なんとかデータベースラーメンカレーチャーハンぎょうざうどんそば
 

「バラ肉つけめん」@純情屋 狭山本店の写真ずっと以前より狙っていたこの店。やっとのことで機会に恵まれ、この度念願の初訪問が叶った。









○ 入店


日曜日の13時40分頃到着で、客入りはまばら。
私の後に入ってきた人たちも含めると、子連れの家族、友人3人組、カップル、スーツor私服姿の一人客など、
バラエティー豊かである。

注文したのは、「バラ肉入りつけめん」の大盛り(1.5倍)で1350円。
つけ麺を存分に味わいたかったしチャーシューが美味いとの評判は聞くしで、ちょっと贅沢をしてみたのだ。
ここでご主人(以下、敬意を込め、おっちゃん)が一言。
「1.5倍でええんか~?2倍もあるでー」
来た来た。これがかの有名なおっちゃんトークだな。
「1.5倍で何グラムぐらいですか?」と尋ねると、「300gやね」とのこと。
バラ肉の量が多いことも知っているし、それで十分である。
「兄ちゃん、控え目やな(ニコッ)」だって。

特に何もせず待っていたのだが、ほとんど全てのお客さんに話しかけるおっちゃんのトークが否応なく耳に入る。
可笑しくて、自分が話しかけられていなくても思わず笑ってしまう。
でも想像していたほど「押し」の強さ(及び、しつこさ)はない。
声質が優しかったりテンポ良く一言二言何かを言うだけだったり、そして必ず満面の笑みで
トークを終えたりなどで、「引き」の要素も有すからだ。
「押し」が7割で「引き」が3割といったところだろうか。
このおっちゃん、気に入った。好きです。
しかし変な話だが、「もしこのおっちゃんが急逝すれば、家族や私生活で親しかった人はおろか、
常連さんも泣くだろうな。いや。自分だったら泣くね」と、切なくもなってしまった。
そんな、いかにも周りの人々を幸せにしていそうな親愛なるおっちゃんである。

20分後に、注文したバラ肉つけめんが到着。
間髪入れず、「これ(つけ汁)に酢(を)入れても合うで。やってみ」という、言葉のスパイスがかけられる。


○ バラ肉つけめん


・麺

自家製の極太やや平打ち麺。
実は私はこのサイズがやや苦手なのだが、この日食したものは美味しく頂くことができた。

テイスト及びフレーバーは、小麦が風味高く、仄かな甘みもあって素晴らしい。
このサイズでこの味わいは初めてだ。
もっとも、テイストにおいて同一ベクトル上にある麺が多いために新鮮味に欠けるとは感じたが、
それでも今まで食してきたものの中では上位に位置すると思う。
しかしテイストやフレーバー以上に気を引かれたのは、それらを「演出」する食感の方だ。

極太サイズの割には箸で持っても重くなく、(麺表面に少しのぬめりもあって)啜る際の滑りが良い。
舌触りだって良い。
そして、重くはないのに、噛む際には麺内側の密度が相応に高いことを伺わせる。
さらに、密度が相応に高いけど、容易に噛み切れる程度の硬さであり、粉っぽさもない。
と、このように、あるポジティブさを選択すれば同時に引き受けなければならないはずの
ネガティブさがまるで無い、いや、無いという「欠如」ではなくて本来共存が難しい別のポジティブさに
「転化」されていることが伺える。
伺えるというか、それを連想式に追認していくことができるという、稀有な食感であった。
やるな、おっちゃん。

テイスト及びフレーバーだけではなく食感まで含めれば、実は凄い麺なのかもしれない。
いや、本当のことをいえば、私はまだこの麺を味わい尽くせた感がしていない。
しかし今後もっと他店の麺とこの店の麺を食していけば、よりその凄さが分かるのようになるかもしれない。
そんな風にも思わされた。

・「つけたれ」

突然だが一つ。
「つけ汁」と「つけダレ」では、どちらの呼称が良いのか。
私としてはどちらでも良いというかどちらにも妥当性があると思うのだが、一つだけ選べと
迫られれば、「つけ汁」を選ぶ。
理由はいくつもあるが、簡単にいえば「ソースとスープが異なるように、タレと汁(汁もの)も異なる」
と考えているからだ。
まあでも「構成」ではなく「機能」に目を向けるならば、「タレ」と呼ぶ方が相応しいとも考えているけど。

しかしおっちゃんが「つけたれ」と呼ぶそれは、つけ汁でもつけダレでもなく、正真正銘の「タレ」であった。
醤油の濃い旨味がこれでもかとばかりに全面的に強調されており、他の食材の旨味はかろうじて
感受できる程度だったからである。
醤油が球体だとすれば、他の食材はその「皮膜」程度でしかない。
これは醤油味のつけダレではなく、もはや醤油ダレそのものだ!
あ、いや、大袈裟に言ってしまった。
しかしそれぐらいに、醤油のインパクトが強いのである。

