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「味玉中華そば ¥850」@麺屋 ちょこざいの写真平日 晴天 10:55 待ちなし 後客2名

〝初訪問〟〝無化調〟〝清湯醤油系〟

本日も三大テーマを掲げてRDBを見ていると見慣れない屋号の店が出てきた。今まで何度も同じ検索方法で店探しをしてきたが、正直言って行き詰まっていた感があった。そんな中で無化調の新店情報に心が躍る。お店情報を見ると煮干し系ではあるが清湯系もラインナップされている。レビュー数が少なく情報は乏しいが興味を引かれて初訪問を決めた。

最寄りの蒲田駅へは複数のルートがあるが本日は運賃最安値の東横線から多摩川線の東急ルートを選択した。11時開店前の現着を目指して10時すぎに家を出る。多摩川駅の乗換え一度で蒲田駅に20分ほどで着いた。西口を出て大学へと通じるガッツリ若者系飲食店が軒を並べる商店街を抜けるとデザイン性のある大きな看板を掲げたこちらがあった。

開店前だったのでシャッターは完全に上がっておらず店先の腹筋台のようなベンチにて先頭で待機する。定刻通りに、もう一枚のシャッターが上げられオープンとなり店内へ。券売機でお目当てのお題に味玉を追加して発券し調理場向きのカウンターに腰を下ろす。

店内を見渡すと窓側にもカウンターを配置した、よく考えられたレイアウトの店内をご主人おひとりで切り盛りされる。黒を基調にした内装はシックではあるが、どことなく和やかな雰囲気でもあるのは、ご主人のお人柄がそう感じさせるのだろう。着席すると直ぐに始まった調理工程はカウンターの壁で見ることは出来ないが、所作からは美味いものを作り出す雰囲気が伝わってくる。

すると3分ほどで我が杯が到着した。白磁の受け皿に乗った高台丼の中の姿は、今っぽい容姿にも見えるが、実に堅実そうな表情で出迎えてくれた。あまり奇をてらう事なくオーソドックスでシンプルな組み合わせに好感が持てた。

まずは煮干しの銀皮がわずかに光を放っているスープをひとくち。躍動するような煮干しの風味ではないが、穏やかな煮干し香がスープをすくったレンゲから流れてくる。口に含むと一瞬、花が咲いたように口中に広がるが、エグ味どころか微かな苦味さえ残さずに引いていく。初動では足りなさすら感じるほどに優しいスープだが、香味油からだろうか動物性のコクも少しあるので深みとまではいかないがスープに幅をもたせている。またカエシも非常に抑えてあり、出汁の輪郭を引き立てる役割だけに徹している。この塩分濃度の重要さが、あとで麺を食べた時に明確になった。

麺上げまで90秒ジャストの中細ストレート麺は箸先からも伝わってくる滑らかな麺肌が第一印象。ご主人の考えからすればエコ箸を使いたい所かも知れないが、エコ箸では掴みづらい麺との相性を最優先して割り箸を置いているのではと推測する。いざ口に運ぶとスープの塩気の少なさに合わせてスープ絡みが良くないので正直言って味気ない麺だけを食べているようだった。しかし食べ方を変えた二口目で事態は一変する。次は思いきり麺を啜って食べてみた。すると勢いよく滑り込んできた麺はスープの塩気ではなく香りを引き連れて飛び込んできた。先ほどの味気なさは消えて、啜るたびに口中に広がるスープの香りが麺の香りと重なる事で旨さに変わる。味で食べるのではなく、香りで食べるラーメンは日本酒の大吟醸のようだ。中でもアル添されていない純米大吟醸のような研ぎ澄まされた香りに箸が止まらない。滑らかな麺質を選ばれたのも啜る食べ方に合わせたのではないだろうか。スープの塩気が少なくても香りで満ちた口の中で麺を噛みつぶせば物足りなさなど全く感じなくなっていた。

スープと麺の相性に興奮しすぎたが気を落ち着かせて具材をいただく。焼豚は大判な豚肩ロースの低温調理を半カットされて二枚。穏やかなスープより目立たないように、あっさりとしたマリネ液でスパイスも控えめ。だが、しっかりと熱処理されているので生っぽさもなく上質の赤身が楽しめる。ビールのつまみには寂しい味付けかもだが、このスープの中では出しゃばらずに控えていて好印象。

追加の味玉は丁寧に温め直されているのが唇に白身が触れた瞬間に分かる。熱くなった白身を噛むと中にはネットリと熟成しゲル化された黄身が半透明に輝いている。舌全体を覆う黄身の旨みが消えぬうちに麺を追いかけると新たな旨みが現れてくる。単調になりがちな薄味のラーメンだが食べ方ひとつで新しい味覚が待っている事を経験した。

メンマは少し好みと違っていて残念。硬めの食感を楽しむ板メンマだったが繊維が口に残ってしまう。繊細な味付けだけに噛み切ろうと噛む回数が増えると味気ない繊維質ばかりが際立ってしまった。

薬味は青ねぎの小口切りは優しい香りを担当し、玉ねぎアッシェは煮干しの風味に合わせた刺激的な辛味と食感を担う。刻み柚子は彩りの面でも爽やかさを与えてくれるが、時おり風味の点でも爽やかにリセットしてくれる。大判な十字4切の海苔も秀逸でスープには溶け出さないが、口の中に含むと磯の香りがパッと弾けたかと思うとスッと溶けて消えゆく質の高い海苔だ。

最後まで不自然な旨味や過剰な塩分を感じる事なく平らげていた。普段から使わないので卓上の調味料には興味は無いのだが、ラーメン店には珍しい白胡椒がホールのままでペッパーミルに入っていた。たしかにこのラーメンには香りの強い黒胡椒よりも白胡椒の方が合っていそうだ。ウンチクにもあったが、ご主人が薦める後半に白胡椒を入れる食べ方も次回は試してみたいと思った。

メンマが残念だったのは否めないが、素晴らしいラーメンと出会えた。ご主人のラーメンに対するこだわりや技術もさることながら自家製ではないにしろ、丹精込めたスープに合わせる麺や海苔、白胡椒や箸など関わるもの全てに選び抜く目の確かさが表れていた。随所にご主人の眼識の高さを思い知った一杯でした。

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