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2019年3月8日の大崎裕史の今日の一杯

東京都新宿区早稲田

五目そば

私の記憶が正しければ、その昔、「慶応の二郎」「早稲田のメルシー」なんて呼ばれていたこともあったはず。もちろん味はまったく違う。また「醤油のメルシー」「塩のほづみ」なんて早稲田界隈で言われていたこともあったような。

早稲田で競合していた「メルシー」と「ほづみ」だが、「ほづみ」は2012年に閉店。ところが、「ほづみ」の女将さんは今「メルシー」で働いている(驚)。こんなこともあるんだなぁ〜。

1958年創業(現在地に移転したのは1970年)なので昨年で60年。今は二代目(創業者の次男)が受け継いでやっている。「早稲田の食事」のことを「ワセメシ」とも呼ぶらしいが、そんな「ワセメシ」も世代交代で老舗が次々と閉店。(「稲穂」「昇龍軒」「エルム」「西北亭」「三朝庵」「ラーメンジャンボ」「いもや」「長岡屋」)

「ワセメシ」の代表的な存在になってきた「メルシー」。いまだにラーメンは400円である。11時半頃に入店するとまさに昭和風情のテーブル席のみだがほぼ満席に近い。相席でようやく座らせてもらえる。私以外はほとんどが常連。「慶応の二郎」の注文も呪文なら、こちらだって負けてはいない。「ラーカタ大・濃いめ」「もや大・葱増し」など。「化調抜き」「タレ薄め(この場合は胡椒を入れると完結する)」なども可能らしい。この日はご飯物を頼んでいる人は目に付かなかったが、なんせ「食堂」であり、「軽食喫茶」でもあるのでチャーハンやドライカレー、オムライスなどもおいしそう。

ラーメンの基本は醤油味だが煮干しが思った以上に効いて(煮干しラーメンなんて名前が誕生する前から十分な煮干し味だった)コーンが入るのも特徴。この組合せは全国でも珍しいと思う。

タンメンや五目そばは塩味。今回はまだ頼んだことがなかった「五目そば」660円にしてみた。(醤油味にする裏メニュー(ごもしょ〜)もあるらしい)この店のメニューで最高値。具沢山の贅沢品だ。一般的に五目そばだとうま煮系が多いような気がするが、こちらは具のせタイプ。チャーシューもメンマもたっぷり野菜も椎茸も玉子も食べることができて、満足。

あまり知られていないが西立川に支店がある。(多摩のラーメン本には載っている)

お店データ

メルシー

メルシー

東京都新宿区馬場下町63(早稲田)

このお店の他の一杯

大崎裕史
大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。