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「魚出汁ラーメン ¥800+味玉 ¥100」@魚と豚と黒三兵の写真平日 晴天 13:40 先客10名 後客4名

〝ニューオープン パトロール〟

午前中に学大前で一食目を終えた後に駅前のカフェで、RDBの新店情報を見ていると見慣れないユニークな店名を見つけた。

「魚と豚と黒三兵」この屋号を見た瞬間に二つの事が頭をよぎった。一つは大阪発祥の店ではないだろうかという事だ。このネーミングセンスは関西人ならではの独特の言い回しがある。ちなみに「部屋とYシャツと私」の平松愛理さんも神戸出身である。

二つ目はなぜ屋号に「黒三兵」という、決して商売にとっては縁起の良い事ではない言葉を付けたのだろうかという疑問点だ。もしかしたら証券用語とは関係なく文字合わせや語呂合わせだけで付けられたのかもしれないが、株価の下落を予兆させる「黒三兵」よりは、上昇を予感させる「赤三兵」の方が屋号には向いているのではと思ってしまった。それを逆手にとった関西人のギャグセンスなのかもと、余計な想像までさせられては気になって仕方がなく初訪問を決めた。

学大前からは東横線で渋谷駅まで戻ると、そこからは京急バス 宿51系統 新宿西口行きに揺られて向かった。この路線バスに乗るのは初めてなので、普段は見る事のない車窓を楽しみながら15分ほどで最寄りの十二社池の上バス停に着いた。そこからもラーメン屋がオープンしなかったら歩く事などなかったであろう裏道へと入っていくと、思わぬランチ激戦区にたどり着いた。そんな小さな飲食店が立ち並ぶ中に、お祝いの花で埋め尽くされたコチラの店先を見つけた。RDBにはメニューすら情報が挙がってないので苦手なJ系や、つけ麺専門店だった時の対応策を考えていたのだが店頭のメニューを見て安心した。

現在は色とりどりの花で賑わいを見せているが、花がなければ威圧感のある大きな黒い看板が印象的な店構えだ。昼ピークは過ぎているが、開店間もない新店舗なのに店内は満席に近い。空席を確認するために扉を開けると、威勢の良い「いらっしゃいませ」が聞こえてきた。カウンターの一番奥の席が空いており待たずに入店できた。

店内には券売機は設置されておらず、卓上メニューからの口頭注文スタイルだ。ホールスタッフさんにアッサリしているメニューを尋ねると、魚出汁ラーメンがそうだと教えてもらったので迷う事なくオーダーした。好物の味玉を追加すると、半玉か一玉を選べたが悩まずに一玉でお願いした。

カウンター越しに店内を物色すると最初に飛び込んできたのは、大阪発のガールズロックバンドのサイン入りポスターだった。勿論こちらの店名も書かれていたので、大阪由来のラーメン店である事は間違っていなかったようだ。またスタッフの中に聞こえる関西弁からも確信した。店内は飲食店の居抜き物件だと思うが、業務用エアコン一基の空調力と換気扇の排気量が合っておらず店内は五月とは思えないほどに暑くなっている。このままの設備で八月を迎えたらスタッフさんが熱中症になってしまうのではと心配になるほどの室温だ。そんな居心地が良いとはお世辞にも言えない店内を本日は三人体制で回している。卓上のお冷を飲んで汗を拭いながら待っていると、着席して10分で我が杯が到着した。

その姿は鶯色の多用丼の中でイメージしていた〝魚出汁〟とは違った景色に戸惑ってしまった。筆頭メニューである〝魚豚骨ラーメン〟ではと思ってしまうような濃厚そうな表情に驚いた。しかし隣り客が同時に注文した同メニューと同じだったので、間違いではない事を確認してレンゲを手に取った。

まずは丁子染色のスープをひとくち。香味油は薄っすらに見え、液面には煮干し由来の細かな水泡も見られるスープにレンゲを落とし込んでみると、焦げたような独特の香りが湯気の中に混じって上がってきた。勝手に清湯魚介出汁を思っていたので不意を突かれたが、濃厚な抵抗力はレンゲを持つ指先からは伝わったこない。どちらかと言えばサラリとしているように感じた。不思議な焦げ臭に包まれながらスープを口に含んでみると、その焦げた香りの理由であろう苦味が何よりも先に舌を覆ってしまった。その奥には鰹節や煮干しの魚介出汁がベースとなっているが、独特の苦味の元は香味油と思われる。煮干し油を抽出する工程の中で、引き出された煮干しの苦味が私には強すぎたようだ。このまま最後まで苦味に追われるラーメンになってしまった。

麺上げまで150秒ジャストの中細ストレート麺を箸で持ち上げてみると、切刃の角と全粒粉の胚芽色が織りなす特異な麺質が魅力的である。正確な情報はないが、入口近くに山積みにされた粉袋を見ると自家製麺なのだろう。それを裏付けるように麺箱にはタッパーを利用し、生麺も袋で包装されていなかった。そんな中細麺に期待しながら一気に啜り込むと苦味や焦げ臭に押されてはいるが、小麦の持つ香りや甘みも感じることができる。エッジの効いた口当たりと舌触りも素晴らしく、噛めばしっかりと高密度なグルテンも主張してくる。この中細麺では長すぎると感じた茹で時間も、食べれば納得のいくベスト麺ディションだった。次第に慣れてくるかと思っていたスープの苦味だったが、積み重なるように舌に残り続けている。

具材のチャーシューは豚肩ロースの低温調理が薄切りながら三枚も入っている。チャーシューと言うよりはハムのように思われるのは、しっとりとした舌触りと下味のスパイスの成分からだろう。提供時点からスープに沈んでいるのでレア感はないが、赤身本来の食べ応えを楽しめた。

追加した味玉は残念ながら要らなかった具材だった。下茹での半熟加減も適正だし穏やかながらも熟成も感じられるが、如何せんスープの苦味が追いかけてくるので味玉の旨みが伝わってこない。それは提供温度の冷たさにも要因があると思うが、とにかく印象に残らず残念。

メンマも穂先メンマではないが、穂先に近い柔らかな部分だけを使用している。それが竹の節の部分なので不揃いな形状になっている。もはや何を口にしても苦味が勝ってしまうので味付けは定かではないが、食感の良さだけは印象に残った。

薬味は白髪ねぎとも笹切りとも区別がつかない切り方の白ネギが添えてあるが、これまたいつ口に入ったのかも分からないくらいの存在感の薄さだった。青みのカイワレも本来ならば辛みを感じるはずなのだろうが、それを感じ取る繊細な味覚は残ってなかった。この味覚センサーの崩壊が功を奏したのは、苦手な節粉を感じずに麺を食べられた事だ。

中盤からも強気なスープに押されっぱなしだったが、麺は8割近く食べる事ができた。勝手に関西発祥だと思い込んでいるのを前置きとして、関西特有の押しの強さが残念ながらIT系清湯おじさんにはハードルが高すぎて合わなかったようだ。

関西のパワフルなエネルギーを感じるラーメンに打ちひしがれながら撤退する時にも周囲の若者たちは満足そうな笑みを浮かべているのを見ると、世論は私の味方ではない事を悟った一杯でした。

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