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「チャーシュー(並) ¥700+煮たまご ¥100」@中華そば 紅蘭の写真土曜日 晴天 13:10 中待ち6名 外待ち20名 後待ち25名以上

令和改元記念 特別企画

〝諸国麺遊記 中国編〟

今回の中国遠征の最期の地である山口県へと向かうために前食の広島から山口入りを果たした。11:48発 のぞみ 13号 博多行きにて所要時間21分と人生最短のグリーン車で缶ビール一本だけを空けた。飲み終える頃には広島駅周辺の都会的な景色とは一転して、男子ならば誰しもがワクワクするような風景が広がっていた。それは巨大な石油コンビナート群の壮大な工場の風景だ。乗り換えのための徳山駅周辺は無機質ながらも力強い息吹を感じさせる煙突やタンクの集合体だった。都内では感じられないパワーをもらうと、在来線に乗り継ぐために徳山駅で下車した。

勿論すぐに乗り換えられる列車などある訳もなく、駅の構内で50分近くの待ち合わせとなった。しかしこの時間がなかったら連食スペースが空かなかったはずなので、災いが福となってくれた。何もする事のない駅で時間を過ごして12:54発 JR 山陽本線 岩国行きに乗車して下松駅へと向かった。先ほど圧巻のコンビナート群を新幹線の高架から見下ろした景色が、今度は同じ目線の高さで迫ってくるので大人でも大興奮してしまった。

そんな車中を10分足らずで最寄りの下松駅に着いた。先ほどの待ち時間が何だったのかと思ってしまう程の短さだった。そこからは広く整備された駅前を進むと直ぐに真っ赤な駐車場の看板が目に入った。店先は見えないが続々と駐車場から人が流れて行くのが見える。するとその先に同じ赤看板が目印のコチラがあった。遠くからは行列は見えなかったが、近づいてみると建物を取り囲むように長蛇の列があった。その列は店の敷地に置かれたジュースの自動販売機の向こうまで続いていたが、なんとか最後尾に着くとさすがは山口県第1位の人気店だと実感した。

行列の客層は明らかにご近所さんが多数だ。それはクロックスの着用率の高さが物語っている。本日は学校も休みなのだろうか、子供の数も多く見られる。かなり並ばなければいけないと思われたが、一気に多くの客を店内に飲み込んでいくので回転率は高そうだ。15分も待てば店の横並びを終えて、店頭の軒下まで来た。すると、あっという間に店内待ちまで昇格した。

中待ちイスに座ると店内が一望できた。大きなテーブル席だけの広々とした店内には活気があふれている。その活気を作り出しているのが大きな店を回している総勢六名の女性スタッフたちだ。しかも女性ばかりの大所帯を仕切っているのは、グレーヘアが凛としたマダムだった。厨房スタッフもハット姿やバンダナを巻いていたりとお洒落も忘れていない。テーブル席にはバッシング待ちの空席も多くあるので、まもなく案内がかかりそうだ。

そんな中で待っていると、最後尾につけてから25分ほどで席へと案内された。テレビ近くのテーブルの手前の角に座り、壁に掛けられたメニューに見入る。簡単に言えば麺の量と上乗せする具材を選ぶだけのシステムだ。周囲の子供たちが中盛りを注文してる中で並盛りとしたが、珍しくチャーシュー入りにしてみた。そこから調理場内に目をやると大きな羽釜が四連も据えてある。そんな古典的なスープ炊きから生み出されるラーメンに期待を寄せながら待っていると、着席して10分ほどかけて我が杯が到着した。

その姿は器の紋様が全く見えないほどのチャーシューで埋め尽くされた姿で現れた。横から覗いて確認すると器の形状は切立丼なのは分かった。今まではこういった見た目のラーメンを避けて通ってきたが、旅の恥はかき捨てとばかりに楽しむ事にした。最初に別皿で供された煮たまごを集合撮影用にラーメンの中に入れた。

