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「味玉地鶏中華そば  ¥980」@麺屋 他力の写真土曜日 晴天 11:50 先客6名 後客3名

〝ニューオープン 探検記〟

鶯谷の進化し続ける老舗サウナであるサウナセンター、通称「サウセン」を出て山手線で神田駅に降り立った。東口を出て飲食店が立ち並ぶ線路沿いを進んで行くと、開店祝いの花が並んだ店先を見つけた。

RDBのお店情報では11時開店となっていたが、店内が薄暗く営業している雰囲気ではない。心配に思いながら近づいてみると、入り口にはこう書かれた貼り紙があった。

「店内工事をした為、Openを12:00〜とさせていただきます」

これを見て臨時休業ではない事に安堵してオープンまでの1時間ほどを近くで潰す事にした。少し離れた激辛つけ麺の人気店には大行列ができていたりと、ラーメン激戦区をおもわせる。この界隈は休日になるとサラリーマンの姿はなく、学生風の若者たちが多く見られる。そんな若者たちを横目に見ながら貼り紙に書かれた時間よりも少し早く店に戻ってみると、工事が終わったのだろうか、すでにオープンとなっていた。

やや出遅れてしまったが店内には空席があるので、先に店頭に置かれたメニューを吟味してみる。〝白丸〟や〝赤丸〟などと謎の文言が書かれたメニューの中に、好物の〝清湯〟の文字を見つけると即決して白い暖簾をくぐった。

店内に入ると券売機は設置されておらず、女性スタッフさんに案内されたカウンターに腰を下ろした。卓上メニューから決めておいた標題を告げて店内観察をはじめる。テーブル席もある店内を本日は三人体制で回しているが、調理工程のほとんどは店主さんらしき男性が担っていた。複数の種類のスープや豊富なサイドメニューがあるので、店主さんの仕事量は多くて大変そうに見える。その厨房内には低温調理機や電動スライサーなどの現代風のラーメン作りを思わせる最新機器が導入されている。そこから生み出される清湯ラーメンに期待を大いに膨らませて待っていると、着席して10分で我が杯が到着した。

その多用丼の中の姿を見た時は、我が眼を疑うような光景が広がっていた。それは私の中の〝清湯〟の定義を大きく覆すように濁ったスープだったのだ。もう一度メニューの表記を確認してみたが、何度見返しても〝清湯〟と書かれている。それは「円周率は3」と教えられていると言うデマが通用してきた世の中なので、実際に何が起こるか分からない。もはや濁っている清湯も有りなのかも知れないが、私は府に落ちないままにレンゲを手にした。

まずは黄柄茶色のスープをひとくち。すでに液面には清湯とは無縁と思われる濁った水泡が浮かんでおり、違和感しかないスープにレンゲを沈めてみた。すると先陣を切って来たのは鰹節と醤油の組み合わせで、香りだけで言えば〝清湯〟とも思えなくは無いかも知れない。そんな不明確なスープを口に含んでみると、鶏ガラ主体の動物性出汁のコクが存在していた。香りの要素を握っているのは鰹節や昆布などの魚介系だが、それはカエシに含まれる旨みにも思えた。そこに加わる甘味が、リンゴのような爽やかな甘みなのが印象的だ。しかしそこには不自然な旨味が潜んでいるのと共に、その旨味に負けないようにカエシの塩分も強く設定してある。もしかしたらスープ炊きしている寸胴鍋のスープを直接使用していたので、時間帯によって味ムラが生まれるかも知れない。スープ炊きの初期段階の旨味不足を不自然な旨味で補っているのだろうか。しかし結果として飲めない程に味の濃い半濁スープとしか認識できない仕上がりとなっていて、期待していた好スタートは切れなかった。

続いて麺上げまでジャスト20秒の早茹で麺を持ち上げてみると、見た目に繊細そうなストレート細麺が現れた。およそ 24センチに切り出しされた麺は、厨房内に積まれたお馴染みの木製麺箱からも「三河屋製麺」と思われる。箸先には細身ながらも、凛としたハリを感じさせる。そんな細麺を一気にすすり上げると、滑らかさはないが麺肌の凹凸が唇を刺激しながら入ってきた。口当たりだけで低加水麺と分かり、噛めば粉っぽさを残した乾いた食感が特徴的だ。しかしワンロット1杯の丁寧な調理なので、繊細な麺の持ち味を損なう事なく表現している。麺に含まれる水分が少ないのでスープの吸収が早く、時間経過とともに麺の状態が変化し続けていきそうなタイプだ。

具材のチャーシューは部位の異なる二枚が盛り付けてあり、調理テクニックの高さを思わせる。鶏ムネ肉の低温調理は小ぶりだが厚切りなので食べ応えがあり、適正な調理温度なしっとりとした舌触りも生んでいる。下味のソミュール液にはスパイスが利かせてあるので、淡白ながらも存在感のある味付けとなっている。一方の豚肩ロースは三枚入りで筋張った脂身の多い部位だったが、とても薄切りなのでスジや脂っぽさを感じずに食べる事ができた。しかし食べ応えの点では乏しく、切り置きされてからの時間の長さがパサつきとなって表れていた。

大きめの板メンマは薄味仕立てで優しい味わいと食感が引き出されており、後半に麺のチカラが弱くなってきた時には歯応えのアクセントを与えてくれた。

追加した味玉は唇が白身に触れた瞬間に冷たいと分かる提供温度は残念だが、素晴らしい熟成度合いを見せてくれた。しっかりと黄身の中心にまで漬けダレの浸透作用が効いており、余分な水分が抜けた代わりに卵本来の旨みが凝縮されている。明らかに即席仕上げではない事が分かる、時間をかける事でしか成し得ない味玉だった。

薬味の青ネギの小口切りは、雑な切り口が荒っぽい香りを生んでいる。舌触りは悪いが香りでもって脇役を務めていた。醤油系には珍しく白ゴマも添えてあったが、きちんと煎った炒りゴマを使われていたので香ばしさを感じられた。

序盤からスープの塩気に喉が灼けてしまい飲む事はできなかったが、麺質がダレる前に食べ切る事ができた。後味としても〝清湯〟の表記には疑問を残しながら、後会計を済ませて店を出た。

扉を開けて外に出た瞬間の空気の美味さからは、スープに獣臭が多く含まれていた事の証であると実感した一杯だった。

投稿 | コメント (4) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

清湯の定義は沸騰の温度と時間なのでしょうが、何がスープを濁らせたのか?
ストップウォッチと竹尺を持ち歩いてるつわ者にはデリカシーが足りないのでしょう!
うるさい人に指摘されましたね!

虚無 Becky! | 2019年11月13日 15:42

スープを濁らせるものはただ一つ、邪念です。それはキャバクラでの下心にも似た、不埒な考えが生み出す淀みなのですw

のらのら | 2019年11月14日 00:02

なるほど、では貴殿のだけ濁ったわけですかね?

虚無 Becky! | 2019年11月14日 10:16

あらっ!そうかもですねw そうでないとすれば、私の両の眼が曇っているせいかもしれませんね。

のらのら | 2019年11月14日 14:40