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「煮玉子中華そば 醤油 ¥850」@手打式超多加水麺 ののくらの写真平日 晴天 13:20 店内満席 中待ち1名 後待ち1名

〝新春うまいものめぐり〟

と題しまして、昨年お世話になって自分が美味しいと思った店だけを巡る贅沢な一週間を過ごそうと決めた。新店めぐりの楽しさもあるが、中々タイプのラーメンに出会う事はなく好みとは違うラーメンも胃袋に収めてきた年末だったので、新年のご褒美も兼ねて好きなラーメンだけを食べたいと思い検索を開始する。

本日は葛飾区にスポットを当てて美味しかったラーメンを探し出す。昨年、葛飾区内で訪れた店は2軒しかない。同区内のラーメン店の数は少なくないはずだがハード系の店が多いように思われ、興味をそそられる店があまり無い。しかしそんな2軒のうちのこちらは私が個人的に美味しいと思う採点基準の85点を超えた店なのだ。そこで約三ヶ月ぶりの再訪のために午前中に前食を済ませた浅草から連食でのこちらへと移動する。

自宅からはアクセスが悪い亀有駅だが浅草駅からだと、つくばエクスプレスと千代田線を使えば乗車時間、たったの10分で着いてしまう。午前中からの連食なので少し時間を置いて午後1時過ぎに亀有駅に着いた。亀有駅前南口の放射線状に広がる通りを間違えないように進むと店先が見えてきた。

まっすぐな通り沿いにある店なので遠くからでも行列が確認できるはずだが店先に人影がない。前回は二回とも開店前の行列に並んだので、行列のない店先を見た事がなく、スープ切れ早じまいの不安がよぎる。早足で向かうと風に揺れる白い暖簾が見え、店内には待ち客の姿も見えたので安心して扉を開けた。

券売機の前で、初訪問の時に感動したワンタンが気になったが連食なので味玉追加だけにとどまった。中待ちイスで待機しながら店内を見渡すと、前回はじっくり見られなかった製麺室が目の前にある。ガラス越しには、高級そば製麺機、その名も「坂東太郎」が鎮座している。本日は麺打ち作業は終えて稼働はしてないが高級機材の風格が漂っている。製麺機の上には湿度計も置いてあるので日々の天候によって打ち分けられているのも伝わってくる。

黒人の少年がガラス越しにトランペットを欲しそうに眺めているような気持ちでいると5分もせずにカウンターに案内された。食券を手渡す際にスープの味を聞かれたが、今回も初回と同じく醤油でお願いした。カウンターの客層も若者よりも年配層が多く落ち着いている。そんな店内を本日は二枚体制での切り盛り。調理の全てをご主人が担う。周囲のサポートがあってこそ、ラーメン作りに集中できるのだろう。

着席すると次のロットで調理が開始された。注文を受けてから麺を手揉みし、焼豚は切り立てと手間のかかる工程をひとつずつ黙々とこなしていく。そんな魂の宿るラーメンを待っていると着席して8分程で我が杯が到着した。

受け皿に乗った反高台丼の中の姿は、万物を飲み込んでしまうブラックホールのような漆黒の闇のようだ。味を知っていながらも想像力を掻き立てられる姿だ。

まずはその漆黒のスープをひとくち。レンゲが液面に触れてスープが波打つと鶏油の香りが弾け鼻腔に響き渡る。その香りは、どっしりと重低音のように鳴り響く。少し重ための鶏油の香りとオイリーな口当たりの芳醇なファーストアタックだがクドさは無く、口内に薄い油膜を張りめぐらせる。さらに、もうひとくち飲んでみるとスープの色素からは強気な塩分が予想されるが、そんな事はなく甘みすら感じる。鶏油の甘みの他にも、煮切りみりんの甘みも感じるが上白糖で付けた甘みとは質が異なる。上質な甘みならではのトゲの無さが喉への刺激を与えない。

見た目よりも友好的なスープに感じるのは、魚介系の和風だしの使い方が秀でているからだろう。鶏主体のスープではあるが、鰹や煮干しの旨みをプラスする事で、私のような中年層にも好まれる要因となっているのだろう。

こちらの店の代名詞でもある自家製麺は麺上げまで240秒と、強さがなければグルテンが溶け出してしまいそうな茹で時間にも耐える太麺だ。手揉みゆえの揺らぎはあるが、手揉み麺イコール平打ちといった私の陳腐な概念を覆してくれる程に丸々と肥えている。たった一本の麺を箸で持ち上げただけでも、箸先にかなりの重さを感じる。うどんには無い、かんすい由来の黄色みを帯びた透明感がラーメンの麺である事を気付かせてくれる。そんな太った麺を口まで運ぶと、ツルツルと滑らかな口当たりを感じたかと思うと、もっちりとした弾力のある歯応えが追い打ちをかける。噛みつぶす事によって小麦の甘さを放出し、喉の奥へと消えていく。揺りかごから墓場までのような麺は、本当に唯一無二ではないだろうか。

具材の二種類のチャーシューは、どちらも絶品で申し分ない。鶏ムネ肉のレアチャーシューは下味のすり込みが素晴らしく、特に香辛料の使い方が絶妙。コショウを効かせたソミュール液がムネ肉の芯まで浸みているので、ボヤけたレアチャーシューとは比べ物にならない。なので強気の厚切りにしても噛むたびに旨みがあふれ出す。一方のじっくりとローストされた豚肩ロース焼豚も同じく、肉質と下味にメリハリが効いているので生っぽさなど皆無。こちらも厚切りならではの赤身の肉質をダイレクトに感じられ、本当に美味い豚肉料理を食べているようである。

追加の味玉は黄身が流れ出さないギリギリの下茹で加減で、味付けは少しおとなしい。単品として食べる味玉としては寂しさもあるがスープとのバランスを考慮しての薄味なのだろう。噛み切った味玉の断面にスープが入っていくと新たな旨みを発揮する。目玉焼きも醤油派の私を魅了してくれたが、あと一日漬け込んだ熟成した味玉も食べてみたいのが本音だ。

メンマは中太で、ザクッとした歯切れが他店にはない印象を残す。自家製麺や低温調理にこだわった店は数多いがメンマには心血が注がれていない店が多い。添加物は入ってないとしても業務用の味付けメンマを良く口にする。おおよその味付けメンマは同じメーカーの物と思われるので、個性を全く感じず同じ味がする。しかしこちらは、手間の大変かかる塩漬けメンマを塩抜きしてから独自の味を付けてある。それなので塩抜き加減による食感の違いや、他店とは違うオリジナルな味付けが作り出されている。

薬味はこれと言って書き記す事はないが、ラーメンの中の白髪ネギは気を付けないと夢中で麺を食べているうちに絡み合い束となって口の中に飛び込んでくる事が、やたらと多いのは私だけだろうか。その一瞬だけは白ねぎの香りや食感のアクセントにはなるが、一回だけの出番で寂しい。私の好みは小口切りか角切りで、麺とも程よく絡んで、最後にスープを飲み干す際にも流れ込んでくるのが理想だ。

しかし、そんな欲張りな望みを言いたくなるほどに素晴らしい仕上がりの感動作なのは間違いなく、このラーメンの為だけに亀有に通う価値のある一杯でした。

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