まずはスープと行きたいとこだが、今回はレンゲを挿し込む隙間もないので思い切ってチャーシューから食べてみる。丁寧に花びら状に盛り付けられた豚ロースの煮豚型が大判で八枚は入っていたであろうか、そんな一枚を箸でつまんでみた。すると破けそうなくらいに薄くスライスされているので、手切りではなく電動スライサーを導入されているのだろうか。均一な厚みからもそう思えた。あまりに大判なので折りたたむようにして頬張ってみると、ロース肉の赤身の歯応えがしっかりと伝わってくる。旨み自体や味付けは乏しくなっているが、他と食べ合わせる事で真価を発揮してくれそうだ。

チャーシューが退けられ、ようやく全体像が見えてきたスープの液面だが、表層には乳化しきれなかった淡色の油膜が下地のスープを覆い隠している。その油膜をレンゲの底で避けてみると、中から淡褐色のスープがお目見えした。そのままレンゲですくってみると、私が知ってる東京で飲んだ牛骨スープとは別次元の風味が広がった。コショウや香辛料でごまかしていない純粋なスープの香りが届いた。未体験の香りに包まれながらスープを口に含むと、刺激の少ない円やかな口当たりが印象に残る。豚骨スープのようでもあるが、密度的には軽やかで濃厚とは表現しづらい。材料の牛骨の下処理が良いからだろうか獣臭も全くしない。カエシもどちらかと言えば甘みを利かせた醤油ダレなので、塩気を強く感じはしないが全体的には濃いめに設定してある。

続いてスープの底に沈んだ麺を持ち上げてみると、ややモタモタしながら現れた麺は中国遠征では見慣れた中細ストレート麺。茹で加減も当たり前のように感じてきた柔らか仕上げ。正直言って「またお前もか」と思ってしまったが、歯応えや歯切れの良さは諦めて一気に啜ってみる。スープの甘みと共に博多ラーメンの細麺によくあるカンスイ臭も伴ってきたが、次第に慣れてくる程度だったので事なきを得た。やはり見た目と同じく滑らかな口当たりが持ち味のようだが、中太ちぢれ麺がマイブームの私には物足りなくもある。そんなピンチを救ってくれたのが大量のチャーシューだった。麺をチャーシューで巻いた〝そば寿司〟のようにしてみたり、麺を啜った後にチャーシューで後から追いかけてみたりと八面六臂の大活躍だった。

また写真からでは存在すら分からないが、実はチャーシューの下には茹でモヤシが入っており同じように麺にアクセントを加えてくれた。まさに縁の下の力持ちとはこの事である。

追加でもらった煮たまごは、我が〝味玉論〟からすると0点だが、〝煮たまご論〟で言うならば満点の仕上がりである。なので表記通りに煮たまごとして評価させてもらった。厨房のカウンターの上で電磁調理器によって常に温められていた煮たまごを噛んだ瞬間に熱さが爆発した。それはまるで熱々の〝おでんのたまご〟を一気にかじった感覚と同じだ。ラーメンのたまごはぬるいと決め込んでいたバチが当たった。しかし旨みはちゃんと浸みている上に、たまご独特の香りも残ってある。これを〝煮たまご〟と言うならば文句のつけようがないと思った。

薬味は中国山陽地方三県に共通した青ネギの小口切りだった。白ネギが流通してないのではと思ってしまうほどに見かけなかった。

中盤からも並盛りなのに結構な麺量だったが、他の具材たちの力を借りて平らげることが出来た。こちらの店にもサイドメニューとして「いなり寿司」が置かれてあり大人気を呼んでいた。今回の中国遠征の五県に共通するのは、どのラーメンにもご飯ものが合いそうな事と、コショウの中でも白コショウが欲しくなる味付けだった点だ。実際にもコショウを多用している客を多く見かけた。深くは分からないが食生活の地方性に触れる事ができただけでも遠路はるばる来た甲斐があったと思えた。

東京へ帰るチケットもないままに、ひとまずは先ほど降りた下松駅で一時間に一本の列車を待ちながら帰りのルートを検索する事になる一杯でした。

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