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「特製醤油らぁ麺 ¥980」@らぁ麺 紫陽花の写真日曜日 晴天 11:00 先待ち48名 後待ち38名以上

先週の〝ラーメン奇行〟で訪れた奈良では、行列で知り合った若者に車で駅まで送ってもらえたおかげで奈良での一泊を免れた。送ってもらった近鉄奈良駅からも、京都行きの特急にギリギリ間に合うという奇跡も起こした。翌日の月曜日には都内で野暮用があり、京都駅から素直に帰京するのがベストではあったが、その前日の和歌山市の夜のネオン街が消化不良だった為に良からぬ虫が騒ぎ出した。

突発的な旅のため、チケットもその場で調達するという無計画ぶりだが、京都駅の新幹線チケット売り場で東京までのチケットではなく、名古屋行きのボタンを押していた。あと一晩だが夜の街を楽しむ事にした。もちろん翌日はラーメンも楽しんで帰京する予定だ。

名古屋駅直結のホテルをとり、栄のネオン街にくり出す。日曜日の夜なので人通りは少ないが、昨晩の和歌山とは比べものにならない賑わいだ。昨晩の分も取り戻すくらいに楽しんで後、惜しまれながらもホテルに戻った。翌朝は少し酒が残っていたが何とか目が覚めた。そこで本来の目的である愛知県年間ランキング第1位のラーメン店に向かおうとしたら、まさかの月曜定休。前日の下調べ不足を露呈して、やむなく東京へと帰った。

それからの東京に戻っての一週間、久しぶりの都内のラーメンを食べ歩いていたが、どうしても名古屋のラーメンの事が気になって仕方ない。そこで本日は居ても立っても居られず、名古屋への再訪を決めた。もちろんコチラへの初訪問の為だけに。

そうと決まれば日曜日の朝、早めに目覚ましをセットして品川駅に向かう。そして東海道新幹線 8:37発 のぞみ17号 博多行に乗車して一路、名古屋を目指した。早朝にもかかわらず、新横浜駅を通過するまでに缶ビールを二本も呑み干す暴挙も旅ならではの醍醐味だ。10時過ぎには無事に名古屋駅に着いた。

ここからは市バス 名駅19系統 尾頭橋経由 港区役所行きで向かう予定なのだが、誰が設計したのだろうかと思うほど不便な構造のバスターミナルを迂回してバスに乗車した。そこからは15駅30分くらいで、車内の名古屋弁に聞き耳を立てていると最寄りバス停の外新町四丁目に着いた。バス停からは目的地は目の前で開店30分前に現着した。

コンビニの先に見えた店の前には外待ち席に選ばれし三人が座っている。それに続こうと思い近づくと背後に人の気配を鋭く感じた。振り返って見ると、少し離れた駐車場には大行列があふれていた。最後尾は駐車場の一番奥まで伸びてで行列を数えながら奥へと進むと48名もの並びだった。先週の大阪にも引けを取らない大行列だ。折れそうな心を、ここまでの新幹線代と照らし合わせて何とか支える。

並び始めて1時間40分が経過しても前列には、まだ10人ほど並んでいる。すでに品川〜名古屋間の乗車時間を越えた。しかし確実に歩みは進んでいるので、諦めずに待つこと2時間20分で入店の順番がきた。新幹線ならそろそろ大阪に着く頃だ。

店内に入り券売機でお目当てのお題を見つける。本日は連食の予定もないので迷わずに特製のボタンを押した。スープとのバランスを考えて麺量は並盛りにとどめた。バッシング待ちの間、店内の待ち席でワンクッションおいてからカウンターに案内される。店内を見渡すと、への字カウンターと二名がけのテーブル席がゆったりと配置されている。その店内をキビキビと作業する五人体制で回している。カウンターの一番右端の席だったが、茹で麺機の目の前の特別リングサイド席でのご主人の調理に目を凝らす。麺箱から出された生麺の美しさを見ただけで美味い麺だと確信した。

ワンロット二杯の丁寧な仕事ぶりを眺めていると着席して5分もせずに我が杯が到着した。その姿は、絵柄の入った陶器の受け皿に乗った鳴門丼の中で特製ながらも気品に満ちた表情を見せる。過去最長の行列の待ち時間を経て出会っただけに感慨もひとしおだった。

