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「青葱塩叉焼(950円)」@太七の写真私は本当に佐野らーめんが好きではないんだろうか?
 
前回の予告に引き続き。

 人は、と言うより生あるものは必ず死が来る。今も「死」は怖い。何が怖いと言えば、感情の消失だ。さまざまに想像することができなくなることだ。

 たとえば、此方のらーめん。佐野に初めて来てからもう30年近くになろうか。何十杯かの佐野らーめんを食べていれば、此方の味も容易に想像できる。

 スープは鶏中心で魚系が補助にまわる、やや単調なあっさり系。麺は超多加水、青竹平打ちのピロピロ、やや弱め。此方の売りである青葱らーめんは、丼を覆い尽くすようにちりばめられる青い葱が特徴だが、言ってしまえばそれだけのこと。

 そんな想像をすることがまた、楽しく。

 実は佐野らーめんはあまり好みでない。それに気づいたのが4年ほど前で、RDBに投稿する時期と一致する。それはつまり、食べ歩きを本格的に始めた時期である。それでも佐野足利方面に一年に2~3回出かけた際には必ずと言っていいほど佐野らーめんを喰う訳は、そうした「想像を打ち壊すことへの期待」を想像する楽しみがあるからだ。実のところ、その期待の想像は殆ど肩透かしとなる。今まで行った中では唯一麺家 ゐをりだけが叶えてくれたのだが、あちらは東京の人気店が、たまたま佐野にあるような感じがしないでもない。

 普段はこの時期に佐野方面に来ることはないのだが、葬儀に参列するための道すがら、立ち寄った此方。ふらっと寄った訳ではなく、一応かねてからチェックしていたお店。塩、葱盛り。この二つの言葉があれば寄るに十分な理由となる。

 平日の13時過ぎ。広い駐車場は6割程度埋まっていた。地元ナンバーが多いが、東京など遠方のナンバーも並ぶ。ウリのらーめんのデカイ看板がやたらと目立つ。
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 入店すると、客席も6割程度埋まっている。4人がけのテーブルに案内されて、掲題のモノを注文する。店内は、ご他聞に洩れず食堂風。単身客は少なく、家族連れやグループ客が大半で、わいわいがやがや、やはりなんとなく忙しない。あまり好きではない。

 およそ10分ほどで届けられた一杯。額面どおりの「青葱」が埋め尽くす。
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 その葱をかき分け、まずはスープを一口。

 これまた想像通りであった。鶏主体と思われるが、煮干しや鯵干し、香味野菜も使用しているそうだ。塩っけはそれほど強くもなく、脂もきつくない。よく言えばあっさりでシンプルなのだが、やはり単調な感は否めない。佐野系のスタンダードともいえるテイスト。塩はモンゴル岩塩だそうだが、それを感じるまでの舌ではない。

 麺は少々想像を外してくれた。お約束の多加水ピロピロ平ウチは、しっかりとコシを感じる。なんでも、スープ同様、「讃岐うどん」がイメージだと言う。こんなこだわりだそうだ。
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 ただ、少食の私にしても物足りない麺量で、おそらく150gはないような気がする。

 青葱の上に乗る4枚のバラチャーシュー。脂身が多いのだが、スープがかなりあっさり系に振ってあるので、それほどしつこく感じることはない。小口の葱はもういい、と言うほどの量が乗る。そのほか、特筆は無い。

 葱量としっかりした麺の印象は残るものの、今まで食べてきた佐野らーめんと大きな差はないようだが。私はほとんど使わない表現ではあるが「普通」の佐野的な印象だ。

 よく使われる「普通の味」とは、「あまり特徴はない」「他所でも似たようなものが食べられる」との意である。この表現には「とても旨い」的なポジティブなニュアンスはない代わり、「まずい」「食えたもんぢゃない」と言ったネガティブな印象もない。

 また、「普通」と感じるのは、「常食」と言うような意味もあるのではないか。常に食べているものに特段の不満も感動もない。私は佐野らーめんがあまり好きでないのではなく、もはや「常食」の域まで食べているのではないか。佐野らーめんが有名になってかれこれ25年ほど、50杯か80杯か分からんが、相当な杯数を重ねた結果、佐野らーめんは「ご当地らーめん」でなく、町場にある何気ない中華店のような存在になっているのではなかろうか。

 「普通」であることは、偉大でもある、と思う。客は正直で、まずい、と心底思った飲食店には二度と足を運ばないだろう。人口12万人の佐野で、ゆうに200を超すらーめん店がひしめく中で「普通」の味を提供し、佐野らーめんが全国区となった昭和の終わりから四半世紀も営業を続けることは大変なことだと。

 この店の味はこうだろうああだろう、とあれこれ想像してきて、その範疇に収まったことへの安堵と少々の不満を残して店を出る。

 こうしたさまざまな感情を大切にしたくなって来た自分がいる。

 なぜ、たかだか一杯のらーめんに二千文字を費やし、こんなレビューを書いているのか。それは好きだからである。なぜ好きかと言えば楽しいからに他ならない。楽しいことをするのに理由も理屈も要らない。
 
 楽しいとか嬉しいとか哀しいとか淋しいとか、そうした感情が一切途切れること。旨いとか熱いとか寒いとか冷たいとか、一切感じることがなくなること。もっと言えば美味しいらーめんが喰えなくなること。そうした日常のすべてから引き剥がされること。だから「死」は怖いのだ。若い頃ほどではないにしても、「死」はやはり怖いのだ。身内の葬儀に参列するたびに、そう思うのである。(続く)

 えーと。もうすぐ前人未踏のメモリアル~。どこいこ?

