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「オープン限定ラーメン (正油) ¥500」@上州麵処 石川商店の写真平日 曇天 10:40待ちなし 後待ち7名 後客6名

〝ニューオープン 探検記〟

RDBの新店情報の中に気になる店を見つけた。そこには前回の群馬遠征で印象の良かった〝上州〟という言葉を冠に掲げた新店があった。私の中では高崎を中心とした上州エリアはラーメンに関しては〝神域〟であり、何かと理由をつけては訪れたい地域なのだ。そんな場所での新店情報なので、居ても立っても居られずに初訪問を決めた。

そこで昨晩も北関東遠征のアジトである上野駅前のサウナに宿を予約して臨戦態勢をとり、いつものように心身ともに〝ととのう〟と翌朝も快調に目覚めた。食事処での焼魚の朝定食には心を奪われるが、これから出会うラーメンの為に我慢をして身支度を急いだ。

上野 9:10発 北陸新幹線あさま605号 長野行きにて、ひとまずは高崎駅へと向かった。そこからはグンマーめぐりでは再三お世話になっている両毛線に乗り継ぐと、15分ほどで前橋駅までやって来た。北口の広々としたバスロータリーで初めて乗車する永井バス 北53系統 荻窪公園行きを待っていると、前橋駅と中央前橋駅を結ぶシャトルバスが停車していた。木造風のレトロな外観がユニークな車両だったので是非にも乗ってみたかったのだが、残念なことにGoogleマップのルート検索に引っかからないのだ。見知らぬ土地なので冒険を避けて安全策をとってナビ通りのバスを待ったが、あとで調べるとそのシャトルバスの方が先着できたようだ。冒険しておけば良かったと反省しながらバスに揺られると、たった3分で最寄りの中央前橋駅バス停に着いた。

駅前の飲食ビルには子供の教育によろしくなさそうな飲み屋の看板が大きく出ており、夜のネオン街を思い起こさせる。そこからは大通りを一本入ると、これまた味わいのある飲み屋横丁が現れる。派手なキャバクラやガールズバーはないが、昔からの小料理屋さんやスナックが点在している夜にお邪魔してみたい通りである。そんな懐かしさの残る街並みを駅前から3分も歩くと、両サイドにムラサキ色の建物が見えてきた。あまりの突然の派手な雰囲気に気を取られていると、その先に目的のコチラがあった。

店頭には多くの開店祝いの花が置かれていて。入口の両脇には白い提灯が飾られている。定刻の20分前の現着となったので並びもなく、一番手にて外待ち用のイスに腰掛けて待機を始める。店先のメニューや貼り紙を見ていると、 9月4日までオープン記念の500円セールとなっていて知らなかった情報に戸惑ってしまった。オープニングの戦略としてワンコインセールは珍しくないが、メニューが限定されたり追加トッピングが出来なかったりするので今までは避けてきたのだ。何より多売によって店の本来のポテンシャルが発揮されていなそうなのが、オープン記念セールを避けてきた本当の理由でもある。しかし前橋まで来てしまっては仕方なく、気持ちを切り替えて店頭の写真メニューから本日のお題に当たりを付けておく。

一番のオススメと思われるのは味噌ラーメンのようだが、ワンコインセールの本日も正油や塩もあるようだ。〝醤油〟ではなく〝正油〟となっているあたりが味わい深い。そんな三種類のスープの中からオススメのセオリーを無視してマイスタンダードの正油にしようと決めて待っていると、次々に地元客が自転車に乗ってやって来た。皆さんオープン記念セールを知っての来店のようで、後客のオバ様たちは今日で三日連続らしい。すでに味噌と正油は食べたらしく今日は塩を食べに来たと息巻いていたので、ワンコインセールの効果はかなりのようだ。それを証拠に、定刻には外待ちイスに収まりきらない並びとなっていた。そんな地元の期待を感じながら待っていると定刻より少し遅れてオープンとなった。

真っ白な暖簾をくぐり店内に入ると、入口左手に設置された券売機から先ほど決めておいたボタンを押すが食券が出てこない。何度も正油ラーメンと書かれたボタンを押しても反応しないので困っていると、後ろのオバ様が〝限定メニュー〟と書かれた共通のボタンがある事を教えてくれた。それを発券してスープの味は口頭で伝えるらしく、さすがは三日連続の常連オバ様だと感心した。

そんなオバ様方に感謝しながらカウンターに座り店内を物色すると、変則的なカウンターとテーブル席が多く設けられた店内の壁には歌川広重の東海道五十三次の浮世絵が飾られていた。この絵を見ると中年世代なら誰しもが、永谷園のお茶漬けの素を思い出すだろう。あのカードを集めていた訳ではないが、大人になってから復刻のニュースを聞いた時は不思議とうれしかったものだ。タオル生地のおしぼりと薄い麦茶のサービスがありがたい、そんな店内を本日は三人体制で回している。厨房内からは中華鍋とお玉と五徳がぶつかり合う金属音が轟いてくるので、さすがは味噌ラーメン推しの店だけに店内に響く音にもそれらしさがある。リズム良く進んでいく調理工程を眺めていると、着席して8分の 1st ロットで我が杯が到着した。

