅういち)
火田
指定暴食団
Rasty
拉麺と戦慄





〝ニューオープン パトロール〟
本日は一週間ぶりに自宅のベッドで目覚めた。関東近郊の新店めぐりに勤しんでいた為に家に帰っても着替えるだけと、自宅を更衣室のような扱いにしてしまっていたのだ。
久しぶりの家でのコーヒーを楽しみながらRDBの新店情報を閲覧していると新宿でのオープン情報が挙がっていたが、本日はワンコインサービス期間中のようなので混雑が予想されるのと評価に公正さを欠いてはいけないと思い先送りにした。次に候補に挙がってきたのが西川口のこちらで、お店情報によれば屋号も変えての移転リニューアルのようで再出発への意気込みを感じられる。少ない情報量の中に見つけた〝無化調〟の文字にIT系おじさんの血が騒ぎ初訪問を決定した。
11時半開店の現着を目指して10時半には自宅を出た。埼京線で赤羽まで向かい京浜東北線に乗り換えれば自宅から40分ほどで西川口駅に着いたが、そこからは歩くと20分近くあるようなのでバスを利用することにした。どうやら人生で初めて降り立った西川口駅の東口を出るとバス停が二ヶ所あるのだが、目的地へ向かう4番乗り場が見つけられずに予定の発車時刻を過ぎてしまい仕方なくバスを諦めて歩いて向かう事になった。駅前の立ち飲み屋では昼前なのに生ビールを片手に盛り上がっている客であふれかえっているが、そんなうらやましい姿に背を向けてトボトボと歩き始めた。
生ビールではなくナビを片手に持って青木町公園方面へと進むと20分ほどで目的地周辺までは辿り着けたが、飲食店らしき建物のない住宅地に戸惑っていると少し先に白い提灯のようなものが見えたので近づいてみた。すると大きな暖簾が掛かった店だったが、通りの先からでは道路に平行になった看板や暖簾しかなく、縦に飛び出した看板が設けてないので遠くからでは分かりづらい外観となっていた。
そんな店先には有志から贈られた白提灯が掛けられており仲間たちからのリスタートへの後押しが心強く表れている。店頭の暖簾には〝自家製麺〟〝無化調〟と大きく書かれてあり店の持ち味を思い切りアピールしている。そんな主張にハードルを上げないように心を落ち着かせて暖簾をくぐった。
店内に入るとオープン直後なので券売機の案内係のスタッフも配置されていて、案内に従って入口右手の小型券売機にて品定めをする。マイスタンダードの醤油系もあったが、やはり今回は屋号にも掲げられた塩系を選び開店祝いの意味も込めて特製ボタンを押した。順番通りにおしぼりと箸がセットされたカウンターの奥から詰めて座り、そこから店内観察をはじめる。
新店だけに真新しい店内の装いではあるが、移転前に贈られたサイン色紙なども飾られてあり歴史を感じる部分もある。カウンターよりもテーブル席が多く設けられた店内を本日は開店特需を予想してか万全の四人体制で回している。客席と厨房が独立したレイアウトなので調理工程を眺められないのが残念な上に、カウンターに対面して洗い場のシンクが設置されているので目の前には常に洗い物をするスタッフがいるのが気になってしまう。人の気配を感じないように卓上のウンチクを拝読しながら待っていると、着席して10分はどの時間をかけて我が杯が到着した。
その姿は小ぶりな白磁の鳴門丼の中で、特製ならではの豪華絢爛を詰め込んだ景色を見せている。しかしこの〝特製〟にした事が、本日最大の失敗だった事にはまだ気が付かずにレンゲを手にした。
まずはスープの色調が見られないほどに多くの具材が盛られた液面にレンゲを押し込んでみると、透明度の高い薄香色のスープがレンゲに注がれた。具材たちの派手な景色に対してスープからは気高い品のある、おしとやかな表情に見えた。そんな美しいスープを口に含むと、香味油の力を借りて鶏由来の動物系スープが筆頭に現れた。清らかな見た目に反して強い旨みが土台を支えていて、追随してくる魚介の香味が奥深さを与えている。その魚介系の旨みが複雑で数種類の節や煮干しが加わっていると思われるが、特に際立ったところを感じさせないバランス重視の配合に思えた。またカエシの塩ダレにはウンチクによると貝類や甲殻類も使われているようだが、コハク酸やアリシンをほとんど感じない。言い換えれば過度な貝類や甲殻類からの塩気も感じないという事で、独特な個性を主張するためではなく旨みを重ねる一員として参加しているように思える。たったひとくちで口の中に自然な旨みが張り巡らされたような感覚は塩系スープではあまりなく新鮮に感じた。
