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「ラーメン 並 ¥650+半熟味玉 ¥100」@家系 麺場寺井の写真平日 晴天 17:30 先客3名

〝ニューオープン 探検記〟

本日は夜の会食予定もなかったので、三食目の新店めぐりを行う事にした。前食を終えた江古田駅から池袋で東急東横線に乗り換えると、各停で江古田を出てから1時間かけて最寄りの綱島駅にやって来た。

今回の目的地であるコチラはRDBの新店情報で見つけた店なのだが、先程の江古田でオープンした「鶏そば きらり」と同日デビューのようだ。まだオープン間もない新店を目指して、綱島駅前で夕方まで時間をつぶしてから店を探しに歩いて向かった。

綱島には人気店が相次いで誕生しているが、いずれも駅から離れた場所にある。しかしコチラの新店は綱島駅北口から徒歩1分の好立地にあるので、すぐに店先を見つけられた。店頭の歩道には開店祝いの花がズラリと並び、数々の家系人気店の名前が連なっている。中には「酒井製麺」からの花もあるので「吉村家」の流れをくむ家系なのだろうか。しかし屋号には〝家系〟とはあるが「◯◯家」の店名ではない。しかも修行先は日吉の「武蔵家」となっているので、複雑な系譜の〝お家騒動〟には理解しがたい難しさがある。きっと優秀なインタビュアーさんが詳細は明らかにしてくれると思うので、とりあえずは様子を伺うために店外に置かれた券売機の前に立ってみた。

券売機の中から最も量の少ない並盛りのラーメンと追加の半熟玉子のボタンを押して店内に入ったが、特にスタッフからの席への誘導もないので勝手に白木風のカウンターに座り店内観察を始める。

新店舗らしい明るい店内は最高気温がまだ 30°Cを超えている本日でも、入口の扉を開けっ放しなのに十分にエアコンが効いている。なぜなら、客席上には三連の空調設備が備えてあり、厨房内にもスポットクーラーが完備してある。家系ラーメン店の多くは営業時間内でも常にスープを炊いていなくてはならないので、ガス台の熱量に空調が追いついていない店が多い。しかしこの店は、店主さんの経験から考案されたと思われる十分すぎる空調システムを導入されている。それによって客席で暑い思いをせずに済むだけでなく、家系スープ独特の豚骨臭も排気されて店内の空気はとても清らかだ。

厨房内に目をやると、高熱を発しているスープ炊きの大型寸胴鍋が3台も連なって並んでいる。この三連鍋の設備を見ると〝家系〟のルーツが、博多ラーメンなのを認めざるを得ない。そんな仕事効率の良さそうな店内を本日は三人体制で回しているが、大きな掛け声が響く元気の良さも家系らしさをアピールしている。家系の特徴のひとつでもある、店内の随所に味の濃さや油の量の調整が可能と明記してあるが初訪問なので全て基本でお願いした。またライスの無料サービスも辞退してラーメンだけに集中しようと待っていると、着席してから6分で我が杯が到着した。

その姿を見て、さらに謎が深まってしまったのだ。それは修行先の「武蔵家」で使われる青磁の器ではなく「吉村家」と同じ黒釉薬の高台丼が使われていた。もはや家系初心者の私には理解不能となってしまい〝家道〟のプロのレビューを待つ事にしてレンゲを手に取った。

まずは伽羅色のスープをひとくち。表層には厚めの油膜が張り巡らされているので、灼熱のスープを覚悟してレンゲを液面に押し込んでみた。どろりとした大量の油分と共にレンゲの中に流れ込んできたスープに、ヤケドをしないように慎重に口に含んでみた。すると意外にも率直な第一印象としては生温いスープという事で、自分の唇の感覚を疑ってしまう程だった。常に継ぎ足されて炊かれているはずのスープなので、ぬるい訳がないはずだが二口目も同じだった。雪平鍋と濾しザルを使って寸胴鍋からダイレクトに器にスープを張るスタイルなので、器の冷たさが原因にも考えられるが、それだけとは思えない温度だ。店のルーツやスープの温度で頭の中が混乱してしまったので、麺に取り掛かった瞬間にスープの温度の謎が解けた。

