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2023年7月12日の大崎裕史の今日の一杯

東京都武蔵野市吉祥寺

チャーシューつけそば

でき心@吉祥寺(ランチタイムのつけそば)

荻窪丸長がしばらくの間、休業(たまに臨時営業?)を宣言し、桜台丸長は店主高齢のため6月下旬に閉店。目白丸長は6月に店主急逝し休業後、ようやく復活(まだ不定期営業)。そんな黒胡椒系丸長ロスになってしまったこの夏、救世主が現れた。どこの丸長でもなく、丸長で修業したわけでもなく、もちろん教えてもらえるはずもなく、それにも関わらず、「丸長インスパイア系」と話題になっているのが「でき心」(吉祥寺の居酒屋)のランチタイムつけそば。

「でき心」は以前もラーメンを出したことがあり、同じ吉祥寺に「ハナイロモ麺」というG系ラーメンを出しているラーメン好きの店主。「出来心」「花色木綿」と聞けば、落語好きならわかるはず。そんなに落語に詳しくない私でも聞いたことがある古典落語の有名演目。

主なメニュー(2023年7月11日現在)
つけそば900 チャーシューつけそば1200 メンマつけそば1100 チャーシューメンマつけそば1400 ※通常茹で前200g 大盛り+100円(300g)

ここはやっぱりチャーシューつけそばを注文。(後会計制)
メニュー名の「つけそば」もそうだが、器や盛り付け方、もちろんつけ汁も荻窪の丸長インスパイア。いや、インスパイアというよりは、オマージュやリスペクトと言った方がいいだろう。もちろん少しは違うところもあるがかなり寄せている。三河屋製麺の中太麺もいい。胡椒が利いたつけ汁もナイス。小さな器に短冊切りにしたチャーシューがたっぷりで嬉しい。このチャーシューが実においしい。
スープ割りを頼むと食べ終えた麺皿にスープの器を乗せ、持っていった。そしてそのままスープ割りをして帰ってきた。いや〜泣ける。荻窪丸長のスープ割りスタイルである。そこまでリスペクトしていたとは。そのことを女性スタッフに言ったら「ありがとうございます。気付いていただけましたか?」と喜んでくれた。

メニュー名のメンマが竹の子になれば、完璧だった。でも、ここまでリスペクトして、しっかり「丸長」の新店か?と思えるくらいの出来にするとは、店主のラーメンセンスと丸長愛が半端ない。感動してしまった。荻窪丸長のつけそばを食べた事のある人にこそ、食べていただきたい「荻窪丸長リスペクトつけそば」である。吉祥寺駅に向かいながら、嬉しくておいしくて、なんだか泣けてきた。
愛のあるラーメン(今回はつけそばだが)は、人を泣かせるだけのパワーがある。

お店データ

中華つけ蕎麦 でき心

中華つけ蕎麦 でき心

東京都武蔵野市吉祥寺本町1-35-17(吉祥寺)

このお店の他の一杯

    大崎裕史
    大崎裕史

    (株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。