なんとかデータベースラーメンカレーチャーハンぎょうざうどんそば
 

「醤油ラーメン味玉入り ¥900」@麺匠 きくちの写真平日 大雨 13:45 先客5名 後客なし

〝ニューオープン狙いうち 〟season2

新店めぐりをしている今週だが、RDBの新店情報の中に知っている店名を見つけた。詳しく調べてみると江東区からの移転のようで、移転前には訪問していることを思い出した。その時の印象は今ひとつだったが新たな期待を込めて初訪問を決めた。

その為に前夜は文京区在住の古い友人と久しぶりに上野で酒を酌み交わして宿をとった。翌朝10時すぎにホテルをチェックアウトして日比谷線の上野駅に向かった。30分ほど地下鉄に揺られると最寄りの新田駅に着いた。人生初の新田駅西口を出ると駐輪場天国のような自転車の中を進んで行くと、随分と遠回りして店先が見えてきた。11時半開店前の現着だっので並びも発生しておらず先頭で待機しようと近づいてみるとシャッターに手書きの不穏な張り紙が貼ってある。全貌は次の通りだった。

「本日電気トラブルが発生し仕込みができないため、営業できない可能性が非常に高いです。至急、対応してますが復旧の目処がたち次第店頭、Twitter、Instagramでご連絡させて頂きます。申し訳ございません。麺匠きくち店主」

ここまでが二日前の真相なのだ。そこで本日は暴風雨による危険情報が流れる中でのリベンジを決意したのだ。同じ日曜日にスープ切れに見舞われた田無の新店でのリベンジを果たした後にコチラへと向かった。

西武バスと中央線、武蔵野線から東武スカイツリーラインへと三度の乗り換えと、南越谷駅でのコーヒーブレイクを挟んで二時間程かけて最寄りの新田駅に二日ぶりに舞い戻ってきた。今回は昨日の遠回りの失敗を踏まえて東口から向かう事にする。地図では線路よりも西口側にあるが、東口からの方が簡単に行く事ができる。土砂降りの雨の中を折りたたみ傘ひとつに守られながら覚えている店先を目指した。

二日前には半シャッターだった店頭には開店祝いの大きな花輪が飾られている。最近ではパチンコ店の新装開店でも見かけなくなった豪華なお祝いを見ながら入口のドアを開けた。店内に入ると券売機はなく卓上にはメニューが置かれてある。「お好きな席へどうぞ」との女性スタッフさんの案内でカウンターに座りメニューに見入る。移転後初訪問なのでメニューの筆頭を飾っている醤油系とマイスタンダードが合致していたので、迷う事なく味玉入りの醤油系を告げた。

オーダーを終えると店内観察を開始する。客席と厨房が二分化された移転前の住吉時代とは随分と異なるレイアウトだ。店舗の敷地が正方形に近いのでカウンターもコの字型を採用されて、スペースを有効に活用してある。それでもコの字カウンターの一辺には席を設けず、ゆったりと余裕のある配席にしてある。定かではないが客席の後部には製麺室か物置き場も広く設置してあり、都内からの移転の利点を大いに感じられる設備だ。そんな店内を本日は調理とホール業務を分業した二人体制で切り盛りされている。奥まった厨房での調理なので作業風景が見られないのは残念だが、ご主人の後ろ姿に全幅の信頼を寄せて待つ事にする。

先客のロットのタイミングの関係で、着席して14分かけて3番目のロットにて我が杯が到着した。その姿は以前と変わらない揃いの受け皿に乗った白磁の切立丼の中で、ワンロット2杯以下の仕上げにこだわった渾身の姿を見せている。派手さはないが実直そうな表情が印象的だ。一食目の化学兵器のようなラーメンで傷ついた身体を癒してくれる事を期待して、レンゲを手に取った瞬間にご主人の心づかいに驚いた。それはレンゲが温めてあった事だ。もしかしたら食洗機の温度が残っていただけかもしれないが、傷ついた心にも強く響いた。