その姿は屋号入りの高台丼の中で懇切丁寧な盛り付けには見えないが、とても素朴な表情で出迎えてくれた。いわゆる流行りの要素が一切ない王道スタイルの具材たちが並ぶ景色には自然と安心感が湧いてきて、非常に落ち着いた気持ちでレンゲを手にした。

まずは弁柄色のスープをひとくち。表層には非常に粒子が細やかで白みを帯びた香味油が薄っすらと膜を張り、その下にあるスープの透明感を遮っているように見える。逆を言えば、醤油色素の強いスープに香味油のオブラートが覆い隠しているとも言える。そんな見ただけでは正体の分からないスープにレンゲを沈めてみると、醤油ダレのキレのある香りが熱々の湯気に伴って鼻先をくすぐった。魚介よりも動物系清湯の趣の強い香りも上がってくるので、ビジュアン同様のオーソドックスな印象を受けながらスープを口に含んでみた。ファーストアタックは香味油の丸い甘みとカエシの塩気が同時に攻めてくる感じで、スープだけを飲むにはかなり濃い目の塩分設計となっている。そこに豚背脂からの甘みと非天然由来の旨味成分の甘みが加わる事で、口の中はパニック状態に陥ってしまう。早々にスープを諦めてレンゲを箸に持ち替えた。

麺上げまで180秒と長めに茹でられた中太麺を箸で持ち上げてみると、黄色みを帯びた平打ち麺が箸先にずっしりとした重みを伝えている。その重さの割には強情そうな質感がなく、柔らかな手応えすら感じられる。店内に積まれた麺箱を見ると北海道の製麺所から取り寄せているようで、味噌ラーメンへの強い思いがうかがい知れる。それを思うと麺が少しちぢれているような気がして、札幌ライクな麺にも見えてくるから不思議なものだ。いろんな想像を弾ませながら麺を一気にすすり上げると、何ともすすり心地の良い口当たりで滑り込んできた。それはスープを吸って溶け始めたグルテンのぬめりと緩やかなウェーブの麺の形状が織りなす技で、ソフトな口当たりながらも印象に残るオリジナリティあふれる麺だと思った。心地よい口当たりの後は、奥歯を押し返すような歯応えがあれば良かったと思ってしまうような柔らか仕上げだったのが残念だった。

具材のチャーシューは豚バラの煮豚型が盛り付けてあるが、赤身中心の部位だったので脂っぽさを感じさせない点が良かった。しかし赤身が多いと必然的にパサつきがちになるのだが、それを思わせない仕上がりとなっていた。ただ味付けは濃い目なでスープには負けていないが、味の濃さに私の舌が負けてしまった。

ワンコインセール中でも味玉が半個入りなの非常にありがたい。半カットされて盛り付けられた味玉の見た目は、黄身の中心から白身の果てへと続く宇宙絵図を思わせるグラデーションを見せている。そんな色彩の美しさに反して、味付けは普通の半熟ゆで卵だったは残念で仕方なかった。しかしキャンペーン中に初期値で入っている味玉なので、仕込みも追いつかず味が浸透していないのは仕方ないとも思った。

これに対して業務用品をそのまま使っている青み役のほうれん草や食感担当の味付けメンマには違う意味で安定感があったが、そこには手仕事感や店の個性を感じる事はなかった。

薬味の白ネギの小口切りや白ゴマも味噌ラーメン用に準備された薬味に思え、屋号に掲げた〝上州〟の意味を考えてしまった。

中盤からは味噌ラーメンがイチオシなのにセオリーを無視して醤油を選択した事を悔やんだ通りに、周囲の方は味噌ラーメンを美味しそうに食べていた。

今回のミスチョイスを反省しながら席を立つ時に、三日連続で来店している先ほどのオバ様方が塩ラーメンを食べながら「味噌ラーメンが一番美味しいわね」と言っていたのが真実の全てだと確信しながら店を後にした一杯でした。

投稿 | コメント (2) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

また、読んでしまったよ。今日の発見を教えようか!
今日は3箇所だ!
「永谷園のお茶漬け」「オブラート」、中高年に共感を与えるワードだ!
そして、今回の創作文面であるが、
「黄身の中心から白身の果てへと続く宇宙絵図を思わせるグラデーション」凄そうな文面に感じるが、最後の三日連続のオバ様の「味噌ラーメンが一番美味しいわね」結論には勝てないものだろう!

昭和のBecky! | 2019年9月8日 04:10

自分でも書いてて懐かしく思うフレーズでしたので気付いてくれて嬉しいです。たしかに凄そうな文面ですが実際には大した事は言ってない辺りも私らしくてよろしいかとw

のらのら | 2019年9月8日 12:58