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「こくうま醤油らぁ麺 味玉付き ¥900」@らぁ麺 桃の屋の写真平日 晴天 10:50 待ちなし 後客8名

〝ニューオープン 探検記〟

久しぶりに東京に戻ってきたかと思ったら、神奈川県内に相次いでの新店情報を入手した。しばらくは都内でおとなしく暮らそうと思っていたのだが、新店が産声を上げたのが小田原と知っては居ても立っても居られなくなった。

それは自身の〝ラ道〟よりも以前から修行を積んできた〝サ道〟の道場とも言うべき、サウナを有する温泉施設が小田原駅前にあるからなのだ。先月の新店めぐりの際にもお世話になった温泉なのだが、深夜にチェックインしても十分に満喫する事が出来る施設なのだ。そこでRDBのお店情報で定休日と営業時間だけを確認しただけで、品川駅に足は向かっていた。

静岡行きの最終の新幹線 22:18発 こだま705号にて一路、小田原を目指した。慌てて乗車したので缶ビールを買ってなかったが、車内販売がなかった事が幸いして結果的にノンアル状態のまま30分程で小田原駅に着いた。新幹線ホームから一番遠い東口を抜けて、3分も歩くと馴染みの温泉施設が見えてきた。新幹線の車内で入手しておいた生ビール一杯とおつまみ一品付きのクーポン画像を片手にフロントでチェックインを済ませた。この世の中で、生ビールの100円割引券と味玉の無料クーポンがあったら迷わず生ビールの方を選ぶだろう。

今回も大好きな夜のネオン街、小田原ナイトに気持ちが動かなかったのはサウナと大浴場とおかげだろう。一階のロッカーで作務衣に着替えると五階の大浴場へと向かった。館内のエレベーターは床が畳で出来ていて、畳の上の生活をしていない現代人には素足の感覚が懐かしくすら感じる。このエレベーターの先には楽園が待っているかと思うと、夜のネオン街の魅力も薄れてしまう。

ルーティンであるサウナ 水風呂 外気浴を3セット繰り返すのだが、ここのサウナの最大の魅力は何と言っても自動ロウリュのシステムだ。通常のロウリュは人手を使って行うのだが、各時間の00分ちょうどになると焼けたサウナストーンに自動に水が散布させるシステムなのだ。ロウリュ直後の地獄のような熱さには、いかなる我慢強い男たちでも逃げ出すほどである。私も24時ちょうどの自動ロウリュに負けてしまい尻尾を巻いて逃げてしまった。人生の中でサウナで死にそうになった経験はそう多くはないが、ここのロウリュはそれにあたる。

さらに屋上階の露天風呂のベンチに横たわり、外気浴で十分にリラックスして心身ともに整えると深夜を過ぎても生ビールや食事が楽しめる三階の食事処へと降りていく。先ほど入手したクーポン券を握りしめ、セルフで生ビールを注いでサービスのおつまみを選ぶ。さすがに深夜なので軽めにしようと玉ねぎスライスをお願いした。クーポンとは思えないような大量の玉ねぎスライスに、卵黄とかつお節が添えられたおつまみと生ビールを5杯ほど楽しむとリクライニングソファーにて眠りについた。

翌朝は9時のチェックアウトを少し延長して掃除されたばかりの朝風呂を楽しむと、いよいよ本題の新店めぐりへと向かう事にした。RDBによると11時開店となっているので15分前にはチェックアウトして、ナビ通りに歩いて向かった。

すると3分もせずにこちらの店先が見えてきたので、この近さは前乗りした甲斐があったと自らの愚行を褒め称えた。明るいポップな外観が目を惹くが、近所の店とは不釣り合いで違和感を感じなくはない。店頭には開店祝いの胡蝶蘭が並んでいて、いかにもニューオープンといった佇まいだ。定刻の10分前の現着となったが、並びは出来ておらず先頭にて待機を始める。

