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「肉が三種のらぁ麺 ¥780+味玉 ¥100」@赤青(MURASAKI)の写真平日 晴天 11:30 待ちなし 後客3名

〝Silent Blue 〟

昨日から店名に「青」を求めて渡り歩いてきたが、そろそろ終焉の時を迎えようと思い、最後の「青」探しのためにRDBと向き合う。

キーワード検索で「青」を入力すると「青竹」を冠に掲げた店が数多く挙がってくるが店名ではないのでスルーしていくと、こちらの店がヒットした。〝赤青〟と書いて〝ムラサキ〟と読ませるのは〝本気〟と書いて〝マジ〟と読ませるネーミングセンスと同じだ。その他にも〝地球〟と書いて〝ホシ〟や〝刑事〟を〝デカ〟も同じ類いだ。実際には「あお」ではないがネーミングセンスに心を惹かれて初訪問を決意した。

その為に昨晩も中央線遠征の新拠点と決めた、荻窪のカプセルホテルで快適な夜を過ごした。24時間対応のバーもあり1980円の飲み放題プランまで用意されている。生ビール4杯で元が取れるので風呂上がりなら秒殺の杯数である。つまみ類も充実のラインナップなので、しばらくはアジトとして活躍してくれそうだ。結果、2時間のプランで生ビールを二桁近くまで飲み干してベットに身体を沈めた。

飲みすぎたかと思ったが、翌朝もベストコンディションで目覚めた。同じ杯数を飲んだとしても、キャバ○ラで飲むビールとは目覚めの良さが断然違う。身体に優しいだけでなく財布にも優しい。早朝6時からの食べ放題のカレーを少しだけ食べて、ゆっくりと大浴場で朝風呂を浴びてから、またひと眠りするといった、小原庄助さんのような身上を潰しかねない時間を楽しんだ後で身支度をしてチェックアウトする。

ここからだと目的地の武蔵小金井駅まで15分と近いので、荻窪に前泊した甲斐がある。南口には何度か来たことがある駅だが北口には初めて足を踏み入れる。駅からも遠くはなく、開店時間ちょうどに店先に着いた。行列もないので店内に入ろうと思ったが準備中となっている。まさかの臨時休業かと思ったが看板を照らすスポットライトは点いているので少し離れた場所で待機する事にした。

3分、5分と時間が過ぎてもオープンする様子がなく心配になっていると定刻を10分過ぎたところで暖簾が掛かりオープンとなった。店内に入ると、ご主人がまだ客席の準備をしていてめんどくさそうな視線を向けられた。邪魔にならないように券売機の前で品定めをするが、メニューが豊富なのと、注意書きの貼り紙が多く貼られているので目的が定まりづらい。醤油系を欲していたので基本のラーメンを選択しようと思ったら、限定メニューの中にタイトルのお題を見つけた。スープの味は四種類の全てに対応できるようなので、普段は注文する事の無い限定メニューを押した。味玉追加の贅沢も試みる。

カウンターに座り食券を置いて店内を見回すと、清潔感があるとは言いがたい店内をお一人で切り盛りしている。ホールにも出なければならない客席のレイアウトなので、客に対する注意書きも仕方なくも思える。またBGMのない無音の店内が、威圧感と居心地の悪さを与えてくる。カウンターの上には洋楽のCDが飾ってあるので本日はBGMを流し忘れたのかも知れない。しかし接客や清潔感、環境などは採点に考慮しないので気を沈める。

そんな〝静寂の赤青〟の中で待つ事10分で我が杯が到着した。白磁の反高台丼の中の姿は、右寄りな盛付けが印象的。タイトル通りに三種の肉が丼の右半分を覆い隠している。確かに右側にはインパクトがあるが、対照的に左半分は素朴で馴染みやすい表情をしている。そんな丁寧な盛付けからは旨いラーメンの気配がしている。

まずは濃密そうな香味油で覆われた檜皮色のスープをひとくち。冷たいレンゲで、すくったせいもあるがスープがぬるい。旨みを感じやすい設定かとも思ったが、調理工程を見ているとそうではない気がした。非常に丁寧な盛付けが時間を要するのでスープが冷めているようだ。麺の茹で時間もタイマーをセットしているが、それよりも随分と早く麺上げしてスープにくぐらせている。その後の盛付け時間も計算してタイマーをセットしているようでもあった。でなければ麺は伸びてしまうくらいの盛付け時間だ。

