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「チャーシューメン(1枚減。840円)」@風来軒の写真これが噂の町中華【ノスラー四たび!】-14

 ほぉお・・・これは確かに噂通り。女将さんの年齢や緩慢な仕草、店の造りや雑然とした店内からして、「スープは出汁感も味も薄く、麺はふにゃふにゃ、チャーシューはパサパサ。ネット上のお褒めの書き込みは相当盛っているんだろう」と想像して食べたのだが、いやあこれは確かに、美味しいラーメンだ。「昭和時代の美味しいラーメン」とシンプルに想像したらいい。たぶん、貴方の想像した通りの味だ。自宅から4時間以上かけて来た甲斐があった。新店ばかり追いかけていたら、こんな一杯にはでくわせない・・・



「暖簾も看板も出ていない。ガラス越しに灯が見えたら営業中ということだ。食べたら驚くぜ。美味しいんだよ」。そんな噂があるコチラ、確かめにってこともないんだが。

 自宅を出て上野駅へ。そこから快速電車に乗って高崎へ。さらに上越線でこの駅へ。遠くの赤城の山は雪なぞまったく見えないが、冷たく強い空っ風が吹く前橋。マフラーをキュッと締め、風が胸の中に入らないようにして店に向かう。

 群馬総社駅なぞ、何処にあるかも知らんかった。高崎駅から僅か四駅であるにせよ、駅舎を出ると案の定、何もない。酒屋が一軒と、通勤用だろうか、月額五千円ちょっとの広い駐車場があるくらい。

 数分歩いて・・・ああ・・・たぶん、此処だろう。確かに看板も暖簾も、そこが店であることを記すサインは何もない。いや、あることはある。飲料水の色褪せたシールが数枚、それは此処が飲食店であることの証左であろう。見ればガラス越しに蛍光灯が灯っている。良かった、今日は営業しているんだ。2011年ごろまでは、ご主人とお二人で仕切っていたというが、今は女将さんお一人。齢八十を超え、営業が不安定になっているというから一安心である。

 古い建物だ。1972(昭和47)年創業だというから、50年近く、だ。建物はその頃からのものだろう。ガタガタとガラス戸を開けて中に入れば、扉はしっかり閉まらず冬の風が容赦なく店内に流れ込む。お、奥の部屋には無数とも言える寄せ書きの紙が貼られている。そこで地元客がまったりとラーメンやらカレーを食っている。テーブルにはやはり地元の方だろう、親子らしき年配の女性二人がいる。一人は食べ終えているが、もう一人は所在なさげにしている。此処は提供に時間がかかる、二人で行ったら一人が食べ終えた頃もう一人分が提供される。そんな噂もあって、どうやらそれも確かなようだ。

 此処は完全無欠の「セルフ店」である。注文は、テーブルの上にある、無造作に切った裏紙のような紙に書く。そしてそれを持って厨房にいる女将さん、いや、ばっちゃんに渡すというのだ。その通りにしよう。

 え? 厨房においでになったのは、確かに還暦のボクより、ずっとずっと年上、間違いなく八十歳は超えているだろう、ばっちゃん。腰がかなり曲がっておいでだ。これで調理はきつかろう。ともあれ、注文紙を置いて席に戻る。

 ・・・ふと大井町の 八幡屋 が目に浮かんだ。あの店も店内はこんな感じ。ばっちい訳ではないが雑然とした店内で、ばっちゃん主(あるじ)が一人で仕切っていた。RDBでは「休業中」となっているが、九十に近いお歳だったばっちゃん主。あの扉がもう一度開くことはあるのだろうか・・・

 間違ってもブザーがなるとか震えるとか思いなさんな。「はい、チャーシューメン一枚少ないの、おまちどうさん~」。此処は完全無欠の「セルフ店」、客が厨房まで取りに行く。厨房からばっちゃんの声がしたら、だ。

 おっと! 何と丼になみなみと注がれたスープ、狭い店内だ、こぼさないよう、ころばないよう、そっと運ぶ。

 さて、頂こう。

 で、冒頭の如く、である。

 スープはしっかりした醤油味であるが、醤油が立ちすぎということでなく、出汁で飲ませるタイプ。鶏ガラベースで香味野菜、豚骨などだという。ちとアブラがキツイ、おそらくは背脂ではなかろうか。それでもこのスープ、なかなかなのだが・・・

