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2022年8月2日の大崎裕史の今日の一杯

東京都千代田区浅草橋

胡椒そば

Facebookの「思い出」機能で出てきた8年前の投稿。それが品川にあった「天華」のコショウそば。感想はこんな内容。
『品川駅前だが路地裏にあって隠れた名店「天華」。実はコレクターなのに何度も来ている。創業30年以上でキタナシュランに認定されたらしい。そんな外観は普通のちょっとひなびた感じの中華料理店。高齢のおじさんおばさんが二人(夫婦か?)でやっている。
話題のメニューは「コショーそば」800円。丼の一面に胡椒が振りかけられている。振りかける回数で胡椒の量が変わるのでネットで写真を見ると胡椒の量が様々(笑)。
使っているのはボルネオ産の胡椒なんだとか。際物系のように思えてしまうが、これが意外とおいしい。私が食べてる間にもコショーそばの注文が相次ぐ。一番人気かも?ちなみに「コショーラーメンください」って言うと「うちにはそんもんねーよ!」と怒られるそうです。(笑)』

話は変わって、先日まで膝の手術で入院していた「くろ㐂」店主の黒木さん。退院後に新作が誕生したのだがそれが「胡椒そば」。黒木さんが学生時代(ということは何年前だ!?)に品川でバイトしていた頃、賄いで食べた事があったのが「天華」のコショウそば。それをなぜか入院中に思い出し、頭から離れなくなってメニューとして誕生させたらしい。
しかし、そこは天下の黒木さん、そのままパクったりはしない。むしろ180度違うというか、270度違う。(←近づいてるじゃないか!(笑))
入院中にお見舞でもらったたまり醤油を使った専用カエシを作り、鴨油と合わせる。そこに九条ネギを笹切りにし(この存在感がスゴい)、鶏スープを加える。麺は胡椒そば専用に幅広平打ち麺の手揉み麺。
具はコリコリ甘めのメンマ細切り。なぜか大根煮、刻み玉ねぎ、鴨と鶏のあぶらミンチ(←これもいい効果を発揮している)、ニンニク(希望を聞いてくる)。そしてガリシア栗豚、肩ロースの煮豚と鶏ムネ肉、国産豚のしきんぼの藁焼きと豪華3種類。そして糸唐辛子。
胡椒は上半分に粗挽きの黒胡椒、下半分には細挽き白胡椒。肉の上に熟成胡椒と生胡椒。4種類ともカンボジア産。
(途中から卓上にあるホワイトペッパーを追い胡椒。)
作り始めてから、仕上がるまでにものすごい手数がかかっている。今は定番メニューだが、メニュー落ちするかも?というくらい手間をかけた一杯。こんなことを入院中に考えていたとは。しかも、これが「天華」のコショウそばからヒントを得て、膨らんで膨らんでこんな形で誕生するとは驚きである。
一杯1300円だが、それが安いとさえ思えてくる充実感と満足度。
胡椒好きなら、ぜひ!

大崎裕史
大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。