しかし醤油が濃いという事前情報を得ていたため、私は敢えて「濃口醤油そのもの」が
供される場合を想定しておいた。
その効果があったのか、「思った程には濃くない」という具合に「引き算」ができ、醤油以外の
食材は何かなのかと想像を巡らせることすらできた。
もちろんそれでも醤油は濃いし、そもそも私はタレ主導型のスープやつけ汁にあえなく敗れてしまう
脆弱な舌しか持ち合わせていないため、何も具体的にわからなかったのだけど。
せいぜい「魚介系、香味野菜>動物系…、かな?」という程度だ。

まあとにかくこの「つけたれ」は、つけ汁/つけダレと思えば濃過ぎるかもしれないが、
濃口醤油と思えば案外濃くないというのは確かである。
どうぞ参考までに。
あっ。ちなみに無化調である。

・麺をつけ汁に浸けて食す

2分の1、3分の2、4分の3、そして全部浸けと4パターンを試してみたが、意外や意外、どのパターンでもOKである。
極太麺であることのみを考えれば「それも十二分にあり得ることだ」と思われるかもしれないが、
「つけたれ」だけを少し啜るとそうも思えなくなっていたのである。

しかしこの極太麺と醤油の旨味というシンプルな組み合わせがまた、意外にも美味い。
せっかくおっちゃんにお勧めしてもらった酢での味変も忘れ、最後までそのまま食してしまった。
比喩として適切ではないかもしれないが、旨い白米をこれまた旨い醤油を少し垂らして食した感覚に
似ていないくもない感じだ。
「そのもの」だけを食すのももちろん美味いのだが、コントラストを成すことによって、
より旨味が映えるあの感覚に。

また、「つけたれ」中の醤油以外の食材は、単に醤油のカドを削っているだけではなく、
麺とも「内通」している。
麺が醤油に負けてしまわないよう、麺の旨味を補償/保証するカタチでもまた、このつけ麺に起因している。
一見シンプルな味わいの裏には、この内なる奔走があるということか。

ただのシンプルなコントラストが形成されるだけではなく、その「裏事情」まで垣間見させる味わい。
美味いじゃないの、おっちゃん。
でも麺の旨味をもっと引き出せるつけ汁もあるかもしれないし、そちらでも食してみたいよ。

・具

さて。ここまで書いておいて何だが、この日の主役は麺でもつけ汁でもない。
それは他でもない、バラ肉であった。

醤油ダレに漬け込まれたバラ肉が、さらに塩ダレや僅かな胡椒で炙られているのだろうか。
その表面には一切の苦味がなく、刺激的なスパイスの風味とややカリカリとした食感がただただ香ばしい。
そして内側は白身と赤身が溶け合っているような柔らかくとろけるような食感と旨味。
このWパンチは反則だろう。ウマ過ぎる。
500円増など惜しむなかれ。まだ「最近胃もたれが…」と悩むに至らぬ歳頃までの男なら、黙って食うべし!
誰かに勧めるのなら、敢えてこんな言い方をしたくなる(しないけど)。
「男のチャーシュー」といったところか。
また、絶品以外の何ものでもないこの炙りチャーシューこそが、今回の90点超の主因でもあることは
敢えて言うまでもない。

他の具材は自家製メンマ、海苔、温泉玉子等。
おっちゃんが色んなお客さんに「ウチのメンマは美味いで~。メンマが美味いラーメン屋って無いやろう?」
と言っていた(心の中で「あるわ!!」と突っ込んでしまったが)自家製メンマは、どこまでも柔らかくて
いつまでも食していられそうな、品のあるものであった。
「品のある」?!
何と不釣合いな…。

・スープ割/出汁割

タレ先導型が苦手な私には、まだ醤油が濃くて飲み辛かった。
しかしあのおっちゃんならば、頼めばもう少し出汁を入れてくれたのかもしれない。


○ 退店


極太麺としての諸々のネガティブな要素がポジティブさに転化され、「つけたれ」とのシンプルならざる
コントラストを織り成す自家製麺、そして香ばしくもとろけるような炙りバラ肉が絶品の「バラ肉つけめん」。
麺が通常の200gでも1200円とやや高価だが、それを惜しまずに食して頂きたい。
なお、おっちゃんのトークやスマイルもまた、「魔法のスパイス」とでも思って楽しんで頂きたい。


ちょっと遠いけど、一度だけでも行ってみませんか?

