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「つけ麺(並)」@綿麺の写真この日から数日前に行きそびれた店がある。それよりもずっと以前から行きたかった店がある。それがここ「綿麺」である。








○ アクセス


河内松原駅から徒歩15~17分なのだが、私と同じく駅から徒歩で行かれる方には朗報がある。
これを書いている時点ではまだどのサイトで地図検索をしても表示されない「近道」が、
新しくできていることだ。

駅から見て北東側に寺池という池があり、その池の北側の、東西に走る道の中ほどにスイミングスクールがある。
そのスイミングスクールの真東に、北に向かって走る道が新しくできていて、その道が綿麺の
ある国道187号線まで真っ直ぐ伸びているのである。
ここ以外の道は、地図検索をする限りでは多少なりとも迂回しなければならない道ばかりなので、
是非参照されたし。


○ 入店


開店10分前に到着。
店前のシャッターが完全に下ろされていて店内の様子が全くわからないため、
「臨時休業ってことは…、ないよね?」との不安に駆られる。
私の後に並んだお客さんもシャッター傍まで来て、聞き耳を立てている。
しかし開店時間ちょうどにシャッターが開き、中から女性の店員さんが登場。
この店のご主人の奥さんである。
情報誌で見た通りに長身でスレンダーであり、数々のブログやレビューに書かれている通りのアニメ声だ。
「こん にち わっ!」「おひ とり さまです か~?」
割舌の良さ、打楽器で拍子をとるようなリズム、語尾を上げるその独特のイントネーション、
そして声質そのものが、保育士並びに老人福祉施設で働く人を想起させた。

注文したのは「つけ麺(並)」(2玉、950円)。
昼か夜かを問わず、早い時間に行かないと売り切れていることがしばしばあるという人気メニューである。


○ つけ麺


・麺

自家製の平打ち全粒粉麺。
決して滑りは良い方ではなく、箸で摘む際に麺が絡んでしまって取りにくくはある。
しかし表面はしっとりとしたテクスチャーであり、ピチピチとまではいわないにしても、
軽く「ピチッ」と張るような食感がある。
内側もやはりしっとりとした粉っぽさ。
この、内外で異なるしっとり感の連なりが、妙に心地の良い食感なのである。

テイスト/フレーバーはどうか。
ノーマルの小麦の風味と全粒粉の穀物感のバランスが素晴らしい。
ノーマルの小麦の風味がある空間・場所だとすれば、全粒粉の香ばしい旨味はそこにサラサラと吹く風のよう。
灌水やつなぎの卵を使わずしてまで全粒粉の旨味と風味が強調されている麺や 高倉二条及びその系列店の
麺とは、また異なる味わいを有する。
高倉二条系列店の麺ほどファンとアンチを分かつことなく、もっと幅広い人々に好まれそうな麺である。
もちろん私もその一人だ。

・つけ汁

良く言えば「ワイルド」及び「豪放磊落」で、悪く言えば「大雑把」もしくは「がさつな」Wスープ。
濃厚なテイストと少し残された臭いが特徴的な豚、そして旨味だけではなく「カド」やエグみもある
和風出汁+魚粉の魚介感がベースとなっている。
もっとも、数々のブログやレビューにてこの「臭」や「カド」に関して言及されているのを
目にしたことがないので、私のようにそれらを気にする食べ手はごく少数なのかもしれない。
豚と魚が共存していることが分かりやすく感じられること。これがメリットだといえば、そうなのかもしれない。
とはいえ、旨味だけを残して「微臭」や「カド」を減退させること、または減退させることで
より一層旨味を感じられやすくなることもあるとは思わされた。

・麺をつけ汁に通して食す Vol.1

初めの何口かは、やはりつけ汁の「微臭」「カド」に気を奪われる。
50%から100%までの通し具合において、全てこの2点セットが漏れなくついてくる。
しかし次第にその2つにも慣れ、旨味を中心に感じられるようになる。
すると、そこで初めて、全粒粉麺が先ほどとは相貌を大きく異にしていることに気付かされる。
食前の予想以上のテイスト/フレーバーであり、また同時に予想とは異なる形式でそれを響かせている。
「予想とは異なる形式」とは何か。
それは2種の小麦が活きていること、つまり2種の味わいを醸していることである。
つけ汁中の旨味(甘み)を触媒としてバージョンアップさせられている麺の旨味(甘み)、
麺の旨味の増加に伴うかのごとくさらに充満していく全粒粉の穀物感。
この両方を醸しているのである。
これには驚かされた。
そして何よりも、はっきり言って滅茶苦茶美味いのである。

