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「ワンタン麺(塩)」@とよやの写真 職場からも夏休みボケが去り (12日)、土曜昼の食べ歩きもこれからしばらくオアズケ……私の気持ちを知ってかそぼ降る小雨の中、大井町「とよや」へ。
 駅から歩いて池上通りとの交差点を越えると、いわゆる「仙台坂」と呼ばれるあたり。この辺はとても閑静な住宅街で、私もかつて本気で物件を探しておりました。お店は建物の一階、階段下の狭いスペースを無理やりお店にしたような雰囲気、アルミドアの上にちょこんと小さな暖簾をかかげ、テントがわりなのか、ビニール傘を半分に切ったものを暖簾にかぶせています(店舗写真参照)……いろんなお店を見てきましたが、チープ感では最強レベル。
 カウンターのみ5席ほどの小さなカウンター、厨房も通路もせまく、大井町によくある「小部屋系」のお店。元コックと聞くご主人は意外と若く、「ワンタン麺」(700円)を注文すると、笑顔で「塩がおススメですが、塩と醤油どちらになさいます?」と、実にアケスケな薦め方、なんかニクめないお方です。もちろん「塩」でお願いし、待つこと4分で丼到着。
 では、スープを一口……なんともホノボノとした、いいお味。看板に「弱火でじっくり煮込んだ優しい味」とありますが、透き通るようにクリアで、どこか暖かみのある野菜の甘みが、「ジン!」と舌にしみわたります。さらに、線の細い鶏ガラの旨みに、揚げネギの甘みをそっと添え、穏やかなコクの塩ダレでまとめる……「濃厚」「インパクト」重視の世の中に背を向け、敢えて各食材の主張を抑えた「ハーモニー」重視。まるで少年合唱団のコーラスを聞くような、「清々しさ」を感じるスープです。
 麺は、三河屋製麺製の細麺縮れ。やや加水率を抑えているのかモサモサした食感、甘みはなんとも純朴で、この「清純派」スープによく合います。また、小さめの丼に標準量の縮れ麺ゆえ、麺の絡みが気になりますが、配膳前にご主人が実に丁寧に丼の麺を整えており、取り分けは全く問題なし。こういう「基本」も、見逃せないポイントですな。
 具材は、雲呑・味玉・メンマに、揚げネギと刻みネギ。雲呑は肉餡が比較的大きいタイプ。このタイプにありがちな妙なエグ味も一切なく、微かな薬膳風のアクセントも効果的で、なかなか美味い。メンマはなんと穂先使用、下ごしらえも丁寧で、実に風味の良い一級品。味玉も黄身がトロトロ、白身表面の味付け主体で全体のバランスをとる、「上級者」の一品です。
 ―――こういうお店の、こういう一品を食べる度、「ラーメンとは相対的な存在」だと感じます。渋谷・新宿・池袋といった、「弱肉強食」の「自己主張合戦」の中では、こんな穏やかな一品は見向きもされないでしょうが……高齢者も多い閑静な住宅街にあっては、むしろ自己主張の強い一品はケムたいだけ。ちょくちょく食べるなら、こういう一品ですな……食べ手があり、地元があり、ご主人の生きざまがある。それぞれの価値観が交差する中、どういう「距離感」で味を作るか。その「相対的」なバランスこそが、一杯の価値を決めるのでしょう。そういう意味で、「絶対的」に美味いラーメンなど存在しないのではないか、そんな気がしたオジさんなのでした。

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