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「ぜんやラーメン ¥750」@ぜんやの写真日曜日 晴天 13:40 先待ち4名 後待ち5名

〝温故知新ラーメンめぐり〟

故き麺を温ねて新しき麺を知る

本日は10数年前のラーメン本に触発されて、現在でもファンに愛され続けている名店めぐりをしている最中だ。自宅を出発する時から狙いを定めていた二軒目がコチラなのだ。

午前中の一食目に選んだのが埼玉 志木駅にある「麺家 うえだ」だったので、そこからの移動も簡単で10分ほどで最寄りの新座駅に着いた。そこで駅前散策をしながら胃袋の空きスペースができるのを2時間ほど待とうと思ったが、新座駅前こそ賑わいがあるが少し離れると車しか走っていないような通りで散歩気分は湧いてこなので再び駅前に戻りコーヒーを飲みながら時間をつぶす事にした。

RDBのお店情報によるとオープンして15年以上も人気店であり続ける埼玉県屈指の有名店だ。私の持っている昔のラーメン本にも度々登場するので、行かなくても名前だけはもちろん知っていた。そんな人気店に初訪問するキッカケになったラーメン本に感謝したい。

そんな事を考えていたら程よく時間も経過し連食スペースも空いてきたので、意気揚々と店を目指した。駅前からは横断歩道の極端に少ない川越街道を渡り5分ほど歩くと、満車の駐車場に隠れた暖簾を見つけた。日曜日なので昼ピークは関係なく満席で外待ちベンチには行列もできている。しかしこの行列が有名人気店の証のようでうれしくもある。最後尾に続いて席が空くのを待っていると流れが良かったのか、わずか5分ほどで入店の案内があった。店に足を踏み入れた瞬間に美味そうな香りが鼻をくすぐった。

シンプルなメニュー構成の券売機の中から連食なので基本のラーメンを発券した。好物の味玉のボタンを探したが存在しなかったので、カウンターに座り店内を眺める。メニュー構成と同じくシンプルなカウンターだけの店内をご夫妻のお二人で切り盛りしている。接客や洗い物などの片付けを奥様が担当し、ご主人は調理に徹している。そのご主人の白衣に白帽の正装姿が凛々しくラーメンへの期待も高まる。厨房内には麺ゆで機や食洗機などの大きな機材はないが、ステンレス製の両手中華鍋が麺ゆで用に鎮座しているのが目に入った。これもまたシンプルに一種類の麺だけを使用すればこその設備である。そんな中華鍋から麺上げされる巧みな平ザルさばきに見とれていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は白磁の反高台丼の中で神々しく輝いている。何の奇もてらわない真っ直ぐに光り輝く景色は黄金卿のようである。そんなエルドラドに心を奪われていると、まぶしいスープからは店内に満ちた良い香りを、より濃縮させた香りが立ち昇ってくる。期待値の限界点を超えたところでレンゲを手にとった。

まずは香味油の細やかな粒子が浮かんだ金朱雀色のスープをひとくち。透明感がありそうで実は曇りガラスのような霞みがかったスープをレンゲですくい上げると、更に香りが強くなった。それはクセを殺した動物系スープの香りだった。その香りと共にスープを口に含むと丸鶏主体のスープではあるが、鶏油の野性味あるコクや香りがほとんどしない。どちらかと言えば動物系スープでも豚由来の風味を強く感じる。スープが少し霞んでいるのは豚ガラも炊かれているのだろうか。香味油も鶏油ではなくサラリとした香り高いラードなのが分かる。その動物系スープの陰に隠れて香味野菜の香りと甘みが存分に感じられるスープだ。更にその後ろには昔ながらの不自然な旨味が潜んでいるのが私には残念ではある。塩ダレも本当に塩を使っているのかと疑いたくなるほどに角がなくまろやかだ。たしかに美味いが危険な中毒性がありそうだ。

麺は平ザルで湯切りされた黄色みのある中太麺で少しちぢれた麺肌が特徴。麺上げまでおよそ100秒だが、全てはご主人の体内時計と指先だけで計られていた。黄金色のスープから持ち上げると「お前も黄金色なんかぁーい」と、ツッコミを入れたくなるほどに美しく輝いている。そんな美麺をすすり上げると、加水率の高そうな腫れ上がった麺肌が口の中で弾け飛ぶ。麺のちぢれが加わる事で更に口内を暴れまわる。見た目は美しいがお転婆な気質を持った麺に、すぐに惹かれてしまった。やはりヤンチャなくらいの食べ応えがある方が噛みつぶす楽しさを生んでくれる。

具材のチャーシューは部位違いで二枚。どちらも小ぶりだが異なる肉質の食感を表現している。どちらもロースト型で、豚モモは脂身のない赤身の肉々しさが特徴。少しパサついた感もあるが味付けの良さでカバーしている。一方の豚バラは適度な脂身が甘さを引き出されてトロトロすぎない仕上がりも良かった。本来は赤身派なのだが今回は豚バラに軍配を上げた。

板メンマも出しゃばらない味付けでコリッとしたアクセントだけを務め上げている。

薬味の白ネギは計算されているのかは分からないが厚めに切られた小口切りの部分と、繊細に切られた部分の両方が添えてあった。粗々しい白ネギからは大胆な食感と強めの香りと辛みが出ていて、細かな白ネギからは軽やかな食感と程よい刺激臭が出ているので、ひとつの薬味なのに複雑な要素を与えてくれていた。

青みのほうれん草も偶然かもしれないが葉先の部分しか入っていなかった。茎の部分が見当たらないのが不思議で隣のラーメンも見たが、やはり葉先部分だけだった。これも狙いだとしたら真意を知りたくなった。

沢山の不思議を感じながらも麺と具材は平らげていた。しかしスープはこちらも飲み干すことはできず残念ながらレンゲを置いた。丼に残ったスープの量を見て、惜しげもなく大量に注がれている事に気が付いた。これを飲み干したら誰しもが満腹になりそうな量なのにも最後ながら驚いた。

今回のラーメンをキッカケに平成最後を機にして老舗めぐりをしようと考えていたが、昔ながらのラーメンには苦手な非天然由来の旨味成分との戦いが付きまとう事になるのを暗示する一杯となりました。

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