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「特選盛込中華そば  ¥2000」@六本木 雅はりたやの写真平日 曇天 11:30 先客なし 後客7名

〝ハイソでセレブなリッチ麺めぐり〟

先日、六本木の裏道をショートカットしようと偶然に入った通りが、いつのまにかラーメンストリートと化してした。去年までは「一蘭」と「麺屋武蔵 虎嘯」だけだった裏通りに「えびそば 一幻」ができたと思ったら、更にもう一店舗ひっそりとオープンしていた。

RDBのマップにも存在しないので別サイトから調べてみると詳細が少しずつ分かってきた。こちらはラーメン店として営業しているのではなく、昼の部と深夜のバータイムにだけラーメンを提供している高級日本料理店らしい。しかも会員制、完全予約制だそうだ。マップに存在しないのは、住所非公開という事のようだ。

最初に店を見つけた時は移動中で急いでいた事もあり、ラーメンを食べることは出来ずに店先に置かれたメニューを見ただけだった。その時にメニューに書かれた「中華そば 1350円」の高額設定に興味を引かれて、いつかの初訪問を願っていたのだ。そんな中で今週は贅沢にも高級ラーメンめぐりを開催しようと決めたのだ。

その一軒目に選んだのが未訪問店のコチラだった。行列ができるような感じでは無かったので11時半開店のちょうどを狙って30分前に自宅を出た。乗りなれた都バス 01系統 新橋行きに乗車し15分程度で最寄りの六本木バス停に着いた。そこからは六本木交差点の東京ミッドタウンのあるブロックを目指して歩く。すると二階に「一蘭」の入ったビルの路地の向かいに、いかにも会員制のオーラを放つ店を見つけた。まだオープンしていないが、入口のカードキー対応の入店システムが他を拒絶しているようだ。

定刻を過ぎても様子が変わらないので、となりのペットショップの子犬たちに癒されながら待っていると、定刻を大幅に10分過ぎて白のれんが掛かりオープン。昼の部はカードキーはもちろん不要なので、すんなりと入店。手動の引き戸だが、閉まる時は自動でゆっくりと閉まる扉が高級感をあおる。さすがに専門店ではないので券売機はなく、カウンターに腰を下ろし卓上メニューから品定めをする。基本の中華そばが千円オーバーの高額設定は承知していたが贅を尽くして、その中でもハイエンドのお題をお願いしてみる。

カウンター越しに店内を眺めると、白木のカウンターに白を基調とした明るいながらも高級感のある設えだ。奥には個室のような空間もあるが、昼の部は稼働しているのかは定かではない。壁には「ふぐ免許」が掲示されているので、夜にはふぐ料理やしっかりとした和食が楽しめる店なのだろう。厨房に目をやると予想に反して設備が充実しているのに驚いた。日本料理店には必要のない、茹で麺機やスープ炊きの大きな寸胴鍋が調理場で幅を利かせているのだ。今はラーメンを食べに来ているので違和感はないが、夜の部で予約制懐石料理を食べている時には、どのように目に映るのだろうかと考えてしまった。そんな不思議な店内を本日は二人体制で切り盛りしている。不思議だが落ち着いた雰囲気の中で待つこと5分ほどで我が杯が到着した。

その姿は口縁の広い白磁の高台丼に呉須で模様の描かれた器の中で、特製盛込らしい景色を浮かべている。正直に言うと全てを詰め込みすぎたようにも思えるほどに盛りだくさんだ。その表情からは繊細な和食の盛り付けは感じられない。第一印象としては残念な容姿だったが、味が全てなので見た目は度外視してラーメンに向き合う事にする。

まずは黄唐茶色のスープをひとくち。初動で立ち昇ってくる香りはスープからではなく、薬味の三つ葉や柚子の香りが先導する。その香りの背後には動物系と魚介系の組み合わせに、干し椎茸や昆布などの乾物類の風味を漂わせた和食店らしいスープが土台を築いている。このタイプのスープの特徴を見つけるのは難しいのだが、強いて言えば干し椎茸の香りと旨味が少し前に出ていた事だろうか。いわゆる和風出汁テイストなのだが、カエシの強さが気になった。スープの旨みよりも薬味の香りや醤油ダレの塩気を強く感じるので、出汁の風味がかき消されてしまっているようだ。旨みよりも香りが高いスープは、日本酒ならば大吟醸タイプのように華やかさばかりが目立ってしまっている。純米酒のように香りよりも旨みのあるスープが好きな私には合わなかった。

麺上げまで40秒のストレート細麺は、早茹でなのに、ハリやコシを感じない柔らかな麺質だ。カンスイやグルテンの特徴を感じない食感は好みではなく、和食の煮麺のようではあるが残念だった。噛みごたえも歯切れの良さも表現しない麺を選ばれているのだろうが、そうめんにもコシを求めてしまうタイプなので残念だった。

具材のチャーシュー液面からは沈んでいて見た目の存在感はアピールしていないが、実際には豚モモ焼豚が6枚も入っていた。吊るし焼き焼豚のようなロースト型だが広東式の赤耳焼豚とは違い、和食の技法で作り出されたオリジナリティのあるチャーシューだ。広東式叉焼のような蜜ダレの甘さはないが、赤身の肉質を引き出すような味付けが独特の和テイストをうんでいる。さいの目切りで添えられた切り落とし部分のチャーシューも肉々しい食感のアクセントとして加わっている。盛り付け前に茹で麺機の蒸気で温め直されているのも好印象。

半カットされて添えてある味玉の食感には驚かされた。私の味玉論では熟成ありきが大前提なので、こちらの味玉にはそれを感じられずにいたのだが、マシュマロのような白身の食感の柔らかさには自分の舌の感覚を疑ってしまった。塩分が浸透すると引き締まってしまうのが当たり前の白身が非常に柔らかく、今まで食べた事のない口当たりが今でも印象に残る。

細メンマの大量さ加減にも驚いた。そこまで入れなくてもと思ってしまうほどの量だった。適度な味付けと食感が物足りない麺のサポートをしてくれて助かった。

薬味は細かく刻まれた白ネギがスープの表層に浮かんでいるが、香りを強く出しているので影響力は大きい。それは三つ葉や振り柚子の薬味にも言える事で、スープの旨みを打ち消してしまう香りの薬味は不必要に思えた。

大判の十字9切の海苔だけは、さすがに和食店らしい質の良さを出していた。磯の香りも高く口溶けも素晴らしい海苔が三枚も添えてあるのは高額を支払っても納得のいく品質だった。

ラーメンに個性やインパクトを求めない保守派な私でも、少しくらいの特徴を望んでしまうような物足りなさを感じながら箸とレンゲを置いた。現在は「お試しキャンペーン」で中華そばと味玉中華そばだけは値下げして提供しているようなので多少の高値でも後客が続いていたが六本木と言えども、この高額設定で定着するのは厳しいのではないだろうかと心配になる一杯でした。

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