新たなスープとの出会いに喜んでいる口内に期待の自家製麺を送り込むために、箸で麺を持ち上げようとすると最初の悲劇が待ち構えていたのだ。それは高級割り箸の竹箸を採用されているのだが、箸先が丸く削られているので麺が滑って捉える事が難しく持ち上げられない。さらには小ぶりな器のせいでスープの量が少なく(具材が多過ぎるのもある)麺がスープの中で絡まってしまい拾い上げられるのを拒んでいる。それだけでなく表層を覆い隠す特製の具材たちが麺の行く手を遮り邪魔をしてくる。麺を持ち上げるだけでも手こずってしまい、麺をすすり込む楽しみは半減してしまった。もうひとまわりだけ大きな器ならば特製にしても結果が違っていたのではないだろうか。それでもしスープの必要量が増えたとして価格が100円上がったとしても、そちらの方が随分と良かった気がする。何とか苦戦しながら拾い上げた自家製麺は、店内の製麺室に設置された大和製作所の高級製麺機〝リッチメン〟から生み出された中細ストレート麺で麺上げまではジャスト40秒。とてもハリのある麺質が箸先から伝わってくる自家製麺をすすり上げると、整ってない絡まった麺線が口当たりの良さを消してしまっている。麺肌自体は滑らかに仕上がっているのに、滑りの悪さばかりが印象に残り大変もったいなく感じてしまった。すすり心地は悪いが内麦ならではの風味は噛んだ瞬間にあふれ出す素晴らしい麺だけに、店側の器選びと私の特製を選んだミスが重なって残念ながら本来の麺の力を感じる事が出来ずに残念だ。
次に私の中ではミスチョイスとなった豊富な具材をひとつずつ味わってみる。最初は鶏ムネ肉の低温調理を食べてみると、小ぶりながらも厚みを持たせてカットされているので歯応えもあり、肉質の良さと舌触りの良さも出ている。下味のソミュール液が弱いので薄味ではあるが、薬味の黄柚子の香りが移っていたので味気なさはなく食べられた。次に豚モモ肉のロースト型は赤身本来の食べ応えを楽しむ調理法で低温調理とは違った歯応えを味わえる。また豚バラ肉もローストタイプで片面をバーナーで炙られて香ばしさを付けてあり、バラ肉特有の脂っぽさを軽減してくれる。もっとも大判な豚肩ロースも同じ調理法で仕上げてあり、噛み応えをしっかりと楽しめる。全てのチャーシューに共通するのはスープに寄せた薄味仕立てなのだが、素材の旨みが強いので味がボヤけずに食べ進められる点だ。
肉部門の具材としてはかなり珍しいのが、アスパラの豚バラ巻きが添えてある事だった。特製ならではの配置なのだろうが、巻かれたアスパラには香りも食感も残っていないので冷凍アスパラを疑ってしまった。また味付けに使われている黒コショウが穏やかなスープに流れ出してしまい不必要な個性を与えてしまっていた。
半カット分が添えてある味玉は、S玉で仕込まれているので黄身の中心部までしっかりと浸けダレの浸透と熟成が行き渡っていた。卵本来の旨みもありながら浸けダレの醤油感もある素晴らしい味玉だった。
穂先メンマは見た目の美白から想像した通りの薄味でメンマ特有の発酵臭が香り、茎から穂先への食感のグラデーションが心地良く軽快なアクセントを与えてくれた。
薬味陣も豊富で手の込んだラインナップで、ふんだんに盛り付けてある。一番大量に添えてあるのは白髪ねぎなのだが、非常に細やかで技術力の高い丁寧な仕事ぶりが見てとれる。しかしその細やかな白髪ねぎがスープに拡散してしまうと収拾がつかずにあらゆる場面で口の中に入ってきてしまう。常に麺に寄り添い、スープにも混ざっては入ってくる。それが邪魔に思えてしまったのが本音で、細やかすぎる薬味は場面を選ばないので不要に思ってしまう。白ネギのみじん切りも添えてあったが、そちらにも同じ感想を持った。
青みのカイワレは彩り役が大きな使命なのだろうか、味や食感を発揮するほどは入っていない。いつからか〝塩系=水菜 カイワレ〟のような構図が出来上がってしまっているが、茹で青菜の手間を省く薬味としか思えないのは私だけだろうか。
また香りと彩り役の両方を担っている黄柚子も、苦味のある薄皮を丁寧に取り除かれて刻まれている仕事ぶりは素晴らしい。先程の鶏ムネチャーシューに香りを加えてくれたりと活躍も見せてくれたが、スープを飲み干す際にも伴って入ってくるのは少し迷惑にも感じた。
中盤以降も麺自体の美味さは変わらず食べ進んだが、どうしてもすすり心地の難点が目立ってしまい本来の麺を楽しむ事が出来なかった。もし本日のスープと麺と味玉だけが大きな器に盛り付けてあったならば90点台とも思える出来だっただけに特製にした事を悔やんでしまう。
完食完飲していながらも不満が残る納得のいかない気持ちで席を立った時に、後客が食べていた醤油系の大盛りの器を見ると鳳凰の描かれた大きな高台丼に盛り付けられたいた。この器ならば麺が絡まるような事もなかったのではと、器選びの大切さを思いながら店を出た一杯でした。