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「プラチナポークの背脂らーめん ¥950」@ねいろ屋の写真平日 晴天 14:20 先客4名 後客2名

どうしても夏が来る前に再訪しておきたかった店がこちらなのだ。というのも初めて出会ったのが去年の夏真っ盛りの時期で、かき氷も大人気の店なので夏場は荻窪マダム達が賑わい行列も必至の人気店だからだ。そこで本日は夏の前を狙って訪ねることにした。

昼過ぎに新宿での所用を済ませて荻窪駅に向かった。久しぶりだが通い慣れた教会通りを進むと馴染みのある店先に着いた。昼ピークも過ぎているので行列もなく入店できた。毎度おなじみの壁沿いカウンターに座り、卓上メニューから品定めをする。そこへ女性スタッフさんが水を持ってきてくれて「後ろの壁にも限定メニューが書いてありますので」と案内される。日頃からアンチ限定メニューの保守派なのだが、なぜか今日だけは気になるメニューが目に入った。それが〝プラチナポークの背脂らーめん〟だったのだ。

私のイメージではこちらの店は瀬戸内海の食材の中でも特に愛媛県の南予地方の食材や調味料にこだわっていると思っていたが、プラチナポークも背脂も関連性は無さそうに思えた。元々は背脂も得意ではないのだが、不思議とスタッフさんに注文をしていたのだ。これも何かの縁だと思い到着を待つ間に店内を見回す。

やはり夏場の海の家を思わせる店内には、落ち着いた客層のご婦人方が多く見られる。そんな地元に愛させている店内を本日はツーオペで回している。奥の調理場では見えないながらも作業が進んでいるようだ。すでにテーブル席のご婦人はラーメンを食べ終えて、かき氷を楽しんでいる。今年も暑い夏がやって来る事を先取りして感じていると、着席して6分で我が杯が到着した。

その姿は朱赤の雷紋柄高台丼の中で瀬戸内海とは違った景色を見せている。それは背脂が思わせているのだろうか、先月に訪ねた東北地方を思わせる風景だった。謎が多いそのラーメンに不安と期待を感じながらレンゲを手にした。

まずは、なみなみと張られた茶濁したスープをひとくち。不用意にレンゲを挿し込むと溢れてしまいそうな液面には如何にもオイリーそうな無数の背脂が浮かんでいる。どう工夫しても背脂を避けられそうもないので、覚悟を決めてレンゲでスープをすくってみる。口元に近づけると、背脂由来の甘い香りと煮干しの香りが相まって食欲を刺激しながら近寄ってきた。いざ口に含むと、想像をかき消すように油っぽさを感じない。たしかに背脂の脂片と一緒に口にしたはずだが、サラリとした口当たりには自分の感覚を疑ってしまう程だった。外国産豚背脂にはあり得ないクセの無さに、これがプラチナポークの実力なのかと驚いた。あまりの衝撃に味を感じなかったので脳内のイメージをリセットしてから再び飲んでみる。やはり優しい口当たりの後ろには豚由来の動物系の旨みと煮干し主体の魚介系出汁が交差し合う。今まで味わった事のないスープに引き込まれてしまった。

麺はスープに合わせた中太ちぢれ麺を使われていて麺上げまでは150秒ほど。その相性の良さは素晴らしく、麺肌のグルテンと背脂による潤滑油が口当たりを滑らかにしている。緩やかな麺の波状も唇を刺激しながら口の中へと滑り込んでくる。噛めば小麦の風味と甘みが弾け出すと、スープの甘みと一体となって口内を支配する。口当たりや歯応えも良い上に喉越しまで素晴らしい麺を採用された選麺眼には恐れ入った。

具材もまたイメージを覆すような個性を発揮していた。煮干しラーメンの中では出会った事のない具材が入っていた。それはチャーシュー代わりの豚ナンコツを柔らかく煮たものだった。九州の宮崎では焼酎のつまみとして食べた事がある豚バラやノドの軟骨を甘辛く調理した肉料理だが、なぜこれがラーメンの中にと最初は戸惑ってしまった。しかし実際に食べてみると、よくぞ煮干しラーメンに入ってくれたと大歓迎の具材だったのだ。箸でも崩れそうな肉の塊にかぶりつくと何とも形容しがたい柔らかさと旨みに包まれる。赤身の繊維を感じさせながら脂身のゼラチン質がミルフィーユのように重なっている。そのバランスが良いのでノド軟骨ではなく豚カルビの部位だろうか。この具材を食べただけでも、このメニューにして良かったと思える程の仕上がりだった。しかしなぜ宮崎の郷土料理と結び付いたのだろう。もしかしたら宮崎県とは豊後水道を挟んだ対岸にある愛媛県にも共通する肉料理があるのかと思いながらも真相は定かではない。しかし絶品の肉料理の虜になってしまった。

穂先メンマは従来のラーメンと共通したものが添えてあったが、こちらの穂先メンマの仕上がりはトップランクである。毎回感じているが、発酵食品独自の香りを消さないような下処理が生み出す香りと食感には非の打ち所がない。これぞ〝キングオブ穂先メンマ〟の称号に値する。

ほぼ完璧な仕上がりなのだが薬味に関しては少しワガママを言いたくなった。今回は青ネギの笹切りが大量に添えてあったが、粗々しい食感ながらも丁寧に水にさらしてあるので香りや刺激も穏やかで良かった。欲を言えばここにはベタすぎるかもしれないが、玉ねぎのアッシェが添えてあっても良かったのではないかと思ってしまった。

素晴らしいメンマも海苔も今回は外してもらって、豚ナンコツを大量に入れて薬味は玉ねぎだけのラーメンがあったなら高額になってでも是非に食べてみたいと思ってしまった。

わたしの中で限定メニューで大台を付けたのは約一年ぶりの二度目だと思うが、ワガママを言ったとしても高評価に変わりないラーメンに出会ってしまった。ここのご主人の腕にかかれば、どんなラーメンでも気高くなる気がした。それならば苦手なJ系のようなラーメンでも挑戦したみたいと思い、機会があれば作って欲しいと勝手気ままな事を願ってしまう一杯でした。

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