投稿(更新) | コメント (19) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

毎度~

佐野ラーメンが好きかどうかは知らんけど、
間違いなくネギは好きやと思いますわ~w

アカンな~同好会 | 2012年2月12日 16:19

師匠,どもー。

葬儀でしたか。いろいろ考えちゃいますね。

自分も2年ちょっと前に,2歳年上の仲の良かった従兄弟を亡くしました。
彼が亡くなった歳を超えた今,死は完全に人ごとじゃないです。
でも,体に異常を感じない限り,ラーメン食べちゃうんですけどね~。
生きていればこそできること!

Ra.Ibasen | 2012年2月12日 16:34

こんにちは!
ほんとに死生観書いちゃいましたね。
しかも真面目にしかも予告通りに次回持ち越しとは…。

イケ麺 | 2012年2月12日 16:35

塩のヲタクはぶるまなじっちゃんさん  こんにちは!

>そうした日常のすべてから引き剥がされること。だから「死」は怖いのだ。

ですね。自分も昨日の朝、救急車の音を聞き、1軒離れた建て替え中の家の前に止まっていました。家を出て1時間後帰ってくると救急車は無く、隣の家の前に警察のバイクが2台止まっていました。
なんと隣の奥様が一人で亡くなっていたのでした。 気をつけないと・・・

>もうすぐ前人未踏のメモリアル~。どこいこ?

何処に行くのかな?

ヨコべー | 2012年2月12日 16:48

こんにちは~

いつもと違う論調で思わず食い入るように読んでしまいましたw
死生観。
この年齢になってくると確かにイロイロ考えちゃいますね。

ところで、、、
>前人未踏のメモリアル

何処でしょ?
きになるぅ~。

こんばんは。

ぶるまさま‼
凹んでいる場合ではございませんわよ。。。
今日は
らーを我慢してその分を…
明日。
明日は塩ですよ‼

私は朝一行きまっせ~♡

・@特派員 | 2012年2月12日 18:33

乙です。
随分とレビタッチが違うので、どないしはったんや・・・・と思いますがな(笑)。
次の前人未踏へと期待は続く。。。。

どうもです!

何か哲学ちっくになってますねwww
というか、前人未到のメモリアルって?なんですか?

junjun | 2012年2月12日 20:40

こんばんは。
『死』ですか。
いろいろ考えさせらますね。
そうは言っても我々は生きてる訳で。
前人未踏。楽しみにしてますよ!!

したん | 2012年2月12日 22:10

ぶるまさま
凄いネギで!
nekoさんのコメントにあるように明日の塩で元気になっちゃって下さい。
私は…。
無理かな…。

shun | 2012年2月12日 22:12

こんばんは。

おっといつもと違うタッチのレビューですが、
何やら考えさせられる内容ですね~
ところで前人未到のメモリアルって?

ぽんたくん | 2012年2月12日 22:52

こんばんは!
このネギは魅力的っすね~
佐野らーめんには見えんかったっす^^;
一回食ってみたい^^

King Tetsu(なの?) | 2012年2月12日 22:55

こんばんは。
お互い残りの人生の方が短いわけですから、
楽しくラーメン食べて行きたいですね。

kamepi- | 2012年2月12日 23:46

ようこそと言いたいですが
御不幸があったんでは言えませんね

佐野ラーメンは佐野というらしさがあって私は好きですよ
佐野は200軒のうち数十軒行きましたが、
ラーメンの基本がここあるような気がするんからです
太七は私は佐野の中でベスト5に入る好きな店
佐野に来るたび食べたくなる店です^^

麺々亭☆呑助 | 2012年2月12日 23:59

こんにちは。

ま、まあ、、
エジプトの大王様たちも、秦の始皇帝も、そして名も無き人々も、、、、
みぃんな受け入れざるを得なかったサダメですから・・
前人未踏のメモリアル?
なるほど、アレの600ですな、ソレは。

hima | 2012年2月13日 06:12

どもです!

私は佐野ラーメン好きっす。
いやぁ~ 偶には遠出したラーメンしたいっす(^^)

YMK | 2012年2月13日 09:07

こんちくわ~。

遠征もつ~w

彩りキレイですね~
ネギの緑は映えますね~^^;
そんだけww

富士山 | 2012年2月13日 10:07

おはようございます。

『死』ですか。

コノ歳になって 私は以前より怖くは無くなってますね~

ただ 家族などの行く末が見られないのが残念なだけかな?

メモリアル! 楽しみ~(^^)

Stag Beetle | 2012年2月13日 11:28

KMです。
今回の内容は好きです。
コレに対するコメントは簡単にできないですが、
対象は佐野ではなくても、自分にも同じことが起きてます。
根底には、ラーメンは驚くほど美味いものではないという感覚があります。
その普通さの中に多くのものが隠されている気がします。
考えてみると、後何回食事をすることができるのだろうか、
後何回桜の季節を迎えられるのか、そういうことも関係する歳です。
自分は死ぬ前に、『普通のラーメンも食べたい』と言う気がします(笑)。

KM | 2012年2月15日 11:17