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「ねぎ味噌チャーシューメン 920円(期間限定サービス)」@くるまやラーメン 八潮店の写真人間誰でも得意分野というものが有る。
趣味でも勉強でも仕事でも、誰にも負けないものを誰でもなにかしら持っている。
違うだろうか。
好きこそものの上手というが、好きなものがそのまま得意分野になるワケでも無い。
好きになった分野をただ好きというだけで終わらせずに”何故自分はその分野に惹かれるのか”と、常に探求していく姿勢と時間を惜しまぬ努力、そしてある程度の”投資”が必要だ。
だからこそ、得意分野を持つ者は尊敬されるのだ。
くるまやラーメンの『ねぎ味噌ラーメン』を食べるたびに感じるアノ感情は、その辺りから来る”敬意”なのかも知れない。

「くるまやなら俺行かないよ!」
社内一番のラーメン通を気取るNRCを夕食に誘うと、このセリフが返ってきた。
彼は、くるまやの美味さをみくびっているのだ。
「俺を誰だと思ってんだ!くるまやなんかに誘うんじゃねぇよ!ラーメンの事なら俺が一番知ってるんだよ!」
これは駄目だと思い、仕方なく今日も一人で食べに行こうと諦めた。
バイクの鍵を取り、ブルゾンを羽織ろうとしたその時
「くるまや行くのか?一緒に行こうぜ」
振り向くと、ふうかちゃん(38)が居た。
私は小さくうなづいて、ブルゾンをロッカーに戻し、社用車のキーを手に取った。
お互い謝ったりはしない。
気まずいわけでも無い。
男同士は、そういうものだ。
「じゃあ、食事に行きます」
上司に一言断わって、事務所を出る。
部下のふうかが私の後についてくる。
それを追って事務所を飛び出して来た者が居た。
「わかったよ!行くよ!くるまや!」
NRCだ。
そしてもう一人、最近ラーメンに目覚めたばかりの”エルグランドのカリスマ”略してエルカリ。
計4人での夕食会となった。
社用車の軽ワゴンに男4人が乗って、くるまやへ向かう。
車内は無言だ。
実はエルカリとNRCは先日、仕事上の行き違いで激しく衝突したばかり。
そして私とふうかはラーメン上の行き違いで・・・・・・。
「エルカリ、武蔵家行った?どうだった?」
「行きましたよ。美味しかったです」
信号の少ない暗い道をひた走る。
運転は私だ。
コトンコトンとアスファルトの継ぎ目を踏む音だけが車内に響く。
やがて、くるまやの看板が見えて駐車場に乗り入れた。
一台も停まってない。
「すいてるね」
「そうだな。すいてる」
「すいてますね」
乾いた空気をNRCが引き裂いた。
「お!なんかキャンペーンやってるじゃん!」
飛び降りる様に車から降りたNRCが、店外に吊ってある垂れ幕に駆け寄った。
「くるまや冬のキャンペーンか!スゲェ!味噌チャーシューメンが760円だってよ!」
「本当だ」
普段メニューを開かずに食べていたので、今までこの様なキャンペーンをくるまやが行なっていた事に一度も気付かなかった。
「こんなのやってたんだ」
ふうかちゃんも驚いていた。
早速、店のドアを開いて男4人で入店。
「いらっしゃいませ」
いつものお座敷席に座る。
「メニュー取ってよ!」
取り出そうとしたechoを胸ポケットに戻し、メニューをNRCに渡した。
「安いね!味噌チャーシューメン!ねぎ味噌と同じ値段じゃん!」
「そうだな」
そう言われると損した気分になる。
たまには奮発してみるか。
「じゃあ、ねぎ味噌チャーシューメンにしてみようか」
920円は痛いが、普段なら1020円の商品だ。
たまの贅沢ならバチも当たらないだろう。
「じゃあ、俺も」
ふうかもどうやら同じ考えらしい。
「じゃあ、僕はとんこつラーメンで」
エルカリも決まった。
「すいませーん!」
躊躇なくNRCが店員を呼びつける。
それぞれのオーダーを言うと店員さんは、厨房へ戻った。
NRCがエルカリに気遣って話しかけた。
「とんこつラーメンかぁ。ここのは美味しそうに思えないな」
