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昨年冬季、ボケッとしているうちに食べ損ねた「天虎」の冬季限定味噌。この店の麺は西山製麺、味噌こそ絶対合うはずですが……満を持して再訪(20日)。 小粋な日本料理店のように小ざっぱりとした店構え。白妙の暖簾をくぐると、おそらくは「業界一」腰の低い、若き女将さんが優しくお出迎え。注文はもちろん「味噌」(850円)、それに「味玉」(100円)を追加。 注文を受けご主人、野菜を中華鍋で豪快にあおり、その後豚骨スープを投入してジックリ煮込みに入ります。丼には、隠し味なのかカエシを一サジ、他のロットも仕上げつつ、メリハリのきいたご主人の立ち居振る舞い……見ていて気持ちいいほどの、「熟練」。丼は、約6分で到着。 ベージュ色のスープに白髪ねぎがフワリと浮かび、パラパラと一味の「赤い雪」が降るという、ビューティフルな丼景色。では、スープを一口……なんとも「美学」を感じる、「静かなるスープ」。もはやベース・スープがどう、味噌ダレがどうというレベルではなく、豚骨・味噌・野菜・カエシが混然一体となって混じり合い、濃くもなければ薄くもなく、塩っぱくもなければ甘くもなく、粘度も強すぎず弱すぎず。この「絶対中立」の静かなる世界で、ミルクのようにまろやかなスープが、優しい余韻を残して口腔を通り過ぎます。さらに、この「静けさ」を盛りたてるのが「赤い雪」。その辛味が、「鏡面」のようなスープに石を投げ込むように、波紋を広げ「さざ波」をたて……しかし、その「凛」とした「ゆらぎ」が、スープの「静寂」をむしろ際立たせるようで、まさに「蛙飛びこむ水の音」ですな。 麺は中太縮れ、西山製麺独特の加水率を高めたプリプリした麺。多少汁ハネするほどのピチピチ感が、「静かなるスープ」に躍動感を与えて、両者入り混じるリズムというか「ドライブ感」が、また見事。具材は、炒めたキャベツ・モヤシ・挽肉に、コンモリ盛った白髪ねぎ、さらに追加の味玉。野菜類は敢えて少しかための仕上げ方で、ソフトなスープをハードな食感で受け止めて、まずまずのバランス。味玉も、例によって日本料理的なセンスを感じさせる出来ですな。 ―――まさにご主人の、ラーメンに対する「美学」を体現した一杯。こういう「予定調和」的な一杯をいただくと、なぜご主人がメニュー主力に野趣溢れる「一三五」を置くのか、やや理解に苦しみます。おそらく、我々アマチュアの世界とは違う「感性」なんでしょうな……いや、皮肉のつもりは全くありません。この一品、強いて例えるとすれば、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番(K.466)の第二楽章冒頭、あるいはドビュッシーの「月の光」かな……う~~む、自分の言葉ではどうにも表現しづらい。こうなっては食べ手失格、しかしそれくらい、「美的刺激」に富む一杯。皆さんも「言葉では尽くせない」一杯を是非。
小粋な日本料理店のように小ざっぱりとした店構え。白妙の暖簾をくぐると、おそらくは「業界一」腰の低い、若き女将さんが優しくお出迎え。注文はもちろん「味噌」(850円)、それに「味玉」(100円)を追加。
注文を受けご主人、野菜を中華鍋で豪快にあおり、その後豚骨スープを投入してジックリ煮込みに入ります。丼には、隠し味なのかカエシを一サジ、他のロットも仕上げつつ、メリハリのきいたご主人の立ち居振る舞い……見ていて気持ちいいほどの、「熟練」。丼は、約6分で到着。
ベージュ色のスープに白髪ねぎがフワリと浮かび、パラパラと一味の「赤い雪」が降るという、ビューティフルな丼景色。では、スープを一口……なんとも「美学」を感じる、「静かなるスープ」。もはやベース・スープがどう、味噌ダレがどうというレベルではなく、豚骨・味噌・野菜・カエシが混然一体となって混じり合い、濃くもなければ薄くもなく、塩っぱくもなければ甘くもなく、粘度も強すぎず弱すぎず。この「絶対中立」の静かなる世界で、ミルクのようにまろやかなスープが、優しい余韻を残して口腔を通り過ぎます。さらに、この「静けさ」を盛りたてるのが「赤い雪」。その辛味が、「鏡面」のようなスープに石を投げ込むように、波紋を広げ「さざ波」をたて……しかし、その「凛」とした「ゆらぎ」が、スープの「静寂」をむしろ際立たせるようで、まさに「蛙飛びこむ水の音」ですな。
麺は中太縮れ、西山製麺独特の加水率を高めたプリプリした麺。多少汁ハネするほどのピチピチ感が、「静かなるスープ」に躍動感を与えて、両者入り混じるリズムというか「ドライブ感」が、また見事。具材は、炒めたキャベツ・モヤシ・挽肉に、コンモリ盛った白髪ねぎ、さらに追加の味玉。野菜類は敢えて少しかための仕上げ方で、ソフトなスープをハードな食感で受け止めて、まずまずのバランス。味玉も、例によって日本料理的なセンスを感じさせる出来ですな。
―――まさにご主人の、ラーメンに対する「美学」を体現した一杯。こういう「予定調和」的な一杯をいただくと、なぜご主人がメニュー主力に野趣溢れる「一三五」を置くのか、やや理解に苦しみます。おそらく、我々アマチュアの世界とは違う「感性」なんでしょうな……いや、皮肉のつもりは全くありません。この一品、強いて例えるとすれば、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番(K.466)の第二楽章冒頭、あるいはドビュッシーの「月の光」かな……う~~む、自分の言葉ではどうにも表現しづらい。こうなっては食べ手失格、しかしそれくらい、「美的刺激」に富む一杯。皆さんも「言葉では尽くせない」一杯を是非。