 驚いたことに麺も噛み応えが楽しめるもので、もっちりとしている。ユルユルなんて考えたこと。失礼をしてしまった。

 なんなんだこのチャーシューは! で、デカい・・・こんなに喰えないよ。バラではあるが脂身が少ないし、結構柔らかいので食べやすいのだが・・・・ネットレビューを拝見すれば、半カレーであってもフル規格以上、半々カレーになってようやく他店の四分の三、ということらしい。初見の客が「カレー」などと書こうものなら、ばっちゃんが「よしなよ。残しちゃうよ。少な目にしときなさい」と『説教』をするそうだ。御年八十超であれば、生まれは戦前、昭和10年とか15年とか、そんな感じだろう。戦中戦後の食べ物の非常に厳しい時代に育った世代だ、無駄に捨てたくないと思うのは当たり前である。

 いや、これは本当に美味しい一杯だ。ただとても気になるのは、これ、お一人で仕込んで作っているのか・・・そうだとしたら大変なものだ。歩くのもおぼつかないようなお身体で、こんな美味しい一杯を作るんだ、もはや驚愕というか、尊敬というか、そんな思いである。店内にはワープロ打ちの掲示物も多い。おそらくは多少どなたかが手伝っているのだろうが、まことにもって大したものである、というほかない。

 食べ終えて厨房に丼を運ぶ、先客三人が同時に空の丼を運んで来た。お見事なまでに、本当に綺麗に、空っぽである。ばっちゃんが言う。「おやまあ、こんなに綺麗に食べてくれて、有難いねえ」。

 脇にある「代金入れの箱」に小銭を入れていたボクは(釣銭がないので細かいお金で払ってねとの注意書きがある)、少々恥ずかしくなった。だって、チャーシューはほぼ一切れ、スープは半分以上残してしまったからだ。こういう店では、残しちゃいかんな。

 帰りがけ「ご馳走様、美味しかったです」と言えば「ありがとうねえ。また来てくださいね」。

『ようこそ風来軒へ!
 こんにちは。おばあちゃんです。
 ご来店、まことにありがとうございます。
 いつも上げ膳や下げ膳にご協力下さいまして本当に助かります。
 すごく嬉しいです!本当に感謝致してます!
 これからも皆さんをお待ち致しております。』(原文ママ)

 メニュー表の裏に書かれたこの文こそが、店の多くを語っている。

投稿(更新) | コメント (9) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

ずいぶん遠くまで行きましたねー😆
う〜〜ん、美味しそうです🤤
山梨のお店を思い出しました😊

NORTH | 2020年2月2日 08:34

おはようございます。
全く知りませんでしたが、群馬ですか。
遠くまで行かれましたね。
中な美味しそうな一杯ですね。
長く頑張って続いてほしいものですね。

mocopapa(S852) | 2020年2月2日 09:14

おはようございます。

はるばる行かれた甲斐がありましたね!

>新店ばかり追いかけていたら、こんな一杯にはでくわせない・・・

本当におっしゃる通りです。こういうお店も探してみますね。

尼茶(血圧やや良化^^;) | 2020年2月2日 09:43

ぶるぢっちゃんのウワサの町中華さん、こんにちは。

これはまた渋い場所で渋いお店を。
80歳くらいのご高齢でお店をやっているのは本当に感嘆します。

ぬこ@横浜 | 2020年2月2日 09:48

どもです。
此方のお店狙いで前橋まで
さすがです🎵

こんばんは。
こう言う店は貴重ですね。
福島のおばあちゃん1人でやってる店を思い出しました。
3月一杯でやめちゃうそうなんで最後にもう一回行かなくちゃ。

kamepi- | 2020年2月2日 17:55

ぶるさん。こんにちは。ばっちゃんには末永く続けて欲しいですね。お客さんが協力するスタイル、ほのぼのします。上野東京ラインに揺られてフラフラ行ってみたいなぁ~

いたのーじ | 2020年2月2日 18:18

こんばんは(*^^*)

ま、前橋ですか?
ブラタモリの域ですねえ。
いや、ぶるタモリか。
ラストのメッセージ、泣かせますねえ。

としくん | 2020年2月2日 22:27

この時。灯っていて良かったですね。
おばあちゃん店主さんに頭が下がる思いです。

おゆ | 2020年2月3日 12:00