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「千祥おすすめラーメン 並 味薄め 脂少なめ ¥850」@麺家 千祥の写真土曜日 晴天 11:20 先待ち13名 後待ち30名以上

〝ニューオープン狙いうち〟season2

昨晩のことだが、寝床で見ていたRDBのニューオープンの中に新たな新店情報を発見した。詳しく調べてみようと思ったが、得意ジャンルではない〝家系〟の文字を見て一度は断念して明日の目的地を探していたのだ。しかし候補の店が見つからずに再度こちらのお店情報を見ていると、IT(意識高い) 系おじさんには有難い〝無化調〟の文字を見つけた。

以前にも自身の〝家耐性〟を上げようと思いRDB内の検索ページで〝家系〟と〝無化調〟にチェックを入れて検索した事があったのだ。半年くらい前のその時は、確か二店舗しかヒットしなかった記憶がある。私の中では決して交わる事のない両者と思っていたので、この新店情報が私の中での大きな「家系革命」になるのではと初訪問を意気込んだ。

あまりの興奮に寝付けなかった昨晩の睡眠不足の身体を揺り起こして、オープン初日の開店前の現着を狙って一時間前に自宅を出た。天気の良さも手伝って、明治神宮前駅までは歩いて向かい千代田線に乗車した。30分も揺られると最寄りの町屋駅に着いていた。そこからは1番出口を駆け上がると、すぐにそこが本日オープンの新店だと分かる行列を見つけた。土曜日の休日オープンとなれば、これくらいの行列は覚悟していた。

開店10分前で14番手をキープして最後尾に並ぶと、次々と後列が伸び続けた。わずか3分程の間に列の長さは倍以上になった。五月といえど直射日光を遮るものが何もない歩道上で並ぶのは体力が必要な季節に入ってきた。流れる汗をぬぐいながら待っていると、開店時間になり店内からはスタッフ陣に気合を入れる店主さんの大きな掛け声が店の外にも轟いた。その瞬間、並んでいる人たちからも小さな拍手が起こっていた。定刻通りに第一陣が店内に吸い込まれて行った。

やはり一巡目は逃してしまったが、ようやくビルの日陰での待機となり吹き抜ける風も心地よく感じられた。順番に食券を購入する先買いのシステムだが、券売機の左上部にあるおすすめのボタンを押して再び待機する。すぐ先にも家系ラーメン店の看板が光っているので「町屋お家騒動」の勃発を予感しながら待っていると、開店してから25分で中待ちの案内があった。開店初日なので行列のさばき方も試行錯誤している最中なのか定まっていないようだった。しかし誘導スタッフの親切な気遣いも素晴らしいので、店主さんは調理だけに集中できているようだ。修行先からのヘルプスタッフの応援があってこそ、本日を無事に迎えられた強い信頼関係が胸に響いた。

そんな活気のある店内で待っているとトータル33分の並びでカウンターに昇格した。すでに食券は回収されており、その際には自己体質を考慮して「味薄め」「脂少なめ」を宣告しておいた。カウンター越しに店内を見渡すと、いびつな構造の建物内を有効的に使おうと考えられたレイアウトなのだろう、鋭角なV字カウンターと独立した対壁式カウンターで11席の客席だ。ホールには使用禁止のボルダリングや、店主さんオリジナルの掛時計がユーモラスに飾られている。そんな遊び心のあるホールとは打って変わって、調理場内は男らしさの溢れる真剣勝負を挑む雰囲気が漂っている。大型寸胴鍋でスープを炊き続けているワイルドな景色からもそう感じられる。そんな店内を本日は全ての応援スタッフを含めると五人体制での盤石の布陣で回しているが、盛り付けを含めた調理工程の全てを店主さんが担っている。それが修行先で大きな研鑽を積まれてきた証なのだろう。

いい意味で家系ラーメンを作るのが似合っている店主さんの機敏な動きを見ている暇もない程に、タイミングを見計らっていたのか着席後2分もせずに我が杯が到着した。その姿は黒釉薬の塗られた切立丼の中で〝らしさ〟を存分に見せつけている。表題のメニューが特製という事になるのだろうか、液面を覆い隠すほどの具材たちに圧倒されながらレンゲを手にした。

まずは駱駝色のスープをひとくち。液面にわずかに見えるスープの部分にレンゲを射し込んでみると、濃度は高くなさそうでひと安心した。脂少なめの設定なので表層に浮かぶ油膜や背脂も見られず、清湯野郎の私にでも受け入れられそうだと思いながらスープを口に含んだ。すると高濃度ではないが中濃的な口当たりを感じた。動物性コラーゲンの粘質を唇で感じた後に、粉骨された舌触りが舌の上に残ったが苦手な程ではなかったので助かった。土台には圧倒的な豚骨や豚ガラなどが基礎を築いているが、心配された獣臭さを感じなかったのが好印象だ。調理技術や下処理もあるとは思うが、この臭みの無さが生ガラと冷凍ガラの違いなのだろうかと素材の良さを思った。だがカエシの醤油ダレに関しては懸念していた塩分過多に当たってしまった。味薄めの設定にしたものの、かなり強気な塩気が最初から襲ってきた。麺との相性などを考慮すると、これ以下の塩分設定には出来ないのかもしれないが 30%OFFで私には程よい塩気になるように思った。このスープならばライスを欲するのも納得がいく仕上がりだと思う。無料ライスが食べ放題となっているので、血気盛んな若者たちの胃袋をガッチリとつかむ事だろう。