まだ周囲に溶け込めていないオシャレな店の前に並びながら、ガラス窓の向こうに見える店内では着々と準備が進んでいるようだ。そんな店先で立て看板のメニューを見ていると、塩系がトップを飾っていたので本日のお題を悩みながら待っていると定刻通りにオープンとなり入店となった。

店内に入ると券売機はないようなのでカウンターに座り卓上メニューを見るが、先ほど店頭で悩んだ塩系ではなくマイスタンダードの醤油系と味玉を追加注文して店内観察を開始した。

まだ新しい木の香りが残る店内は外観同様に、白とオレンジと木目を基調とした明るい雰囲気となっている。カウンターだけの客席だが白いランチョンマットが敷かれ、箸とレンゲもセッティングしてある。あらゆる所に気配りがされていると感じたのだが、それもそのはず調理の全てを担っている女性が店主さんのようだ。本日は揃いのデニムシャツのユニフォームの女性アルバイトさんとの二人体制で回されているが、初々しいバイトさんとの掛け合いも微笑ましく映った。そんな女性的な店内に流れるBGMが玉置浩二だったで、ミスマッチに思われたが正直キライではなかった。バイトさんに接客や洗い物の指示を出しながら第1ロットの工程に入ったが、その時に店内に流れていた曲が「じれったい」だったのが偶然にも面白かった。

まだまだオペレーションも落ち着いてない店内には次々と来店客が続き、オープン直後すぐに満席となっていた。さらには中待ちイスも埋まり地元客の期待が表れている。そんな中で、のんびりと待っていると着席して10分程かけて我が杯我慢した。

その姿は内装にマッチしたオレンジの刷毛目が描かれた切立丼の中で、思いもよらない表情で出迎えてくれた。それはポップな外観や内装には似つかわしくない、非常に落ち着いた景色だったのだ。しかしこの姿を見た時に、美味しくないわけがないと直感した。先程までの、のんびりムードが一変して早く食べたいと急ぐように透明なレンゲを手にしていた。

まずは明るい弁柄色のスープをひとくち。大まかなドットの香味油がまばらに浮かんだ表層の下には、少しばかり霞んだスープが眠っている。そのスープの香りを揺り起こす為にレンゲを沈めてみると、複雑ながらもシンプルという矛盾した香りが立ち昇ってきた。その香りには派手さや奇をてらった今風な要素が一切なく、潔さの中に豊かな旨みを持っている。そんなスープを口に含む為にレンゲを唇に当てがうと、他店では見かける事のないクリアな樹脂製のレンゲの口当たりが特徴的だった。ガラスや陶器のような冷たさがないのでダイレクトにスープの温度が感じられ、皮膚感覚よりも味覚が先に働いてくれる。最初は見た目重視のレンゲとばかり思っていたが、実務的にも優れていて店主さんの什器選びのセンスを感じてしまう。そんな細部にまでこだわりを見せる店主さんが作り出すスープは、香りに違わぬ旨みを醸し出している。鶏ガラを主体とした動物系出汁と、鰹節や煮干しの魚介出汁がバランスよく味わいを組み立てている。何一つとして抜きん出る旨みを主張するではなく、全ての旨みが互いを助け合っていると感じた。カエシの塩梅も絶妙で醤油のキレは感じられるが、塩気は強く押し寄せてこない。また香味油もサラリとしていて不要な油っぽさを残さない。それは玄人中の玄人が作り出したような味わいのスープで、女性店主さんの中にはオジサンの職人魂が宿っている気がしてならない。この時点で、店構えや設えだけで今風と判断してしまった事を反省した。

続いて麺を箸で持ち上げてみると、麺上げまでジャスト90秒の中細ストレート麺が現れた。細麺に近い番手の切刃のエッジと透明感が見られるが、少しスープの中で麺が絡み合っているのが気になった。箸先には柔らかめな麺質が伝わってきて、しな垂れるように寄りかかっている。そんな麺を一気にすすり上げると、スープを存分に蓄えて口の中に滑り込んできた。強いハリがある訳ではないが、柔らかすぎるといった事もない。ただ、時間の経過と共に変化が早そうに感じたので麺を食べ急いだ。細身ながらも噛めばグルテンの弾力を感じる歯応えがあり、形状通りに喉越しも滑らかだ。適度な小麦の香りと甘みがスープとのバランスを保ち、目立ちはしないが素晴らしい組み合わせだと思った。

