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2024年2月16日の大崎裕史の今日の一杯

東京都港区広尾

特製らぁー麺(1800円)

際コーポレーション30数年、300店舗の集大成のような店。社長自らの名前を店名に入れ、食材の仕入れを始め、力の入れ方が半端ない。そんな日本料理店が2023年11月オープンの「食十二ヶ月 中島武 西麻布」。
そして、その食材を活用して、その昼の部に提供し始めたのが、これまでの際コーポとはひと味もふた味も違うラーメン店。
ドアを開け、中に入ると厨房に中島社長がいてビックリ。毎日居るわけではないと思うが、時間のある日は中に入り、自ら調理しているので驚き。
メニューをパッと見、値段だけを見ると「高い!」と思われそうだが、食べてみるとその食材や手間の掛け方に納得がいくはず。これまでいろいろ食べてきた人が食べれば「むしろこれは安い!」と感じるはず。
私が食べたのは、メニュー右端の「特製らぁー麺」。
今どき、特製で1800円だと驚かない金額になってきた。しかし、出てきたのを見て、食べ始めると逆にその安さに驚くことになる。
際コーポは300店舗もあるのにセントラルキッチンが無い。効率重視ならCKを持つ方がいいに決まっている。しかし、中島社長はそれをしない。店で作ることを選ぶ。旨味調味料などには頼らない。無化調を謳いたいのではない。むしろ、これまでそんなことは喧伝して来てない。今回はちょっとだけ書いてあった。「当店は旨味調味料やたんぱく加水分解物も使用しておりません。」食品衛生法では“たんぱく加水分解物”は食品添加物に指定されていないため、これを使っても「無化調」と言える。そんなことへの警鐘も忘れない。
具の「どんこ」の大きさや歯応えに驚き、タケノコに関しては随分時間をかけて戻したようだ。これも夜の日本料理用に仕込んだものを活用。海老ワンタンは、小海老は叩きペーストに、大きい海老は細切れとぶつ切りの計3種類の大きさにカットし、歯応え、食感、風味、味わいを出している。スープに使う羅臼昆布も日本料理店だから仕入れられる高級品。(羅臼昆布にも段階がある。)
麺は高級小麦「はるゆたか」を使った特注にしたら、通常の麺の倍の価格になってしまったと笑う。
チャーシューは有名とんかつ屋さんがこぞって使う「銘柄豚林SPFポーク」を使用。グループにとんかつ業態があるからできること。
薬味は別添で自家製黄色柚子胡椒。
私が際コーポを初めて食べてから約30年。(最初は八王子の万豚記)
ずっと追い続けてきたが、今回は久しぶりに「これはスゴイ!」と思える逸品。ラーメン好きにはもちろん、いろいろ食べてきている人にも食べていただきたい“ラーメン”。

お店データ

らぁー麺 なかじま

らぁー麺 なかじま

東京都港区西麻布4-2-10(広尾)

このお店の他の一杯

大崎裕史
大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。