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「ラーメン(中) ¥500」@のり一ラーメンの写真土曜日 晴天 23:00 先客21名 後客10名以上

〝諸国麺遊記 九州編〟

今回も無計画なままに九州遠征を進めてきたが、熊本での前食を終えた後にバスの待ち合わせなどで一時間以上かかって熊本駅まで戻ってきた。現時刻は19時を過ぎており今夜の宿を熊本で探すか、一足伸ばして隣県まで移動するかで迷っていた。

そんな中で見上げた九州新幹線の発車掲示板に鹿児島行きが3分後にあるがチケットを買っている時間がなく諦めようとした時に構内アナウンスで、停電の影響で到着が22分遅れている事を知った。ならば熊本の夜のネオン街を諦めて鹿児島の夜を楽しむ事に気持ちが揺れた。窓口に行くと空席も多くあるようなので、先程の久留米〜熊本間を19分しか楽しめなかったグリーン車を満喫し直そうと乗車券を購入した。

新幹線の遅れのおかげで無事に鹿児島へと向かう事は出来たが、こんなの宿を確保できておらず気持ちが焦りはじめた。熊本19:12発 さくら号 鹿児島行きに22分遅れで乗車すると、すぐさまホテルをネット検索する。過去の平日の鹿児島訪問では出張客だけではなく、地元の鹿児島の人までがホテルをとって飲み明かすという鹿児島県民ならではの酒文化に見舞われてホテルが一室もないという経験をした事があるのだ。本日もその事が頭をよぎったが、逆に土曜日だった事が良かったのかホテルは選び放題で空室が多くあった。そこで今夜は鹿児島最大の夜の繁華街である天文館に宿をとって、ひとまずは寝床は確保できた。

その後は新幹線も順調に進み50分ほどで鹿児島中央駅に着いた。とりあえずは歩いてホテルへと向かいチェックインを済ませると、一日の朝をシャワーで流してひと段落した。ソファに腰を下ろして鹿児島ローカルのテレビを見ているうちに、地方タレントさんの鹿児島なまりが耳に心地よく移動時間の疲れもあったのか、いつのまにか眠ってしまっていた。

気が付けば二時間近くウトウトしていて23時になろうとしていた。慌てて夜のネオン街に繰り出そうと思ったが、小腹が空いてきたので予定していなかった本日の四食目を探すためにRDBを開いてみた。となれば地方巡業恒例の総合ランキング鹿児島第1位を調べてみると、偶然にも天文館にあると知り急遽の初訪問を決定した。

早々に身支度をして店へと向かうとホテルを出て3分もせず店先が見えてきた。繁華街のど真ん中に大きな赤のれんが掛けられた人気店ならでは風格を感じながら暖簾をくぐった。店内に入るとギラギラと欲望の渦巻くネオン街の雰囲気とは別世界の、ゆるやかな空気が流れている。それは大女将と地元のベテラン客が生み出している自然体な雰囲気から感じられるのだろう。繁盛店にもかかわらず、芋焼酎のお湯割りや瓶ビールを飲みながらゆっくりと〆のラーメンを楽しんでいる客にも、嫌な顔を見せずに見守っている大女将の人柄もあるのだと思う。本日の客層は土曜日なのにネクタイ姿の中年サラリーマンも多く、50代ではまだまだ若輩者に思えてしまう年配層だ。そんな呑み帰りのおじさんであふれる店内を本日は六人体制で回している。券売機で発券した基本のラーメンをサービスのたくわんを見ながら待っていると、着席して10分で我が杯が到着した。

その姿は双喜に龍が描かれた年季ものの切立丼の中で、思いもしてなかった景色にかなり驚いた。先程の熊本でのラーメンの表情とは全く違った透明感に目を疑った。九州全般が白濁した豚骨スープとばかり思っていたので意表を突かれたが、新ジャンルへの挑戦に心を躍らせながらレンゲを手に取った。