まずは代赭色のスープをひとくち。ランダムな鶏油が表層を覆った油膜を破ると鶏主体のスープの香りが立ち昇ってきた。地鶏の個性を押し出してあるが、クセと言うほどではない。過ぎるでもなく、足りないでもない地鶏の野性味を品良く表現する。多く見えた鶏油もサラリと感じられて、しつこさは皆無。カエシの醤油感も高めの塩分濃度ではあるが許容範囲内。流行りの鶏清湯スープながら、他とは一線を画すクオリティの高さだ。良くあるスープに思わせて、味わった事のない鶏出汁のコクとキレを同居させたスープは、一段上のステージに存在している。

麺は生麺の時から麺肌に全粒粉のフスマが浮かんだ自家製の中細ストレート麺。麺茹で釜に投入されるとタイマーに頼らずに、ご主人の指先の感覚だけで麺上げされるまでは60秒ほどだった。切刃のエッジが強く立った密度の濃そうな麺を一気に啜ってみる。そのエッジが唇に強烈な印象を残しながら飛び込んできた。芯を残した麺質だが、麺肌に適度に溶け出したグルテンと鶏油が潤滑油となって信じられない口当たりの良さを打ち出す。信じられないのは口当たりだけでなく、独特の歯応えにも驚いた。モッチリとは違った歯切れの良さがたまらなく心地よい。噛む楽しさが咀嚼回数を増やすので、必然的に麺からあふれる小麦の香りも強くなる。名古屋は味噌煮込みうどんや、あんかけスパゲッティなどの麺質も特徴的であるがコシの強い麺が好きなのだろうか。こちらの麺はうまさは過去トップ3に入るほどの出来だった。

具材のチャーシューは二種類でどちらもレア仕上げ。今や定番となった鶏ムネ肉の低温調理だが、こちらのそれは一つ上のレベルに達している。通常は鶏ムネ肉を一枚丸ごとソミュール液で下味を付けて真空調理すると思うが、それをスライスして提供するので包丁の切り目には角が立つのが当然である。しかしこの鶏チャーシューにはスライスされた断面に角がなく潰されて尖った形状になっていた。不思議に思ったが先にスライスしてからマリネして真空調理すればこの独特の形になるのでないだろうか。ならばソミュール液の浸透が均一なのも納得がいく。その下味が素晴らしく、仕上げに利かせた柚子胡椒の風味も抜群だ。柔らかすぎない筋繊維を感じる加熱具合も完璧の仕上がりには唸ってしまった。一方の豚肩ロースの低温調理も肉厚なので噛みしめるたびに赤身の旨さが湧いてくる。スジ切りなどの下処理もされているので口に残るような不快な食感は全くない。味付けにもこだわりが見え、ほのかな薫香が口に広がるが大げさではないさり気なさが魅力的だ。

追加の味玉は好みほどの熟成感はなく残念だが、常温以上で提供され卵本来の持ち味を十分に引き出していた。

太メンマは見た目によらぬ柔らか仕上げ。唇でも噛み切れるような食感の中に麻竹の繊維が解ける感覚にはうっとりしてしまった。発酵食品の香りと味付けのバランスも良く手仕事感が伝わってくる。

薬味はシンプルに潔く三つ葉のみ。しかも葉先の部分だけが添えてある。根元の部分を刻んで入れたくなるのが普通だが、そうすると三つ葉の香りが強くなり過ぎるのを避けるために敢えて添えてないのだろう。思惑通りに三つ葉を噛んだ瞬間にだけ野趣が香るがそれ以外はスープや麺の小麦の香りを邪魔しない計算された設計図が読み取れる。

人生最長の2時間20分の行列を制した先にあったのは、こんなにも素晴らしいラーメンだった。あまりの旨さに3分もかからずに完食完飲してしまっていた。味の趣向が濃いと思われる名古屋だけにスープを飲み干した後は少し強めの塩分が残ったが、さすがに無化調なので不快な旨味は感じず久しぶりうまいラーメンに出会えたと思いながら席を立った。新規では今年三杯目の90点の大台越えだった。

外の駐車場には延々と行列が続いているが、その客層は若い方たちが多い。名古屋の年間ランキングのトップに君臨するのが、ガッツリ系やJ系でなくアッサリ清湯系である事が嬉しく思った。天然だし離れで若者の味覚崩壊が心配されるご時世でも、しっかりとした自然の旨みを感じられる若者たちに心からの拍手を送りながら帰京の途に就く一杯でした。

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