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「中華そば ¥650」@中華そば 山冨士 本町店の写真平日 晴天 18:20 先客7名 後客3名

令和改元記念 特別企画

〝諸国麺遊記 中国編〟

今回も無鉄砲なラーメン旅を進めているが、無事に中国 山陰地方を攻略できた。現在は本日の二食目を終えた鳥取県米子駅の待合室にいる。勿論このあとの予定もチケットもない自由気ままな身なのだが、若干の焦りが出てきたので次の候補地を探してみる。大まかな目標としては中国 山陽地方の制覇なので、アクセスの良さそうなところを検索してみると岡山県に最も早く行くことができそうだ。そこで恒例のRDB総合ランキング岡山県第1位を調べてみると最有力候補店が挙がってきた。

お店情報によると岡山市内にあり移動は問題なさそうだが営業時間が19時までとなっているので、早じまいされたりすると微妙な時間帯なのだ。しかしここで躊躇しているような時間もないので、ひとまずは岡山行きのチケットを買おうと窓口へ走ったが、残念ながら先発の岡山行きの特急は20分ほど前に出発していた。次発までは40分もあるが移動手段がそれしかないので、やむを得ず次発の特急のチケットを購入した。

GWも終わり観光客も少ない平常を取り戻した米子駅の待合室で缶ビールを飲みながら寂しく時間を過ごした後に、米子駅 15:27発 岡山行き 特急やくも 22号に乗車して次なる目的地である店を目指した。山間部を走る特急列車は揺れがすごく寝る事もままならない。そんな車中で揺られながら二時間と少しで瀬戸内海に沈む夕日が美しい岡山駅に着いた。

そこからは路面電車の東山線でローカル気分を満喫しながら5分もすると、最寄りの県庁通り駅に着いた。営業しているのか不安な思いを抱いたまま店のある方へ向かうと店内には明かりがついているが扉に掛けられた看板には、まさかの〝準備中〟の文字が。ダメ元で扉を開けてみるも「本日は終わりなんです」と当たり前ながらも、今の私には死刑宣告にも聞こえる早じまいだった。

しかしここで、へこたれないのが自由人の強味なのだ。もともと予定がある訳ではないので鼻歌まじりで次の候補を検索する。総合ランキングがダメなら最近の人気店ランキングを見てみると第1位に輝くコチラがヒットした。場所も先ほど降りた岡山駅の近くとありがたい。結果として駅前に戻る事にはなったが、珍しいチンチン電車に乗れたと思えば気持ちも楽になった。

15分前に路面電車に乗った場所と同じところまで戻ってくると、駅前の賑やかな歓楽街の方へと歩いて行く。3分も歩かないうちに黄色いテントの看板に白い暖簾が掛けられた店先を見つけた。今度こそ営業中の案内を確認してから店の中へ。引き戸を開けて入ると平成を終えて令和たなったというのに、いまだに昭和ノスタルジーが店の中には漂っている。この雰囲気が嫌いでない私は、ここでトッピングメニューにあるゲソ天をつまみに瓶ビールでも呑んで本日の終焉の地にしようかと思うほどに和らいだ空間だ。また先客の親子連れの話す岡山弁の響きが、大好きな「千鳥」の漫才を聞いているようで心地よい。先ほどの車中のビールが効いてきたのか、この先の事などどうでもよくなってきた。

しかしここは我慢して少しでも山陽地方攻略を進めようと思い止まり、壁に書かれたラーメンのメニューに目をやった。構成は至ってシンプルで基本の中華そばの中に何を増やすかを決めるだけである。周囲はネギたっぷりのラーメンを食べているが、出来れば今日中にあと一杯食べておきたいと考えて基本のみのオーダーをした。

店員さんに注文を告げると直ぐに調理が始まった。本日は二人体制で回しているが店主さんであろう方は、麺上げから配膳までこなす二刀流の動きを見せていた。店内のレイアウトはテーブル席がメインで、カウンター席は壁沿いの柱の出っぱりを囲むような不思議な造りとなっている。そんな世間から追いやられたようなカウンターで待っていると、注文してから5分で我が杯が到着した。

