なんとかデータベースラーメンカレーチャーハンぎょうざうどんそば
 

「麺乃屋らーめん(元味)」@上本町 麺乃家の写真この日のお目当ては「麺乃屋」。知名度の高さからすればもっと早くに訪問しても良かったのですが、常時行列が絶えないとの噂やこの店を一番のお気に入りとする人をネット上であまり見かけないことなどにより、やや尻込みしていた次第です。






・「前菜」

訪問時間は平日夜の八時頃。行列は4人だけで、しかも団体客。運が良かったのか。
そしてこのラーメン屋で行列に並ぶには記帳しなければならない。
何故ファミレスのようにわざわざ記帳しなければならないのだろうか。そう漠然と考えていると、
雑誌や情報誌などでよく見かける大将が店外に出てこられた。
あれ?そういえばガラス越しに店内を伺う限りは、麺類を作っているのは若い店員(いつも
この形態だというわけではないでしょうが)。
しかしそれにしてもこの大将は、写真から伺えるイメージそのままの、何とも穏やかで気立てが
良さそうな空気感を漂わせた人です。
良いですね~。
そうして大将はおもむろに「○○様、ご注文はお決まりでしょうか?」とお尋ねになられる。
ん~、なるほど。はっきりと記帳の「理由」を窺い知ることはできなかったが、名前を呼ばれること自体は
悪い気がしない。とりわけ穏やかで、無理なく丁寧な物腰の接客をするこの人にそうされるのであれば尚更だろう
(ちなみに若い店員さん達に同じことをされても、同じ感覚は抱けなかったかも)。
また、詳細は割愛しますが、前の4人と私、そして後ろの1人を店内に案内した後の、
「誰をどのタイミングでどこに座らせるのか」のさじ加減が絶妙の塩梅だった。
その他、穏やかな気立てではあるものの気が利かないというわけではなく、むしろ客席にも厨房にも
目を配り、要所要所で優しく声をかけるよう配慮されていたことも素晴らしい。
バイトとはいえかつて数年ほど接客業をやっていた私は、大将の接客及びそれ以上の働き振りの凄さには、
ただ感心しきりだった。
穏やかな空気感を漂わせながらも、それと相反するような、一見わかりにくい冴えた仕事振り。
誰だってその気になればできるものでもなければ、経験さえ積めばできるというものでもない。
いつも大将が接客を担当されているとは思えない故、やはりこの日は運が良かったのだろう。
あれはラーメンを食す前の、美味い「前菜」でした。


席に着いてから5、6分で、注文した「麺乃屋らーめん 元味」が到着。
店内にも充満していた和出汁の良い香りが、目の前のラーメンからも強く感じさせられる。

・スープ

出汁には紀州産の地鶏のガラや丸鶏、豚のゲンコツの動物系、サンマ節、道南産昆布、宗太節、香味野菜等が
用いられているとのこと。ここに醤油ダレや鶏油が加わる。
そのテイストは、カドヤ食堂 本店麺屋 えぐちの「中華そば」を想起させるような動物系と魚介系の
利かせ方及びバランスや淡く甘い醤油感が印象的といったところ(「醤油感」にはみりんも一役買ってそうに
思えたが、気のせいだろうか)。
用いられている食材全てが一つのテイストを成す程に収斂されている。
ただし似てはいるけれども、当然ながらそれぞれ差別化指標となるような差異を有す。
抑えられてはいるけれども、食材個々が元来強烈な個性と魅力を持つことを伺わせるのがカドヤ食堂のスープ。
食材個々の秘めたる個性と魅力はカドヤよりも僅かに見劣りするかもしれないが、もう少し主張する余地を
与えられているのがえぐちのスープ。
個性や主張に関しては上の2店に劣るかもしれないが、よりコレクティブでコミュニカティブな
食材たちが一糸乱れぬ「和」を成しているのが麺乃屋のこのスープ。
波風立たぬ穏やかな昼の海、あるいは木漏れ日の指す静かな森のよう。
「純度100%」のダウナー系(鎮静系)の美味さを醸している。
ここまで「混じり気の無い」クリアなテイストも珍しい。

ただしこのスープ。
ラーメンでありながらも「パンチ」というアッパー系(覚醒系)的要素を有さないため、
物足りないと感じられる方がおられるのも頷ける。
同意はできないが、彼らがそう感じるのも仕方ないとも思える。
これはおそらく、常に行列を成していることや関西ローカルのTV番組・情報誌等におけるこの店の露出度が高いことが、
それらを観る(読む)人の期待値及び要求水準を高めてしまうことにも起因するのだろう。
否。それが主因である人だって、決して少なくないはずだ。
それで個々の食経験から導き出せる美味いラーメン像と重ね合わせ、いざ実食してそのギャップに
不意を突かれるのではないだろうか。
そんなギャップを生じさせないために、少し大袈裟だが、私は以下のように申し上げておこう。
「パンチはゼロ!しかし超キレイ系スープが出てきます!!」