初めにつけ汁の豚や魚介のテイスト。噛み進む内に存在感を増し、つけ汁を凌駕するように広がる2種の小麦。
この、一口の間の段階的な味わいの変化をおおまかに図式化したのが、以下。

① ・つけ汁のテイスト(豚、魚介中心) ② ・つけ汁のテイスト     ③ ・(つけ汁のテイスト)
   ・(麺の旨味<甘み>)             ・麺の旨味            ・麺の旨味
   ・(全粒粉麺の穀物感)            ・全粒粉麺の穀物感      ・全粒粉麺の穀物感 

・麺をつけ汁に通して食す Vol.2

もちろん麺の旨味(甘み)の増加度ならばたとえば麺哲支店 麺野郎の「つけ麺」の方がこの店のつけ麺よりも
上であり、全粒粉の穀物感ならば高倉二条系列店の麺の方が上ではある。
しかし麺野郎の麺には全粒粉の穀物感は無く(全粒粉麺ではないから当然なのだが)、高倉二条系列の
全粒粉麺には旨味(甘み)の増加をさほど期待できない。

その点、両方の麺のメリットだけを半分ずつ有しているのが綿麺の全粒粉麺だ。
単に2分の1に2分の1を足して1になるだけではない。
半分ずつ有すことによって初めて生じる、+αの美味さがそこに生じている。
そりゃあ、立地条件やクレームの耐えないご主人の接客というマイナス要素があるにもかかわらず、
数多くのお客さんが押し寄せるわけだ。

いやはや。おみそれしました。
通常ならばつけ麺は2玉(240~300g)で十分な私でも、食べ終える頃には一抹の寂しさを覚えてしまった。
「もう終わり?!」

・具

麺上にレアチャーシュー、白ネギ、カイワレ、味玉半個、そしてつけ汁中にサイコロ状に切られた
バラ肉チャーシュー、ネギ等。

レアチャーシューは拳ラーメンの塩釜チャーシューと質感が似た味わい。
しっとりと潤いある肉の旨味がたまらない。
この手のチャーシューを「味が薄い」と感じられる人たちもおられることだろう。
そういった人たちは、つけ汁をつけて食すだとか(私はあまり好まない食し方だが)麺をサンドしたものを
つけ汁につけて食すという方法が良いのかもしれない。

また、つけ汁中のバラ肉チャーシューも外せない。
私はレアチャーシューの方が好きだが、あれを好まない人はバラ肉の方を好むだろうし、
いずれにしても2種のチャーシューが食べ比べできる点が心憎い。

白ネギは苦味を強く感じられたが、つけ汁を絡ませたりレアチャーシューにサンドしたりすると
口の中をさっぱりとさせる薬味として有効であった。

・スープ割

私はやはり前述の「微臭」や「カド」が気になり、「飲みやすくはなったけど…」以上の感想は抱けなかった。
ただしこれを問題点とすべきかといえば、何ともいえない。


○ 「麺類は自己流、接客は事故流」

そう揶揄したくなるようなシーンに遭遇できるかとやや期待さえしていたのだが、この日は
大人しいお客さんばかりだったためか、そのようなことは起こらなかった。

しかしこの店の接客というかそれ以前の人に対する言動は、このRDBだけではなく食べログにおいても
しばしば語られている。
控え目にいっても、良くは語られていない。
私が訪問した日も、お客さんと喧嘩をしたりお客さんを追い出したりすることはなかったものの、
ご主人があることをお客さんに、それこそ怒号に近い口調で要求する一幕はあった。
「あること」について詳しくは述べないが、他のラーメン屋ならお客さんではなく従業員が
仕事の一つとして普通にこなしていることであり、少なくともそのお客さんが怒られる筋合いはないと
言い切っても良い内容であった。
幸いにも、怒られたお客さんも周囲のお客さんも「大人」だったため、誰一人表情が強張ることすらなかったが。

でも私はそれに関して、この場で告発したいわけでも異議申し立てをしたいわけでもない。
むしろその反対である。
あのつけ麺を食してしまえば、そのような接客さえも、こちらが寛大にというか大人になって許容し、
むしろ変わった「個性」としてつけ麺と共に味わってしまおうと提案したいのである。

一流の学者、音楽家、画家等にはエキセントリックというか情緒不安定で、対人関係を築くのが
異常に下手な人が少なくないそうだが、あのご主人もそれと似たようなものなのかもしれない。
普通ならば対人関係に関する思考・内省等に割かれるエネルギーの大半が、この人の場合は
「作品」に向けられる。
だから並の店よりもずっと美味いつけ麺を供することができる。