麺上げまで実質 215秒の麺を持ち上げると、薄黄色に輝く麺肌からは湯気が沸き上がっている。それは唇を当てるのを躊躇ってしまう程の熱気を放っているので、スープ自体は熱いのだが表層を覆っていた香味油が冷たかったようだ。ひとくち目のレンゲの中には多くの油分が占領していたので、スープの熱さを緩和してしまったらしい。スープが生温く感じたのは、それが原因だったようで実際には、かなり高温のスープが下層部には潜んでいた。

ようやく合点がいった所で、麺に息を吹きかけてから一気にすすり上げてみる。麺幅と麺厚のバランスから平打ち麺にも見える麺は、滑らかながら切刃のエッジがスクエアな口当たりを生んでいる。そして計算された麺の短さが、ひとすすりで口の中に収まりきるが、すすり込む醍醐味を忘れずに与えてくれる。短い麺でも、すすり心地の良さも楽しめる絶妙のバランスで飛び込んでくる。酒井製麺の家系タイプの麺としては少し細めにも感じるが、モッチリとした歯応えは健在だ。おざなりに奥歯を合わせただけでは噛み切れないくらいに反発力の強い麺なので、しっかりと弾力を確かめるように噛みつぶすと、跳ね返すような歯切れで応えてくれる。その繰り返しが〝食す〟という、人間の持つ本能にも応えてくれるようで悦びすら湧いてくるようだ。ただ残念なのはスープの塩気が異常に高い事で、家系ラーメンを前にしてヘタレな事を言うようだが、これを飲み干せる味覚と胃袋が恐ろしく思える。老いを感じてきている私の胃袋には、カエシが半分でも足りるのではないかと思ってしまった。もし再挑戦する事があったなら、店の方針に従って「味うすめ 脂少なめ」でお願いしようと後悔してしまった。

具材のチャーシューは、やや厚みを持たせた豚バラの煮豚型で仕込まれていた。あまり得意でない脂身が多い部位が切り分けられたが、薄めの味付けが強気なスープの中では箸休め的な存在になってくれた。薄味と言っても豚肉本来の品質が良いので、臭みや脂っぽさを全く感じさせない安心感のあるチャーシューだ。

追加した味玉は、黄身の中心部にまで漬けダレによる浸透圧の効果が発揮されていて、ネットリとした舌触りを生み出している。温め直されてはいなかったと思うが、灼熱のスープで常温以上には温まっていたので冷たさによる違和感なく食べられた。

もはや、ライスのお供にしか思えない大判な海苔も十字4切で三枚も添えてある。無料ライスを注文してので一枚目の海苔をそのまま食べてみるが、香りもなく硬さを残す舌触りで印象は良くない。二枚目はスープに十分に浸してから口にすると、口溶けは良くなったが過剰な塩分に犯されてしまった。最後の三枚目は軽くスープに泳がせてから食べると、塩気は強いが適度な口溶けを残して消えていった。きっとこの状態の海苔でライスを包んで食べるのが〝本家流〟の作法なのだろうと理解できた。

青み役の具材のホウレン草だが、店で茹でられているとは思えない仕上がりだった。青菜独特の香りは皆無で、植物の繊維質を一切残してない歯応えのなさは業務用カットホウレン草ではと勘ぐってしまう。もし店仕込みならば、ここまでクタクタに食感がなくなるほど下茹でしなくても良いのではないだろうか。

序盤で白旗を上げたスープの強烈な洗礼を受けた味覚は、崩壊寸前で中盤までは耐え忍んできたが、スープ以外も完食する事が出来ずに箸とレンゲを置いてしまった。麺ディションは良好だっただけに、スープを初期設定で挑んだ事を最後まで悔やんだ。あくまでも自己責任ではあるが、目の前のラーメンに対する個人的な評価としては低くなってしまった。

本日は三杯のうち二杯も不得手な家系タイプで、自身の〝家耐性〟の向上に努めてみたが、胃袋だけでなく肉体全身にも疲れを感じてしまった。そこで今夜は、明日以降の〝ラ道〟を計画するのと、疲弊した身体を癒す目的を兼ねて、横浜みなとみらいの温泉施設へと向かう事にした一杯でした。

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