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「贅沢らーめん ¥1000」@麺Dining Number Nine 09の写真平日 曇天 13:10 先待ち12名 後待ち4名

今にも雨が落ちてきそうな曇り空を見上げながらこう思った。

「今のわたしの心境そのものだ」

本日は恒例の新店めぐりの為に、地震や雨天をかいくぐってまで草加駅までやって来た。それなのに目的としていたラーメン店は、まさかの10日後オープンと予習不足を露呈してしまったのだ。

そこで地の利のない草加駅周辺でのリカバリー先を探してみると二軒の候補店が挙がってきた中で、藁にもすがる思いで駅の反対側へと歩き出した。まずは東口近くの候補店の前まで行ってみると昼時を過ぎているが20名以上の行列があり断念した。

そこから少し離れた場所にあるコチラへと向かってみる。普通の通り沿いに何故か古びた特殊浴場があったりとカオス感満載の道を進んで行くと、先程よりは少ないが行列のある店先を見つけた。直前に降りはじめた雨の中で最後尾に付けて外待ち待機となった。

突然の初訪問となったので下調べをしてない現状で、店頭に貼られたメニューをありがたく熟読するも不得手な〝濃厚〟の二文字が踊るラインナップには少しばかり意気消沈してしまった。覚悟を決めて並んでいるが回転が悪いのか30分ほどで前列の若者を見習って食券を先購入してから並びに戻った。訳もわからず勢い任せで特製らしきラーメンのボタンを押してしまった。そこからも10分以上すると先客が出てきたので空席を確認してから再び店内に入った。

並びはじめてから40分以上でようやくカウンターに腰を下ろして食券を手渡すと店内観察を開始する。瞬間最高年齢を余裕で更新できた若い客層に紛れて店内を見渡すと、多くの女性客が目につく。もしかしたら女性客にも受け入れられるヘルシー志向なラーメンなのかもと一縷の望みを託してみる。店内にはサーフィンのショートボードやサーフムービーのDVDが置かれてあり、店主さんの趣味が垣間見られる。そんな店内を本日はツーオペで切り盛りされているが、寡黙な中でも息の合ったコンビネーションに釘付けになってしまった。

そんな安定感のあるオペレーションを眺めていると、着席して8分で我が杯が到着した。その姿はオリジナルの屋号入りの多用丼の中で、荒々しい景色を見せている。特製仕様と思われる〝贅沢らーめん〟をオーダーしたので別皿で提供されたトッピングたちも記念撮影用にオリジナルで盛り付けてみた。丁寧に別皿の味玉と切り落とし焼豚を盛り付けたつもりだがワイルドに見えるのは、口縁に飛び散ったスープが思わせるのだろう。ここまでくれば自称〝IT系清湯おじさん〟などとは言ってはいられず覚悟を決めてレンゲを手に取った。

まずは丁子茶色のスープをひとくち。初見はやはり均一な乳化を果たした濃厚スープの印象ではあるが、もっとも苦手とする魚粉の浮遊物が液面に見られない。「濃厚魚介=魚粉」の悪いイメージとは違った表情に少し安心してレンゲをスープに落とし込んでみると、レンゲを持つ指先に係る抵抗は非常に重たい。そんなマットなスープからは高温な湯気と共に煮干しを主とした香りが立ち昇っている。レンゲを落とし込んだだけでは微動だにしない液面は、やはり濃厚の二文字がお似合いのスープであった。いざ粘度の高いスープを口に含むと、予想を上回る狂気的な熱さが唇を襲われ危険を感じる程だった。その熱が落ち着くと、思いもしなかった滑らかな舌触りが残っている。しかも味わいとしても穏やかな塩気で、粘度としては濃厚ではあるが味覚の面では強烈すぎるインパクトを感じさせない。もちろん淡麗ではないが対応できそうなスープに感じて、味わってみる事にした。きっちりと乳化されたスープは動物性コラーゲンを思わせるが、不必要な臭みやクセを表に出してこない。この粘度を生むためにはコラーゲンだけでなく、野菜のポタージュ的な要素も多く含まれているのだろう。よって舌触りも軽やかで塩気よりも甘みを感じるスープに仕上がっている。