・麺

平打ちの自家製麺。ラーメン基準では太麺にあたるだろう。
これが思っていたよりもずっと優秀な麺であった。
ツルツルしたテクスチャーによるスムースな啜り、ピチピチした噛み応え、仄かな小麦感、
容易にスープを絡めないが乗せて運びはする「仕事振り」等、高い水準でマルチな能力を発揮する。
麺そのもの及び麺とスープの相性においては、カドヤとえぐちよりも気に入った。
美味い。
ラーメンでは滅多に大盛りを頼まない私だが、いずれまたこのラーメンを食すことがあれば、
大盛りにチャレンジするだろう。

・具

チャーシューに青葱、白髪葱、メンマ、ほうれん草等。
チャーシューは肩ロースで、いかにも素材の旨みを活かしていそうな赤味がかった色をしている。
紫蔵のチャーシューを想起させるものがあり、食前は楽しみであった。
しかしいざ実食すると、私の苦手な匂いを放つものであることがわかり、ややげんなり
としてしまった
(誤解の無いように強調しておくと、決して臭いのではない。とにかく苦手なのだ)。
麺道 しゅはり 六甲道本店のチャーシューや豊中 麺哲の「鶏そば」のコーチンも同じような匂いを放っていた。
あれは何なのだろう…。

・終わりに

食材各々の出自・素性が分からなくなるほどに一つのテイストに収斂された「淡コク」なスープと
マルチな能力を有す麺等、実力店としての一端を伺わせる「麺乃屋らーめん 元味」。
覚醒系刺激である「パンチ」が無くとも、それと引き換えの魅力を有すこのラーメンを一度は
味わって頂きたい。
断続的に襲来する「食いてー!!」という禁断症状ではなく、「いつかまた食べたいな」という再食願望。
私は抱いています。

投稿(更新) | コメント (3) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

 毎度です。昼飯専門です。

 おーー、遂に・・・ですね! うーーん、、ハッキリとイメージ出来たその味・・・
やはり、例え「重さ」等の無い、所謂サッパリ・アッサリでもきっと何等かの形の「アッパー系」を
求める自分の性癖から行くと・・・何となく「守備範囲外」の一杯に思えてなりませんね・・・。
 ただ、「大盛り」で胃を満たしてくれる様なので、イケるかも? とはこっそり思いましたよ。

※余談なんですが、poly-heteroさんが既訪か未訪か迄は今、存知ませんが、私、この写真を見て、
 何故か麺屋 楼蘭 梅田店の「醤油」が連想されて仕方ないんです。表面の油加減と醤油色に。

昼飯専門 | 2009年2月7日 00:20

昼飯専門さん、コメントありがとうございます

>何となく「守備範囲外」の一杯に思えてなりませんね・・・。

いやいや、わからないですよ~。浜風の影響でギリギリ守備範囲内に球が落ちてくるかもしれません。

>ただ、「大盛り」で胃を満たしてくれる様なので、イケるかも? とはこっそり思いましたよ。

ええ。この私でさえ次に食べるとすれば大盛りだと思っていますから、昼飯専門さんなら大丈夫でしょう。

>余談なんですが、poly-heteroさんが既訪か未訪か迄は今、存知ませんが、私、この写真を見て、
 何故か麺屋楼蘭の「醤油」が連想されて仕方ないんです。

麺屋桜蘭ですか。
未訪問でしかも麺乃屋との関係性も存じ上げません。しかし写真を見比べる限りは確かに似た点がありますよね。
ちなみに桜蘭には、機会があればいずれ「柚子塩」のラーメンかつけ麺を食べに行ってもいいなと思っています。

では

poly-hetero | 2009年2月7日 18:48

 毎度です、昼飯専門です。

私はつけ麺を頂きましたが・・・、レビューを拝読させて頂いて、「うん、うん、成る程・・うん」
と思って再読させて頂きました。

>個性や主張に関しては上の2店に劣るかもしれないが、よりコレクティブでコミュニカティブな
>食材たちが一糸乱れぬ「和」を成しているのが麺乃屋のこのスープ。
>波風立たぬ穏やかな昼の海、あるいは木漏れ日の指す静かな森のよう。
~全く持ってつけ麺のつけダレからもこのイメージを連想出来ます。
 正直、この店であればラーメンの方が私は喜んでいた様に思い、ちょっぴり後悔しました。

昼飯専門 | 2009年4月3日 16:16