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「タンメン」@栄屋ミルクホールの写真降臨! 拉麺随筆家之湯麺

 其の一杯は。と云うよりは、その店は長い間の歴史を確かに刻み、一杯で客に幸福をと、真摯に取り組んでいるのであった。

 小川町の駅の階段を登り、外堀通りから脇道に入るとその店が見えてくる。掲げられた看板に描かれた電話番号は未だ七桁、入口の硝子戸はがたがた音を立ててもなかなか開かない。店内も四角い卓に丸椅子、手書きの品書きが並び、飾り気もない。此処は日本蕎麦店から衣替え、開店してもう六〇年以上経っていると云ふ。

 十年程前であろうか、職場の同僚女性を連れて来たことがある。美味しい拉麺が食べたいと言うのだ。しかし、彼女は店の入り口に立った途端、こんな○○な店は嫌だと言って踵を返した。あわよくば口説こうなどと下心を抱えた私ではあったが、明らかに店の選択を誤ったということだ。逃がした魚は大きかった。美しい女子(おなご)であったのだ。あ。いや、あの、その。

 掲題の品を注文し、待つ間他のお客を眺める。ひっきりなしに背広姿の男たちや女性の親子連れなどがやってくる。常連なのだろうか、お蕎麦、拉麺と辛味入汁掛飯組み合わせ(解釈一)、握り飯(お品書きにはおにぎりと云ふ表記)などと注文する。客によっては店の方と雑談に耽る。うちの親父と好みが似てさ、此処の湯麺親子二代で好きになってさ・・他愛も無い話では有るが、長い間親しまれて来た証左だ。辛味入汁掛飯単品なぞを注文する客は居ない。此処は拉麺が売りなんだと改めて思ふ。

 席に着いて十分ほどで運ばれてきた。炒める音が聞こえず、少々心配になって10キロ位痩せそうだそれは良かったね。まず汁から頂こうとしよう。

 わ! こりゃ参ったニンニクがあ~午後も仕事だどーすんだ。・・・失礼。痔が出てしまったイテイぞ。いや。地が出てしまった。御勘弁いただきたい。
 
 出汁は鶏と野菜が中心のようだ。薄いと云ふことではないのだが、いささか弱い。昭和二十年代から続いてきたと云ふ店だ、流行りの汁を意識せずに、昔の味を少しずつ変化させたきたのだろうか。こうゆう汁には胡椒や棘油(解釈二)、あるいは酢がよく合うものだ。嗚呼。炒めた香ばしさはないが、心が癒されるような穏やかな味だ。

 麺を取り出してみる。湯麺にはあまり見ないかなり細い直線形状である。色白で少し軟らかい茹で方だが、このような淡白な汁にはこれでいいのだろう。ただ量が少なく、結果として野菜、特に玉菜(解釈三)ばかりが残留するのである。

 その玉菜の量は凄まじい。まさに玉菜麺と云ふべき趣きなのだ(解釈四)。食べても食べても中々減ってはくれぬ。又、少々茹で過ぎなのか、食感は余り宜しくないのわ残念で或る。他の野菜は長葱の刻み、人参、椎茸、韮、豚肉、萌やしである。

 あの。ちょっといーすか? 何で御座るか武瑠魔殿。あのですね、人参がさ、紙みてーにさ、薄ぺっらのはいーけどさ、ブタ君がさ、ちっちぇーのが3~4切れしかねーのわ寂しいと思わんか貴兄わいつからべじたりあんに変身したのだ貴兄わ!貴兄わヤギかあ?

 し、失礼な山羊とは何だ狼の皮を被った羊とは私のことだ。まあその。そうかも知れぬが。しかし武瑠魔殿、昨日貴方様は住吉のNew Old Style 肉そばけいすけに行かれて、肉肉肉肉もう肉わ要らんとほざいてはいなかったか? え? 読み返せよこの野郎。あ。失礼。また痔、いや地が出てしもうた。

 御馳走様である。全体を通して云えば、些か残念でわあった。汁はともかく、玉菜に支配されており、その玉菜が茹で過ぎと云ふことで、最後は丼に残留させたまま帰ろうかと思ったのである。それわ出来ない。作ってくれた方々に失礼だ残してわいかんとは古から伝わる我が家の家訓。出鱈目であるが。
 流行りの物とは異質、昨日の肉肉肉肉で超濃い口醤油、開店して三日しか経っていないNew Old Style 肉そばけいすけとは真逆の一杯・・・。

 そうでわあるまい。濃厚豚骨魚介超極太麺を標榜する店も此処も、客を一杯の拉麺にて倖せを提供すると云ふ心意気は些かも変わってわおらんのである。幾重の時を経てもその思ひは共通なのである。其れは、厨房の奥からも聞こえる丁寧で優しい「いらっしゃいまし」「有難う御座いました」と云ふ声に詰まっているのである。店主では無く若い女子(おなご)の声なら尚好いのだが。あ。失礼。
 
 三鷹の老舗店が先日閉じられたと云ふ報道があった(解釈五)。最後の数日は大変な行列であったと聞く。客の思ひも同じなのだ。旨い一杯を頂きたい。その思ひもまた共通なのである。
 何時何時までも此処の店に於かれては、がたがたの扉と七桁の電話番号、それに白い暖簾のみるくほうるの儘(まま)、続けて頂きたいものである。

  平成二十二年如月  拉麺随筆家 武瑠武瑠魔 記

解釈其之一 それわね、らーめんとカレーのセットなんだよ簡単言うとさ。まあ常連さんは単にセットとゆーてたよ。900円だぞ。

解釈其之二 凝った胡椒なんぞでわないぞ。100均で売ってるヤツだ。ちなみにお酢は「食卓のお酢」。

解釈其之三 キャベツっていえよお~

解釈其之四 キャベキャベ麺と名付けましょ。

解釈其之五 江ぐち。読めや~売れや~しんぶんに載ってたぞ。

 さて。定休が水曜の松戸のお店は諦めたぞ。どこの店に明日行くか。さあ当てて御覧。当選された方は洩れなくアタシの舎弟になれるぞ。いやその。素晴らしいプレゼントがあるぞ。あるかも知んないぞ。無いかもしれない、かな。きっとないな。結果は明日のこの時間ですからスイッチ入れてチャンネル変えずにお楽しみください。

投稿(更新) | コメント (2) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

おはです!

をっ! 老舗有名店ですねぇ~
一度は逝っとかねばと思いつつ
未訪でありますw

同店に訪問して昭和を感じたいです。

をっと、今日は定休っすか!

>さあ当てて御覧。
=>うーん、八王子!?
当たらなくても舎弟にしてください(笑)

YMK | 2010年2月3日 08:03

こんにちは。

をっと、「そいつわぁ」で始まらないぞ!
などと思ったら、、、、
なるほど、店に順応して昭和純文学モドキの文体だった訳ですね。
ヒネリに欠けた野菜麺を食らわされたら、レビューをヒネらなきゃ
やりきれなかったとお見受けしましたぞよ。

hima | 2010年2月4日 14:12