そんな薄味でも力強いスープに合わせる麺はストレートの太麺を採用している。テボの中を菜箸でかき混ぜる手の感覚だけで220秒ほどで麺上げされた太麺を持ち上げてみると、かなりの重量が箸先からも伝わってくる。それは麺だけの重さではなく、麺肌が吸い上げたスープの重みも加わっているからだろう。多加水麺ながらも、それ程にスープとの絡みが良いのも特徴である。そんな重厚な太麺をスープの拡散覚悟で一気にすすり上げてみると他店で感じたようなカンスイ臭もせず、豚骨由来の不快な吸気も伴ってこない。しかも先程まではスープの塩気を強烈に感じていたが、麺に寄り添った途端に小麦の甘みを引き立てる塩気として役割を果たしている。つまりは私にとってはスープを楽しむラーメンではなく、麺を楽しむ方向性で行けば良いのだと示してくれた。そう考えるとスープへの嫌悪感も些か穏やかになっていた。そんな麺の高密度の麺質が生み出した、歯応えと歯切れが同居した食感が楽しくて咀嚼を喜びに変えてくれる。この麺質ならば後半もダレる心配がなさそうなので、具材たちを楽しんでみる。

具材のチャーシューは豚肩ロースの煮豚型が大判厚切りで二枚も入っている。箸で触れても崩れるような柔らかさではないが、しっかりと歯を立てると赤身の繊維質に添って崩れていく。その感覚が素晴らしく時間をかけた丁寧な仕込みを物語る。もちろん味付けも良く、濃すぎるでもなく肩ロース本来の旨みを引き立てながらも煮汁の旨みも重ねている。あとで出てくる薬味のネギとの相性が抜群で、主役のスープと麺を越えてしまうような組み合わせを見せてくれた。

それに反して残念だったのは味玉の存在感のなさだった。白身の表面にこそ漬けダレが薄っすらと浸みてはいるが、噛み切った内部は半熟玉子そのものだった。好みの熟成感は皆無で物寂しさがあったが、強気なスープの中では心の拠り所となってくれたのも真実ではある。

薬味のネギは贅沢にも九条ねぎを使われているとあったが、セオリーを無視した粗めの笹切りだったのが印象に残る。九条ねぎと言えば繊細な甘みと辛み、そして切り口の歯触りの良さが持ち味だと思っているが、その私の固定概念を覆すような大胆な切り口に驚いた。提供時の生の状態のネギを噛んでみると、鮮烈な辛みが口内を刺激する。ややもすれば辛すぎるとも思われてしまいそうな味わいなのだが、麺との共演では心地よい辛みとなってアクセントを付けてくれた。さらには先程のチャーシューとの共演では見事なネギチャーシューとしての存在をアピールしてくれた。もしかすればチャーシューよりも目立っているのではと思うような存在感だった。そう考えると九条ねぎと言っても等級があると思うが、お世辞にも高級品には思えなかったので廉価版の九条ねぎなのだろう。しかしそんな廉価版の持ち味を引き立てる切り方には店主さんの薬味センスを感じた。

せっかくの薬味センスを見せてくれたと思ったが、青みのほうれん草が残念で仕方ない。しっかりと盛り付け直前にテボを使って温め直してはあるが、素材の良さを全く感じないほうれん草からは香りもなく食感も乏しい。これが〝家系の掟〟ならば仕方なく諦めるが、生のほうれん草を店仕込みで茹でてはいけないのだろうかと思うくらいに業務用カットほうれん草を使っている店が多い。もちろん確信はないが、目の前の茹でほうれん草からも手仕事感は伝わってこなかった。家系だけに毎日大量に使う食材なので既製品に頼るのも理解はできるが、きちんとした青菜の香りや食感も味わいたいと思った。

しかし海苔には薬味センスの本領が発揮されていた。香り高く口溶けもまろやかな高級ブランド海苔とはいかないが、スープに負けないようにしっかりとした歯触りの海苔を目利きされていた。時間が経っても湿気る事のない状態も保存の良さを明らかにしていた。

中盤からもスープの塩気と戦いながらも麺や具材に助けられながら完食していた。最初以降はスープだけを飲む事はなかったが、食べ切ることができて良かった。

今回の74点という採点だけをみると低く思われるかもしれないが、過去の家系史上最高得点となり今後の〝家耐性〟の強化の足がかりとなってくれそうな大切な一杯でした。

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