投稿 | コメント (2) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

 毎度ぉ~~昼飯専門やで~(今回はおっちゃん風コメントで(笑))
ついに行きはったんやなー、poly-heteroさんらしくないと言えば失礼やねんけど、全くオモロ過ぎるレビューやね~~。
長コメになりそうやけどカンニンしてや~。
>「1.5倍で何グラムぐらいですか?」と尋ねると、「300gやね」とのこと。
~成る程!自分が頂いた時「最後もっとくれと泣けた」のは・・・なら合点が行きます!。
 当初の初見麺量から推定しましたが、320~360gの予想はハズレでチョッピリ残念!。
 やはり食後の「もっとくれ」感覚が正しかった事も後悔です。(笑)
 シンプル味が、逆に飽きそうにないので、「2倍」でも行けそうです。私。早く知っとけば良かったです。
>「1.5倍でええんか~?2倍もあるでー」・・・「兄ちゃん、控え目やな(ニコッ)」だって。
~(爆)! 私が行った時これを背中越しに聞いてればきっと心で「ほっといたれや」!(爆)
>でも想像していたほど「押し」の強さ(及び、しつこさ)はない。・・・・「引き」の要素も有すからだ。
~正しく!私は訪店前、少し「暑い」「五月蝿い」を懸念していたのですが、全くそんな事は有りませんでした。
 何と言いますか・・・確かに >「親愛なるおっちゃん」 ・・ですね!
>さらに、密度が相応に高いけど、容易に噛み切れる程度の硬さであり、粉っぽさもない。
~この辺が同じ様な感覚なんでしょうね・・。何ともレベル高いけれど「凄い!」と云う類では無く、
 何とも巧くと言うか、不思議と言うか・・・兎に角「色々なレベルが高い」ですよね!。
>旨い白米をこれまた旨い醤油を少し垂らして食した感覚に似ていないくもない感じだ。
~・・・それ!。確かにそれ有りましたよ!。何とも上手い比喩ですね。
 私的には「自然な物同士」が上手くマッチしている様な・・・シンプルな旨さってこういうのですか?
 という感じでした。この辺りを私が「まるでぶっかけうどんを食った様な気になった」と書いた記憶が有ります。

 しかし、バラ肉ですか・・・。ふむ。この距離で行くなら、そのオプション価格も惜しくありません。
次回があれば、大盛り+豚バラ肉か、特盛りで行くか・・・。悩ましいですね・・・。
そうそう、普通の叉焼、食べられました?私にはあれは「叉焼ダレを付けて焼いた豚肉」に思えて仕方無かったんですよ!
実際の所は判らないもんで・・・。

長文カン

昼飯専門 | 2009年5月23日 18:55

昼飯専門さん コメント等ありがとうございます 

>正しく!私は訪店前、少し「暑い」「五月蝿い」を懸念していたのですが、全くそんな事は有りませんでした。

そうですよね。訪問前は私も、良く言えば「オモロい」、悪く言えば「五月蝿い」感じの、ただ一方通行的に接してくる人を想像していましたが、実際は異なりましたね。

>何ともレベル高いけれど「凄い!」と云う類では無く、
 何とも巧くと言うか、不思議と言うか・・・兎に角「色々なレベルが高い」ですよね!。

おっしゃる通りだと思います。
お言葉を拝借すれば、それこそ「不思議」な麺ですよね。不思議な塩梅があって、それはおっちゃんのキャラと同じく「押し」が7で「引き」が3だと私には感じられました。「つけたれ」もしかり。
昼飯専門さんの「シンプル味が、逆に飽きそうにないので、「2倍」でも行けそうです」もまた、その塩梅があってのことなのかと想像してしまいます。ゴワゴワしたり噛み応えがあったりして存在感のある極太麺だと、やはり終盤は多少なりとも疲れるというか飽きますから。
逆にガシガシと噛みこみたい人には、やや頼りない麺だと感じられるのかもしれませんけどね。

>この辺りを私が「まるでぶっかけうどんを食った様な気になった」と書いた記憶が有ります。

私の場合は「うどん」となると、麺の質だけに意識が向いてしまい、総大醤本店 塩元帥のつけ麺用の麺を想起しますね。まあ所詮は、あまりうどんを好まない(=その食経験が著しく乏しい)男のイメージなので、全然当てにならないですけど。

>次回があれば、大盛り+豚バラ肉か、特盛りで行くか・・・。悩ましいですね・・・。

前者はね、昼飯専門さんよりはチャーシュー増量に慣れているはずの私ですら、終盤はもう無理矢理口の中に押し込む感じでした!
それが逆に快感というか「腹一杯食える!!」って感じではありましたが、やはり膨満感も凄かったです。
そう考えると、昼飯専門さんには後者の方が無難かもしれませんね。

>そうそう、普通の叉焼、食べられました?私にはあれは「叉焼ダレを付けて焼いた豚肉」に思えて仕方無かったんですよ!
実際の所は判らないもんで・・・。

私のつけ麺にはそのチャーシューは無かったですね。
醤油ダレの濃淡や漬け込む時間の長短は存じ上げませんが、やはりバラ肉のように漬けているのだと勝手に想像します。


poly-hetero | 2009年5月24日 14:12