まずはスープをひとくち。清湯と言ってしまうには薄濁りのある半濁スープにレンゲを射し込んでみると、九州での四食目にして初めて感じるサラリとした淡麗さがレンゲを介して伝わってきた。その瞬間に立ち昇った鶏主体のスープの香りも初めてである。本日は豚骨ベースばかりだったので懐かしくもある鶏出汁を口に含んでみると、見た目と同じくサッパリとした味わいが広がった。その中には鶏ガラだけではない動物系のコクも感じたので、スープの濁りからも想像される豚骨か豚ガラ由来の旨みも合わせてあるのだろうか。同じ九州でも全くタイプの違うスープが新鮮に思えたが、それはなぜか東南アジアの麺類を思わせる南国らしい味わいにも思えた。その東南アジアっぽさの中には不自然な旨味成分が潜んでいるのは明らかだったが「旅の恥はかき捨て」ならぬ「旅の化調もかき捨て」と思い先へと進む事にした。

麺はスープの中での見た目にも、ふくよかで透明感のある中太麺を採用されている。ロットや順番によってバラつきがあるが、麺上げまでは180秒ほどで仕上げられていた。そんな麺を持ち上げた箸先からは加水率の高そうな重みが一本一本から伝わってくる。この麺にも切刃のエッジが見られないほどに膨らんだ丸みのある麺肌が、長崎 熊本との共通点とも思える。そんな優しそうな中太麺を口に運ぶと、適度に溶け出したグルテンの粘りと丸みを帯びた麺の形状が織りなす口当たりは、滑らかな啜り心地となって個性をアピールする。またサッパリとしたスープの中でも強すぎない小麦の香りとの相性も良い。その分、旨みや甘みには欠ける麺だが、デフォルトのスープにも強く使われているコショウの刺激が呑んだ後でも物足りなく思わせない風味が〆にも適した組み合わせに思えた。

具材のチャーシューは豚バラ肉が煮豚型で、豚バラの中でも赤身と脂身のメリハリがハッキリした部分が入っていた。これには赤身の噛み応えの強さと脂身の甘みのバランスが良い部分が切り与えられてラッキーだった。

茹でモヤシは茎の細長いタイプを使われていて、旨みや甘みには乏しかったが食感だけは軽やかで麺との共演では歯触りでアクセントを付けてくれた。スープは全く違えど佐賀 熊本と同様に思ったのはモヤシの量の多さで、麺の量とも変わらない位に大量に使われている事には驚いた。

薬味の青ネギの小口切りの存在感は今ひとつだったが、揚げネギの仕事ぶりには感心してしまった。穏やかなスープの中に浮かんでいるだけでは過剰に香りを発するでもなく隠れているが、麺やスープに紛れて口に入って噛んだ時の揚げネギの香ばしい甘みは持ち味をきちんと発揮していた。それはプリンのカラメルのように苦味と甘味を加えて、有ると無しでは大違いな薬味となっていた。そんな薬味が控えめに添えてあるのも更に良い。

最後まで不要な旨味が気になりながらも麺は完食できた。スープは残してしまったが、液面に浮かんだ揚げネギだけは一つも残さず拾い上げて箸とレンゲを置いた。

禁断の夜ラーへの罪悪感は否めないが、このラーメンの話題が今夜のネタになるならばと自分に言い聞かせて夜の天文館に身を隠す事になった一杯でした。

投稿 | コメント (2) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

熊本のネオンはパスで鹿児島でしたか!残念!
鹿児島は1年前に行きましたが、宿がなかなか取れず、駅前のサウナに泊まりました。異国情緒いっぱいですよね。目指すは天文館ですね。
こちら大崎氏によれば、地元に愛される店で、500円のようですが、少し前までは300円だったそうです。さらりと淡麗ですか!珍しいですね。鹿児島の麺は中太麺ですよね。自分が訪問した豚トロも、豚骨の中太麺でした。都内にも「のり一」があるようで、「乃の一」とか同系列の店もあるみたいです。
やはり九州は豚が最強ですね。

昭和のBecky! | 2019年6月13日 12:20

私も中央駅前のサウナが気になったのですが天文館のホテルにしちゃいました。数時間しかホテルで寝なかったのでサウナにすれば良かったと後悔しました。「のり一」ってネーミングセンスって地方の美容室によくある「パリ一」と似ていると思っていましたが〝パリイチ〟と読むのではないんですね。都内の「乃の一」情報を教えてもらって調べてみたら閉店しているみたいで残念です。

のらのら | 2019年6月13日 13:08