私がラーメンを食べ歩くようになった2000年台前半は、ラーメン本や雑誌のラーメン特集が頼りの時代だった。その頃、墨田区でよく掲載されていたのが、1999年に開店した本所の「ら・めん 風」。どの駅からも微妙に離れた場所にあり、知る人ぞ知る名店として、地元の人達に馴染まれていた。
残念ながら、ご主人の年齢もあってか2017年末に閉店。あの味には再会できないのか…と思っていたが、2020年7月に「ら・めん 風」という名の新店が開店したとの情報。場所は同じ墨田区ながら、両国駅東口に近い亀沢一丁目に移っていたが、息子さんが修業して、その名を継ぐ店が改めて立ち上げられたとの事らしい。
メニューは「しょうゆ」「しお」「みそ」「辛みそ」「担々麺」に、つけ麺各種を揃えている。昨年秋に「しょうゆらーめん」を食べたので、今回は「しおらーめん」を注文。
スープの見た目は「あっさり」と思わせるものだが、鶏・豚骨・魚介の味が濃密に絡みあう力強いもの。それでいながらどの味に偏る事がないバランスでグイグイと飲ませるもの。最近人気店でその名を聞く、福島県の羽田製麺による中太麺は短めで、リズムよく啜った時の小気味よさが、江戸っ子の啖呵のように響いてくるのは場所柄か。スープの旨みが少しずつ、口の中に広がっていくので飽きがこない。チャーシューだけでなく、メンマも丁寧に味付けされていて、合間合間に食べる手を楽しませてくれる。ラーメンの上にのったスダチによる味変も、程よく酸味を加えながらもスープ自体の魅力を崩す事はなかった。
「しょうゆらーめん」とは異なる様相をみせる一杯だったので、味噌味やつけ麺にも興味が湧く。「北斎通り」という名前を持つ道沿いに、令和に誕生した味。懐かしさに頼らず、新しさに流されない芯の強さを感じる新店です。
