スープに戻るが、ぬるいが故に感じやすい旨みもあった。丸鶏主体のスープに合わせたカエシの風味が独特なのに気づいた。中国の屋台の麺類を思わせる香辛料の香りが目立っていた。それは丁香や八角などのクセのある香りだった。鶏出汁に含まれているのではなく、煮豚の煮汁をカエシに使っているような香りだ。苦手ではないので構わないが、素朴に見えたスープだけに意外な個性に少々驚いた。

伸びてやしないかと心配な麺を箸で持ち上げてみる。箸先からはコシを感じる中細のストレート麺で、伸びた感じは伝わってこない。やはりスープ内の滞在時間も考慮しての麺上げなのだろう。少し安心して口に運ぶと、箸先の感覚どおりの食感で、低加水の麺質の粗さが残るジャストの茹で加減。ここからスープを吸って変わっていく麺質が楽しみだ。最初はポソッとした歯応えだったが、時間が経つにつれ膨よかな麺へと変貌を遂げそうだ。そんな期待を胸に具材へと進む。

限定のタイトル通りに三種類のチャーシューが鎮座している。重ねられた順番を無視して、セオリー通りに色の淡いものから食べてみる。一番淡白そうなのは鶏ムネ肉の低温調理だ。分厚いスライスながらも生っぽさを排除したレアチャーシューは安心できる十分な加熱でシットリと仕上がっている。味付けの面では繊細な下味のマリネ感が上品すぎて寂しくもあった。

次に豚肩ロースの大判なレアチャーシューだが、これまた上品なソミュール液の擦り込みが物足りなさを感じる。ロゼ色は美しいが生っぽさが残っている。大胆にスジ切りがされているが、それでも噛み切れない部分があり口に残ってしまう。それを噛み切ろうと咀嚼回数が増えると共に豚肉の生臭さが増していく負のスパイラルに陥ってしまう。

一番下に盛付けられた煮豚も部位は豚肩ロースを使用。豚バラ肉を用いそうになるが、ご主人のこだわりなのだろう。しかし私にはこのこだわりがピッタリと当てはまった。煮豚にする事で低温調理の豚肩ロースとは全く異なる赤身の肉質を表現していた。ホロホロと崩れる赤身のの食感も楽しく三種の中で一番タイプの食感だった。またスープに感じた中華香辛料の香りは煮豚の煮汁からなのを確認できた。この煮汁がスープに独特の個性を与えていたのだ。

それと全てのチャーシューに共通していたのが温度の低さだ。開店直後のせいかも知れないが冷蔵庫の冷たさが残っており、スープのぬるさも理解できた。

スープの謎が解明できたので追加の味玉にかじりつく。出汁や醤油を浸透させるのではなく、甘味を浸み込ませているような味玉だ。たまご本来の黄身の旨みと重なって深い旨みを生んでいる。足りない塩気はスープとの共演で感じなくなる。チャーシューと違い温め直してある仕事からも追加して良かったと思える味玉だった。

出来の良い味玉に反してメンマは残念な仕上がり。仕上がりと言うか標準的な味付けと食感の太メンマは、こちらでなくても食べられる個性のない既製の業務用メンマ。不快でも不味い訳でもないので問題ないは無いが、ワンオペなので手が掛けられない部分なのも理解しなければと思った。

薬味は丁寧に刻まれた青ねぎの小口切りが、彩りの三つ葉の下に多く盛られている。しかし細かすぎるのとスープでの熱変化で柔らかくなりすぎて絡み合い、ひとかたまりになっていた。それをほぐさないと束のまま食べてしまうので薬味の仕事は果たしていなかった。三つ葉は香りの面でアクセントを生んでいた。十字12切の小さめの海苔は口溶けが悪いどころか硬く湿気ていて、口の中に残り続ける。しかも香りもなく添えてある意味を感じなかった。

評価の対象にはしてないが、定刻を過ぎての開店も当たり前かのような態度や、開店直後の客をめんどくさそうに見る接客などがラーメンの中にも表れているような気がした。もし接客を考慮しての採点なら過去最低の点数だったかも知れないが目の前のラーメンに罪はないので、味だけの評価点にした。

入店時に感じた怒りの〝赤〟から、食べ終えた後に取り戻した冷静の〝青〟への気持ちの変化が、店名と合致した一杯でした。

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