その姿は高台丼の中で見覚えのある風景のように見えた。そう遠くない記憶をたどっていると、ある地方のラーメンを思い出した。それは春先に訪れた和歌山の人気老舗店「井出商店」のラーメンの姿だった。液面からは麺の様子を見ることが出来ない盛り付けのスタイルが私の中で見事に一致したのだ。繊細さや丁寧とは無縁の風貌も味わいのひとつと信じてレンゲを手にした。

まずは茶濁したスープをひとくち。なみなみと張られたスープには粒子の大きな香味油が浮かんでいる。出来るだけその油膜をさけてレンゲですくい口元に近づけると〝いかにも〟的な匂いも近づいてきた。口に入る前から動物性の力強い風味が漂ってくる。一歩間違えば獣臭くなりそうな匂いだが、これが岡山ラーメンらしさを表しているのだろう。見た目の醤油感の強い色調から塩気の強さを心配しながら口に含むと、豚骨ベースの旨みが中心だがコラーゲンは少なくサラリとした印象だ。表層の香味油を除けば出汁の旨みが前に出たスープだが、ラードか背脂であろう香味油を重ねるとコクが増す。飲み込んだあとには魚介出汁の風味も感じられるので豚骨魚介スープに分類されるのだろう。懸念された塩分も、やはり高めに設定されているので出汁の香りと旨味と塩気の全てが強い男らしいスープだ。

スープの中で泳いでいるような麺を持ち上げてみると中細ストレート麺が現れた。箸先の感覚だけで柔らかで滑らかそうな麺質だと分かる。すでにスープの色素が麺肌に染みて茶色く変色している麺を一気にすすり上げると、麺肌に溶け出したグルテンとラードが相まって口当たりの良さを加速させる。一見すると麺同士が癒着しそうなほどに麺肌のグルテンが粘りを見せているが、そうなっていないのはスープの量の多さも手伝ってのことだろうか。なので柔らかくはあるが啜り心地の良い仕上がりとなっている。若干のカンスイの匂いも〝らしさ〟を演出しているのようにも思えてきた。

具材のチャーシューは極薄豚バラ焼豚。赤身と脂身のバランスは良いが食べ応えとしては物足りなさもある。赤身の旨みも脂身の甘みも煮汁に持っていかれてしまっていた。しかしその恩恵をカエシが受けていると思うと仕方のない仕上がりでもある。

多めに盛られてある褐色の細メンマは、見た目の強面に反して優しい味付けが好印象。柔らかくもコリッとした歯応えが心地よく、全体の中で唯一の噛みごたえを与えてくれた。

薬味は青ネギの小口切りだが、こちらの看板メニューでもある「ねぎ中華」に大量の使われる青ネギだけあって切り口の鮮度も抜群だ。九条ねぎのような繊細で上品なネギではないが、粗々しい田舎ねぎの強い香りや辛味が逆に存在感をアピールしている。このネギならばと「ねぎ中華」にも興味が湧いた。

最終的には旨味の強さに押されてしまい平らげることは出来なかったが、周囲を見ると若い女性までもがサイドメニューのおにぎりを頬張っていた。昔から麺類にご飯を合わせる習慣がない私だが、たしかにご飯で口の中をリセットしたくなるスープだと思った。中国地方といっても関西よりの食文化なのを知り、ひとつ勉強になったところで店を出た。

そろそろ本日の寝床を確保しなければならないが、宿決めをする前に決めておかないといけない重要な事案があるのだ。それは夜のネオン街を楽しむ楽天地をどこにするかというものだ。このまま岡山の夜を楽しむのか、はたして別の土地に新たな出会いを求めて向かうのか、もはや今回の中国遠征のメインイベントへと昇格するほど重要案件だ。

しかし現在時刻は午後7時前と夜の繁華街にネオンが灯るには少し早いようなので明日の移動のことも考えて、お隣の中国地方最大の都市である広島市に向かってみようと今夜の休息地を決めた一杯でした。

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