まずは少しだけ霞みがかった芝翫茶色のスープをひとくち。出来るだけ純粋なスープを味わいたく、薬味類をよけるようにレンゲをスープに沈めた。すくい上げたスープからは卓上のウンチクを疑ってしまうような複雑な香りが立ち昇る。ウンチクでは動物性オンリーのスープとなっているが、魚介系とは言わないまでも乾物由来の香りも漂ってくる。香りだけでも幾重もの重なりと奥深さを感じられる。不思議な感覚のままにスープを口に含むと、鶏ガラが主導権を握っているような動物系スープだ。スープに霞みを付けているのは豚ガラも使用してあるのだろうか、とても懐かしさのある清湯醤油スープだ。香りの中で感じたの乾物系は、スープの中の香味野菜由来のものなのだろうか。それともカエシに浸された乾物由来なのだろうか。もちろん詳細は不明だが味わい深いスープには間違いない。私には若干高めのカエシの設定が、後半どう現れてくるのかが心配ではあった。

麺上げまでジャスト120秒の自家製中細麺はスープの中でもオリジナリティを見せつけている。そんな個性的な麺を箸で持ち上げてみると麺肌に浮かんだ全粒粉のフスマが樹木の〝サルスベリ〟のようで、他では見ることのない麺だと認識できる。そんな自家製麺を口に運ぶと、荒々しくも見える麺肌の口当たりの滑らかさは感動的だった。唇にすら抵抗を感じることなく滑り込んできた麺を噛みつぶそうとすると、咀嚼から逃げようとする苦手な歯応えを感じてしまった。プリッとした歯触りは良いのだが、このタイプの麺には歯切れの悪さも付随する事が多いと思う。例を出せば、ラーメンの鬼〝佐野実〟氏の系譜の自家製麺が得意でないのだ。ラーメンの麺にも歯応えと歯切れの良さを個人的には求めてしまう。ただその点では多少残念な麺質だが、小麦の香りや甘みは申し分ない。逆に小麦の甘みを増幅させる為のスープの塩気なのかもとすら思ってしまった。

チャーシューは以前と同じ部位の豚肩ロースの煮豚型だが、今回分は脂身の少ない赤身の多い部分が切り分けられていた。超厚切りという程ではないが、かなりの厚みで切られている。何よりも特徴的なのは肉質の柔らかさで箸でつかんだ感覚はしっかりとしているが、噛んだ所から筋肉の繊維が解けていくような独特の歯応えを楽しめる。じっくりと煮込まれた赤身は本来の旨みを煮汁に放出しながらも、肉自身も煮汁の旨みを吸収しているようだ。前回はパサついた印象が残っているが、今回分に関してはベストの仕上がりに感じた。

さらには追加した味玉は大きくモデルチェンジしているように思った。それは提供温度の熱さとなって表れている。半割された味玉には温められたものが少ないと日頃から思っているが、本日の味玉は危うく舌を火傷しそうな程に熱くなっていた。あまりの温度に驚いたが、旨みの強さにも驚かされた。それは卵本来の旨みに加えて、漬けダレの浸透による味付けもしっかりと利いている。私独自の〝味玉論〟とは違って熟成タイプではないが、ゆっくりと時間をかけないと成し得ない均等な味の浸み込みが新たな味玉の新境地を開いてくれそうだ。

メンマにもマイナーチェンジがされていて、極太メンマから短冊メンマに仕様が変更されていた。このメンマの方が麺との相性は良く思えたのは、決して歯応えを重視するタイプの麺ではないので極太メンマだと異質に感じてしまうのだ。その差異をアクセントと言うのかもしれないが一体感としての役割は果たさないので、今回の短冊メンマのように主張しすぎない方が好みで良かった。

薬味には二種類のネギが使われている。小松菜などの葉野菜を青みとして使わずに、白ネギと青ネギで全てをまかなっている。スープで加熱された白ネギを刻んだ薬味は適度な甘みと食感を与えてくれるが、青ネギの小口切りには大きな役割を見出せなかった。万能ねぎだけに用途は万能だが、特徴としては何も残らない。彩りとするならば下茹でされた、ほうれん草や小松菜の方が意義がある気がした。

しかしながら中盤以降も何ら不快感もないままに食べ進めて、気が付けば丼の底が見えていた。前食の田無での化学式のようなラーメンではなく、自然派なラーメンに心も身体も癒されて完食完飲できた。移転されてメニュー構成にも変化があるようだが、魚介系を合わせた新メニューの中華そばにも期待が高まってしまう一杯でした。

投稿 | コメント (0) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

まだコメントがありません。