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「柚子醤油らぁ麺 ¥880」@麺s慶の写真平日 晴天 13:30 先客5名 後客1名

〝ニューオープン パトロール〟

本日の二食目の新店めぐりは、移転前からブックマークしていたが訪問機会に恵まれず先延ばしになったままのコチラだ。気が付けば移転されてRDBの新店情報に挙がっていたので、本日の神奈川遠征の二軒目に選んでおいたのだ。

午前中に横須賀の新店で一食目を食べ終えると京急本線を横浜駅で相鉄本線に乗り換えれば一時間ほどで最寄りの鶴ヶ峰駅に着く予定だ。横浜駅の乗り換えで相鉄本線のホームに向かう最中に考えてみると、かつて一度も相鉄本線に乗った記憶がないのだ。実際に駅のホームで見た紺色の車両も初めてでクールな車両に心が踊った。人生で初めて降り立った鶴ヶ峰駅の北口を抜けると、胃袋の連食スペース確保のために駅前を散策したりコーヒーを飲んだりと時間が経つのを待つ事にした。線路と道路が複雑に入り組んだ駅周辺で一時間ほど過ごすと、ようやく満腹感も落ち着いてきたので念願だった初訪問へと向かってみる。

駅前北口からは歩いて3分ほどで、屋号の書かれた大きな看板が目に入ってきた。店先に暖簾などはないが看板の電飾が光っているのが確認でき、近づいてみると営業中の立て看板も入口の横に立てかけられていた。ラーメン点では珍しい両開きの自動ドアを開けると、店内からは威勢の良いあいさつが聞こえてきた。少し圧倒されながら左手の券売機の前に立ったが、仕込みの都合上だろうか発券できるボタンがかなり少なくなっている。本日は好物の味玉が販売されてないので必然的に特製も販売中止となっているのが残念だ。もともと醤油系狙いではあったが遊び心に火がついて、柚子入りのボタンを発券しカウンターに腰を下ろした。ホールスタッフさんに食券を手渡す際に柚子を別皿にもできると案内されたが、最初から完成した姿を見たくて別皿提供をお断りした。

自由着席のカウンター越しに店内を見渡すと新店ながらも、すでに老舗の風格すら漂っている。それは移転前の厨房機器や什器などを利用している点や、ラーメン本の過去の掲載誌を貼り出していて歴史を感じさせる要素があふれているからだろう。そんな店内を本日は四人体制で回しているが、調理工程のほとんどを店主さんらしき方が仕切っている。卓上にセットされたお冷を汲んで飲みながら待とうと思って両ひじをカウンターに付いたのだが、キレイに拭いてあるにもかかわらず粘りと油っぽさが取れていない。もはや掃除のレベルではなく、居抜き物件の前店舗の汚れが染み付いているのだ。お冷のグラスを持ち上げる時にもグラスの底に吸い付くような粘着質が気になるが、衛生面や接客は採点に加算しない方針なので心を落ち着かせてラーメンを待った。

手慣れた店主さんの手さばきに見とれていると、着席して6分で我が杯が到着した。その姿は白磁の切立丼の中で、見慣れない具材たちが意表をついた表情で出迎えてくれた。一旦、自分の中の醤油ラーメンの概念を壊してからレンゲを手に取った。

まずは明るい黄唐茶色のスープをひとくち。清らかに澄んで見えるスープの液面には、かなり厚みのある香味油が膜を張っている。そんなスープにレンゲを落とし込むと、注がれたスープには明らかな油分と液体が二層になって見られる。レンゲの白色をバックに光り輝く黄金色の油膜は、黄色みを帯びた色合いからも鶏由来の鶏油と思われる。見た目にはオイリーに感じられるスープを口に含んでみると先行してくるのはタイトル通りの〝柚子〟の香味なのだが、季節ハズレのせいで柚子皮ではなく柚子果汁でダイレクトに香り付けされている。この時期なので完熟した黄柚子は無いにしても青柚子皮が添えられているのかと思ったが、柚子果汁ならば別皿にすれば良かったと後悔してしまった。土台となっているのは鶏主体の動物系出汁の旨みだが、それだけではない魚介の風味のようなキレも感じられる。バランス重視と思われる設計図に思われ合わせるカエシも、醤油のエッジを感じさせないまろやか仕立てとなっているのは柚子果汁の酸味があってこそのような気もする。そこの核心に触れるために存分にスープを味わいたいのだが、丼の形状のせいもあって極端にスープ量が少ないのでスタートからスープを飲みすぎるのは危険と感じ諦めた。

口の中に鶏由来の旨みと柚子果汁の酸味が広がった所で麺を箸で持ち上げてみると、麺上げまでジャスト70秒の麺にしては随分と柔らかな感覚が箸先から伝わってきた。見た目には中細タイプで少しばかりウェーブのある麺肌は、軽やかな透明感が見られる。指先の感覚と視覚からも優しそうな麺を一気にすすり込んでみると、思った以上に柔らかな口当たりで飛び込んできた。ハリやコシを一切感じさせない舌触りが特徴なのだろうか。個人的に麺類には素麺ですら歯応えを求めてしまう私には、好みとかけ離れたタイプの麺にテンションが下がってしまった。麺上げから盛り付けの時間を含めたタイミングにもロスは無かったので、この柔らかさが基本なのだろうと思う。しかし後客の中に店主さんと馴染みの客人がいたのだが、その方のオーダーが「麺かため」だったのが分かるような気がする麺だった。

具材のチャーシューは豚バラで仕込まれていて、かなりの大判で盛り付けてある。煮豚型ながらもロゼ色を残した赤身と脂身の色合いのバランスの良さが際立って見え、チャーシューに対する期待感がピークに達してしまった。そんな見た目にも美しいチャーシューを頬張ってみると、派手さは無いが実に奥深い滋味溢れる味わいが口の中に広がった。過剰な脂身のとろけ方を主張してくる豚バラチャーシューが多い中で、赤身の旨みや食感を残したチャーシューは「おいしい」の言葉がピッタリの逸品だった。

それに反して肉団子の存在には大きな必要性を感じなかったのが本音だ。豚ひき肉の鮮度は良くクセや臭みはないのだが、下茹で加減のせいでパサついた食感だけが口に残ってしまった。

メンマ代わりに添えられていたのはラーメンには珍しい姫竹には食感の良さだけは感じたが、噛んだ瞬間に節の中から出てきた水分の不快臭には箸が止まってしまった。見た目のイメージ的にはインパクトこそあるが、下処理と味付けには個性を超えたクセを感じてしまった。

薬味の青ネギも切り口の乾き方を見れば切り立てとは思えず、食べてみても香りも感じない。乾燥した薬味からはザラついた食感しか残らずに、脇役としての存在感が伝わってこなかった。

清湯醤油系の中ではお目にかかる事の少ないキクラゲの細切りも添えてあり食感のアクセントは見事だったが、スープとの相性には疑問が残った。

好み寄りではなかったが、店主さんの豊富なアイデアと調理技術の高さを感じながら麺と具材を平らげた。

食事をしている最中に、カウンターの奥の席にいた常連さんと店主さんの会話の中に気になる話が聞こえてきた。それはスープ炊きの寸胴鍋の変更などで日々スープにばらつきがあると言う内容だった。前日のスープは最高に美味かったそうで、その最高のスープを味わってみたいと思ってしまった。またタレも現在使用しているものがなくなり次第、変更されるようなので更に磨きがかかるのだろう。

どんなに経験を積んだ店主さんでも寸胴鍋や火口の違いがスープに影響を及ぼすという、繊細な一面を知る事になった一杯でした。

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