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2020年2月11日の大崎裕史の今日の一杯

岐阜県岐阜市名鉄岐阜

中華そば

日本で初めてのラーメン店「来々軒」が浅草に誕生したのが1910年。すでに110年が経っているがその店は残念ながら閉店している。しかし百年を超える老舗が岐阜にある。1917年創業の「丸デブ総本店」だ。この店は「来々軒」(浅草)の流れを汲む店で店名は創業者の風貌から付けられたニックネームから来ている。メニューは中華そばとワンタンの二つのみでこれは創業当時から変わらない。現在は三代目が弟と一緒に切り盛りしている。最近値上げしたばかりだがそれでもどちらもワンコインの500円。企業努力の賜といえよう。最近はテレビなどで紹介される機会も増え、行列が絶えないという。そこで今回は地元の常連と同行して開店前に行ってみた。営業時間は11時なのだが10時過ぎに行くと店内は真っ暗。もちろん暖簾も出ていない。ところがドアを開けて入っていき、席に着く。少し待つと続々と常連が入ってきて席を埋めていく。店頭で並ばせる店がほとんどだがこのシステムはありがたい。二人なので中華そばとワンタンを注文。常連なのでお店の人が「麺はやらかめ?(やわらかめ、ではない)」と聞いてくる。いつもはその「やらかめ」で食べるのでそう聞かれたようだが今回は私が食べるので標準で。私は20年近く前に来たことがあるのだが、その時は一人だったので中華そばしか食べていない。名物のワンタンを食べてないのが心残りだったのだ。そこで二人同行して久しぶりの中華そばと未食のワンタンをシェアして食べてみたかったのだ。小さな器だがヒタヒタに入った麺とスープは少しこぼれるほど。麺は製麺所に特注したかん水少なめのそばとうどんの中間のようなストレート細麺で200gも入ってる。東京では一般的に150gくらいと言われているので量は多めだがスルッと入る。鶏ガラに溜まり醤油を合わせた甘めの和風出汁にこの柔らかめの麺が合う。一方ワンタンは自家製で具はミンチが少量。薄くのばしてトゥルントゥルンと喉越しの良い仕上げになっている。具はどちらも同じでチャーシュー3枚とカマボコ、ねぎ。同じ出汁のハズだが飲み比べてみると味が違うのも面白い。一人で二つを食べて行く人も少なくないようだ。一日で作られる杯数が限られているため、予定数が売り切れたら終了。遅くとも夕方には終わる。20年ぶりに来て改めてその歴史とこの店の存在に圧倒。もちろん「今風」の味ではないが、むしろ全国の食べ歩きはこういう「文化」との出会いが楽しい。そこでしか食べられない味、これこそが全国食べ歩きの醍醐味だ。

お店データ

丸デブ 総本店

丸デブ 総本店

岐阜県岐阜市日ノ出町3-1(名鉄岐阜)

このお店の他の一杯

    大崎裕史
    大崎裕史

    (株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。