具材のチャーシューは豚バラの巻き型が大判で盛られている。箸でつまんでもずっしりとした重みがあり、かなりの厚切りとなっている。じっくりと時間をかけて煮込まれたであろう豚バラ肉は、赤身よりも脂身中心の部位が使われている。年齢とともに脂身が苦手になってきたのだが、このチャーシューの脂身は脂っぽさやクドさがなく甘みが素晴らしいと感じた。真っ白な脂身を活かした、醤油感の少ない味付けも豚肉の持ち味を引き出す仕上がりとなっているのだろう。また赤身質の繊維の柔らかさも特徴的で、食べ応えの中にも口溶けの良さも持ち合わせている。もちろん素材の旨みだけではなく、盛り付け直前にフライパンで表面を温め直している手間もあってのチャーシューだろう。

控えめに盛り付けてある鶏団子も、粗挽きの鶏肉に生姜の風味やナンコツの食感を利かせた男っぽい具材となっている。全体的に食感の少ないラーメンの中で、力強い歯応えを楽しめる鶏団子だった。

ただ追加した味玉は店主さんの方針なのだろうが、提供温度の冷たさが残念だった。下茹での半熟加減や漬けダレの浸透も熟成度のすべてが良かっただけに、冷たさの残る黄身だけが好みからハズレていた。スープや他の具材の温度が熱いので、突然に冷たい口当たりを感じると異質に思えて仕方ないのだ。せめて常温で提供されていたなら異物感なく味わえたような気がする。

メンマも書き手泣かせの特筆すべき点が見当たらないが、それだけ脇役に徹しているという事だろう。味付けや食感にクセがなく、時折見せてくれる滑らかながらも心地よい歯応えがアクセントとなっている。

薬味の白ネギも丁寧に刻まれてはいるが、ネギ本来の風味は消さず野暮ったさも残してある。その素朴な風味がある事でラーメンが落ち着いて感じるのかもしれない。海苔も質が高く保存状態も良いので、香りや口溶けの良さが感じられた。

終盤には麺がダレそうになっていたが、早食いの本領を発揮してコシを残しているうちに平らげる事ができた。最後の最後までラーメンの中にはオシャレな要素をひとつも感じなかった事が、中年のオジサンゴコロを引きつけた理由だと思いながら箸とレンゲを置いた。

すでに並び客もできている店内を後にするのだが、後会計を忘れないように気を付けなければならない。お二人とも調理や配膳に忙しそうにしているので、ポケットから小銭をかき集めて代金ちょうどをカウンターに置いて席を立った。

小田原のサウナとコチラのラーメンを知ってしまっては、これから小田原を訪れる機会が増えてしまいそうだと思いながら次なる連食先へと向かう一杯となりました。

投稿 | コメント (2) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

また、小田原くんだりですか!
久々にバス移動がないのでハラハラせずに読んでいます。
〝ラ道〟〝キャ道〟だか知りませんが、随分感激の〝サ道〟なのですね?
そのお店は万葉◯湯ですか?
あまりサウナは入ったことがないですが、こういう店なら宿泊が楽しみです!
麺顔オイリーですが、美味そうですよ!
冷たい味玉でもいいじゃないですか!夏は食中◯を気遣ってのことだと思いますよ。
中年親父はオシャレは嫌いですものね!

虚無 Becky! | 2019年8月17日 01:38

そうです。万葉◯湯なんです。ここは朝まで利用できる貸し部屋もあるのでプライベートな空間も確保できるのでリクライニングチェアーで周囲のイビキが気になる方にもオススメです。肝心のラーメンですが小田原に行った甲斐がある一杯でした。重箱の隅をつつくクセが出てしまったので味玉は残念でしたが、たしかに調理台の上にほったらかしの味玉よりは安心ですね。

のらのら | 2019年8月17日 12:25