そんな熱々のスープの中から、まだ見ぬ麺を拾い上げてみる。オーダー時に麺の太さを聞かれ基本の太麺にしたので、かなりコワモテな中太平打ち麺が現れた。たしかに平打ち麺ではあるが、手揉みのような不規則な形状ではなく均一的な波状を見せる。麺上げまで180秒中太麺は、見るからに麺肌に溶け出したグルテンが滑らかな印象を受ける。そのグルテンと作用して持ち上げられたスープの高温に怯むことなくすすり上げると、ヤケドしそうな灼熱地獄が再び襲いかかってきた。実際にも上アゴの薄皮がめくれてしまう程に熱かったが、熱さ耐性だけは持っている私には有難い事である。しかしこの麺とスープの熱さでは女性客も多いので回転率は悪くなるのも納得できた。あまりの熱さに具材を先に味わってみる。

なんと言っても具材のセンターは豚バラチャーシューであろう。最初は小ぶりに見えた煮豚型のチャーシューは、その厚みがファミコンのカセットくらいあるのには驚いた。そんな分厚いチャーシューにもスープの熱さが伝わっているのではないかと思い、無意味とは思いつつもファミコンのカセットのバグ改善のためと同様に息を吹きかけてみた。それが効果があったのかは別にして、提供直前にバーナーで軽く炙られたチャーシューは適度に崩れる常温まで戻されていた。そんな豚の角煮とも思えるチャーシューに箸が触れただけで、赤身と脂身が分裂した。本来ならば得意ではない豚バラの煮豚を食べてみると、とろけるような脂身が主体となってアピールしてくる。柔らかさだけでは申し分ない食感ではあるが、脂っぽさも感じてしまうようなチャーシューだ。バランス良く整った赤身の部分は赤身の繊維質ばかりが口に残ってしまい、全てを柔らかく仕上げた結果として肉を喰らう楽しみは残ってなかった。卓上のウンチクにはハーブを使用していると書かれていたが、ほのかに香るのはローリエだろう。肉の臭みを見事に消して香草としての役割を果たしていた。

それに加えて切り落としの煮豚も煮汁と共に別皿で供されたが、撮影用に器に投入する際にかなりの煮汁も入ってしまった。それがスープの味をより濃くしてしまったのかもしれない。また肉片の方はライスの上だと本領を発揮しそうな柔らかさであったがラーメンの中ではいつのまにか姿を消してしまい、スープの底へと沈んでしまっていた。時々レンゲにすくわれて口の中に入ってくるが、肉の繊維質ばかりが残ってしまい大きな必要性を感じなかった。

味玉はストレスを感じない程度に温め直されてる上に、高温スープで更に加熱されていた。そんな熱々の味玉を唇で割ると中からは適度にゲル化した黄身が現れ、濃密な舌触りが口内に張りめぐった。この感覚だけは良く分かったが、味付けの方はスープに負けてしまって実際には感じられなかった。

薬味は青ネギとタマネギ彩りの面でもアクセントをつけていた。タマネギアッシェの方はみずみずしい切り口でタマネギ本来の甘みと辛みがスープに味の変化をもたらしてくれたが、青ネギの方は乾いた切り口からも想像できたが切り置きの時間が長く香りも食感も失われていた。そんな青ネギには業務用カットねぎを使用しているのではとも思ってしまった。

それに対して黒々として密度も濃く、表面の照りがまぶしい海苔は肉厚がしっかりとしている。繊細な口溶けを楽しむタイプではなく、強いスープにも負けない噛み応えと味わいを楽しめる。香りも高く高品質の海苔を目利きされていると感じた。

序盤はスープの熱さで先送りにした麺に戻ると、多少の変化はあるが力強さは失せていない。先程よりもスープの温度は若干落ち着いてはいるが、それでもまだまだ高温をキープしており麺を一気にすすり上げるには勇気が必要だった。口の中に飛び込んできた麺を噛むと、みっちりと詰まったグルテンが高弾力を生んで奥歯を跳ね返そうと押し返す。そんな攻防が楽しく反発力に負けじと噛み切った麺からは小麦の甘みが弾け飛ぶ。小麦の香りは少ないが甘みを引き出すスープの塩気にようやく感謝した。その後も咀嚼の楽しみのおかげで8割程度の麺は食べられたが、終盤にかけては中年おじさんには味の強さに舌が疲れてしまい箸とレンゲを置いた。

スープはほとんど残してしまったので丼の底には他の具材があったのかもしれないが、確認できずに席を立った。この時にも私よりも15分以上も前に入店した二組のカップルたちの女性どうしがゆっくりと食べていた。となりに座っている彼氏たちはもちろん食事を終えていたが、女性陣たちが食べ終えるのを談笑しながら待っている。それを見た時に「最近の若いもんは」と年寄りくさい事を思ってしまった自分が悲しくもあり、誇らしくも感じた一杯でした。

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