ん?
「そうですか?メニューの写真、僕は美味しそうに見えましたけど」
空気が重くなった。
私は間が持たずechoに火を点ける。
それを見てNRCもゴールデンバットを取り出した。
それがいい。
男同士の食事は寡黙でいいんだ。
私は黙ってNRCに灰皿を差し出す。
ふうかとエルカリは、携帯を眺めて時間を潰していた。
時間が流れるのが遅い。
空気の重さに耐えられなくなったNRCが口を開いた。
「とんこつにワカメってどうなの?俺、初めて見るよ。とんこつワカメ」
何故か再びエルカリのオーダーにケチをつける。
一体どうしたいんだろうか。この男は。
「・・・・・・」
沈黙を続けるエルカリ。
そこへ店員さんが
「とんこつラーメンお待たせしました」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
ワカメの乗ったとんこつラーメンがエルカリの前へ運ばれる。
NRCの眼光が鋭く光った!
(もうよせ!)
私の思いも虚しくNRCは発言を続けた。
「チャーシュー麺が安くなってるのに、なんでとんこつ頼むかなぁ」
さすがにエルカリも眉間にシワを寄せる。
「いいじゃないですか!とんこつが食べたかったんですから!」
目が乾いてきた。
目頭を押さえながら灰皿でechoを揉み消した後、すぐに私のラーメンがやってきた。
「ねぎ味噌チャーシューメンになります」
「ありがとう」
4人の注文の品が揃い、それぞれ箸を割る。
そしてまたNRCが口を開いた。
「俺のチャーシュー、一枚だけ小さくね?ふざけんなよ!」
「・・・・・・」
こんなシチュエーションだったからだろうか。
今夜のくるまやでの食事は、いつもの様に楽しめなかった。
まずは、チャーシューをスープに浸す。
その前に一口だけ試しにかじってみたのだが
「チャーシューは先に食べちゃダメだよ!まだ温まってないからね!」
NRCから指示を受けた。
「ああ」
と応え、箸でチャーシューを沈めた。
そしていつもの様に辛みそネギとモヤシを麺に絡めて口へ運ぶ。
「モヤシは炒めてるね。茹でてんじゃないよ。ほら!焦げ目が有るでしょ?」
「うん。それでシャキッと・・・」
「だから柔らかくならないんだよ。これ。茹でてるんじゃないからね」
「他のくるまやでも同じなのか・・・」
「ほら!焦げ目が付いてるでしょ?これはね炒めてるの!」
「そうか」
「炒めてるんだよ!」
ラーメンが得意分野のNRC。
分析は正しい。
「チャーシューは旨いね。スープも悪くないよ」
温まったチャーシューを一枚食べてみる。
なるほど。柔らかくて味も染み出してくる。
チャーシュー特有のしつこい油っけは感じられない。
サービスライスに乗せて食べると、贅沢な味わいを楽しめる。
「なんで皆しゃべらないの?もっとしゃべりながら食おうよ」
ネギもモヤシもシャキッとしていたが、どうもいつもの辛味噌のパンチの効き目が甘く感じられたのは、チャーシューが乗っていた為なのか。
それとも、どこかのおしゃべり男のせいなのか。
全体的にマイルドな味わいだった。
「ごちそうさま」
おつりを貰って店外に出ると
「オリオン座、どこ?見えないね。見えないよ」
車に乗り込んで、会社へ戻る。
「モヤシは炒めてたね。俺はスグに分かったよ」

得意分野は、それをアピールするのは良い。
だが、その知識をひけらかすのは良くない。
くるまやのねぎ味噌ラーメンは、決してその美味さを押し付けない。
NRCにそそのかされ、欲をかいてチャーシューを乗せてしまったのは私の失敗だった。
いや、違うな。最大の失敗は・・・・・・。

投稿 | コメント (2) | このお店へのレビュー: 2件

コメント

約25年前、くるまやで働いてた妻が大爆笑だよ(^o^)
東田のアップ楽しみにしてるし。

きせる | 2010年12月2日 01:45

最大の失敗はなんだ~~~~!あれか~~?言えない・・・。

NRC | 2010年12月2日 05:16