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2022年1月12日の大崎裕史の今日の一杯

東京都文京区御茶ノ水

【期間限定】曲者つけ麺+納豆(2杯目に辛味噌ラーメン)

「普通の最高峰」「天才で変態」の異名を持つ「大至」がまた何か始めたらしい。これは食べに行った方が良さそうだ、とアンテナが働き、その限定提供初日に行ってきた。12時頃の到着で店外2番目。中に4人待ち。

ここは店外に並んでいる人にインターホーンで「お一人様、中へどうぞ〜」などの案内を行っている。なかなか素敵。

今回の“作品”は「曲者つけ麺」(780円)とネーミングも苦労した感じの逸品。
ありそうでなかったというその商品は、パッと見、素ラーメンと生卵なのだが、これがれっきとしたつけ麺なのだ。ヒントになったのは「永福町大勝軒」でラーメンと生卵を頼んで時折、つけ麺風に食べることを知ったことから始まる。「これを商品化できないか?」と「変態で天才」の柳崎店主は考えた。しかし、やるからには真似ではなくオリジナルだ。時折、「完全な模倣」(サッポロ一番塩ラーメンをリアルで作ったら、等)をやることもあるが、今回は私が思うに、既存品に似てはいるが「発明」に近い。

麺とスープが分かれている場合、「麺が冷で汁が温」を「ひやあつ」と呼び、「麺が温で汁が温」を「あつあつ」、「麺が冷で汁が冷」を「ひやひや」と呼ぶ。この三種類はうどんを食べに行くと普通にある。しかし、「麺が温で汁が冷」の「あつひや」はなかなか見たことが無い。今回はそれなのだ。しかも麺の方にはスープが張ってある。「それ、永福町風じゃん」と言うなかれ。永福町のは「たまに“つけ麺風”にして卵を絡めて食べる」というスタイル。今回のは、最初から「つけ麺」として作り込んでいる。そのあたりが「変態で天才」たる所以である。

ズボラな私がラーメン店主なら、普通のラーメンに生卵を付けて新商品として発売していたであろう。しかし柳崎店主はつけ麺として完成させるために試行錯誤。麺側にも汁側にも工夫をして完成させたのだ。

パッと見、素ラーメンだが、そのまま食べられないわけではないが、これはあくまで「つけ麺」なので一口二口なら食べられるがそのうち飽きる。卵の方には「卵出汁」が作られており、いわゆる“つけ汁”である。ラーメン風に見える麺の方はベースのスープはラーメン用のスープだが、そこに甘さと若干の酸味を加えている。なのでそのまま食べると「???」と感じてしまう。しかし、それを卵出汁にくぐらせると「つけ麺」としてとてもおいしく食べられるのだ。

信州名物「八幡屋礒五郎の七味」を加えたり(これが味を引き締めます)、後半酢橘を加えたりして変化を楽しめる。納豆好きの私は「オプションで納豆(50円)あります」なんていう文字を見つけたものだからもちろん注文。これも後半加えて食べたら、おいしすぎて麺が足りなくなってしまった(笑)。納豆無しで一度食べてからだったなぁ〜。また来よう。

とはいうものの、こんな名作・奇作が2週間の限定というのだから寂しい。もっといろんな人に食べていただき、多くの店主にも食べていただき、この「あつひや」つけ麺のアレンジ版をどんどん増やして欲しいと思う。

また2杯目に「辛味噌ラーメン」を食べた。ハート型の辛味噌バターがかわいい。
これも期間限定で「味噌ラーメン」同様、冬の定番メニュー。

大崎裕史
大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。