と、まあもちろんいい加減に言っているだけなのだが、こんな風に適当に解釈しておけば良いのかもしれない。
仮にご主人の「怒り」を目の当たりにしても、
「おお~。やっぱああいう人たちって変わってるね。どうりでつけ麺が美味いわけだ」
などと都合良く考え、麺類のテイストを保証する要素として、それさえも味わう「大人」になれば良い。
仮にご主人の「怒り」が、ホルモンバランスが崩れている思春期の中高生の理不尽で手前勝手な逆ギレの
ようであっても、我々がそれに合わせて年齢を下げることはない。

まあ本当、半ば無理矢理なのだが、そうとでも考えておく方が、絶対につけ麺が美味く感じることは確かだと思う。


○ 退店

異なる2種の小麦粉を十全相応に味わわせる全粒粉麺とレアチャーシューが出色の美味さを誇る「つけ麺」。
「大人になれる」人になら、誰にでもお勧めしたい逸品である。
つけ汁とスープ割だけはあまり好みに合わなかった私としては、麺だけではなくチャーシューも増量されるという
「つけ麺(大)」を次回訪問時に食すつもりだ。

投稿 | コメント (4) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

どうも、タイガー道場です。
なかなか面白そうな店ですね。高倉二条系列に似てるみたいですね。
だけど少し遠そうですね。
しばらく様子をみてから訪問したいです。
それでは失礼します。

 今晩は。昼飯専門です。
うほっ!・・・・・予想はしていましたが、それ以上の点数が出ましたね!。
お話した通り、「雑念」を持って訪問した自分に後悔しきりですよ!「改めて頂きたい」気持ちで一杯です。

>この、内外で異なるしっとり感の連なりが、妙に心地の良い食感・・・
>ノーマルの小麦の風味と全粒粉の穀物感のバランスが素晴らしい。
~くぅーっ、旨そうですね。これ又「今一度食えばどうよ?」感が増幅します。確かに「ピチピチ」していたな。と。

>通常ならばつけ麺は2玉(240~300g)で十分な私でも、食べ終える頃には一抹の寂しさを覚えてしまった。
~もう細かく云わず共、これで「了解」って感じですな。

 特徴的なあの奥様、健在だった様ですね~(笑)
あの場所ながら相変わらずの人気の様ですが、退店時には既に「待ち」が出てましたか?。
再訪時の「狙い時間」の参考にしたく思いまして・・・・。




 

昼飯専門 | 2009年6月4日 18:57

タイガー道場さん コメント等ありがとうございます

>高倉二条系列に似てるみたいですね。

そうですね。全粒粉麺と豚骨魚介という構成が似ています。
ただ味に関しては、それぞれ似て非なるものなのが面白いところです。

>だけど少し遠そうですね。
しばらく様子をみてから訪問したいです。

車なり電車なりの何かしらお金と時間のかかる移動手段で行かねばならぬ私たちは、開店前に
到着しておくのが無難ですね。
本当、すぐに売り切れてしまうようですからね。
「対ご主人」に関しては、様々なブログやレビューを読むことを「予防接種」とすると良いと思います。
予め知っておく場合と知らない場合とでは(「免疫」がある場合と無い場合とでは)、我々の感情も随分と
異なるでしょうから。

是非一度行ってみてください。

では



poly-hetero | 2009年6月4日 21:42

昼飯専門さん コメント等ありがとうございます

>~くぅーっ、旨そうですね。これ又「今一度食えばどうよ?」感が増幅します。

素直に美味かったですし、何よりあのようなマルチな味わいの全粒粉麺は初めてで嬉しかったです。
今の昼飯専門さんなら、以前よりも高く評価されるはず。
というか、今の昼飯専門さんがあの麺をどう描写されるのかに興味津々。
…昼飯専門さんには初めてのことになるやもしれませんが、同じつけ麺を再度採点してみませんか?
関東方面のRDBでは普通に行われていることですしね。

>>通常ならばつけ麺は2玉(240~300g)で十分な私でも、食べ終える頃には一抹の寂しさを覚えてしまった。
>~もう細かく云わず共、これで「了解」って感じですな。

>特徴的なあの奥様、健在だった様ですね~(笑)

ああ、はい。おられましたよ~。
語弊も覚悟の上でいえば、「絡みづらい楽しさ」を有しておられました。

>あの場所ながら相変わらずの人気の様ですが、退店時には既に「待ち」が出てましたか?。
再訪時の「狙い時間」の参考にしたく思いまして・・・・。

私は夕方に訪問したのですが、退店時には店内に数名、店外にも数名という感じでしたね。
というか開店30分でつけ麺が売り切れていることがあるそうですから、「1日10~15色限定?!」って感じですよね。
どのみち開店前の訪問が無難かと…。


では!

poly-hetero | 2009年6月4日 21:57