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「中華そば(あっさり 薄味) ¥750」@煮干し中華そば 山形屋の写真平日 晴天 10:55 待ちなし 後客1名

〝ニューオープン狙いうち〟

昨晩からRDBの進展情報を漁っていると、今の私には大変興味深い店を見つけた。それは先日行った東北遠征で立ち寄った山形 酒田の文字が目に入った事である。

お店情報を頼りに調べてみると、今年の二月にオープンした新店らしい。屋号にもあるように、ご主人が酒田市出身のようだが関東のテイストも取り入れた山形ラーメンのようだ。まだ記憶に新しい酒田の風景を思い出しながら初訪問をする事にした。

翌朝は11時間店頃の現着を狙って9時半に自宅を出て、半蔵門線を西新井駅で東武スカイツリーラインに乗り換えると50分近くかけて最寄りの竹ノ塚駅に着いた。そこからは距離はあるが歩いて12分ほど進むと増田橋の五叉路の先に揺れる赤ちょうちんが見えてきた。開店5分前の現着で、行列はなく先頭にて待機する。

定刻より少しだけ早く、真っ赤な暖簾が掛けられてオープンとなった。店頭のメニューで決めておいたお題を発券しカウンターに腰を下ろす。食券を手渡す際に予習しておいた「あっさり」と「薄味」の軟弱なカスタマイズをお願いする。

酒田で感じたような鮮烈な煮干しの香りが満ちてない店内を見渡すと、かなり広めな店内をご夫妻と思われるお二人で切り盛りされている。厨房内に目をやると、充実の設備が揃っている。大型茹で麺機や電気保温機、中型の圧力鍋に中華レンジといった布陣が厨房内で幅を利かせている。着席するとすぐさま調理台の天板を利用して、麺の手もみ作業が行われていた。女性が担当されているので力強さというよりは、優しく息吹を吹き込まれているように見えた。

初夏の陽気を迎えて気温が高くなりはじめた季節でエアコンの効いた快適な室内で待っていると、着席して6分で我が杯が到着した。その姿はシンプルな白磁の切立丼の中で、素朴で人懐っこい表情を浮かべている。軟弱カスタマイズのせいで酒田ラーメンの特徴を奪ってしまったかとも思える姿だが、個人的には親しみやすく優しい表情がホッとさせてくれる。また提供された時に「醤油が薄ければ言ってください」との対応力の高さにも安心感が生まれた。

まずは半濁した鳥の子色のスープをひとくち。煮干し由来の細胞が少しだけ表層に浮かんだスープにレンゲを挿してすくってみると、品の良い煮干し香が穏やかに漂ってきた。その香りに刺激された脳の欲するままに口に含むと、香り同様の上品な煮干しの旨みが口の中に張り巡らされた。微かな苦味もなく旨みだけを抽出されたスープの要素をダイレクトに感じる事ができる。本来の酒田ラーメンの特徴でもある豚背脂などの動物系のコクを排除したカスタマイズゆえに煮干しの香味が先導する仕上がりとなっている。そこに鰹節の厚削りのようなコクとキレも見え隠れしている。さらには薄味にしたので物足りないくらいの醤油ダレとも思ったが、出汁の風味が強いのでそのまま食べ進める事にした。

このスープに合わせる麺は平打ち中太ちぢれ麺で、波長の短い〝ひねり〟が効いている。麺上げまでは120秒弱と平打ち麺では短めの茹で時間が示すように、麺幅や厚みがないのが特徴だ。持ち上げた箸先からは加水率の高さは感じるが、麺自体が細身のなので重量感はなく軽やかにすら思える。スープの飛び散りなど気にせずに、一気にすすり込んでみた。案の定カウンターにはスープが拡散してしまいシャツも汚してしまったが、唇を通過する〝ひねり〟が与えてくれる絶妙の感覚には変えられない。勢いよく滑り込んできた麺は口の中を暴れまわるかと思いきや、静かにおとなしく咀嚼に応えてくれる。これが女性ならではの手もみが生み出す優しさなのだろうか、私のカスタマイズしたスープとの相性は抜群に思えた。そんな女性的にも感じる麺を噛みつぶすと、奥歯を跳ね返そうとするしっかりと密度の高いグルテンが歯応えとなって現れる。並盛りでも多いと感じる麺量だが、麺を噛む動作が楽しく箸のスピードを加速させる。

具材のチャーシューも秀逸だった。ホロホロと崩れるような煮豚型なのだが、豚バラではなく豚肩ロースを使われていた。よって脂身の甘みは少ないが、赤身の旨さと肉質の繊維を存分に味わう事ができて私の好みに合っていた。とても温かい状態で盛り付けてあるのでスープの温度を下げる事のない気づかいもうれしい。またかなりの厚切りなので、肉を頬張る本能までも満たされる。煮汁に旨みが逃げ出さないギリギリの味付けも素晴らしかった。これならばチャーシュー麺にしても良かったと思えるような逸品だった。

細メンマも大量に添えてあった。大好物の金絲メンマかと思ったが食感はメンマとタケノコの中間のような歯応え。メンマ独特の発酵臭はしないので香りの面ではアクセントにはならなかったが、軽やかな食感の上ではアクセント役を務めてくれた。

薬味は粗々しく切られた白ネギだが、緑の葉先の部分が多く入っていた。店側の狙いなのか下ブレなのかは分からないが、やはり白ネギは根に近い白い部分の方が香りもあり歯ざわりも良いので少し残念に思ってしまった。

海苔も残念ながら質が良いとは思えない。保存状態のせいか、何か他の香りが移っていて磯の香り以外の風味が強かった。それが味わいにも響いてしまい持ち味を発揮していなかった。

中盤からは旨味の底上げも感じてきたが、麺に影響を及ぼすほどではなかったので食べ進める事ができ、麺と具材は完食したがスープは残してしまった。本日は個人的な軟弱カスタマイズにしたが、これならば本来の基本の味付けにも挑戦してみたいと思った。むしろチャーシューや玉ねぎをトッピングしたいと思うほどに印象が良かった。

隣客が中盤で背脂を追加しているのをみた時に、それも次回は必ず試してみようと思い再訪を願った一杯でした。

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