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「特製中華そば ¥930」@中華そば 青葉 中野本店の写真平日 曇天 12:50 先客11名 後客 5名

〝リカバリーショット 傑作選〟

RDBの新店情報だけを頼りに新店めぐりをしていると、いい加減な誤情報に振り回される事が多々ある。そんなRDBの情報に裏切られた時に、リカバリー先を探すのもRDBなのだ。今回は中野での新店情報を見つけてオープン初日に向かったが、店の前に着いてみると内装工事の最中だった。どうやらオープンは明日以降だと思われ、仕方なく新店めぐりを断念した。

そこでスマホを取り出しリカバリー先を探していると、昔から知ってる名前を近くで見つけた。それが「中華そば 青葉」である。

私も二十年近く前になると思うが、当時はスマホではなくラーメン本を片手に訪れた記憶がある。当時は1時間以上は並んで食べたが、今はどうなっているのか気になって店へと向かってみた。フラれた店から歩いて数分で、記憶通りの場所で当時と変わらぬ佇まいが特徴的な屋台風の店先を見つけた。昔と変わらず開けっ放しの扉が街の景色に溶け込んでいた。今回は昼のピークを過ぎたのか、店先には名物の行列もなく店内には空席も見られる。店頭に設置された券売機の前に進み標題を発券すると、久しぶりの店内へと入った。

空いてるカウンターへと腰を下ろすと、お冷やが差し出されて食券を引き渡す。ほぼ満席の店内を懐かしむように見渡してみると、当時から大まかなレイアウトは変わっていないカウンターだけの客席を本日は四人体制で回している。今や老舗店になっていると思われるが、店内に貼られた「昆布水つけ麺」のトレンドメニューに、流行りに遅れまいとする姿勢が見えて意外に映った。スタッフ各人が持ち場の仕事をこなす分業スタイルで、次々とラーメンが仕上がっていく。本日の麺上げ担当は女性で、小柄ながらも力強く湯切りをされていた。そんな安定感のあるオペレーションを眺めていると、着席して5分で我が杯が到着した。

その姿は白磁に唐草の高台丼の中で、もはや風格すら感じさせる表情をしている。店舗展開が進んで多くの駅周辺で見かける事があるが、やはり中野本店となるとオーラが違って見えるから不思議なものだ。系列店を含めても久しぶりの姿に、はやる気持ちを抑えてレンゲを手にした。

まずは胡桃色のスープをひとくち。特製だけあって液面には多くの具材陣が場所を取っており、スープが顔を見せる部分はわずかしかない。そんな少ない部分にレンゲを押し込みスープをレンゲに湛えると、程よい濃度を感じさせながら注がれてきた。いざスープを口に含むと粘りを感じる粘着質が、唇から口の中全体に張り巡らされた。それは油っぽさとは明らかに違う、動物性コラーゲンの粘性である。味わいとしても豚骨や鶏ガラなどの動物系出汁が土台を築き、鰹節などの魚介出汁が重なりを付ける。その両者のバランスの良さは、長きに渡り業界を牽引してきた、Wスープの先駆者としてのプライドすら感じる。私には若干カエシの塩気が高かったが、進化しながらも昔を思い出させるスープの仕上がりには脱帽だ。

麺上げまで120秒ほどの麺を持ち上げてみると、30センチに切り出しされた長めの麺が現れた。麺幅と麺圧の割合から平打ち麺にも見える形状で、緩やかに麺の折り返しがウェーブとなっている。麺肌に溶け出し始めたグルテンが切刃のエッジに透明感を与え、やや太めの麺質が食べ応えを想像させて食欲を刺激する。そんな麺を堪らず一気にすすり上げると、柔らかさの中にも強いハリを感じる口当たりで滑り込んできた。見た目以上に滑らかさと力強さを併せ持った食感には、長年人気店に君臨する底力と重なる〝粘り腰〟を感じた。優しいアプローチで口の中に入ってきた麺は、強い弾力ある歯触りで八面六臂の活躍をみせる。いざ麺を噛みつぶすと小麦の甘みが湧いてきて、スープの塩気と相まって麺の甘みレベルが上がった。スープだけでは強気だったが、麺と合わさる事を計算されての設計図なのだろう。絶妙なスープと麺の組み合わせを楽しんだ後は、豊富な具材陣を味わってみる。

具材のチャーシューには豚肩ロースが煮豚で仕込まれているが、ここは流行りの低温調理に流されていない。薄味ながらも丁寧に時間をかけて煮込んであるので、見た目以上に柔らかく仕上がっている。それによって豚肉本来の旨みは煮汁の方に奪われてしまっている気がするが、盛り付け着前の切り立てにこだわっているのでパサつき感はない。そんなチャーシューが三枚も盛り付けてあるが、これがレアチャーシューに変わってしまったら「青葉」のラーメンに見えなくなるだろうなと、要らぬ想像をしてしまった。

メンマも当時から使われている板状タイプで、かなりの薄味がスープの塩気を和らげる箸休めとして活躍してくれる。少し硬さを残した適度な歯応えも、時々アクセントとなってサポートしていた。

大好物の味玉にも期待していたのだが、最初の見た目でメニュー写真とは随分と違って見えた。メニューには半熟感のある美しい味玉が写っていたが、実際には固茹でに近い味玉だった。思い違いであって欲しいが、そんな失敗作の味玉をチャーシューで覆い隠すように盛り付けてあったのは故意の仕業なのだろうか。青葉のラーメンの宣材写真といえば、オレンジ色に輝く半熟の黄身が印象的だったが、今回分は全く違っていて残念だった。味玉には珍しく手の込んだ飾り切りが施してあるが、本質的な美しさがないので嘘っぽく見えてしまう。

薬味のネギは悲しいくらいにしか入っていないが、これは昔からこうだった気がするので仕方ないかと諦める。

海苔は黒々とした見た目の割には風味が弱く、口掛けも悪かったので保存状態の問題だろうか。しばらくスープに浸してみたが、硬い舌触りは変わらなかった。

中盤以降も麺の旨さに引っ張られて箸が進み続けたが、スープ単体で飲む事は出来ずにレンゲを置いた。

私が座ったのは麺袋の細かな文字まで見える席だったので、麺袋の消費期限の日数までも読めてしまった。麺の鮮度にこだわっているのが、その日付からも感じられた。通常の麺よりも短めに消費期限が設定されている中でも、出荷された当日の麺が使われていたのには驚いた。このこだわりが麺の食べ応えとして、しっかりと伝わってきた。

丁度まかないのタイミングだったようで、スタッフ用のラーメンが作られていた。その麺の茹で時間が通常よりも短かったが、それはそれで歯応えのより強い食感なのだろうと他人のまかないまで気になってしまった一杯でした。

投稿 | コメント (2) | このお店へのレビュー: 1件

コメント

96年創業だそうです。20年ほど前に日本を一瞬にして虜にしたWスープは今も変わらず健全ですネ。
こちらはまだ未食で一度は食べてみたいです。「またオマ」というなれど日本人はこの味は大好きなはずです。半生レアなど使わず、20年で進化してるのでしょう!

虚無 Becky! | 2019年10月22日 10:20

その以降からですよね、ラーメン本などで多くの店が取り上げられるようになったのも。それまでWスープがなかったのにも今となっては驚くくらいですよね。久しぶりに老舗めぐりでもしたくなりました。

のらのら | 2019年10月23日 09:21