なんとかデータベースラーメンカレーチャーハンぎょうざうどんそば
 
2023年12月3日の大崎裕史の今日の一杯

東京都武蔵野市武蔵境

ラーメン(780円)+2種盛りチャーシューどとんこつ(880円)

立川に行く予定があり、その途中でどこかラーメンを食べたい。そうだ!久しぶりに「きら星」で食べようと思いつき、念のため臨休がないかどうか、インスタを見てみたら、なんと!衝撃の投稿が。
『きら星は今月(12月)末で閉店します!』
道路拡張工事による立ち退きの話があり、長い間、物件探しをしていたものの、豚骨臭の問題があり、「きら星」としての移転は諦め、味を封印。復活するにしても新味での再起となるようだ。20年近くの営業、お疲れ様でした。

ここで「きら星」の振り返り。
店主の星野能宏氏は、根っからのラーメンフリーク。テレビ東京『テレビチャンピオンラーメン王選手権』で決勝に勝ち残る程のラーメン通。多摩地区のラーメン好きで構成された『多摩武蔵野らー団』の一員としてラーメン本の出版をした経歴もある。いまだに年間300〜400杯近くのラーメンを食べ歩き、特に九州豚骨ラーメンに関しては屈指の知識と情報を持ち、その経験により、自店の豚骨スープを日々進化させている。店を出す前には鮮魚店に就職し、魚のことを研究。有名ラーメン店での修業を経て、2004年に創業し、「TRYラーメン大賞」(講談社)の新人とんこつ部門1位を獲得。以来、一度も圏外に外れることなく、20年連続掲載。2020年版では1位にも復活!五回目の1位獲得となった。殿堂入りをしてもいいくらいの銘店である。
店の大きな特徴は、大量の豚骨を煮込んだ濃厚スープに鰹節の出汁にとろみを付けた「カツオ餡」。豚骨から豚骨魚介へと味変させる仕掛けはダブルテイストと呼ばれ、話題になった。そしてこだわりまくった自家製麺。似たような麺を他で食べたことが無い。
最近、豚骨の「香り」に新たなる発見をし、呼び戻し製法による「熟成香」を出すことに成功。味覚だけでは無く、香り効果によるさらなる旨味を高めた。19年経った今でも進化して、尚おいしくなっているのに、ここへ来て、「きら星」はいったん終了してしまう。ここ数年は何年かに1回しか来てない私が言うのもなんだが、ラーメン界の損失であり、関東豚骨界の痛手である。星野さんのラーメンは今後も食べられるだろうけど、「きら星」のラーメンが食べられるのはあと3週間くらい!
これから日々、行列が長くなっていきそうだが、今日は開店30分前着で3番目。私が食べ終わる頃には外待ちも無かったのでお店に確認の上、連食。どちらも素晴らしくおいしかった。そして、女性スタッフの声出し、気配りが素晴らしい。店主の星野さんがトンコツバカなのに“無骨”で口下手なのを完全フォローしており、いい空気感を演出している。
閉店が決まってから食べに行くのも野暮ではあるが、この際、そんな野暮さを無視して「最後のきら星」を食べに行って欲しい。

お店データ

きら星

きら星

東京都武蔵野市境南町3-11-13(武蔵境)

このお店の他の一杯

    大崎裕史
    大崎裕史

    (株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。